時を超える絆

「師匠の右腕・・・師匠の右腕が・・・
レイラァ〜〜〜ッ!!」

リングに飛び散る鮮血。会場を埋め尽くす観客達の悲鳴。死時計の刻印はブロッケンJrの命ともいえる右腕を無惨に切断してしまったのだ
強く逞しく、そして何よりも温かく優しかった師匠の右腕。眼前でその惨劇を見せつけられたジェイドは人目もはばからず号泣します
「ううう・・・バカだよ師匠は・・・リザーブマッチにエントリーしたばっかりにこんな目に遭って・・・」
「ふ・・・バカか・・・確かにそうかもしれねえな。しかしこれが我がブロッケン一族の性よ」
リングサイドに崩れ落ちて泣きじゃくる若者・・・・おそらくは未来の自分の弟子に、ブロッケンは息も絶え絶えに話しかけた
「死んだ親父もそうだった・・・どんな痛い目に遭うかはわかっていても・・・
まだ誰も肌を合わせたことのない強豪を見るといの一番に飛びかかっていきたくなる
まぁ・・・いつも威勢だけで最後にゃ散ってしまうんだがな・・・フフッ・・・
ゴホゴホ!」
勝ち目なくとも強敵との戦いを求める。
まさに超人の本能を煮詰めたようなブロッケン一族の気質
それゆえに自分は戦ったのだと弟子に伝えると、激しく吐血してガックリとキャンバスに沈むブロッケン
たまらず委員長が試合終了のゴングを鳴らし勝負は決着。スペシャルリザーブマッチは世界五大厄の勝利と相成りました




すぐさまリングに駆け上がったマシンガンズは、試合中に感じていたテガタナーズへの疑問を確認します。それは・・・・
「や やっぱり・・・」
なんとジェロニモのアームウォーマーの下は骨が剥き出しになったズタズタの右腕

ブロッケンは腹部を人工皮膚でメイクしており、それを剥がすと見るも堪えがたい大穴が!
そう。ジェロニモは呪いのローラーに潰された右腕、ブロッケンは地獄のネジ回しで受けた腹部の傷が
まるで回復していない状態で試合に臨んだのだ
テ、テガタナーズお前等ってヤツは!と彼等の闘志と自己犠牲の精神に感動する場面なんですが一応ツッコミも入れときます
Drボンベ何やってんの!
改良阿修羅バスターでカチ割られた脳天はキレイに縫合したのに。右腕は処置しなかったのかよ

「ジョワジョワ。キン肉マンにテリーマンよ。明日は我が身と思っていたほうがいいぜ」
「ぬかせ・・・こいつらの体調が万全だったらお前等はただで済んでるわけがないんだ!
不利な勝負をわかっていながら、
それでも友と一緒にリングへ飛び込む
そんな強い絆がお前等にあるかーっ!?」
両目いっぱいに涙を溜め、怒りとともにテガタナーズの高潔さを時間超人に説くスグル
この衝撃の事実にジェイドは勿論、万太郎とカオスも感動のあまり一言も発することができません





「はい前をあけて!担架が通ります!」
「レイラァ!」
すぐさま駆けつけた救急隊により、担架に乗せられたテガタナーズが退場
救命士の診立てによればブロッケンの右腕は手術すれば接合は可能だろうとのこと。良かった良かった
師匠に付き添おうと担架に向かって近づいたジェイドに、スグルが問答無用で
鋭いローキックを叩き込む!

なにをするだァーッ!許さん!
スグルの空気の読めなさは異常。すぐテリーにたしなめられ、ジェイドは師匠と言葉を交わします

「フフ・・・おめえに師匠と呼ばれる覚えはねえが・・・おめえのまっすぐな目は・・・
まるでガキの頃の俺にそっくりだ・・・フフ・・・懐かしいな『師匠』か・・・
俺も親父をそう呼んでいた修行の日々が甦ってきやがる・・・
ゴホゴホッ!」
「レイラァ!もう喋らないで!」
「ヘルメットのあんちゃんよ・・・ドイツにゃこんなことわざがあってな・・・
”ふたりというものはいいものだ
楽しいときは2倍楽しめる
そして苦しい時は半分で済む”」

曇りのない目で目の前の若者を見つめるブロッケンJr。ジェイドも涙を流しながら師匠の言葉に頷く
互いに身内はなく、師匠ひとり弟子ひとりのマンツーマン
長い歳月を本当の親子のように過ごしてきた師弟にとって、まさにその言葉はこの世の誰よりも理解できるところであった





「縁もゆかりもねえが俺のために泣いてくれるあんちゃんよ・・・握手しようや」
そう言うと、なんと左腕ではなく切断された右腕のほうをぐぐっとジェイドに向けるブロッケン
激痛のあまり気でもふれてしまったのか?と困惑するレジェンド達でしたが、ただひとりジェイドだけは・・・・
「か・・・感じる・・・既に切断されてないハズの・・・師匠の右腕を!
な・・・なんて温かい手なんだ」

それは傍から言わせれば「気のせい」かもしれない。だがこの時、たしかに師弟は固い握手を交わしていたのだ
心と心を通わす握手を

そんな超絶感動シーンにやはり空気の読めないスグルがこんな言動を。せっかくの感動が台無しです
「てめえまたそんなでたらめを!

