168話

初対決

こんな怪物見たことないッッ
Tレックスの牙と尾
トリケラトプスの脚と角
プテラノドンの翼と爪
たった1頭に備わる強敵3頭分の能力

1頭ずつが十分に怪物。その強さは余す所なく我が身に刻み込まれている
来る・・・!あの痛みがいっせいに・・・・!

刃牙の究極恐竜拳に怯えるピクル。いくら恐竜を捕食していた太古の王者といっても、その戦いは常に命懸け
それぞれタイマン張っても際どい勝ちを拾う連中なのに、まさかの3身合体ともなれば怯むのも無理ありません

ピクルの目に恐竜を映らせた刃牙のイメージ力は、コート上の詐欺師ならぬ闘場の詐欺師とでも言うべきか
ていうか仁王も対戦相手とギャラリーに対して、モノマネしたプレイヤーの姿カタチまで完全にモシャスしてるからな・・・
アイツも刃牙並みのイメージ力持ってるってことか。
テニス連中マジパねェ
『天才と言う他ないここまでの展開・・・しかし―ここからどうする!?
現実の刃牙さんの体重は恐竜の100分の1以下!』
仁王ならば実際に相手の必殺打をコピーできますが、刃牙にサイズ違いの恐竜の攻撃力を再現することは不可能
先週の考察からの焦点です。はたして刃牙はどうやってピクルに通用する攻撃を加えるつもりなのか
と、刃牙の両手がピクルの手首を取った。上からかぶせるようにして
素早く返す!

小手返し!
小島武夫プロが得意な麻雀牌を素早く入れ替える所作のことではありません
合気道のポピュラーな投げ技のひとつ。手首を極められているため、
相手は脊髄反射で投げに身を任せるしかない(踏ん張れば折れる) 合気道の理合の基本がよく解る投げです
厚木基地で勇次郎の合気投げを体験し、自身もそれを使ってみせたピクルですが関節投げは今回が初体験
刃牙の姿が究極恐竜に見えている彼にとって、
その激痛をTレックスの牙に錯覚するのも無理はなかった

ズダァアン!
背中からまともに地面に叩きつけられたピクルは顔面蒼白で右手首を見つめる
食い千切られたかと思った手首は当然ながらついていた。今の一瞬で自分が何をされたかなど解るハズもない





「ヘイッ!」

狼狽するピクルの背後から「こっちを見やがれ!」と促す刃牙。何故テリーマンぽいんだよ
ハッとして後ろを振り向いたピクルの目にはトリケラトプスの突進が映し出されていた
「刃牙さんッ!それはやりすぎだッ!」
「正面からまともに当たる気か!?」
『思いあがるな刃牙・・・ッ!』

ギャラリー3人が口を揃えて「それはやめとけ!」と叫んだそれは、小細工が一切見られない正面からの体当たりだった
刃牙の体重71kg。どう頑張ってもピクルの肉体と激突して勝てるワケありませんが何か策があるのか
そして目まぐるしい展開に終始翻弄されていたピクルも、ここでようやく
覚悟完了。当方に迎撃の用意あり!
どの好敵手とて出逢った時は初対決
初対決は初めてではない!

スイッチを入れ替えて仕切りなおしたピクル、刃牙ケラトプスの突進にはっけよい!
反撃の牙を剥く太古の王者。刃牙ケラトプスの突進は彼にダメージを与えられるのか?次号へ続く!


169話

スタート

スタンディングスタート。これは全力で走り出す直前の構えである。かなり古い
戦前の五輪ではまだこのフォームを実行する選手が多くいた
短距離走のスタートの歴史は
どれだけ水平に近づけるかの歴史と云える
最終的に短距離走のスタートは、
クラウチングスタートと呼ばれるこの形に一致を見る
スターターと呼ばれる器具の使用により飛躍的に水平に近づいた。しかし―無論これとて水平ではない

本日遂に 人類初の
水平のスタート
を実行した者が出現

というワケで冒頭、2ページ及ぶ短距離走の歴史まで持ち出して仰々しく描かれたピクルの「スタート」の構え
なんてことはない壁蹴り飛びなんですが、ジャック戦で見せた回避→帰還のムーブメントとは違い
その脚力を100%攻撃に転化したピクル最強の切り札。いわば真・スーパー頭突きです
スタンディングスタートとクラウチングスタートでどれほどタイムが違ってくるかは朋友諸君らも周知の事実
地面を蹴った反作用をどれだけ推進力に変換できるか。あの幻の
ゲバルの核パンチにも同じ理屈が成り立ちます
普通に四つん這いの状態から放っていたスーパー頭突きでさえあの威力だったのだから、コイツの威力はさぞ想像を絶するでしょう

