89話

静寂

「あの・・・バキさんは勝てますか?」
「って原人に?キョーミねえよ・・・っていうか・・・ピクル?
彼は文化遺産なんだぜワカる?人類の貴重な財産なんだよ
それと闘うって・・・ピラミッドを自宅にしたいってぐらい無理な話さ」

冒頭。喫茶店で刃牙と向かい合い、ピクルの話題を振っているのはあのルミナ少年。忘れられてなかったのか
それにしても
米国大統領誘拐犯の刃牙はピクル級の有名人のハズなんですが周囲は普通ね
このへんの疑問をまったく回収しない辺り、板垣先生も
ゆで御大の領域に足を踏み入れてきたな
そもそも読者は梢江がどうなったか早く知りたいワケですが、その辺も考えてるんだか考えてないんだか怪しいぞ
「でも知ってますよね?Tレックスより強いって話・・・
信じられないな。カマキリとも戦うバキさんがそういうのに興味ないなんて」
「ルミナ、おまえ勘違いしてるよ。俺は世界最強とかになりたいワケじゃない
”父親と喧嘩して勝ちたい”ってだけだ
ただその親父がやたら強えんでな・・・」

以前独歩の挑戦を断った時と同じように。「俺は親父より強くなりたいだけ」と、ピクルの話題に興味を示さない刃牙
ストライダム涙目
そんな風に語る刃牙を見て、ルミナは思わず微笑みながらこう言うのだった
「前もそうだった。お父さんの話をする時のバキさんてホント嬉しそうです」
地上最強の生物・範馬勇次郎
最愛の母を殺した当人であり、バキ曰く「病気の父」だが、それでもやはり彼にとっては父親であるようです
「・・・・・・そーかな?」
「そうですよッ」


一方その頃。米軍施設で寝転がってるピクルは、あの夜の事を幾度となく思い出していました
生まれて初めて体験した”技”
渾身の力比べ。自分が押し勝ったと思った瞬間、突然力の向きが変わりひっくり返されてしまったあの現象
アイツも―アイツも―アイツもそんなことはしない。誰もやらない

2億年前には想像だにしなかった、”力”とはまったく別物の強敵
退屈だった日常に突如現れた解けないパズル。現代に甦ってからはや幾月。ピクルは心から嬉しがっていた





後日、場面は変わって「中国武術練成研究会」というなんか怪しげな看板が立てられた会館
若き門下生達が見守る中、テーブルの上に10枚並べられたコンクリートブロックの前に立っているのは烈先生です
「9!」
「噴ッッ!」
”バカァッ!”
突然おっさんが数字を叫んだかと思うと、ブロックに対して掌打を打ち込む烈先生。直後、乾いた粉砕音とともに

9枚目のブロックだけが砕け散りました。スゲー
以前バイクを正面から受け止め、リヤ部分だけを吹き飛ばしたこともある烈先生。浸透勁の一種なのでしょうが錬度がハンパねえ
「7!」バカッ!
「4!」ガコッ!
おっさんが数字を指定する度に、言われた数のブロックを次々に破壊していく烈先生の発勁。まるでMrマリックの超魔術です

「さすが。いいもの見せてもらいました
「やろうと思えばバキさんにもできるでしょう」
「どうだろ・・・ああいう繊細さは俺にはとても」

門下生の中には刃牙の姿も。賞賛の拍手を送るチャンピオンに、「君もやろうと思えば出来るよ」と返す烈先生
でも「バキさん」て。烈先生のバキに対する呼称は呼び捨てだったハズですが・・・なんの前触れもなくいきなり「さん」付けに
このへんの統一性の無さもやっぱりゆで御大の領域へ(ry




「・・・・私に中国拳法の師事を?」
「中国武術は理合いの宝庫です
過去の勝敗はどうあれ、烈さんは俺にとって武の大先輩・・・どうかお願いします」

勇次郎VS郭爺様との戦いから、中国武術から多く学ぶべきものを感じ取ったのか。烈先生に師事を願い出る刃牙
しかし両手をついて深々と頭を下げたチャンピオンに対し、何故か烈先生は微妙な表情のまま沈黙してしまいます
そして、その口から出た返事は・・・

「お断りします。あなたに興味がありません」
宇宙人と未来人と超能力者なら(ry
「興味ねえんだよバーカ!(まさに外道)」と、刃牙の申し出を断った烈先生。昔はあんなに
ツンデレだったのに・・・