「みんなどうかしておるぞ」
スグル最低。頼むから死んでくれ
「悪役」である五大厄やイクスパンションズよりも
スグルのほうが格段に腹立つってかなり問題だよな

「す・・・すんげえ悲しいハズなのに・・・
なぜだかどんどん勇気が湧いてきやがる!」
「が・・・頑張れ・・・」

「わかりました師匠・・・」
師から弟子へと受け継がれたブロッケン一族の高潔なる魂。次号、ジェイドがリングに立つ!
・・・と今回は男臭い展開で燃えだったんですが。トリニティーズの相手イクスパンションズだしなぁ・・・
数週間後には
同じ病室で師弟ベッド並べて寝てそうな予感。報われんな


反逆のスカー

「ウヌヌ〜ッあの時間超人どもの血も涙もない所業・・・
ウグ・・・グウウ・・・・・!」

ブロッケンJrの右腕切断という残虐極まりないフィニッシュにより、スペシャルリザーブマッチは五大厄の勝利に
会場が時間超人への畏怖に震え上がる中、なんとカオスが回想フラッシュとともに今まで見せた事こない憤怒の表情を
「許せん〜〜っ!絶対に〜〜っ!」

凛々しくも鬼気迫る表情で叫ぶカオス。このあとすぐいつもの調子に戻ってしまいますが、これが本来の彼の性格なのか
五大厄の残虐シーンを見て失われた記憶の断片がフラッシュバックしたということは、
やはり
サンダーとライトニングがカオスの親の仇、という事で間違いないようです





「ほらもっと食え〜っもっとだ〜っ!もっと〜っ!
オプティカル・クロスボンバーはフッ素があればあるほどより強力になるんだからな〜っ」
「ウガ!ウガガーッ!」
”ゴキッ!バキバキボリボリ!”
一方その頃イクスパンションズの控え室。リザーブマッチなどまったく興味ナッシングの2人の姿がありました
まるで煎餅か何かのように、凄まじい勢いで
大量のフローライトを食いまくるセイウチン
お前は刃牙か。試合前にこんなに食ったら胃もたれを起こしそうなもんですが(それ以前に食い物ですらないが)・・・
「まだ足りねえ〜っ!シャアスラーッ!」
変なかけ声とともにセイウチンに馬乗りになるネプチューンマン。人間「シャアスラー!」は咄嗟に出ないと思う

「もっとだ〜っ!もっと食えセイウチ野郎〜っ!うめえだろーっ!」
「グガガガ!」
試合前に相棒を殺す気か
セイウチンの意思などおかまいないしに、ガッツンガッツン口の中にフローライトをブチ込むネプチューンマン
セイウチ野郎ってそのまんますぎ。もはや悪口なのかどうかさえわかりません。ゆでセンスすげえー





「まずは青コーナーより〜スーパートリニティーズの入場です!」
血にまみれたリングのキャンバスも張りかえられ、いよいよAブロック一回戦第2試合が再開。待たされたぜー
一回戦の最終試合にして、若いイケメンVS悪の完璧超人というもっとも華のあるカード。会場のボルテージは最高潮
若い女の子の黄色い声援が飛び交う中、まずはスーパートリニティーズジェイドが先陣を切って花道を失踪します
『師匠があんなに凄い試合を見せてくれたんだ!俺はあの試合からたくさんの勇気をもらった!
あんな生きた教科書を前にして落ち込んでなんかいられるか!』

「師匠からの教えを新世代の正義超人としてリング上で昇華させなくては!」
試合直前に師匠の惨劇を目の当たりにしてしまったジェイドですが、どうやらメンタル面での心配はない模様
むしろ師匠からの魂のエールを心に受け止め、心身ともに気合十二分といったところでしょうか
取り出した写真も
ブロッケンの右腕が消えている等のタイムパラドックスも見受けられず一安心です

爽やかで軽快な入場テーマとともに花道を駆け抜けるジェイド。しかしどういうワケかパートナーのスカーが後をついてきません
と。ここでヒーロー然としたテーマ曲が突然ストップしてしまい、おどろおどろしい悪役然とした曲に切り替わったではありませんか
ジェイド用とは別にわざわざ自分専用の入場テーマを用意していたとは。目立ちたがり屋のスカーのやりそうな事・・・って
現れた人影に場内は騒然!これは懐かしい

なんとオーバーボディ・スカーフェイス!
さしずめ再び悪魔超人としての本能に目覚めたスカーの意思表示といったところでしょうか。・・・でも
そもそもこっちの格好こそが
「ヘラクレスファクトリー二期生・スカーフェイス」
いつもの格好のほうの本来の名前は
「d,m,p最強の男・マルス」であるからしてですね
「この格好に戻る=悪役に戻る」とは
ちょっと違うと思いますよゆで先生!
まぁ御大のことですからおそらくそんな設定は既に忘れてるんでしょう。次号どんな解説をしてくれるか楽しみです


審判のロックアップ

「なんなのあの気味悪いオッサン!あれのどこがスカーなのよー!?」
なんと懐かしのオーバーボディで入場してきたスカー。イケメン2人目当ての女性客達からは悲鳴に近いどよめきが起こります
しかし万太郎らがそれを説明してやると
「ファンサービスなのね」などとアッサリ納得。まったく馬鹿な女共です

「フッ。お祭り騒ぎ好きのお前らしい演出だぜ・・・
しかもそれによってこれほど観客達が喜ぶんだから流石だな」

対戦相手が悪党なので尚更応援されるせいもあるでしょうが、スカーの演出によって会場は怒涛のトリニティーズコールに
先頭を歩いていたジェイドは先にリングに上がると、ロープをぐっと開いて相棒を招き入れます
「さあスカーよ。先にリングインしな」
「キャア素敵ー!麗しきチームの固い絆ねー!」
ジェイドの紳士的行為にウットリの女性客。しかし当のスカーは相棒の厚意を無視し、トップロープをまたいでリングイン
温厚なジェイドですが流石にこの反応は気に入りません
「スカーこ・・・これは」
「タッグチームってのはゴングが鳴ってからリング上で互いが最高のパフォーマンスを見せりゃいいんだ
その前の馴れ合いはやめようや」

「フッ・・・・お前の言う通りだ」
こっ・・・このボンクラどもがァ!
「互いが最高のパフォーマンスをすれば」それがタッグチーム?アホかと
タッグマッチの真髄とは、そのチームワークで
1+1=の和を3にも4にもする事
だが肝心要のチームワークが乱れてしまっては2にすらならないものなのだッ!
カメハメ師匠がそう言うとったろうがコラー!
もうダメです。あのイクスパンションズ相手にチームワークが乱れたこの2人。読者はまるで勝機を見出せません





トリニティーズの大歓声に包まれた入場が終わり、赤コーナーからイクスパンションズが入場
先ほどとはうってかわって会場は大ブーイングの嵐。老若男女問わず罵声を浴びせかけます

酔っ払った観客がコンクリートブロックを投げつけますが(持参してきたのかよオッサン)
セイウチンはこれをバリバリと噛み砕き、あまつさえそのオッサンに襲い掛かろうとしたではありませんか
「グロロロ〜ッ!」
「ひ、ヒイイ〜ッ!」

「俺達はリザーブマッチなんて余計なモンの為に長々待たされてイラついてるんだ
下手な真似をすると観客と言えども容赦できねえぜ?」

暴れるセイウチンを取り押さえながらネプチューンマンが観客に釘を刺すと、たったこれだけでブーイングはピタリと沈静
まさに恐怖で場を支配する圧巻の極悪超人ぶりです。迸る悪のオーラとともにイクスパンションズリングイン!