対戦者・範馬刃牙との接触までの時間、1秒以下
中国武術師範烈海王氏はこの時の様子を後にこう語っている

「・・・そしてその光る物体は凄い速さで西の空に消えたんだ
間違いない、あれは絶対にUFOだよ!」

お前は矢追純一のUFO特番に出てくるアメリカ人のオッサンか
バキお馴染みの手法、「○○氏は後に語る」でインタビューに答える烈先生。変なグラサンが笑えます
>刃牙がまたワンパターンの語り形式でがっかり・・・もうセルフパロディになっとる
>烈さんのこれどっかで見たなーと思ったらVSオリバさんの看守と囚人が担当したポジですよ!
>驚き、解説、インタビューと烈さんの汎用性高すぎ
>烈先生のあの変なグラサンは一体・・・・・
>もう烈先生がどこへ向かっているのかボクにはわからない
>烈先生はなんなの?俺を笑い殺す気なの? グラサンとかそんなキャラじゃなかったじゃないっすか
>ここ数週オリバ戦以上に解説ばっかでエンドレスエイト並みに話が進まないですね





「言葉で説明すると長くなるが・・・あの一瞬に多くを感じたのです
「なるほど」と。白亜の時代、ピクルはこうしていたのだと
ある時は樹木の力を。ある時は岩石の力で。だから止められたのだ。5tもある奴等を
対して刃牙さんの体重は70kg
100kgを超える私が一瞬も踏みとどまれなかったあの体当たりをどうやって?
しかも条件は私の時よりも遥かに厳しい
”この試合、ここで決着を見”る・・・と
え?なぜ1秒に満たない一瞬でそこまで考えられたか?例えるなら―」
太古の時代、恐竜達に引導を渡してきたピクルのフェイバリットはこの技だったのだと悟る烈先生
同時に刃牙の敗北hによる決着を予見したといいますが・・・
「極上のカレーライスをあなたが一口だけ食べたとします
辛い、しょっぱい、甘い、少しすっぱい、香り、コク、具材の食感、ゆきわたる米、スパイス
丁寧に語るなら10分はかかるでしょう
しかしそれらは全て一瞬の感覚です。
・・・とでも言えば解るでしょうか」

別に読者はそんなこと突っ込んでないのに、わざわざ感覚の説明まで始める烈先生
解ったような解らんような微妙な例えなのが更に苦笑を誘います。カレー食いてえな
「驚いたのは刃牙さんがそこで止まってしまったことです
構えも解いてしまい、突っ立ったままピクルを迎えたのです
ええ・・・まともに受ける形になりました。避ける間などあろうハズもない」

そんなピクルの人間砲弾を避けようともせず、ボーッと突っ立って正面から喰らったという刃牙
おっとこれはもしかしてあれか。郭爺様の消力(シャオリー)を使って受け流すという展開でしょうか?





「ところがです
飛んだのです・・・ピクルがッ

いえ”跳んだ”のではありません
文字通り宙に高く遠く―”飛翔んだ”のです」

ジャック戦でスーパー頭突きを破られた時と同じように。刃牙に向かって飛んでいった人間砲弾は
突如軌道を変えて急上昇。観客席最上段に着弾する
「ええ?投げ・・・た・・・の?え!?」
何が起こったのか理解できず、慌てふためく光ちゃん。解るハズもない。烈先生にすら解らないのだから
作品中パワーにおいて1、2を争うキャラであるジャックが両腕で下からカチ上げたのなら解ります
しかし刃牙がおこなった動作は・・・・

「刃牙さんのした動作はこんな・・・まるで蝿でも追い払うかのような
古流柔術にも合気道にもあんな型はありません
200kg余りのピクルが天井近くまで飛ばされたのです
半分にも満たない小男の無造作な一払いにッ!」
なんでしょうかこれは。攻めの消力?にしては余りにもチートと言わざるを得ない刃牙の一払い
本当に小虫を追い払うかのような所作で大砲の軌道をそらす。まるでヒラリマントです
その時だった。3人の中で唯一、何かに気づいたらしい花山さんがボソリと呟いた
「スゲエな・・・ピクルは」
花山氏がピクルを語り始めたのです。刃牙ではなくッ!
凄いのは吹き飛ばした刃牙ではなく、吹っ飛んだピクルの方?
今の一瞬の攻防に何があったのか?烈先生さえ気づかない秘密に、花山さんは何故気づけたのか?
もう本当に格闘漫画じゃなくワケわからんエスパー漫画になってきた次号へ続く!


