第1話

闘神の血族

今週から始まった「グラップラー刃牙」第3部作の最終章「範馬刃牙」
巻頭カラー1ページ目からグロテスクな死屍累々のオープニング

東アフリカタンザニア共和国自然公園
第2部「バキ」のラストを飾ったその土地で
いきなりの地獄絵図です。一体ここで何が?




「Mrサマン。あなたはこの事故の唯一の生存者ですが
そんなあなたに今
世界中から非難が集まっています。ご存知ですか?」
「知っている」

大人数の報道陣、無数に焚かれるフラッシュ。女性アナウンサーから質問を受けているのは包帯姿の黒人男性だ
「たった一頭のアフリカゾウのハンティングに軍隊を導入
この事実に全世界がショックを受けているのです」

黒人男性Mrサマンは自然公園を守るレンジャーである。その彼がアフリカゾウを殺す為に軍を出したと言う。何故?
「我々レンジャー部隊の仕事は公園内の動植物の保護だ」
「なのに軍隊出動ですか?」

「アンタらあれがただのアフリカゾウだと思っているのか?現地で死体のサイズを確認しろ
あの馬鹿げたサイズを!

古代から甦ったかのような超規格外!」
なんじゃこりゃああー!!!
ゾウじゃねえ!マンモス・・・ってそんなレベルでもねえ!たぶん全長30mくらいあるし
怪獣だ怪獣。なるほど冒頭の地獄絵図はこの怪物ゾウがやらかした出来事か


「977頭41名
あのモンスターの犠牲となった動物及び人間の数だ
21.2t・・・これはモンスターが1日に喰らう食料の平均値

放っておけば2年後には公園の90%が砂漠化するだろう
草食獣は死に絶え、結果獲物を失う肉食獣も死滅する」
たった一頭の存在が生態系を破壊する、まさに超規格外のモンスター。確かにコイツは殺すしかありません
「我々の取った手段にミスはなかった。あったとするならただ1つ
出動させた部隊の規模。そして用意した兵器の性能だけだ
空からミサイルを使用すべきだったッ」

銃火器で武装した兵士とと装甲車両数台は、その圧倒的な破壊力の前に無力だった。まさに怪獣
しかしいくら化物相手とは言え「ミサイルぶっ放ば良かった」は少々過激すぎる発言。アナウンサーがたしなめます
「その言葉を全世界が聞いているという自覚はおありですか?」
すると驚いたことに。Mrサマンは報道陣がまったく予想しなかった言葉を返したではないか


「言っておくが。我々はただの一発も弾薬を使用していない」
「は?ならばあのゾウの死体はどうやって・・・」

「男が現れた

我々を壊滅させ、ゆうゆうと去ろうとしたモンスターの眼前に
黒いコスチュームに身を包んだ男が!」
ゲェー。言わずもがなその謎の男とは・・・・・・

地上最強の生物。範馬勇次郎
はじめ人間ギャートルズみたいにマンモス肉食ってます

美味そうだな

「一切の武器を持たず・・・彼が素手でモンスターを倒した」
「それを我々に・・・いえ。全世界に信じろと?」
「事実を話したまでだ」
侮蔑の目でサマンを見つめる報道陣。しかしサマンはムキになって反論するでもなく、足早に席を立つ
『誰が信じるものか・・・目の前で目撃した
わたし本人ですら信じられんのだ』






「パパ・・・僕はパパを信じるよ」
皆から嘘つき呼ばわりされた悲劇の生存者サマン。しかし帰宅した彼に、愛息フリオはこう言った
「世界中のみんながパパを嘘つきと言ってもかい?」
「・・・時々、お仕事で僕との約束を破ることもあるけど。ああいうのは嘘つきとは違う」

クリクリした大きな目が可愛い、実に利発そうな男の子。その目をキラキラ輝かせながら更に言葉を続けます
「パパ、その人ってそんなに強いの?」
「あぁ強い」
「ライオンよりッ?」
「うん。パパはそう思う」
「じゃあ白サイよりもッ!?」
「フリオ・・・・・」