ゲェー!ネプチューンマン240cm210kgかよ。超重量級じゃないか
セイウチンが
193cm145kgですからかなりでけえぞコレ
ちなみにジェイドは183cm93kg、スカーは200cm137kg
気になって超人大全集で調べてみたところ、スグルは185cm90kg。万太郎は176cm83kgでした
あとデータの中に
キン肉真弓217cm154kgってのを発見して思わず吹いた
ありえないよ!若い頃のデータ?なんにせよゆで御大マジテキトーすぎる





両チームリングインも完了し、あとは試合開始のゴングを待つばかり。スカーもオーバーボディを脱ぎ捨てて準備万端です
イクスパンションズはプロテクターを外したセイウチンが臨戦態勢。どうやら彼が先鋒のようですが、対するトリニティーズは・・・?
「どけ!オレがいく!」
先に出ようとしたジェイドを突き飛ばして前に出るスカー

そのスカーの頭をピョーンと飛び越えて更に前に出るジェイド
「何をやってんだあの2人?」
まさに万太郎の言う通り、何をやってんだお前等。見苦しいからもう負けてくれよ
まぁ悪いのスカーであって、ジェイドは師匠の為に燃えてるだけなんですが。それにしても
見ててイライラする
試合開始前からいきなり険悪ムードのトリニティーズでしたが、「遅延行為で失格にするぞ」と注意されるとスカーが引き下がりました
「チッ、失格にされちゃあ元も子もねえ。先発は譲ってやらあ
その代わり少しでも無様を晒すようなら無理矢理タッチしてでも俺が入るからな」

”カァァァァァァァァン!”
かくして打ち鳴らされる試合開始のゴング。先鋒ジェイドを確認したネプチューマンが興味深そうに呟きます
「フッ、ブロッケンJrの弟子か・・・・面白え!
ジェイド〜ッ!お前が本当に俺と闘う実力があるかどうか
今から確かめてやるぜーっ!」

セイウチンが先発と思われたイクスパンションズでしたが、直前になってチームリーダー・ネプチューンマンにスイッチ!
両腕を大きく広げてジェイドに組みかかります。おーこれはアレだ

「これはネプチューンマン得意の実力判定法
”審判のロックアップ”!」

そう、かつて喧嘩男として超人オリンピックイギリス予選でロビンマスクと闘ったネプチューンマン
その時の
「組んだだけでお前の負ける姿が見えた」と言ったエピソードはキン肉マンファンには印象深い名場面です
つか
こんな大層な名前ついてたのかよ。ミートが即席で勝手につけたとしか思えんぞ
百戦錬磨の完璧超人が下すジェイドの実力判定や如何に?次号に続く!


致命的弱点

「あ、あれは”審判のロックアップ”!」
「審判のロックアップ?」

控え室で治療を受けながら試合を観戦していたアドレナリンズ。立ち上がりの力比べを見るや、大声で叫んだのはロビン
「ヤツはロックアップ(組合い)するだけで対戦相手の実力がわかるんだ!
それも技術・パワー・メンタル・弱点という細かな点まで一瞬で推し測ることができる!」

ゲェーッ!?そんな便利な技だったのかよ。後付け設定すごすぎる。流石はゆで御大です
実力判定はともかく
弱点まで解るってもう完全に特殊能力じゃん。キタネー

巨漢超人といえど相手は御歳54歳のロートル。パワー比べなら若い自分に分があるハズ、と渾身の力を込めるジェイド
しかしながらネプチューンマンは薄ら笑いすら浮かべる余裕の表情でビクともしません。なんかもう格が違いすぎるな・・・
『う、動かない・・・まるで巨大な岩と組み合っている感じだ!』
「クククク・・・審判のロックアップが今おまえの実力を判定している・・・
いいぜいいぜ〜っ。流石はブロッケンJrの弟子だけはある。いいスキルを持ってやがる
こいつはこのネプチューンマンにふさわしい相手・・・グッ?」

目の前のご馳走を吟味するかのようなその表情は、さながら「餌」を求める範馬勇次郎の様
ジェイドの実力は彼を満足させるに足るモノだったようですが、最後の最後、何かに気付いたその表情が曇る
『なんたること!こやつには致命的な弱点が・・・』
なんとネプチューンマン、ジェイドの致命的弱点とやらを発見。見る見る目から興味の色が落ちていきます
さも興醒めしたようにロックアップを解くと、背中を向けてスタスタと自軍コーナーに戻っていくネプチューンマン

「ジェイド。お前は俺が相手をするまでの実力はない」
「ッ!」

屈辱の判定結果を言い渡されるジェイド。思わず激昂して反論します
「俺は21世紀では伝説超人ブロッケンJrの教えを受けた新世代超人として
一目置かれた存在なんだぞ!
さては俺に恐れをなして逃げたなーっ!」

「俺はできる子だよ!」と必死にするアピールするジェイド
冷めた目でそれを見るネプチューンマンの反応と相まって物凄くカッコ悪いね





「セイウチンお前が相手をしてやりな」
「グロロロ〜ッ!」

イクスパンションズはセイウチンにスイッチ。もはや狂戦士と化したセイウチンの猛攻が容赦なくジェイドを襲います
もう昔の優しいセイウチンには戻れないのか。かつての友の変貌振りに落胆しつつ、ジェイドは華麗なハイキックを見舞う!
・・・・が!蹴りが当たる直前、昔のセイウチンの顔がオーバーラップしてしまう
甘ちゃん坊やジェイド
「セ・・・・セイウチン!」