170話

柳に風

「なんでじゃ?投げ飛ばしたのはバキじゃど
なんで飛ばされたピクルが凄いんじゃ?」
「難しいことはワカらねェ・・・ただワカってることがある
出る力、進む力が強ぇえほど横からの力に弱ぇえってことだ
拳銃ハジく時・・・腹から入った弾が横っ腹から抜けたり肩から抜けたり
柔らかい腹ん中で様々な影響を受けることがある
甚だしい時ゃ観葉植物の葉っぱ1枚に

軌道を逸らされることだってある」
刃牙の蝿払いで吹っ飛んだピクルに対する花山さんの賛辞の正体。それは
”ピクルのスーパー頭突きがあまりにも速すぎるから”だった
刃牙の行ったアクションは攻めの消力でなんでもなく正真正銘ただ手を払っただけ
スーパー頭突きはその速度ゆえに、たったそれだけの力の干渉で軌道を大きく逸らされてしまったというのである

強風時、電車は安全の為に徐行運転するじゃないですか
風の強さは変わらないのに、通常速度でブッ飛ばすのと徐行速度で走るのとでは横転の危険性がダンチだからです
物体は高速で動けば動くほど横から加えられる力に大きく干渉されてしまう。その身近な例ではないでしょうか
まぁ
はんぺら物理サッパリなんで、力学的な計算式を持ち出して説明とかできませんが
理系の朋友で解り易い解説をしてくる方がいましたら是非にお願いしたいです





実際に観葉植物の葉っぱで弾丸の軌道が逸れたりすることがあるのかは知りませんが、ともあれこれが蝿払いの真相
要するに刃牙はまったく凄くなく、
ピクルの凄さ故に起こりうる返し技というワケです
凄すぎて役に立たなくなった必殺技というワケのわからん自爆状態になったピクル
つうかコイツ恐竜時代これ連発してたワケから、当時はそらもうあっちこっちに吹っ飛びまくりだったんじゃなかろうか
矛盾点バリバリで説得力0の超展開ですが、今の範馬刃牙は
そういう漫画なので突っ込むだけ野暮
刃牙は闘場の壁に小便でマーキングをすることでピクルを挑発。再び中央で睨みあうと彼にこう告げるのでした
「もういいだろ、手品は終りだ。Tレックスにトリケラ・・・ちょっとやりすぎた
原点回帰。ホモサピエンス同士、人間として戦おう」
まったくもって読者がお前に言いたかったことです妖術師バキ
一度はヤリたいッ真っ向勝負ッ

ここまで怪しさ満点の絡め手でピクルを翻弄してきた刃牙、満を持しての「手品なしの真っ向勝負」を宣言
既に最初にそういう殴り合いを仕掛けて
まったくダメージが通らなかったから
こんな展開になってたワケなんですが

これで殴り合うと、今度はなんの説明もなしでピクルにダメージ与えられるようになってるんだろうな。説得力0すぎる
オリバさん戦の焼き直しのような展開で一挙2話掲載の171話へ続く


171話

見たいな・・・

地面に―じゃないッ地面を叩きつけられたようだ
強い・・・文句なしに・・・防いでいても・・・防御したその腕が
急所になってしまったような怪力無双ッ
全ての小細工を捨てての殴りあいとなったものの、やはり圧倒的なピクルの攻撃力の前になす術ない刃牙
オリバさん戦の
全ページ見開き顔面パンチの悪夢が脳裏をよぎりましたがとりあえず安心です
怪力無双といえばあの人だ・・・アンチェイン・ビスケット・オリバ・・・
見たいな・・・こんなシーン・・・

あの人はやるんだろな・・・真っ向勝負・・・まるで神話の世界
読者の感想に呼応するように出たオリバさんの名前。いやホント
この勝負見たいよね読者は
刃牙のこの台詞が読者に対する謝罪と、変な超能力バトルしかできない自分への自虐に聞こえてきます