まるですごい冒険話を聞かせてもらっているかのように。目を見開いて父の言葉に聞き入るフリオ
やさぐれていたサマンの心が溶けてゆく。世界中のみんなから嘘つき呼ばわりされてもいいじゃないか
たった一人、彼だけが信じてくれるのなら

息子よ。君にだけは聞かせてあげよう
良識ある大人が決して耳を貸さぬであろう夢物語
現実であっても信じられぬ御伽話






「ねェパパッ!誰ならその人に勝てるかな?」
「勝てぬさ。誰も」
「その人がもう一人いても?」
「ンン〜〜・・・・・」

「その人の子供が
大きくなっても!?」

その頃日本。東京郊外武蔵野
夜の暗闇の中、神経集中して草むらにたたずむ少年の姿。手に持っているのは日本刀か?
って
虫取り網だった!なにこのフェイント

範馬刃牙
いい歳してカマキリ取りに興じる17歳。”大きくなったその人の子供”はここに!
鬼才・板垣恵介が壮大なスケールで贈る格闘ロマン3部作
最終章『範馬刃牙』スタート!
次号へ続く!



『何してるかって?
・・・・・・・・・・・・・イヤァ
親父とチョットもめててさ』


第2話
その人の子

「行くかなァアイツ」
「無理だな」
「どーする?行かなかったら?」

「自殺するまで殺す♪」

「でも相手は高校生だしさァ」
「いーじゃん。やるのはアイツなんだから・・・」
「お!行ったッッ!!」
「ひゃははバッカでェアイツ!知〜らねっと!」

オドオドと学校の門をくぐっていった少年の後姿を確認し、ゲラゲラの高笑いする3人の小学生
しかしながら少年がくぐったのは自分達の小学校の門ではない。
近所の高校の門
言わずもがな
先の会話からも推測されるように、3人の少年はイジメっ子であり、門をくぐった少年はイジメられっ子だ
「校舎まで入って、学校で一番強い高校生に喧嘩売って来い」という無理難題を言いつけたのである

「知ってるか?この学校・・・・怪物がいるんだってさ
叔父さんが言ってたんだ。
世界一強い高校生だって」





「どうしたボク?俺等に何か用か?届け物?」
強面の不良3人組に声をかけた少年。思いのほか気さくで優しい対応が返ってきます。イイ奴等だ
届け物があればここで渡してサヨウナラですが。このまま何もせずに戻ったらイジメられっ子達の報復が待っている
ぎゅっと強く目を瞑って気合を入れると、震える手でポケットから何かを取り出しますが・・・・・おっとこれは

折りたたみナイフ
いったい何を思いつめてんでしょうかこのボウヤは
そのナイフ高校生に向ける度胸があるなら
イジメられっ子に向けろよと言いたい
「どわっひゃっひゃっひゃっ!
殴り込みだよコイツ!ツブしに来たんだよここをッ」

見るなり爆笑する高校生達。まぁそうだろ
目つきのギラギラした、いかにも見た目ヤバそうなガキが開口一番でナイフを突き出したのならばともかく
こんな気弱そうな少年がガクガク震えながらナイフ出したって恐くはありません。ましてやこっちは高校生3人
「なんだオマエ喧嘩しに来たのかァー!!」
一発ビビらせてやろうと大声で聞くと、少年は半泣きになりながらもなんとか声を絞り出すのでした
「い、イチバン・・・・強い人を・・・だ・・・せ・・・・ください」





「で?そんだけ言って逃げてきたのかよオマエ」
数分後。校舎から出てきた少年は待ち構えていたイジメられっ子達に事の経緯を報告
傷ひとつなく戻ってきた少年が面白くないイジメられっ子達は因縁をつけようとしますが・・・まだ報告には続きが
「ま、待ってろ・・・って。放課後、多摩川で」