タイミング、軌道とも完璧なハイキックでしたがスピードを鈍らせてしまったために回避され、あまつさえ反撃を食らってしまう始末
すぐさま起き上がって今度はフライングボディアタックを仕掛けますが、それもまったくキレがなく余裕でキャッチされてしまう
サイドスープレックスで叩きつけられ、いきなり大ダメージを負ってしまうジェイド。その不甲斐なさにスカーも思わず怒鳴ります
「てめえジェイド!なんだその覇気のねえ攻撃はーっ!?」

「あのジェイドって人もしかしたら・・・セイウチンを元の正義超人に戻そうとしてるんじゃ?」
「ジェイドお前の気持ちはわかるが・・・もうセイウチンは完璧超人に改造されてしまっている」
「今は割り切って闘いに集中しないと、あなたの身が危うくなってしまうわ!」
「ぐっ・・・しかし俺は・・・セイウチンが正義の2文字を忘れてしまったとは
どうしても思えないんだ・・・!」

「今は割り切ってセイウチンを倒せ」とアドバイスを送るリングサイドの万太郎達
まったく正論なんだけど
割と薄情というかクールだなコイツら。そりゃジェイドも甘すぎるけどさ
「さあどいてろ。だらしねえ姿を晒した時はすぐスイッチする約束だったよなァ」
というワケでトリニティーズはいきなりへたばってしまったジェイドに代わりスカーがリングイン。役立たずを引っ込めます





「”蒼白き脳細胞”スカーフェイスはこの俺が相手をする」
スカーの登場を受け、再びリングに戻るネプチューンマン。どうやらスカーは彼の食指に反応する逸材のようです
なんかネプチューンマン本当に勇次郎みたいだな
「フッ。俺様の実力も審判のロックアップで測らなくていいのかい?」
「クク・・・その自信に満ち溢れた目を見れば全てわかる
お前にはロックアップは必要ねえ」

組み合わずしてネプチューンマンのお墨付きをもらったスカー。流石の実力派です。ジェイドマジ立場ねえ
両者リングへ飛ぶと、まずは挨拶代わりと言わんばかりに全身全霊の体当たりで激突。パワーはほぼ互角!
スカーが低空タックルで足を捕りにいけば、それを読みきっていたネプチューンマンが上から捕縛。バックブリーカーに捕えます
「そうくることはお見通しよー!」
「バカめーっ!
腹のさぐり合いなら俺の方が一枚上手だ!」

しかしながらスカーもネプチューンマンのバックブリーカーを読んでいた!腕を取って三角締めに移行!おおーカッケー
なんか普通に超人レスリングしてんじゃん!
どうも最近プラモだの、トラウマ攻撃だの、時間加速だのトンデモ戦闘ばかりだったので新鮮です
イクスパンションズもトリニティーズもヘンな特殊能力持ってる超人じゃないからな。うーむ久々の清涼剤って感じでグッドだぜ

「ジェイド!今こそ見せるぜ俺達のツープラトンを!
ここでオメーのベルリンの赤い雨だーっ!」
「おお!」

ツープラトン宣言をかますスカーと応えるジェイド。いきなりアレを出すのか?必殺『レッドレインテイル』
廃ビルを真っ二つに両断するほどの破壊力を持つスーパー必殺技。喰らえばネプチューンマンとてひとたまりもないハズ
「くらえーっ!ブロッケンJr直伝・ベルリンの赤い雨ーッ!」
コーナーポスト最上段からネプチューンマンに向けて飛び込むジェイド。その右手に紅蓮の炎が・・・・あれ?

「しゅ・・・手刀が変化しない!」
なんとこの土壇場でベルリンの赤い雨が発動しないという展開!やっぱこういう流れか・・・まったくもって読者の想定内です
やはり師匠の右腕が切断されたことによるタイムパラドックスが発現してしまったのか。それとも単にジェイドのメンタルの問題?
果たして必殺技を封じられたジェイドはいかにしてこの窮地を脱するのか?
次号へ続く!


失われた刃

「な、なぜ炎が出ない!?」
いきなり巡ってきたネプチューンマンを仕留めるチャンス。しかしこの大事な場面で何故か発動しないベル赤
血の滲むような修行の末この技を会得して以来、一度としてしくじった事のないジェイドは激しく動揺します

森の木の葉の如くに体軽やかに
腕を弓の如くに引き 流れ星の如くに振り下ろす
その時 手刀筋骨”壮”となる!

その壮拳もって風擦れば炎立つ!
敵の懐に深く入り 肉斬り骨断てば
ベルリンに赤い雨が降る

幾度となく聞かされてきた師匠の教えがフラッシュバックするジェイド。しかし依然として手刀に炎は灯らない
「何が悪かった?技に入るときの角度か?タイミングか?
こうなったらイチかバチかだーっ!!」

もう絶天狼抜刀牙の体勢に入ってしまってるので今更止めることもできません。ジェイドは炎なしのベル赤を敢行!
ネプチューンマンは迫り来るジェイドに対し、右腕を前に構える。そう、
技を受け止める気です
「ネプチューンマンのやつベルリンの赤い雨を掴む気だ!
バカめーっ!そんな事をしたら手の肉は裂けてリングは血の海だぞ!」

ベルリンの赤い雨を素手で掴むなど自殺行為。リングサイドの万太郎達はネプチューンマンの自滅を確信しますが・・・
「残念ながらこの蔵前国技館に赤い雨は降らねえ!」
ガシィッ!!
回転して突っ込んで来たジェイドの手刀はネプチューンマンの右腕によってガッチリと捕縛!やはり炎がないと話になりません
そのまま漲るパワーで左腕に掴まっているスカーを大きく振り上げ、ジェイドと激しく激突させます
「言ったろヘルメットの若造。お前は俺と対戦するだけの器じゃねえって」