真っ向勝負と言えば・・・あんな所で見物しているあの鉄拳・・・
あの人も小細工なしだ・・・
花山さんなら真正面から・・・

真正面といえば・・・真背面?ねーよそんな言葉
背中とくればこれしかない・・・
背面鬼・・・ッ!
どうなっちまうんだろ・・・・

砂糖は白い!白いはウサギ!ウサギは跳ねる!跳ねるは蛙!
怪力無双といえばオリバさん、真っ向勝負といえば花山さん、背中といえば親父―と、夢のカードを連想する刃牙
1人の姿を思い浮かべる旅に1ページでかでかと使う脅威のページ食い手法です

だけど・・・そう・・・本当の興味は・・・本当に見たいのは・・・
範馬刃牙ならコイツをどう仕留めるか・・・ッ

8ページに渡り他人のピクル戦を妄想した挙句、最後は「でも主役は俺だ!」で引き
171話ひどいなコレ。「夢のカードを挿絵つきで見れた」という点においてはサプライズ的な良さはあったけど
内容的には170話→172話に進んでもなんら問題ないという
>バキが「一挙二話掲載!」ってより、
「一話を二話に分けました!」「一話だけだと内容が薄すぎなので二話載っけて誤魔化しました」
って体の薄さなのがどうも…
はたして刃牙はどうやってピクルを仕留めるのか?
ノノノノが気になる次週のヤンジャンは必読!


172話

玩味

18年間生きてきた
丁寧に 注意深く生きてきた 勝つ為に
地上最強の生物 父・範馬勇次郎
その背中を追ってきた ―何故?
何故だと?なんてことだ!?
俺は範馬勇次郎と闘う理由を探しているのか?

2億年前から甦った原人との、小細工なしの真っ向勝負
しかしそんな最中彼の脳裏をよぎるのは目の前にいるピクルではなく、追い続けてきた父勇次郎のことだった

「病気の父親を治したい」と泣きながら光ちゃんに訴えてからはや4年
言わずもがな刃牙が勇次郎を倒す理由は、彼の狂気によって若い生涯を閉じた母の敵討ちに他ならない
今までそう思っていた。自分にそう言い聞かせていた

憎悪・・・憎悪・・・・・・・・・・・・・・
憧・・・憬・・・・?
バカな・・・どうして憧れなど・・・ッ

しかしどうしたことか範馬刃牙18歳。強くなればなるほどに父に感じる思い、それは
憎悪よりも憧れに近い感情ではなかったか
範馬勇次郎の否定のしようもない絶対的な強さは、ある意味では”信用”とさえ言える
4前年のあの日・・・否、物心ついて父と一緒に旅をしていたあの頃から少年の気持ちは変わっていなかったのだ

あの背中を見てきた

あの拳に準備えてきた

あの迅さを想定ってきた





だからかわせる

これならかわせる
一発被弾するだけでも勝負がつくピクルの打撃が竜巻の如く眼前で唸るも、その攻撃は一発たりとて当たらない
一撃を避ける度、刃牙の回避運動は更に無駄なく、更に理にかなった動きに変化していく
抱き続けてきた父への思いがこの土壇場で彼を救っている
なんとも不思議で皮肉な、そして宿命を感じる親子の繋がりではないか
冷静に振り返ってみるとこのピクル戦で刃牙が負ったダメージって
あの落下2発分だけで、
ピクルからはまともな攻撃受けてないんですよね。「当たらなければどうということはない!」を地で行ってるワケです





後のインタビューで烈先生曰く
「どんどん近くでかわすようになっていったのです。どんどんギリギリに
毛髪に触れるようになり―皮膚に触れるようになり
よりギリギリになるにつれ、何かこの格闘技というより―
武というより舞
そう、まるで闘牛士のような・・・」

さながらターちゃん流空手ふにふに避けのように
ピクルの攻撃に合わせて踊っているかのような動きで、その打撃を完全に無効化する刃牙
170話の「柳に風」ってサブタイ今週使えばよかったのにな

地上で。水中で。そして宙を舞うもの・・・
様々なライバル達の敏捷さを見てきたピクルであったが、今日またしてもの初体験

速度の概念を超えた速度

「通り抜ける」というより「透り抜ける」
まるで幻でも相手にしているかのように、ピクルの攻撃は全て刃牙の肉体を素通りしてしまう
>小細工抜きとか言って結局また妖術か
>バキ「スタンドはスタンドでしか傷つけられない」

刹那、ピクルの脳裏を1匹の蝶がよぎるのだった
ひらひらと舞い踊る蝶を空中で掴むの至難の業。なるほどうまい例えが出てきたところで次号へ続く!