ピクルに首ったけというせいもあるでしょうが、おそらく烈先生の心情としては
あの夜
夜這いに参加しなかった刃牙に対して失望したという気持ちがあるのではないでしょうか
刃牙に興味がないのではなく、「最強を目指さない刃牙」には興味がない。というニュアンスじゃないかなー、と予想してみる
まったく先の展開が見えぬまま次号へ続く


90話

興味の対象

「誤解を恐れずに言うのなら―今の私は誰に対しても何物にも興味が持てないのです
たった一人の為に・・・既に知っているでしょう。ジュラ紀から来たというあの・・・」
「ピクル・・・・でも烈さん、ピクルは」
「重要文化財。人類の宝。戦う対象ではないそんなことは百も承知!
だが。だからどうだと言うのです!」

前回ラストで、刃牙の求愛を無碍に断ったツンデレ烈先生
「最強」に興味がない刃牙うんたらと深読みしましたが別段そんな事はなく、単純にピクルの事意外考えられないからだそうな
「この気持ち・・・・恋愛とよく似ています
アイツをよく知りたい。アイツに触れたい。強く触れたい
よく似てます

ならば私は今恋焦がれている!
遠い過去からきたあの生粋の野人にッッ
積み上げてきた4000年の技巧にあの野性がどう反応するのか想像もつかないッ
だから知りたい!だから闘いたいのです!」
もはや完全にピクルに「ウホッ!いい男」してしまった烈先生
積み上げてきた
中国4000年のくそみそテクニックを試したくて股間は爆発寸前
今の彼にとって、刃牙のケツにはまったく性的魅力を感じないようです。うーむ
『フラられたな・・・ピクルピクル・・・みんなピクル。日本中ピクルかよ・・・
とんだ迷惑だろうアイツも』

ついこの間まで自分にゾッコンだった兄貴にフラれてしまい、面白くない刃牙。負け惜しみのようにピクルを気遣いつつ家路へ





「キャプテンストライダム、徳川光成両氏によるこの度の協力。心から感謝している」

一方その頃地下闘技場。闘場中央、ストライダムと光ちゃんに挟まれいるのはあのアルバートペイン博士です
「全人類にとっての至宝であるピクルが、この一ヶ月間水分以外口にしていない
貴方達科学者のみならずとも、ゆゆしき事態である事は理解できます」
「彼は獣ではない。誇り高き戦士・・・志高きファイターなのです
己に向かってくる敵以外は捕食しない」

ストライダムの口から飛び出した驚くべき事実。なんとピクルは一ヶ月間もの間水分の食物を摂取していないと言う
アレンの焼いてた肉は美味そうに食ったじゃんかよ!
とツッコミたいが、あのティラノサウルスの肉はピクルが仕留めた肉だからOKなのかな。ややこしいやっちゃのう
ならば野性生物でもけしかけてやればいいと思ったら、既にその方法も試したらしく・・・・
「ところが流石はジュラ紀ファイター
スペインから猛牛・・・カムチャッカから最大級の羆、そしてライオン・・・
あらゆる猛獣を取り寄せたが、いずれもピクルを一瞥するなり逃走してしまった」

猛獣達はピクルを前に戦わずして敗北。いずれも彼の「獲物」には成り得ないのでした。なるほどこれは困った
ピクルを相手に恐れず挑みかかる猛獣は現代にはいないのか?そんな時にモノを言うのは、やはり金の力です
「金はかかりましたぞい。なにせ生存の危機が叫ばれる保護動物ゆえ」
「許されたい。かけがえのない1人のためならば」
光ちゃんが得意気な表情で合図すると、白虎の方角からゆっくりと現れる獣の影。ピクルの敵となりうる猛獣とは?
「食を断たせて五日目。ベストコンディションじゃ」