「師匠から手取り足取り教わったベルリンの赤い雨が・・・何故出ない?
雨の日も雪の日も一日も休む事無く精進を続け・・・ようやく会得したベル赤を
そう簡単に発動できなくなるワケが・・・!」

「ジェイドてめえ!折角のお膳立てを台無しにしやがって!
さあどいてろ!今度は俺がいく!」

ツープラトンのチャンスを潰してしまった相棒を非難するスカーですが、当のジェイドはそんなこと耳に入ってません
代わろうとするスカーを突き飛ばし
なんかハァハァ言いながら突貫します。危ない人のようだ
「お、俺はできるんだ・・・!森の木の葉の如くに体軽やかに!
腕を弓の如くに引き、流れ星の如くに振り下ろす!
その時 手刀筋骨”壮”となる!」

しかしやはり発動しない紅蓮の炎

「手刀筋骨”壮”となる!」
2回言った!
「チクショーなんで出ないんだよー!」というジェイドの気持ちが伝わってきてすげえ可哀想です
「どうしたどうした〜っ全く変化せんではないか〜っ」
「その壮拳もって風擦れば炎立つ!」
やっぱり変化しません
「て・・・敵の懐に入り肉斬り骨断てば
ベルリンに赤い雨が降るーっ!!」
もう半泣きになってチョップを振りかざすジェイド
そんなジェイドを嘲笑するかのように、なんとネプチューンマンはチョップでこれを迎え撃ちます
”グチャアッ!”
リング中央でぶつかり合う2人のチョップ!敗れたのは・・・・
「ウワアアアアアアアアアア―――ッ!!」
言うまでもなくジェイド!炎の発動しないベルリンの赤い雨はとんだナマクラ刀です
骨が砕け、血を噴出すジェイドの右手。お前の右手だけ赤い雨降ってるよ!
そんな深手を負ったジェイドの右手を、無慈悲なイクスパンションズは更なる追撃で痛めつけます

ドロップキックの挟撃で潰されてしまう右手。いたいいたい。見てるほうが痛い
命ともいえる右手を集中攻撃され、肉体的にも精神的ももはやジェイドは絶体絶命です





「ぼ・・・僕は何度もジェイドのベル赤を見てきたからわかる・・・
僅かだがジェイドのフォームが乱れている」
「エエッ?超人が身体に染み込んだ必殺技のフォームを忘れるなんてそんなバカな!」
「しかし・・・そのバカなことが起こってしまっているんだ!」
観察していた万太郎は、ベル赤の発動しない理由がジェイドのフォームの乱れであることを看破
しかし何故ジェイドは突然長年身体に覚えこませたフォームを見失ってしまったのか?当然それは読者の予想通り・・・

「ウウウ・・・も・・・森の木の葉の如くに た・・・体軽やかに
う・・・腕を弓の如くに引き・・・な・・・流れ・・・流れ・・・・
な・・・なんだっけ・・・どうすれば・・・
その時・・・手刀筋骨・・・きんこつ・・・きんこつ・・・」

ゲェー!?なんということでしょう。師匠の教えを思い出せなくなってブツブツと独り言を繰り返すジェイド
若年層認知症みたいになってしまいました
「ウワアリャ〜〜〜ッ!!」
半狂乱になって腕を振り回すジェイド。相棒のあまりの痴態ぶりにスカーも驚いてます
と、そのときジェイドの懐からヒラリと落ちた写真。幼い自分が師匠と一緒に映っているあの・・・・・ああっ!?

「な・・・無い!
師匠の右腕が―っ!」

やはり発現していたタイムパラドックス!切断されたブロッケンJrの右腕が義手に!
この歴史改竄によって、ジェイドがブロッケンJrから受け継いだハズのベルリンの赤い雨が狂ってしまったのだ
それにしても義手がすげえテキトーだなオイ
海賊じゃないんだから一本フックはねえだろ。キン骨マンあたりにもっと高性能なの作ってもらえよ
果たしてジェイドはこのピンチをどう打開するのか?次号へ続く!


バカ弟子本領発揮

「ああ〜っ師匠の右腕がぁ〜っ!!」
右腕切断のタイムパラドックスにより、写真に映るブロッケンJrの右腕は無骨な金属の義手へと変わり果てていた
半狂乱になってわめくジェイド面をセイウチンの容赦ない低空ドロップキックが吹き飛ばすと、勢いで写真がリングの外に落下
リングサイドのカメラマンがクローズアップしたので、電光ビジョンにでかでかと映し出されました
「凛子ちゃん・・・あの写真てジェイドに何度か見せてもらったことあるよね」
「うん。師匠と撮ったただ一枚の写真だって・・・」
「でも私達が見せられた写真と、今ビジョンに映ってる写真てビミョーに違くない?
・・・・・あっ!」
「「「ブロッケンJrの右腕がなんだ!!」」」

観客達の眼前に写真が晒される中、ジェイドに写真を見せられたことのある万太郎・凛子・ジャクリーンの3人は異変を察知
ネプチューンマンはニタニタと笑いながら、未だ慌てふためくジェイドを地獄の底へ突き落とします
「これでわかったろジェイド。新世代超人の中でもエリートと呼ばれたお前が
もはやケツから数えた方早いくらいの弱小超人に成り下がったことが!」
「じゃ・・・弱小超人だと?どういうことだ!」
「アホウかおまえは。まだわからんのか
審判のロックアップで組み合った時オレ様はすぐにわかったぜ
それゆえにおまえにオレと闘う実力はないと闘いを拒否したってわけだ」

久々にバカ弟子の本領を発揮するジェイド
そのあまりの察しの悪さに、思わずネプチューンマンも「阿呆」と直球です

「??」
何を言われているのかまったく理解できず首を傾げるジェイド。ものすごく頭悪そうで萌え





「アリサが重傷を負ったことでケビンの存在が消え去ろうとしているように
ブロッケンJrの右腕切断によってもうひとつ大きな歴史が変わろうとしている」
「れ・・・歴史が変わるとはどういう意味だ?」
ここまで説明されてもまだ理解できないジェイド。ボンクラさ加減ここに極まれり

「ブロッケンJrが右腕を失ったということはベルリンの赤い雨も二度と撃てないことになる
だとすれば34年後出会うジェイドに対してもベルリンの赤い雨を授けることは不可能!」

パートナーのあまりのバカさを見かね、スカーがわかりやすく教えてくれました。ようやく事の重大さを認識するバカ弟子
「そ、それでか!確かに師匠から伝授されたハズのベル赤・・・
その大切な記憶がどんどん薄れていくのは〜っ!?」

精神的ショックから木偶の坊のようにボーッと立ち尽くすジェイドを、かつての友セイウチンが容赦なく攻め立てます
額に強烈な踵落しをくらってダウンを喫すると重量級のセイウチンにマウントポジションを取られてしまう。これはピンチ
「セイウチンおまえはネプチューンマンにだまされてるんだ・・・め・・・目を覚ませ」
ドォン!