173話

Like a butterfiy

最初は遊び半分。つまみ食い程度の気持ちだった
すぐに一筋縄ではいかないと知り、静かに確認した
この世には
肉体を透り抜けられる
生物がいる
少年ピクル在りし日の思い出。ひらひらと空中を舞う”ソイツ”の動きは彼にとって驚きだった
動きは決して速くないハズなのに、掴まえたと思った瞬間には手の平からすり抜けているのだ
2億年前の蝶
それはピクル少年にとって肉体を透り抜ける相手として認識され、記憶されたのだった
それにしても子供の頃のピクルの思い出ときたら、蝶に翻弄されるわ蜂には刺されるわで
マホメッド親子と戦ったら両方彷彿するんじゃないだろうか
フロートライクアバタフライ スティングライクアビー(蝶のように舞い、蜂のように刺す)!

実戦空手の父と言われる高名な空手家は晩年このように語っている
と、ここで
故・大山倍達総裁のドアップが出てきて、超人的体捌きに関するエピソードへ
どこからどう見ても大山総裁なのですが、なぜか今回は
高名な空手家となっており名前は出てません
これまでズールの奇襲や猫の戦闘力のくだりでハッキリと「大山倍達」と言う実名を出してたのに、今回は避けたという事は
おそらくこのエピソードは実際に大山総裁が語ったものではない、板垣先生の創作エピソードということでしょう

数多の突きをかわしてきた。数多の蹴りを防御けてきた
数多の肘を 膝を 頭突きを 果ては鉄パイプ 投石 刃物に至るまで
できるだけ近く ギリギリに ギリギリに 捌ききった
―ある日常の稽古 驚愕の境地を体験する
相手の身体をすり抜けたのだ
 と

気の遠くなるような時間を相手の後ろに回りこむことに費やした結果
防御けが 体捌きが 足運びが 極限まで無駄が削ぎ落とされ
”回り込む”を超越した”通り抜ける”に至ったのだ

「これほど・・・ここまでのレベルに達していたのか刃牙さんの武は!
できるか?この私にあの真似がッッ」

極限まで無駄なムーブを排除したギリギリの回避
当たりそうで当たらないそれは、まさに「攻撃をすり抜ける肉体」と形容するに相応しい
さながら幻影を相手に一人相撲を取っているようなピクルを見て、烈先生が驚嘆と感嘆の声を上げる
「武神の称号を冠するあの 愚地独歩
歩く姿が武とまで言われる 渋川剛気
そして中国武術現役最強にして最高峰。我師―郭海皇
この3名にしてあの真似ができるか!?」
>烈先生「我師、郭海皇」
劉海王「え?ワシは・・・?」

いつのまに郭爺様が烈先生の師になってたのか知りませんが。劉海王涙目すぎる
3人の拳聖の名を挙げ、彼らと比較しても尚刃牙の動きは遥か高みの境地であると説く烈先生
「手品は終りだ」と宣言したのに終らない妖術に翻弄されるピクルがマジ可哀想です
まぁ刃牙にしてみればただ避けてるだけなので、確かにイメージ恐竜みたいな手品芸ではないんだけどさ

刃牙反撃のキンタマパンチが炸裂したところで次号へ続く!
>ピクル「また金的か」
>ピクル、金的やられるの何回目でしょ
>ピクルがサムワン海王のごとくKOされない事を祈ろう・・
>この金的アッパーで倒されたらたらピクルは伝説となる・・・!
>バキ「新聞紙一枚丸める握力で固めたパンチを思いっきりぶつける・・・・金的にな!」まさに外道!


174話

激痛み

”がちょっ”
リアルなんだかシュールなんだかよくワカらん擬音を響かせてピクルの股間にめり込む刃牙の鉄拳
真下から突き上げたアッパーは完璧に金的を捉え、その威力にピクルの巨体が僅かに宙に浮く
既に烈先生と克巳の両者に。
過去2度、激戦の中で刻まれた激痛の記憶
神が与えたもうた「覚悟の時間」。人間の脳はホンモノの痛みが訪れる前に、ある程度痛みの予測を終えているものだ
刃牙のアッパーは、ピクルに人生最大の痛みを予感させるに十分な威力であった
きたッッ!
予想通りの―予想以上の―!

なんぞこれ
>深夜のコンビニでピクルの挙動に大笑いしてしまいました
この金的が効いたらアレだよな・・・と思っていましたが、想像の斜め上とはこのことですね
>ピクルのブレイクダンス!