シベリアトラ
猫科最大最強の怪物。全長4.7m体重490kg
同種の中でも最大のシロモノです。言わば”この惑星最強の獣”ですな」

ピクルの為の「餌」として用意された刺客は、最大最強の猫科動物シベリアトラ。既に餌を断たれて五日目だそうです






「ふーん」としか言えません
まぁ、さ・・・・一ヶ月も飯食ってないとか、いろいろ理由つけてやってくれるのはいいんですけど
ピクルの戦闘力を掘り下げるのはもういいですよ板垣先生
米軍最新鋭のパワードスーツ倒してんだから。もう現状でこれ以上の比較対象はないでしょ
勇次郎は怪獣みたいな像倒してるし。そもそもピクルが恐竜を倒してたのも周知なのに、今更トラなんか出されてもな
いくら「最大最強の」と冠を振られても、トラは所詮トラ。このインパクトの無さと言ったらありません
まさに
”予想は裏切り!期待も裏切る!”最近の刃牙の典型です
大体ピクルは装甲車何十台も破壊してんだぞ。冷静に考えてみろ

トラ装甲車に勝てねえだろ
というワケで次号はピクルの餌になってしまう可哀想なトラちゃんの虐殺ショー。またもやタダの繋ぎ週です
板垣先生ちゃんと今後の展開考えてんのかな・・・・
考えてない確率100%(乾風に)


91話

戯れ

腹が減った・・・こんな目に遭わせやがって

おっ餌だ!美味そう〜ッ!

なんだコイツ?餌のクセに逃げないのか?

喰うぞテメエッ!


ケモノの分際で1話まるまる独り言を喋った挙句
”ゴキャッ!”と一瞬で抱き殺されたしまじろう

今週の範馬刃牙・完!
いやもうマジで。今週の内容でこれ以上テキスト量を増やすの無理だろと。誰も僕を責めることはできない
ピクルが”力”ではなく
”技”でこのトラを料理したりしたら、今後の展開的に凄く意味のある回だったんですが
哀しいかな単純にパワーで倒しただけ。今更バキ読者がこんなの見たって全然「ピクル凄い」なんて思いませんよ
先週も書いたけど
トラなんて装甲車よか弱いし。なぜ今更こんな描写が必要だったのかイミフ
「保護動物のシベリアトラを殺したことで、世間のピクルに対するバッシングが更に強まった」との事なので
そのへんの部分を今後の展開に使っていくつもりなら「意味のない」回ではなかったのかもしれませんが・・・
でも世論のバッシングならあのレイプ事件だけで十二分すぎると思うし、やはりこのトラ殺しイベントには全く必然性を感じません
板垣先生が何も考えてなかった確率100%(乾風)
このグダグダ感を払拭するにはもう本部先生出すしかないな
どうにもこうにも心躍らない次号に続く


91.5話(袋とじ)

気付き

普段と変わらぬ日常生活を送る刃牙が、最後に布団に入ったところでピクルに想いを馳せて終わり
『うん・・・わかったよ・・・わかった・・・もう嘘はつけない
惚れているんだ・・・』

結局お前もピクルと闘りたいのかよ!
あれだけ「興味ないよ」とか言っておきながら、こんな貴重なカラー袋とじ丸々使って「やっぱ今までの無し!」ってどんだけー?
あまりのしょうもなさに全国のバキ読者が泣いた
こんな支離滅裂変態主人公は放っておいて、とっとと本編に進むことにします


92話

成就

絶滅寸前の保護動物であるシベリアトラを餌としたことで、更なる世論の攻撃を受けることとなったピクル
めざましテレビでしょうか。冒頭から
凄まじくムカつく顔のみのもんたがトバしまくります
喋り方とかめっさ似てて笑えるぞ

コメンテーター席にはこれまた死ぬほどムカつく顔の増添要一
板垣先生よっぽどこの2人嫌いなんだな
「シベリアトラは確かに貴重だが、ピクルのほうがもっと貴重
500頭いるなら最後の一頭まで残さず喰わせてもやむなし」

という、アルバート博士の極端な主張も相まって世間のピクルに対する風当たりは一層厳しいものに





「お困りでしょう。ピクルの食料」
「うむ・・・実際問題として飯が保護動物というのはなァ・・・」
その夜、徳川邸を尋ねた烈先生。日本の財界を牛耳る光ちゃんといえど、流石に保護動物を何頭も捕獲するのはホネなようで
いつものようにニコニコ笑ってはいるものの、超偏食ピクルに手を焼く現状にかなり杞憂を感じているようです
「聞くところによると向かってくるもの―襲ってくるものしか食さないとか」
「そこなんじゃよ問題は。野性のカンというかセンサーというか・・・
ピクルの姿を見るやライオンですら尻尾を巻いて逃げ出してしまう」

「徳川さん・・・お困りでしょう。ピクルの食料」
二度目。さっき言った言葉と寸分違わぬ台詞
光ちゃんもバカではありません。烈先生が何を言おうとしているかはすぐに察したようです
動揺する心を落ち着けるように茶を飲み干し、一呼吸入れてから静かな声で目の前の若者へと問いを返す
「あぁ困っとる。烈海王ならどうする」
揺らがぬ眼光で想いのたけを吐き出す烈先生。もとより今宵はこれを進言するためにやってきたのだ

「わたしが餌となってはいかがかッ」
キター!地下闘技場戦士VSピクル!
やはり一番手は烈先生だ!