『ワリぃなボウヤ・・・ここでイチバン強えのは俺らじゃねェんだわ
お望み通り世界一強えのを連れて行く。ただしボウヤ
世界一のことも多摩川のことも。これはマジな話だ
約束違えるとえれェことになるぜ?』
『は・・・・はい・・・』

それが数分前に交わした少年と不良との約束だった。「イチバン強い奴」は放課後多摩川に来るという
おー不良どもナイス。おそらくは少年がイジメられっ子だという背景まで見抜いて、刃牙に事を任せるつもりなのでしょう
本当にイイやつらだ。
今週のMVPはコイツらに決定な





放課後。多摩川の河原でチャンバラごっこなどしながら時間を潰す4人の小学生
どうせ約束なんて子供をはぐらかすためのウソだとタカをくくり、もはや忘れかけていたイジメられっ子達でしたが
夕日が赤く染まる頃。
約束守ってやって来ました

学ラン番長範馬刃牙
刃牙の学ラン姿なんて何年ぶりに見るだろう。すげえ新鮮だな

ほ・・・本当に来たッッ!
”オレ”と戦うためにッッ!!

「うわあ出たァァァアッッ!!」
目から刃牙の姿を見ただけで、蜘蛛の子を散らすように逃げ帰る3人のイジメられっ子達
しかし恐怖で逃げられないのか、いや、何かを感じて”逃げない”のか。イジメられっ子の少年だけはその場に留まります
「範馬刃牙だ」
「あ・・・鮎川ルミナ・・・です」

正直・・・”オレ”が想像していたよりも
ずっと小さな世界一だった

対峙する二人。いつのまに握られていたのか、ルミナ少年の手には例の折りたたみナイフ
それに視線を落とした刃牙は静かに問う
「使うんだなそれを・・・」

「え・・・あ・・・あの・・・・・・はい。い、一応・・・!」
なんと答えていいやらワカらず、どうにもマヌケな返答を返す
すると刃牙はおもむろに学ランを脱ぎ捨て、ルミナ少年に対してファイティングポーズを取ったではないか
全身傷だらけの鋼のような肉体。その迫力とカッコよさに、立場を忘れて思わず見入る
「そうか。だったら・・・・・・」

生まれて初めて見る
ホンモノの筋肉

見る間にバキさんは―
”オレ”にもワカるほど









「本気でやらせてもらう」

世界一になった!

大豪院邪鬼現象キター!!!
オーラというか何というか。発される威圧感がその身体を何倍にも大きく見せるのである
子供の悪戯に本気で応じる刃牙!
少年、今まさに試練の時!次号へ続くッ!


第3話

世界最強の高校生

ウソだろう・・・
小学生のオレを相手に

この人 本気じゃん!

同級生に強制されたイジメの挙句、地上最強の高校生・範馬刃牙と勝負するハメになってしまったルミナ少年
なんと刃牙は子供の悪戯を相手に、颯爽と学ランを脱ぎ捨てると本気で身構えたのだった
「か・・・・構えたよ」
「へ・・・へへ・・・本気なワケねえよ」

まっさきに逃げ出したイジメっ子達3人は、土手の上から二人の様子を観察して息を呑む
「高校生が子供相手に本気になるかよ」とタカをくくっているリーダー格の少年も、どこか声が震えています




無理矢理やらされてるイジメだったけど・・・
オレは期待してた
高校生が小学生相手に本気になるワケがない

ましてやこの人は世界一

本気を演技するオレに爽やかに笑って
優しく闘って許してくれるって―

甘かった!!!

刃牙の発する圧倒的な迫力に呑まれて身動きひとつできないルミナ少年。手にしたナイフなど何の役に立とうか
これから自分を襲うであろう事態を想像すれば、その小さな心臓は今にも恐怖で押し潰されてしまいそうだ
その時。眼前の大魔神がいきなりの質問を浴びせます
「泳げるか?」
「・・・・・え?す、少しは・・・」
「よし」

この人はなぜ今そんな事を聞くのか。刃牙のすっとんきょうな問いに、とりあえずビビりながらも答えるルミナ少年
『なに・・・?なに?いったいなに?
どーゆー意味・・・・ッ!?』
瞬間。少年の視界から刃牙の姿が忽然と消えた
直後
ケツにものすごい衝撃!
”パァン!!!”