痛みを堪えて「転げ回る」とはよく言いますが回りすぎ。その様はさながら人間ネズミ花火
その
回転力の程が知れるジュササササいう激しい擬音と
ぼーっと突っ立ってアホみたいにそれを眺める刃牙
全てが相まって異様なシュールさに溢れてます。カオス

「き・・・効くのォォォ・・・」
「当然です。いつの時もどんな時も金的は絶対です」
ピクルの苦しみぶりに驚く光ちゃんに対し、「だってキンタマだし」と力強く答える烈先生
だったら自分の時もずっと金的だけ狙ってりゃ良かったのに
「しかしのォ・・・たったこんくらいの小さな玉があれほどとはのォ」
「小さな玉・・・その認識は誤っています。
睾丸とは内臓なのです
脆く弱い―この上なく弱い存在なのです

心臓や肝臓や脳と同様に弱い・・・しかし彼等は守られている
厚い筋肉に。脂肪に。肋骨に。頭蓋骨に
しかるに睾丸だけは精子の製造という大任を帯びている為冷却せねばならない
重大な責務を果たすため、皮膚一枚だけを纏い体外に出されてしまったのです」
キンタマは唯一身体の外にはみ出してる内臓
女性の朋友に金的の痛みは想像できないでしょうが、この烈先生の説明は結構解り易いのはないでしょうか
「もし仮に―
皮膚一枚に包まれた心臓が股間にぶら下がっていたら

戦闘時どれほどの弱みとなることか」
「な・・・納得じゃ・・・!」
なんぞこれ(本日2回目)
わざわざシュールでグロいイメージ映像まで持ち出し、金的がいかに弱点であるかを説く烈先生。
どんだけキンタマ好きなんだよアンタ。必死に擁護しすぎ
ホントそんだけ弱点だってワカっててなんでもっと積極的に狙わなかったのかと問いたい。問い詰めたい
キンタマ六連撃とかやったら勝てたかもしれねーじゃん
>だったら克己にキンタマめがけてマッハ突き撃つように言いなさいよ烈センセイ
>克己が俺だけのマッハを睾丸に炸裂させていれば・・・





「勝負・・・アリじゃのう」
やがて動かなくなったピクルを見て、刃牙の勝利を宣言する光ちゃん。いくらなんでも気ぃ早すぎだろ
「いや」
「それはない」

全国の読者に代わって花山さんと烈先生が即ツッコミ。当たり前です
あれだけ多くのキャラを貶めてきたピクル編が金的パンチ一発で決着してたまるか
こんなキンタマの解説でほぼ1話丸まる使われただけでも十分アレなのに
「ヤロウいい貌で倒れやがったぜ」
「立ち上がるか―そのまま沈むか
それは打たれた瞬間、その一瞬の心のうちでこそ決まる
『やられた!許してくれ!』と思うのか?
『やられた!許さんッ!』と思うのか?
倒れ込むほんの数瞬の表情
心に残された闘争心の残量はその表情にこそ表れる」

心が折れるか。逆に発火するか。やられ際の表情にこそファイターの闘争心が見えるという
花山さんと烈先生はしっかりと見ていたのだ。倒れこむピクルの顔を
「先ほど見せたピクルの形相―」
「立ち上がるどころか―刃牙のヤロウ
どうやらピクルの芯を噛んじまった」

起き上がったピクルは憤怒の表情
ここまで「本気になった」という描写は何度も描かれてきたピクルですが、「マジ切れした」という描写は今回が初めて
現時点でピクルの攻撃は刃牙に対して「当たらない」という
半ば詰み状態になってますが
この怒りが野性のポテンシャルに火をつけて更に限界突破という展開か。もうグダグダすぎて・・・いつまでループやねん

>バキ=金的、金的=バキってくらいにバキはホント金的好きですよね
だからと言って金的の解説に一話を使うのはどうかと思いますが・・・・・
>今週のバキはタマキンのうんちくを語って終了でしたね
>今更さ、金玉の講釈なんかさ、いらないんだよッッッッ!!
>烈先生、金玉の詳細な解説お疲れ様です
>今週の教えて烈先生は、『睾丸は内臓』でお送りしました
烈先生キンタマの解説お疲れ様でした!
バチバチとエンジェルボイスが楽しみな次号へ続く!


175話

最終形態

近いな・・・長かったこの闘い・・・フィナーレが近い
この風貌が―この体勢が―最終形態!