説得を試みたジェイドでしたがセイウチンはガン無視。顔面に無慈悲な鉄槌を叩きつけます
雨あられと乱打される拳に失神寸前まで追い込まれるも、いつの間にか場所は青コーナーのロープ際
「ようし交代できる距離だな。タッチさせてもらうぜ」
トリニティーズ、すかさずここでスカーへタッチ・・・・・って





「”足”でな!」

「こんな腰抜けは踏みつけて当然だろ?」
スカー、なんと完全グロッキー状態の相棒を
生ゴミのように踏みつけてリングイン!すごすぎるぜジェイド!
迸るようなバカさ加減をこれでもかと披露し
説得を試みた友達に
失神するほどブン殴られ
相棒に踏まれた挙句「踏んで当然」と言われました
「忘れたかその昔オレはdmpでブイブイ言わせた悪魔超人だったんだぜ?
セイウチンおめーの残虐殺法なんて甘っちょろいぜ〜っ
血も涙も無い本物の悪魔の戦いってヤツを俺が見せてやるぜ
狂乱の仮面〜ッ!」

マ   ッ   ド   ネ   ス   マ   ス   ク

懐かしの狂乱の仮面発動!悪魔超人の化したスカーの反撃が始まる!次号へ続く!


狂乱のスカーフェイス

相棒ジェイドを足蹴にしてスカーフェイスリングイン!残虐パワーの象徴「狂乱の仮面」を発動して100%全開の構えです
飛び込むなりセイウチンに対してローリングソバットを放つスカー。しかし当然ながらただのローリングソバットではありません
「ただのローリングソバットじゃねえぜ〜!」

”ザクゥッ!!”
なんとシューズについている足爪の部分をセイウチンの喉笛にグッサリと突き刺すトゥ・ソバット!
いきなりの悪魔ファイト炸裂でセイウチンに大ダメージを与えると、まだコーナーポスト付近で横たわっているジェイドを睨みつけます
「まだそんなトコでグズグズしてやがるのか!オラァ!」
グロッキーの相棒を邪魔扱いし、鋭いスライディングキックでリング下に蹴落とすスカー。マジ容赦ねえ
ダウンした獲物に追撃のストンピングを仕掛けようとしたスカーですがセイウチンもさるもの
これをドラゴンスクリューで切り返すと、ジェイドの時と同じように素早くマウントポジションを奪います
再び繰り出される無慈悲な鉄槌の連打!

ネプチューンマンの合いの手がすごくアホみたいで笑えます
「エーイ!エーイ!」て





「フ・・・セイちゃんよ。お前はネプチューンマン
の手によって悪行超人に変身を遂げたようだが
元・dmpの悪魔超人だった俺からすれば・・・
子供の遊びにしか映らねえ
教えてやるぜ本物の凶悪ファイトってやつを!」
なにもできずにやられるがままだったジェイドとは違い、流石に実力者のスカーは役者が一枚違う余裕の表情
セイウチンの残虐ファイトを子供扱いすると、すばやく両腕と両脚をロック!下からのリバースロメロスペシャルに捕らえます
「そうら!まだ続きがあるぜ〜っ!アカプルコロール!」
更にその体勢のまま高く跳びあがると、スープレックスの要領でセイウチンの脳天をコーナーの鉄柱に激突!イカスぜスカー

しかしタフネスが自慢のセイウチンもこの程度では終らない。ゾンビのごとく起き上がると、背後からスカーに噛みつきにかかる
「グロロ〜ッッ!!」
「フッ噛みつけるもんなら・・・噛みついてみやがれ〜っ!」
が!なんとスカー、VS夜叉猿戦の刃牙の如く右ストレートを真正面からセイウチンの口につっ込んだ!うおー
「どうせグロロとしか言えねえおまえだ。こんなものいらねえだろ!」
たしかに正論だ

そのまま強引に舌を引っ張り出し、見るも痛い舌掴み一本背負い!
「クカカ〜ッ!まだ終らねえぜ〜っ!スワロウ・テールーッ!」
間髪入れずにロープ最上段からジャンプすると、必殺のスワロウテールでセイウチンの背中をかきむしる!
すごいぞスカー!むしろジェイドよか
お前がベルリンの赤い雨だろ!

「ワハハハ〜ッ!久々の凶悪ファイトは身も心もスッキリするぜ〜っ!
やはり俺はこの戦い方が合っているかもな!」

まさに華麗にして苛烈!マウント脱出からここまで、流れるようなムーブメントで凶悪ファイトを連発
まるで水を得た魚というかなんというか。初登場時の
「猛烈に強いスカー」が戻ってきた感じです





「ス、スカーそのへんにしておけ!”勝負を忘れて私怨に走るな”
ヘラクレスファクトリーでの教えを忘れたか!」
「フン。俺がファクトリーに入ったのはあくまで新世代超人を潰す為の潜入作戦
俺の出身はdmpの首魁!そんな甘っちょろい教えなど身の破滅に繋がるだけよ!」

ざわ・・・ざわ・・・・
「なんだかスカー怖いわ・・・様子が明らかに変よ」
「い・・・今のスカーのあの目は・・・僕達の前に最初に現れたときに見せた
血も涙もないdmpの悪魔そのものの目だ・・・!」