昔から悪ガキへのお仕置きといったらお尻ペンペンと相場が決まっています。まぁもっとも

きっと・・・80年間は生きる僕の人生で―
最大の衝撃!!!

刃牙のそれは”ペンペン”なんて規格には到底納まりませんが

水切りの石みたいに川の上を数回バウンドして、中央部あたりでザブンと沈没
イジメっ子達はアホみたいに口をアングリ開けて見ているしかありません




ザパァッ!
「〜〜〜〜〜ッ!」
「なんだ。浅えじゃん」
とりあえず自分の身に何が起こったのかを理解し、動転しながらも川底に足をつく少年
呆けた顔で河原の刃牙に視線をやると、彼は笑みを浮かべてその右手を差し出してくれている

12年間生きてきて―

僕は生まれて初めて―
「今から・・・」

「親友ダチだ」
自分が男であることを意識した
ちっぽけな男達が見つめる中、小さな”男”が芽生えた!
(煽り文句そのまま抜粋)




うーん・・・・・・・・どうにもこうにも話として弱いな
だってルミナ少年まったく何もしてないし。刃牙が彼の”男気”を試す場面があれば良かったのに
ただ刃牙が一方的にケツをひっぱたいて
「今日からダチだ!」って。それ自体は爽やかではあるけど
ルミナ少年が自分自身の力で一皮剥けたことにはならないよな。どう考えてもこの締めは物語として弱いと思うぞ
朋友の皆はどのような感想を持っただろうか


第4話

小さな親友

「思い切り叩いた。小学生の君・・・鮎川ルミナを俺は全力でブッ叩いた」
土手に腰掛け、小さな親友と語らう刃牙。遠巻きにふたりを眺めているイジメっ子3人を指差しながら言う
「俺の全力はルミナ・・・アイツらの100倍以上だ」
「・・・・・・・ちっちゃい・・・・ッスね」
子犬のようにビクビクしながらこちらの様子を伺うイジメっ子3人。その姿のなんと矮小なことだろう
何故あんな連中のことを恐れていたのか。刃牙のケツビンタを受けた今となっては、もはや屁とも思いません
「ハハハハ。だろうなハハハ・・・・」
たった一発の気合でイジメられっ子の皮を脱ぎ捨てたルミナ少年。それを見て満足気に笑う刃牙・・・
と。ここで二人の背後にぬぼーっと立つ大男

昂昇VSドイル以来の登場か。キャプテン・ストライダム
「オメエこんなとこで何ガキと遊んでんだよ」とでも言いたげな目。刃牙に勇次郎の近況を伝えにきたようです





まるで御伽噺・・・・
地上で一番強いというバキさんの父親・・・
その父親が恐竜のようなゾウを殺したという・・・

ストライダムが持ってきたのは例のアフリカゾウの件。範馬勇次郎の強さは常に宇宙のように膨張し続けているのだ
「あの勇次郎が君をチャレンジャーとして認めたのだ
君は・・・それにどう応える?」

「お前も子供と遊んでないで死ぬ気でトレーニングしたらどうだ?」と。刃牙にハッパをかけるストライダム
しかし当の本人はそれを聞いて大きな欠伸をひとつ。眠そうに目をゴシゴシとこすりながら軽く言い放った
「キャプテン・・・これは単純な親子喧嘩だ。どこの家庭にだって起こるよくある問題
アメリカ人のアンタが首つっ込んでんじゃねェよ」