キンタマを打たれた後、憤怒の表情で起き上がったピクル
牙を剥き出し、仁王立ちの全身から発せられるオーラは今までとは段違い。これが正真正銘この雄の本気か
刃牙は間もなくこの勝負に決着がつくことを予感する

「そうですね。我々もそう思いました。その姿がピクルのいわゆる最終形態だと―
しかしまさか最後の最後・・・
あんなものが用意されていようとは
最初に気づいたのは当然ながら刃牙さんでした」

ここから再び烈先生の語り形式でのモノローグ。それはピクルの肉体の異変についてだった
「刺創。何か青竜刀のような大振りの刃物を突き立てた痕
そんな古傷がピクルの上半身―斜めに整列したように
刃牙さんは考えたハズです。何者が何によって造った傷痕か・・・
その解答を知ったのは我々が先でした
見てしまったのです。まったく同じ傷痕を背中に!」

ピクル上半身裏表に、等間隔に並んだ刺し傷
そんなんピクルが白亜紀で闘ってきたライバルのことを考えれば、どんな状況でついた傷かすぐに解ります
つまりこの傷は・・・

「理解りませんか」
こんな小学生でも解るモロバレに、「え?解らないの?」とかぬかす烈先生自重
静止芸からどや顔のコンボに吹く
誰が見たって解るから!むしろ解らないのはこんな目立つ傷を今更初めて発見したとかいうフザけた展開のほうだよ!
普段は目立たない古傷が、皮膚の紅潮や体温の上昇でハッキリと浮かび上がるというのは実際にもあることですが
こんだけ派手な傷が普段目立たないとかないわ。これは流石に酷いな

「身体の前後に残る同じ疵。導かれる答えはおのずと限られる
青竜刀の正体はTレックスの牙!ピクルとは
Tレックスの顎から生還した勇者だったのですッ」

「だったのですッ!」とかそんな鬼の首取ったみたいに言われても
そりゃこんな事くらいあったんじゃね?としか
ピクルとTレックスの関係は圧倒的な「捕食者」ではなく、命を賭けて闘った「好敵手」なのは既に何度も描かれてるワケで
今更「ピクルはTレックスに噛まれたけど死ななかった男!」とか言われても別にこれっぽっちも驚く要素が・・・

むしろ
何故こんな事を今更7ページも使って演出するのか解りません
ああそうか・・・烈先生の「理解りませんか」ってこういう意味ですか?





「この感動―この敬意―この昂り―いったいどう表現したものか
結論に至った我々3人は期せずして3名同時に拍手を送っていました
この快挙、この偉業も無論人類初― 否!
ピクルにとっては幾つめかの”生物界初”!
いったいこの勇者はいくつの金メダルを持っているのか」

ありとあらゆる「人類初」の肩書きを持っているであろう、スーパーアスリートピクルに畏敬の念を感じる3人
その時、この姿が最終形だと思っていたピクルに
更なる変化が訪れる。フリーザ様かお前は

ガコッガコッ!ジャキーン!トランスフォームだこれ
なんとピクルの全身の関節が超可動

人類のそれとは別物に関節を組み変え、
真の最終形態へと変形したのでした

なぁにこれぇマジで変身型宇宙人じゃねーか!
>ピクルがガウォークに!次はファイターだ
腰骨の位置を大幅にスライドさせ、前傾姿勢と強靭な腕部を強調したその姿はまるで・・・そう
好敵手Tレックスに酷似しています。これがピクルの最終形態!

「関節を組み替えた完全なる戦闘体型・・・
残念ながら私との戦闘の際には起こらなかった現象です
後の克巳氏、ジャック氏の際にも・・・・え?
物語はなしが進んでない?」

>ついに話進んでないとツッコミが入った・・・!
インタビュアーから「またこっからダラダラ数週引き伸ばすの?」とでも突っ込まれたのでしょうか
4コマ目の烈先生の表情が超シュール
ほっこり笑顔なのに目は死んだ魚のように腐っててたまりません。この一連の4コマ漫画じわじわくるな
苛立ちの募るインタビュアーと読者に対し、この珍妙な表情のまま烈先生は一言だけ答えた
「決着は直後でした」
それは最終形態披露の直後にやってきた!
次号、長かったピクル戦ようやく決着!?
列強3人の攻撃を悉く跳ね返してきた、この難攻不落の人間要塞。果たして刃牙はどんな技でフィニッシュするのか
期待と不安の入り混じる(対比1:9)次号へ続く!