「さすがに人間を生餌にするのは・・・」と二の足を踏んだ光ちゃんでしたが、烈先生は頑として引き下がらない
「たしかに餌として彼の前には立ちますが・・・食われるつもりなどさらさらありません
それに・・・
見物でしょう?ピクルVS烈海王」

そしてこの殺し文句で光ちゃんもついにKO。この格闘技狂爺様がこの夢のカードを突きつけられては耐えられるハズがありません





「バカな・・・人間が相手ですと?気は確かか!?」
話を聞かされたアルバート博士は当然の如く喚き散らしますが、対する光ちゃんとストライダムは揃ってニコニコ顔

「まーいーじゃないですかペインさん。本人がそーしたいって言ってるんだから」
ホンマめっさ嬉しそうやのー。格闘技大好き爺、2人揃えば楽しさも2倍
愚直なまでの恋心、ここに実を結ぶ!
「中国4000VS野性」いよいよ開演間近ッ!93話へ続く!


93話

自然力VS武力

「一見なんでもない事のようだがこの寝姿はスゴイ・・・・
自然界において動物は一様に身を隠して寝るものだが・・・
見たまえこのふてぶてしさを。まるで無防備だ

サバンナにおけるライオンがそうであるように・・・自然界における食物連鎖
その頂点に立つ者だけが許される王者の寝相だ
ましてや彼が居たのはサバンナどころではない。スケール桁違いの白亜紀
なのにどうだ。この安眠ぶりは」
「だからッ!そこまでワカっていながら何故こんな無謀を!?」
恐竜がひしめく白亜紀において尚、食物連鎖の頂点だったというピクルに感嘆するストライダム
アルバート博士が唾を飛ばして喚きますが、格闘好き爺2人は博士を
ガン無視して話を進めます

「ある意味・・・これほど興味深い闘いはないのォ」
「同意見だ。神が与え給うたピクルの自然力
達人烈海王が身につけた中国4000年の
武力

この二つが向き合った時、はたして何が・・・・」
「何も起きやしないッ!一瞬で喰われてお終まいだッ!
君等は理解していない!人間界で通用する格闘技の実力などシマウマにすら・・・」
「うっさいなァ。もう〜」
『ええええええー?』
むざむざ死人を出す事もなかろうと、なんとか戦いを中止させようと説得する博士でしたが、2人はまったく聞く耳持たず
ノーベル賞受賞者である博士にとって、自分の意見が「うるさい」などと言われるのは滅多にあることではないらしく
免疫のない事態にオロオロする姿がなんとも可哀想です。お爺ちゃん!しっかり!





「!・・・・わたしが起こしてしまったかな?」
と、その時。すやすやと寝息を立てて眠っていたピクルがむっくりと起き上がったではないか
自分が大声で騒いだせいで起こしてしまったかと博士が呟くが、光ちゃんはそれを否定する
「イヤ・・・たしかに君はやかましかったが違う
彼を目覚めさせたのは君じゃない」

立ち上がり、白虎の方角をじっと見据えるピクル。シベリアトラに対しても座ったままだったピクルが臨戦態勢を取っている
野性の本能が告げているのだ。通路の向こうからやってくる、その男の戦闘力を