『いらねェ心配だよ。帰りな』
ストライダムの善意のアドバイスをにべもなく突っ返した刃牙。そう嫌われてしまってはどうしようもありません
「刃牙よ・・・私は首をつっ込むよ。単なる親子喧嘩などと・・・とんでもない誤解だ
これは一国と一国の喧嘩に相当する問題なのだ!」
すごすごと去っていくストライダムですが、しかしそれでも帰り際には捨て台詞を残して凄んでいきました
流石にこのままでは後味は悪かったのか、去っていくストライダムの背中に申し訳程度に声をかける刃牙
「なァキャプテン!とりあえず俺もスパーリングくらいはやっておくよ!
”てきとう”な奴とッ!」





「バキさんあの・・・質問していいですか?」
ストライダムを見送り、土手の上を歩く親友二人。ルミナ少年が遠慮がちに刃牙に聞いてみます
「恐竜みたいなアフリカゾウよりも強いお父さんが相手なのに・・・
”てきとう”って・・・・」

「ルミナ。”てきとう”とハンパは違う
恐竜に負けない
”適当”な相手ってこと」

軽いシャドーを始めながらルミナの問いに答える刃牙。パンチのあまりの速さに目を見開くルミナ
「てきとう」はいい加減な意味で使った言葉ではなく。スパーの相手として申し分ない人物であるという事である

「見にくるか?これからそいつと闘るんだ」

その時だった
ボクの前にとんでもないものが現れたのはッ
ルミナ硬直!その小さな目に映った驚愕の光景とは・・・!?次号に続く!


第5話

”てきとう”な相手

バキさんが始めた動き―これは
シャドーボクシングだ

『恐竜に負けない”適当”な相手ってことさ』
前回ラストでそう言った刃牙、ルミナの前でいきなりシャドーボクシングを始めました。またリアルシャドーか

はっきり言ってオレはボクシング通だ
シャドーはボクシングの基礎。一流から練習生まで必ずやる
対戦者を想定し、想像のパンチをかわし、想像の隙を打つ

いじめられっ子にありがちな設定きた。弱いくせに格闘技知識は詳しいルミナ
刃牙の鬼気迫る表情と目にも留まらぬ動きを見ただけで、そのシャドーが半端じゃないことを察知します
それはもう―対戦者を想像するというより―
まるで本物の相手が目の前にいるような―


え―!!?
出ました。バキの最終回で披露したシャドーの究極「他者の目にも見えるイメージ」
対戦相手をリアルに想定した刃牙の動き。それは他者の目にまで、いるハズのない仮想敵を映像として映し出すのだ
刃牙がリアルに想定したファイトでこれほど真剣に戦う相手。なるほど誰かは知りませんがこの敵はかなりの強者のようです

しかし待てよ。よく考えると妙じゃないか

刃牙の「仮想敵」がルミナにも見えるというのなら。それはルミナもその人物をファイトスタイルを知っているという事
そう―ルミナがさっき自慢げに言ってました。自分は
”ボクシング通”だと











はっきり言って僕はボクシング通だ
バキさんが真剣になるのも苦戦するのも当たり前のことだった

僕には見えている
バキさんが戦っている”そいつ”


ルミナの目に映し出された、「恐竜に負けない”適当な”」仮想敵の正体とは―







元統一世界へヴィ級チャンピオン

アイアン・マイケル!




アイアン・マイケル!



アイアン・マイケル!



アイアン・マイケル!



アイアン・マイケル!




恐竜に負けない”適当な”



恐竜に負けない”適当な”



恐竜に負けない”適当な”



恐竜に負けない”適当な”



恐竜に負けない”適当な”?


アイアン・マイケルがか?
なんでしょうかこの脱力感。あまりにも想像を超えた相手の登場に読者も開いた口が塞がりません
しかし注目は今週から銘打たれた
「勇次郎戦争オーガウォーズ編突入!第一戦の相手は?」という煽り
つまり
「適当な」スパー相手とはマイケル1人のことではなく。勇次郎戦争編というのはおそらく
これまで登場したグラップラー達が総登場して刃牙と戦うシリーズ
その一人目がマイケルだったってことでしょうか。うむむ・・・読者としては楽しみでもあり、漫画批評としてはグダいような複雑な心境
出てくる面子のラインナップ次第だとは思うんだけど
一人目がアイアン・マイケルだからなぁ
とりあえず2人目以降の顔ぶれに期待したい。次号へ続く!