スカーの見せる残虐ファイトとその言動の危うさに、ボンクラ揃いの万太郎達も流石に彼の異変について気付き始めます

「履き違えるなスカー!俺達の使命は時間超人の企みを粉砕し、未来を守ることなんだぞ!」
「時間超人の企みの粉砕か。ククク・・・たしかに俺も最初はそのつもりだったさ
この20世紀でアレの存在を知るまではな!
それを口にした者はあらゆる存在を超越した”完全無欠超人”になれるというトロフィー球根!
この蠱惑の宝によって俺は考えが変わってしまったーっ!」
ついに己が野心を大々的にカミングアウトしてしまった”悪魔超人”スカーフェイス
キッド離脱に始まりセイウチンの洗脳、そしてスカーの裏切り・・・
新世代超人マジ友情薄っぺら
そのあまりに身勝手な物言いに真面目な優等生であるジェイドは怒り心頭で食いつきます
「なっ・・・トロフィー球根は危篤のアリサさんのために
俺達みんなで協力して奪取しようとしている物ではないか!?」

「悪いなジェイド。俺は心に潜む最強の超人になりてえって欲望には抗いきれねえ」

「てめえ・・・それじゃ俺とのタッグは解消するってのか〜っ!?」
「既にベル赤を失い弱体化したおめーをタッグパートナーとは思ってねえよ
俺はこれからひとりでスーパー・トリニティーズとして戦う!」

『ベル赤の使えないおめーなんていらねーよ!プップクプー
「・・・・・バ、バカな〜っ!」
身勝手なパートナーから容赦ない戦力外通告を言い渡され、言い知れぬ虚脱感と絶望感に沈むジェイド
トリニティーズついに空中分解!役立たずと化したジェイドに希望は残されているのか?
次号に続く!


新たなる記憶

「グァ〜ハハハ!おいおいスカーよ。お前の向こうっ気は結構なことだが
2対1の戦いなんて冗談にも程があるぜーっ!」

スカーの裏切りによって完全に瓦解してしまったトリニティーズのチームワーク
ネプチューンマンはゲラゲラ高笑いしながらスカーをセイウチンとのツープラトンブレーンバスターに捕らえます・・・が!
「フッ!俺はひとりでもお前らを倒せる!」
ズダァン!
なんとスカーは2人の首根っこをガッチリとクラッチするや、そのまま渾身の力を込めてDDTで切り返した!すげえー

「見えてきた見えてきた〜っ

トロフィー球根をこの手で引き抜き、史上初の完全無欠超人となっているこの俺様の姿が〜っ」
スカーはふしぎなおどりをおどった!
キテハーキテハー。両手を上下させてなんかハァーハァー言うスカー。凄まじく変態的です
すぐさま起き上がったイクスパンションズが背後からダブルのソバットを叩き込もうと突進してきますが
あやしげな踊りに夢中で気付いてません

「後ろだスカー!イクスパンションズが甦ってきたぞ!」
パートナー失格の烙印を押されても尚、相棒の危機を助けようと声を出すお人好しのジェイド
「チッチッチ・・・これから1人で闘っていこうってんだ
そんなことは先刻ご承知よ!」
しかしジェイドはそのアドバイスを聞くなり、人差し指を左右に振ってジャンプ一番これを余裕で回避!
標的に避けられた二人のソバットは
ロープ際のジェイドを直撃!それくらい避けろ
「グオ!」
グオじゃねえよ
「ヒャハハとんだマヌケ面だなジェイドよ!
そんな攻撃も避けられないクズとのタッグを解消して本当に良かったぜ!」

先刻まで相棒だった男に辛辣な罵声を浴びせるスカー。しかし割と言ってる事は正しいぞ
「オ・・・オレは二度とお前の助太刀はしねえ!」
「フンいらねえよ!」
ジェイドもついに堪忍袋の緒が切れてスカーと完全対立。もうトリニティーズの亀裂は修復不可能なほどに・・・





カメハメ師匠の言葉を借りれば、チームワークを失った今のトリニティーズの和は2にもならなくなってるハズですが
なんかもう
スカー1人で100くらいあるんじゃね?

強敵イクスパンションズを相手にしても尚、まるで2期生入れ替え戦の時のような悪魔将軍的強さを見せつけるスカー
もはやリング上は完全にスカー1人舞台。ジェイドはそんな「元」相棒のファイトを魚の腐ったような目で見つめるしかない
2人というものはいいものだ
楽しいときは2倍楽しめる

そして 苦しい時は半分で済む

「お、オレも試合前までは師匠のおっしゃったように友の絆は絶対だと思っていた・・・
しかし今はもう。何もかもが信じられなくなってきた!
その上授かったベル赤まで失ってしまい・・・俺は何を拠り所に闘えばいいのか!」

試合前に授かった師匠のありがたい言葉も、今のジェイドの頭にはとんだ絵空事のようにしか響きません
せめて自分がスカーと同等以上に闘えれば・・・ベルリンの赤い雨が使えたら・・・・!

「俺はかつてバッファローマン・ネプチューンマン・悪魔将軍など
伝説上のありとあらゆる悪行超人達のファイトを見てその姿に憧れ
史上最凶の悪行超人になる決心をした。今度は逆に・・・ネプチューンマン!
お前は俺のファイトを見て引退を決心するべきだーっ!

「そうらセイウチンこれで一対一だぜーっ!
ギャハハハハ〜ッ!ホレホレ〜ッ!!」

イクスパンションズボコボコ
ネプチューンマンを延髄切りでリング下に転落させ、セイウチンをタイマンで滅多打ちにするスカー。もう台詞が完全に悪人
セイウチンが死にそうになってますがスカーを止めるでもなく、アホみたいに口を開けて呆けてるジェイドが情けなさ過ぎます





と、その時だった!なぜか唐突に師匠との思い出が頭の中をフラッシュバックするジェイド
「師匠・・・!この記憶は一体!?」

本当になんだこの記憶は

パンを「タダで貰えないか」と交渉してパン屋の親父に殴られるレイラァ萌え
最高すぎる

やはりこのシリーズの裏の主役はゲルマン師弟だな
で、更にその思い出は過去へとさかのぼって行き・・・師匠が「あの必殺技」を披露してくれる場面にまで到達

「俺はご覧の通り片腕だ。しかし右腕がないなりに俺には・・・
それを補ってあまりある強力な必殺技がある」

ジェイドの脳裏をめぐる右腕を失った師匠との記憶!
飽くなきブロッケン一族の魂は片腕を失ったくらいで失われたりはしなかった!
ベルリンの赤い雨を超える謎の「新必殺技」、宿すは果たして
左腕か脚か?熱い展開で次号へ続く!