アルバート博士は「人間の格闘技など自然界には通用しない」と言った



だが博士は知らない



素手で黒曜石を球体に磨き上げる男の事を



『右脚が沈む前に左脚を出す』
そんなまるで漫画の理論で水上を走れる男の事を



掌打の一撃で750ccバイクを粉々に破壊する男の事を



中国武術4000年の結晶―

魔拳 烈海王










「ピクルが・・・初めてファイティングポーズをとった!」
「ぶつけるぞ・・・全てをッ!」

今こそ培った全てを出し切る時!
烈海王、人生最大のステージにて人生最強の敵に挑む!燃える展開で次号へ続く!うおー


94話

小細工

「凄いなあの中国人は・・・明らかにピクルを警戒させている・・・ッ」
驚愕のアルバート博士。曰く「地上最強の猛獣」シベリアトラでさえ抱かせる事出来なかった、ピクルの警戒心
4000年の時を経て完成された中国拳法の秘術は、果たして2億年前の野性の王者に通用するのか?
「またとないこの機会。まずは真っ向力の勝負が望みだ」
じりり・・・と、ゆっくりその身を前に進める烈先生。だがその身体がピクルの攻撃エリアに入った瞬間!
”ドガァッ!!!”
ゴム鞠の如く吹っ飛ばされ、闘場の壁がブッ壊れるほど思いっきり叩きつけられる烈先生の身体
ピクル強烈な
横薙ぎ張り手が一閃したのだった。まるでRIKISHIのHARITEのような威力ではないか
「よく理解った。力の勝負は無理だ
小細工を弄するぞ」
相手はティラノサウルスをも仕留める怪物。正攻法の腕力勝負に勝ち目はないと悟った烈先生は戦法を切り替える
元より”拳法”とは
弱き者が強き者を倒すために編み出された”術理”

小細工とは「卑怯」ではない。勝つための「知恵」なのである





再び無造作に間合いを詰める烈先生。さっきと同じくピクルがその長い腕を振り回すが、それをかいくぐってカウンターのハイキック!
すぱーん!と気持ちよくクリーンヒットしたものの、拳銃で腹を打たれても屁とも思わないピクルのこと。さしてダメージはありませんが…
しかし当然ながら烈先生の攻撃はこれで終りません。
小細工発動!
まずは辮髪で目潰し!

機先を取ったところで足払い!
さしものピクルも目は鍛えられない。視界を奪われた瞬間、絶妙のタイミングで入れられた足払いを回避など出来るハズもなく
すとーんと腰を落としてカッコ悪く尻餅をついてしまうピクル
2億年前の地上に敵なしだった、野性の王者が初めて見せた完璧な―
無防備!











”ドッパオン!!”(荒木風)

ピクルの顔面にめり込む烈先生の剛脚!
スピード・パワー・タイミング オールパーフェクトのビューティフルキック。余談だが集中線の効果が
ピクルの脳味噌飛び散ってるみたいに見えてちょっとビビった
目の当たりにしたジジイ3人が一様に
「キマッた」と思ったほどに強烈な一撃。これでいきなり勝負あったか?


当然あるハズもなく

烈先生渾身の蹴りを喰らったピクルはやはりというかなんというか全然ピンピン。しかし何故かその双眸からは涙が・・・?
ピクル「ようやくまことの拳にめぐり会い申した」
烈先生「闘場は芝居をするところではござらぬ」
次回バキグルイ「涎小豆」 乞うご期待(大嘘)


95話

謝々

「泣いておるのか・・・?ピクルが・・・ッ」
小技から派生した華麗な連続技から、渾身の蹴りをピクルの顔面に叩き込むことに成功した烈先生
脳味噌が吹き飛んだかと見紛うほどの一撃も、そこはやはり太古の王者。肉体的なダメージは殆ど無いようです
しかしどうしたかとか。放心した表情のピクルの瞳からは、なぜか止め処なく涙が溢れ出すのでした
『尻餅をついた体勢―モロに顔面に蹴りこんだ・・・
常人ならば確実に死んでいた!
キミのそのタフネスに・・・謝々ッッ!』
渾身の一撃を見舞って尚ダメージの計れぬ相手。だがしかし今、烈先生の心に湧き上がるのは絶望ではなく歓喜の気持ちだった
中国拳法4000年の真髄。未だ出し尽くさぬ自分の全て。
受け取ってもらうぞピクル!
回復の時間を与えず間合いを詰める烈先生。無造作に伸ばしたピクルの腕をかいくぐり、真下から突き上げるカウンターの端脚!
上体の伸びきったピクルに対して、烈先生が軽く地面を蹴ってふわりと浮き上がる。喰らえ!
打顎・・・ッ!