第6話

幻影闘争

鉄人マイケル・・・・・ッッ
ボクシングの歴史全てを知ってるワケじゃない――でも
このマイケルこそがNo1だと言える時期が絶対にあった
そのVTRの中にしかいない
最強・最高の時のマイケルが
ボクの目の前で闘っている

ルミナの解説からもわかるように、刃牙のイメージしたマイケルはあくまで全盛期の強さ
その華麗なフットワークと目にも留まらぬ高速パンチを前に、さしもの刃牙も苦戦を強いられてます
一瞬の隙からボディに突き刺さるショートフック。直後
750cc直撃の衝撃が刃牙を襲う
「まずいッ!マイケルのKOパターンだ!
バキさんアッパー・・・・・・!」

コンビネーションのアッパーカット!
ボディで下がった頭を真上に吹き飛ばす衝撃。たまらずもんどりうって尻餅をつく刃牙




「バ・・・バキさん・・・鼻血・・・」
「大丈夫」

『体にアザ・・・・?』
刃牙のリアルシャドーはここが超常。イメージしたダメージはそのまま肉体へと現れるというのだからスゴイ
催眠術をかけた人間に
「これから焼け火箸をあなたに押し付けます」
といって鉛筆を押し当てると、その部分が水ぶくれになったという実例があるそうです
強力な暗示と意志力は肉体にまで影響を及ぼすのだ。リアルシャドーはまさに究極のイメージトレーニングなのである




「温まった・・・そろそろ終わらせる」
世界統一へヴィ級チャンプのアッパーを喰らいながらもすぐに起き上がる刃牙。だったらイケるぜ!って感じでしょうか
幻影のマイケルに対し、無造作に間合いを詰め寄ると・・・・・・

カウンターの右ハイ一閃
ルミナの目にもはっきりとわかる決着の一撃。マイケルの幻影はゆらりと揺らめいて夜の闇に消えました
コイツは恐竜の代わりにはならないと思います
「は・・・反則・・・」
あくまで「ボクシング」での刃牙の勝利が見たかったのか。蹴りでの決着にルミナはちょっとガッカリ気味
しかし振り向いた刃牙は、どうということのない表情でこう言いました
「そう・・・反則だ。ボクシングではね」
相手は最強のボクシングチャンプだからボクシングを使う。ならば刃牙は刃牙の流儀で闘えばいい
そこに何も卑怯は存在しない。極めた格闘技が違うだけ。異種格闘戦とはそういうものなのである




「あ・・・あの・・・なに・・・やってたんスか・・・」
と、ここで恐る恐る刃牙に質問してきたのはあのイジメっ子3人組。どうやら勇気を振り絞って近づいてきたようです
「お前ら、今度ルミナを苛めたら泣かすぞ!」などとカッコ悪いことは言わず、気さくに返事をしてやるナイスガイ刃牙
「おう。シャドーボクシング」
「え・・?あの・・・1人・・・で ですよね?」
「シャドーだからな」
「で、でも・・・鼻血が・・・アザも・・・」
「ダメージはあるさ。”リアル”ならね」
刃牙の説明を聞いて「えー」と言った表情の子供達。イメージが肉体に変化を及ぼすなんてそう簡単に信じられません
しかし刃牙は爽やかに笑うと、実に身近な例を出してそれを実践してみせます

「今・・・俺の手の上に梅干しが5つ。カットレモンが1切れある
すっぱァ〜い梅干しとすっぱァ〜いレモンだ
それを全部君達の口の中に放り込む。君らはそれを噛まなきゃいけない
口の中は梅干しとレモンでいっぱいだ」

そうこれ。すっぱいものを口に入れるのを想像すると、人間の口内はそれだけで大量の唾液を分泌する
三国志の曹操が、行軍中に兵士達に梅の木を眺めさせてその唾液で喉を潤したというのは有名なエピソードです
「人体の不可思議
君らの口には何も無い。なのに口の中は唾液でいっぱいだ」

日常生活にも見て取れる「イメージの力」。強力な意志力で思い描く力は実現する
次号、刃牙のバトルは更なる飛躍を見せる!ってまたリアルシャドー!?