凶獣覚醒

「隻腕の俺にしかできない強力な必殺技がある
・・・その必殺技をお前に・・・・」
人間万事塞翁が馬。タイムパラドックスはゲルマン師弟からベルリンの赤い雨を奪ったが、代わりに「新たなる歴史」を創造していた
右腕を失ってしまったブロッケンJrは
ベルリンの赤い雨を超える新必殺技を編み出していたのだ
深読みすると「隻腕の俺にしかできない」と言ってるところにどんな技なのかのヒントが隠されているような感じがしますが
それだと「両腕のあるジェイドは使えない」という事になってしまうので、この台詞には
特に意味はないと思われます
さすがゆで御大
常人には考えつかない蛇足を平気でやってのける!そこにシビれる!あこがれるゥ!

というワケで全国の読者興味津々の新必殺技ですが、いいところで回想シーンの映像が途切れてしまいます
「レ・・・師匠〜ァ!一体どこに〜っ」

ジェイドもふしぎなおどりをおどった!
膝をついて両腕を広げて天を仰ぐジェイド。なんだかすごくプラトーンです

「ハッ?い、今のは俺の脳裏に浮かんだ像だったのか・・・!
た、頼むもう一度見せてくれ〜っ!

ようやく我に帰るジェイドでしたが、もうさっきのフラッシュバックは脳裏に現れなくなってしまいました
どうやら謎の新必殺技のお披露目はもう2〜3週ほどおあずけのようです。チクショー引っ張りやがるぜ





「どうしたセイちゃんよ〜っ!お前突然グレちゃったりするからこうなるんだぜ〜っ?
わかったか?本物の悪辣ファイトができねえと悪行超人とは言えねーんだ!
これを機に悪行超人から足を洗いな〜〜っ!」
倒れたセイウチンに対し執拗なストンピング攻撃を仕掛けるスカー。口の中に蹴りをブチ込むという、目も覆う極悪非道ぶりですが


こんな攻撃を仕掛けておきながらも「悪行超人は辞めろ」と一応説得しているあたり、なかなか律儀な男です
既にグロッキー状態のセイウチンをロープに絡まらせ、身動きを取れなくさせるスカー。更にそこへ怒涛のパンチを叩き込む!鬼!
「しかしやめさせるにしてもタダではやめさせねえ!
きつ〜いお灸を据えてやらねーとなーっ!」
ズドドドドドドドドドドドドド!!!
完全サンドバッグ状態のセイウチンに雨あられと打ち込まれるスカーの鉄拳。もはや決着は誰の目にも明らかと思われた、その時
なんじゃこりゃー!?


なんと突然セイウチンの喉元が隆起し、スカーの拳を弾き返したではないか。なにこれ喉ちんこ?
いやいや当然喉ちんこなどに非ず!スカーのパンチによって凹んでいた全身が同じように隆起し、ハリセンボンのように反撃!

超キモイ!
なんかもう寄生生物つーか。最初は体内のフローライトが暴れてるのか?と思いましたがどうも違うようです
単純に筋肉組織が激しくパンプアップしているだけのようですが
そっちの方が尚更キモイわ





「ま・・・まるでセイウチンがスカーフェイスの攻撃を受ける度にパワーを吸収し
それを増幅させて自分のパワーにしているみたいだ!」
実を的を射たカオスの感想。スカーの攻撃を受けるたび、セイウチンはその悪の力を身体に吸収しているかのよう
まさしく「狂戦士」といった風貌まる出しのセイウチンに迫力に、会場は水を打ったように静まり返ってしまいます

「フン本番はこれからよ!俺のこの技をくらってへいきやなやつはいねえ
どんな怪物だって・・・
いや!たとえ神でもだーっ!」
セイウチンの力に僅かながら脅威を感じたスカーは決着を急ぎ、自身の持つ最大技を繰り出した。決まれば一撃必殺!
「20世紀の奴等よよく見ておけ!
これぞキン肉バスター、阿修羅バスターをも遥かに凌駕する究極のバスター
アルティメット・スカー・バスターだ!」

「ヒョヒョ〜ッ!きたぜきたぜ〜っ!」
『な・・・何故ネプチューンマンは助けに入らないんだ!?』
相棒が敵の最強技に捉えられたというのに、カットに入るどころか「ヒョ〜きたぜ」などと
まるで「待ってました」と言わんばかりのネプチューンマンの反応。これはどうやら・・・・

”ズガアアアン!!!”
あっさり決まったー!いかなタフな超人でもスカー自慢のフェイバリットホールドを喰らってしまっては・・・
「ククク・・・呼吸がどんどん鈍くなってやがてこと切れる・・・・う、ウオ?
バカな!?両脚のフックが!」
「グロ・・・ッグロラァ〜ッ!」
初号機再起動キター!再び喉元の筋肉を隆起させ、両脚のフックを外したセイウチン!
まるでダメージなど残っていないとでも言うように、素早くスカーに跳びかかるとその頭を両手で捕獲した!
「ヒョヒョ〜っセイウチンの獣性を目覚めさせるにはスカーフェイスは適任だと思っていたが
まさに目論み通り」

ネプチューンマンが見出したセイウチンの「眠れる本能」はまだ十二分には引き出されていなかった
それ故にスカーフェイスという最高の当て馬を好き放題攻めさせ、極限に追い込まれることで本能の覚醒を促したのだ

スカーの首筋に深々と突き刺さるセイウチンの牙!
トリニティーズ絶体絶命のピンチに、まだ見ぬジェイドの「新必殺技」は発動するのか?次号へ続く!



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