顎部のみに集中させた六連撃!
ピクルの頭部内壁における未曾有の脳震盪おそらくは数千回ッ!』
かつて克巳が花山さん戦において、一呼吸のうちに正中線を縦に打ち抜く離れ業四連突きをやってのけましたが
なんと烈先生は
顎部だけに集中させた六連撃を披露
流石にこのへんは克巳とのレベルの違いといったところでしょうか。蒼紫も右京も真っ青です





『ああ・・・たまらぬッ!この至福ッッ!
このまま終ってくれるなッッ!』

会心の手ごたえに、得も言われぬ歓喜と更なる力が湧いてくる烈先生。まさにエクスタシー絶頂です
ここから更に
怪しげな中国拳法の奥義の数々を披露し、読者を楽しませてくれるのでしょうか
って
”メキュッ!”

シベリアトラと同じやられ方だコレー!!(ガビーン)
装甲車両も転がすピクルの膂力。背骨が
ヤバイ方向に折れ曲がっちゃいました
一瞬の驚愕の表情を見せた直後、焦点の合わぬ瞳で両膝を落とす烈先生。勝ち誇った直後の失神KOです

先週ネタにしたせいか、目を閉じたピクルの顔がちょっと伊良子に見えてなんか笑えるぞ

さて格闘家同士の果し合いならばここで勝負は決着ですが。なにせピクルにはそんな理屈通用しません
烈先生とてこのリスクを承知で挑んだのです。イッツァ・ランチタイム!
オレサマオマエマルカジリ!

いきなり派手にいったー!
最初の一口からいきなりとんでもない面積の肉を食い千切りました。噛み付いた部位にもよるでしょうが、首筋とかだったらヤバすぎる
中国拳法4000年の至宝、あえなく原人の餌になる!
烈先生の安否が気になる次号へ続く!


96話

流るる涙

ピクルの牙が大きく肉を食い千切ったところで引いた前回ラスト。果たして本当に烈先生は喰われたのか?
バッチリ喰われてました


頚動脈をモロ・・・という感じではありませんが、肩口というよりは明らかに首の付け根あたり。かなりヤバそげ
「も・・・う喰っとる!」
声をそろえて絶叫するジジイ3人。鍛え上げられた烈先生のしなやかな筋肉を、ピクルはモグモグと無感動に租借していた
こいつマジただのケモノ
誇り高き戦士だか何だか知らんが、いくら知能が低かろうが相手が人間って事は解るだろうに。共食いは勘弁して欲しかった
セイウチンと同レベルの下等生物と認定する!
呆然とした顔の烈先生。前回ピクル渾身のサバ折りで一瞬失神してましたが、激痛のおかげか意識は戻っているようです
「カァッ!!」
「離せ!」とばかりに膝蹴りを叩き込むも、まったくひるまない下等生物。再びその顎がアングリと開かれて・・・!
”バクン!”
今度は左肩をぞぶり。ギャーなんという恐ろしい光景。みんな大好き烈先生が下等生物に穴だらけにされてしまう!
「あひゅッ!」
反射的に肘をこめかみに叩き込み、なんとか地獄のハグから脱出した烈先生ですが顔面蒼白
思わず出た「あひゅ!」って
変なかけ声からも、そのヤバさ加減が伺えます





『通用しない・・・俺の拳が・・・ッ
食べてる・・・俺をッ!』

敵は予想の範疇を遥かに超えるモンスター。肉体的強靭さはともかく、やはり意思疎通のできない相手である事の恐怖がヤバイ
もうこんなんなったら一目散に逃げ出してしまえばいいと思うんですが、そこはやはり武道家としての誇りが許さないのか
「おお・・・靴を!」
「なにを?」
「グローブを脱いだのだ。靴というグローブを外してベアナックルになったのだよ」
靴を脱いで素足になった烈先生を見て、「キター!」という面持ちになったのは光ちゃんとストライダム
寂さんとの戦いでも見せた脅威の足技がある為、誇張無しで「グローブを脱いで素手になった」くらいの意味がある烈先生の素足
ここから中国拳法4000年の妙技で大逆転なるか?ジジイ2人は祈るような気持ちで烈先生を応援します
「キサマ・・・俺を食っておいて・・・泣くなッ!」
相変わらずその双眸から溢れる涙を止めぬピクル。そんな下等生物にイラついた烈先生、怒りとともに必殺の素足キックを見舞う!