第7話

意志力

『見えるシャドー』を終えたバキさんは
俺と一緒に隠れ家に向かった―

「・・・・・スゴイですね。落書き」
およそ日本とは思えぬ、スラム街のスプレーアートのような刃牙への罵詈雑言。気を揉むルミナに刃牙はケロッと言う
「俺とはまともに喧嘩できないからな。落書きで喧嘩するしかない」
それにしても家にまで連れてくるとは刃牙もルミナを気に入ったのか。「親友」宣言はいい加減な口上ではなかったようです




「よく見えたな。シャドーボクシング」
「は、はい。ハッキリ言って僕はボクシング通ですから」
「・・・・・ふーん。じゃあ俺が戦ってた相手は誰かわかったか?」

リアルシャドーを「見れた」ことを褒める刃牙。ボクシング通を自称したルミナに仮想敵が何者だったのか聞いてみます
ごくん、と一度唾を飲み込んでからその問いに答えるルミナ
「元統一世界へヴィ級チャンピオン。アイアン・マイケル」
「へェ〜・・・・」

そこまで”見えている”とは思っていなかったのか、ストレッチ運動を止めてルミナの回答に驚きの表情を見せる刃牙
「”ハンパではなく適当な相手”の意味。鉄人マイケルなら文句なしです!」
キラキラと目を輝かせて刃牙を称賛するルミナ。あー、なんかこの二人の空気ってヒビキと明日夢の関係に似てるな
「適当な相手・・・か。それがマイケル程度なら俺もラクなんだけど
あれはウォームアップ。挨拶代わりだ」

「ええッ!?」



あのアイアン・マイケルがウォーミングアップ?
そう。やはりマイケルは”恐竜に負けない適当な相手”ではなかったのである
「お父さんと・・・戦うんですよね」
「合わなくてな。親父とは」
「・・・・強いんですよね、お父さん」

「全地球全生物統一無差別級チャンピオン・・・だな
ライオン 虎 象 シャチ 癌細胞だってかなわない」

敵であるハズのお父さんの話をするときのバキさんは―
何故だかチョッピリ誇らしげに見えた

「親父とは合わない」と言った刃牙。しかし同時に地上最強の父は世界中の誰よりも尊敬する人物でもある
それは刃牙本人も意識していることなのか、はたまた無意識なのか。なんとも哀しき宿命の父子です
「そのお父さんと戦うために・・・今から強敵を迎えるんですね」
さあいよいよ明かされる”恐竜に負けない適当な相手” はたしてその正体や如何に?




「来な。この中にいるんだ」
刃牙がルミナを招き入れたのは地下室。奥のほうに机が置いてあるだけのガラーンとした殺風景な部屋
「この中にいる」と言われても、今ここにいるのは刃牙とルミナの2人だけ。するとやはり今回の相手も・・・?
「親父は恐竜級のアフリカゾウを倒したらしい
ライオンより虎より羆よりも強い この地球上最強最大のアフリカゾウだ
ならば俺は誰と戦えばいい?」
と、誰もいない部屋の奥に向かっ身構える刃牙。やっぱリアルシャドーかよ!って

いきなり”ソイツ”の先制攻撃がヒット!凄まじいパワーで吹き飛ばされ壁に叩きつけられる刃牙
そのパワーはアイアン・マイケルのパンチと比べてもまるで段違い。確かにこの仮想敵は規格外の強さだ
「ルミナ。象より強え相手はもうそこにいる
さっきからその机の上に」