頚動脈にグサリと突き刺さる指突脚!
経絡秘孔への点穴は中国拳法における基本概念ではありますが、それを腕の三倍の力を持つ足で行うまさに必殺蹴り
これでダメージが与えられないようだと、もはや烈先生の攻撃力でピクルを倒す術は・・・・・って
まるで効いてません

無造作に叩き落される様は、さながら蝿か何かのよう。「ベシャア」て可哀想過ぎる
技術が・・・
武術が・・・
歴史が・・・
4000年に及ぶ時が・・・ッ
まるで通じない・・・!
万策尽きた烈先生。懐かしの転蓮華とか使ってもピクルの首なんて1mmも動かないだろうしな。手詰まりです
ゆっくりと歩を詰めてくる下等生物。次に掴まったら最後、おそらく烈先生はそのまま最後まで食べられてしまうでしょう。逃げてー!





無念だッッ
よもや技術の通じぬ世界があったとは・・・無念だッッ
・・・・・・・
アリガトウ4000年・・・・
もう技は使わない
『武が及ばぬ』を見ることは、もうできない!

何ィー?奥義の限りを尽くして尚それが通用しない事を悟った烈先生は、なんと技はもう使わないと決意
ひとえにもうこれ以上、「中国拳法4000年の歴史が及ばない」という屈辱的な現実を繰り返したくない為であった
烈海王
皆伝を機に師より賜ったこの武名
私の全てだったこの名を・・・

烈永周が護るッッ!
父が与えてくれた名
母が与えてくれた名

烈永周が烈海王を護るッッ!!

明かされた烈先生の本名は永周。海王の称号を賜って以来、久しく名乗っていなかったその名を持ち出し
烈先生・・・いやさ永周は、その両腕を頭の高さで構えた。その見慣れぬスタイルにストライダムと光ちゃんが首を傾げる
「なんだあの構え・・・拳法・・・?
2人が見たこともないのも当然。その構えは中国拳法ではないのだから。永周の目からハラハラと涙が溢れ出す

中国拳法の威厳―
ひいては中国4000年の歴史を護る為
烈永周が選んだ行動。それは







中国拳法を
捨てることであった












「ウワアアアアアアアアア
アアアアオオオオ!!」

烈永周
まさかのグルグルパンチ!

涙の咆哮とともに繰り出した特攻攻撃は、果たしてピクルに届くのか?烈先生萌えキャラ化著しい次号へ続く!


97話

離さない

グルグルパンチ
作戦・戦法・戦略・効率等
一切の謀を捨て去った純粋な感情のみ―
おそらくはたぶん人類最古の最終兵器

で は あ る が

「なんちゅう・・・なんちゅういたわしい光景じゃ・・・
あの烈海王がグルグル・・・・って」

その効力は・・・

れ、烈先生ぇー!(号泣)
中国拳法を守る為、海王の名を捨ててやぶれかぶれのグルグルパンチを繰り出した烈先生
攻撃は当たってますが、
ポコッとかベチッとか擬音が可哀想で痛々しすぎる
その様は
闘将ダイモス”真最終話”の三輪長官を髣髴とさせます
「バーンバーン!原人をやっつけろ!」





あまりの可哀想さに目を背ける光ちゃんとストライダムでしたが、なによりも困惑したのは攻撃を受けたピクル本人
未だかつて出会ったことのないスピードとパワー、見たこともない不思議な術を駆使してきた強敵
だからこそ本気を出せたというのに・・・
失望感。目の前で狂ったように腕を振り回す獲物を見て、ピクルの瞳からみるみる歓喜の色が落ちていきます
烈先生に対して完全に興味を失ったピクルが、もう終らせるよ!とばかりに渾身のハンマーパンチを振り下ろした
その時だった!

「あっ技を!」「オオッ!」
『え・・・?』
ピクルの鉄槌を迎撃するロケットのような端脚!グルグルから一転して再び技を使った烈先生にジジイ2人が驚きますが
誰よりも驚いていたのは他ならぬ烈先生自身だった

『な、なにをしているのだ俺は・・・
使用わぬと決めたハズ・・・ッ
技を・・・ッ理合を・・・ッ術を・・・ッ』

端脚は烈先生が意識して繰り出したものではなかった。置かれた状況に身体が勝手に反応したと言うべきか
更に間髪入れずすっ飛んでくるピクルのアッパー!しかし烈先生、呆けた表情のままこのアッパーも足で受け止める
『・・・!再度!?』
自分の意思に反して身体が動くという状況に困惑する烈先生であったが、3発目の右フックも綺麗にガード!

防衛本能が身体を突き動かしている?
否!そうではない
そうではないのだ!

”ドガガガガガガァッ!!”
大振りパンチで隙だらけのピクルに、再び大技額部六連撃がヒット!
『こ・・・ッこれは・・・・!?』
決意を以って捨てたハズの中国拳法が、土壇場になってその身を護る。自分は命惜しさに中国拳法の誇りすら護れないのか?
だがその瞬間、狼狽する烈先生の背中に何者かが語りかけてきた












烈よ・・・

この薄情者よ・・・

そう冷たくするな・・・

なんかスタンド出した!(違
烈先生が見たのは自分自身の幻影…いや違う。自身が年月をかけて育んだ”中国拳法”の姿だった
捨てたハズの中国拳法が
「捨ててくれるな」と烈を護ったのだ
烈海王、修行の境地!まさに今中国拳法を背負う!
カッケー。これで負けても烈先生の株が落ちることはないな。喰われるか喰われないかだけが気になる次号へ続く!


98話

武の懐

『・・・ッッ!・・・!?誰か?何者か?』
解らぬか?オマエだよ烈
オマエが目指すオマエ
オマエがなりたいオマエ―

烈海王そのものだ

『俺の―完成形・・・か』
絶体絶命の烈先生の目の前に突如として現れた自分自身の―否。自身の望む「烈海王」の幻影
その姿は武を捨て、半ばヤケになって特攻した自分とはあまりにかけ離れた雄然とした佇まいであった
驚く烈先生に幻影の烈海王は穏やかに微笑み、その逞しくも温かい両腕で抱き締めながら語りかけてくる

あいにくだったな
武を護るため武をかなぐり捨ててのグルグルパンチ
ところがどうだ。
武はオマエを離してくれぬ
試されているぞ。烈

なるほど「武に試されている」とは言い得て妙な表現
中国拳法4000年の歴史を背負う「海王」という立場。故に中国拳法の誇りを護るためにそれを捨てた烈先生
しかし事実、烈先生の「武」は本人の意思とは無関係に発現し彼の身を危機から救ったのだ






委ねてみろ
4000年を背負うなどと構えずに
武を護るなどと気負わずに身をまかせる
そうでもしなけりゃ背負うなどとてもとても

とてもとてもとてもとてもとてもとてもとてもとても・・・・

背負うな

気負うな

武に身を委ねろ

そう言い残して烈海王の幻影は姿を消した。呆然と立ち尽くす烈先生の眼前に、牙を剥き出しにしたピクルが迫る
だが次の瞬間。その大きく開かれた顎が、真下から突き上げられた烈先生の掌打によってガチン!と閉じられた
未だ烈先生の目の焦点は合っていない。心ここに在らずといった表情
委・・・ねる
噛み付き攻撃を防がれたピクルは「このやろー!」とばかりに、今度は強靭な爪での引っ掻き攻撃に。しかし・・・!
武に・・・・委・・・ねる!

なんか種割れキター!!!
やめてよ僕が本気になったらサイが敵うはずないだろ!
ハイライトの消えた瞳でピクルの爪攻撃を紙一重でかわす烈先生。無敵モード入りました。かっけーぞ
どこまでも疑わず・・・
甲拳で金的を一撃!ピクルといえどこれは悶絶。反射的に跳ね上がった頭部にハイキック!
どこまでも信じきり・・・
更に返しで逆方向からもハイキック!これまで烈先生の攻撃を屁とも思っていなかったピクルの目がグリンと回る
どこまでも どこまでも
ほんの一瞬意識が飛んでいるピクルの長髪を烈先生の足の指がムンズと掴む。そのまま思いっきり真下に引っ張り―
武の―懐へ・・・・・・・・・・!

激殺!ココナッツクラッシュ!
ピクルの頭蓋よ砕け割れろと言わんばかりの渾身の一撃がスーパーデンジャラスヒット
さしものピクルもひとたまりなく、前のめりに地面に崩れ落ちます。
ジジイ3人の興奮顔がイカス

それがすなわち・・・・・
4000年を背負うということッッ!

「武の試し」に見事応えてみせた烈先生。SEEDモード発動で怪獣原人を封殺!
これは久々に血沸き肉踊る熱い展開。このまま烈先生に勝って欲しいけど・・・やっぱ立ち上がってくるんだろうなぁ
早く続きが読みたい次号へ続く!


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