「え・・・・・・」















カマキリキター!!!
屋敷朋友にも多数の予想者がいましたがまさにドンピシャ。第1話のカマキリをここに持ってきました
なるほど怪獣には怪獣ってことか
”恐竜に負けない適当な相手”とは
刃牙の意志力で作られた巨大カマキリ
なんか子供向けのサイエンス本か何かで読んだことがありますが、昆虫の能力を人間サイズに換算した場合
カブトムシはおよそ1tもの重量を持ち上げ、
バッタはジャンプでビルをも飛び越える
と聞いたことがあります
ならばこの巨大カマキリの戦闘力たるや想像に難くありません。まさしく”恐竜に負けない”相手
つーかもう何でもありじゃんリアルシャドー。次号へ続く!


第8話

初戦

「象より強い・・・・って・・・・・コレ!?」
「そう。カマキリだ」

このちっぽけな昆虫が象より強い相手?理解できぬ表情で問いかけるルミナ。淡々と答える刃牙
「戦うという一点において昆虫はプロ中のプロだ。猛獣なんて目じゃない
まずは体力が桁違いだ。虎やライオンは自分の3〜4倍の重さの獲物を引きずって運ぶ
・・・ならば昆虫はどうか?
自分の7〜8倍の重さの餌をノンストップ長距離輸送だ」

「・・・・・!」
「ひとっ跳びで10mをジャンプする鹿類は珍しくないが。蚤やバッタに比べりゃカワイイもんだ
彼等が人間の大きさなら
10階建てのビルを楽々飛び越える
手に取ったとき感じるハズだ。体重は俺達のわずか数千分の一・・・・・

なのに指先に感じる彼等のパワー
・・・・もし同じ体重なら絶対に勝てない
あの脚力で蹴られたら。あの前脚で抑えこまれたら
あの鋭い牙に挟まれたら
無事では済まない」

昆虫の持つ身体能力を雄弁に語る刃牙。確かに言う通り、バッタの脚力や蟻の体力などは他の生物とは比べるべくもなく
なみいるショッカー怪人をなぎ倒した仮面ライダーのライダーキックの破壊力も、
バッタの脚力によるものです
昆虫博士刃牙の解説にゴクリと唾を飲み込むルミナ。ここまでの薀蓄をふまえ、更に続ける刃牙

「そこでこのカマキリだ。彼こそは戦いのプロフェッショナル
中国拳法でも蟷螂の動きから蟷螂拳を創り上げたことはあまりにも有名だ
打撃・抑え込み・咬みつきそして凶暴性―
なにをやらせても超一流。非の打ち所の無い完全格闘家だ
もし彼等が100キロを超えたなら―――

必ずアフリカ象を捕食する」

いやー。確かにそりゃまぁ普通のアフリカ象には勝つだろうけどさ
勇次郎が闘ったアフリカ象には勝てねえだろ
「プチッ」と踏まれて一瞬で終わると思うぞ




「でも・・・・ちっちゃいです」
解説を聞き終えたルミナが大変にリアルな一言を漏らす。だってカマキリは小さいんだもの仕方が無い
「大きくすればいい。こことここで」
頭と胸を指差しながら、こともなく答えた刃牙。
妄想マンの本領発揮です
「遠いアメリカの・・・しかも今は存在しない最盛期のアイアン・マイケル
現在この世に存在しないマイケルを多摩川土手に呼んだ
創造れるんだ。体重100キロの蟷螂との試合が

創造れるんだ!!!」
なんでも創造れるリアルシャドー。カマキリなんて言わずエイリアンとでも闘ったらいいと思うんだが
それにしても刃牙の意志力があったら世界中の美女とシャドーセックスできるよな。梢江ポイだ

オーガウォーズ第一戦カード
【刃牙VSカマキリ(人間サイズ)!】
空前の異”種”格闘技戦が幕を開けたッッ!
次号へ続く!


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