176話

失ったもの

「ありがとうなピクル・・・その変貌、最大級の評価・・・友情と受け取った
どこにも行かない・・・君の傍に・・・君の間合いに・・・・
この距離この場所で友情に報いるッ!」

肩・肘・手首・腰の主要関節を組み替えたその姿はまさに異形
呼び覚まされた原始の記憶は
既に頑強かった部分をより堅牢く
強力かった部分をより凶暴く
強健かった部分をより強靭く造り変えた

そいつに触れることは死を意味する!これがッ!
ピクル・アームドフェノメノンだッ!
(ギャアーン)
本気出したら変形しちゃったピクル。これで腕からセイバーが生えればマジバオーです
その野性を体現したかのような威容に気圧されながら、烈先生は人類の歩んできた進化の歴史に思いを馳せる
『人は有史以来片時も休まず進化し続け夥しい武器を手にするに至った
石、棍棒、刀剣、銃器・・・果ては核に至るまで
結果何を失い、何を捨て去ることになったのか古代人ピクルが教えてくれた
丈夫な皮膚 強靭な筋肉 頑丈な骨格
手にする武器が強力になるにつれ、我々は1つまた1つと手放していったのだろう』

人類の進化の歴史。しかしそれは同時に退化の歴史でもあったという烈先生の認識
目の前にいる古代人の肉体と比べ、我々の肉体のなんと脆弱なことか
人は強力な武器を生み出したが、それを手にする代わりに生物としてのスペックを少しずつ失っていったのだ





花山さんばりに背中を向けるほど振りかぶったハンマーパンチを放つピクル
刃牙は数mも吹き飛ばされるが、しっかり頭部はガードしていたおかげでダメージは負っていないようです
「いっけね。戻んなきゃな」
このコンマ秒の闘いの中で
こんな呑気な台詞を言ってる暇があるのか
とツッコミを入れたくなる全国読者。その気持ちに応えるかのように間髪入れずピクルの第二撃が飛んできた
しかし・・・・!

ピクル渾身のアッパーに、上から突き刺すようなドロップキックで対抗する刃牙
防御不可能と思われたこの一撃を
見事に相殺し、ピクルと光ちゃんらを驚愕させます
「ピクル渾身の一撃で・・・刃牙さんが飛ばされないッ!
その場から動いてないッッ!」

「なんちゃない・・・
よりスピーディーにより鋭角的に同じ力で迎え撃っただけのこと
これが技術・・・これが進化だッッ!
俺達は格闘技を手に入れたッ

何も捨てちゃいないッ!
ここは一歩も譲らねェッッ!」
何も失っていない!俺達はこうしてピクルと戦える!
格闘技漫画の主人公として刃牙が吠える。長年をかけて研鑽してきた技術は肉体の性能を凌駕するのだと!
「決着は直後」って言ってたのにまったく話動かず次号へ続く!


ヤッターカッコイイ!格闘技すごいですね!
花山薫のそれをも軽く凌駕するであろうピクルの打撃。ここにきて
「格闘技の技術で物理的に返せるから!プギャー!」で済ませちゃいました
この言葉によって今まで3人の列強を犠牲にし、ただひたすら「化物・規格外」としてチートに描かれてきたピクルの性能を
板垣先生は全て帳消しにすることに成功したのです。あ・・・?あ・・・?
そりゃ刃牙の基本性能が前述の3人を大きく上回っているから成り立つのはわかるけど。今までが今までだけにあんまりな理論
引きの煽り文句『なんて少年誌な言葉なんだ〜』
感情入ってなさがヤバイ
これ絶対編集者も寒い目でこの原稿見てたと思う
エンジェルボイスの野球部主将・吉沢カッコイイよね。ああいう男になりたい


177話

歴戦の疵

「多くを積み重ねた。筋力を 迅さを 持久力を 経験を
だがここまでは俺も君も同等・・・お互い譲ることはできない
あるいはどれも君に劣ってるのかもしれない
とりわけ筋力体重骨格については比べるべくもない
ならば何をもって闘う?何をもって支える?
技術
ワザだろッ!」
技術技術いうなら克巳のマッハなどはその最高峰だと思うが
先週に引き続き「こっちは技術あるから渡り合える」と強調する刃牙。色々あったピクル編の最後は「技術最強^^」でした
まだムチャな精神論を言われたほうがよっぽど納得できます。「安いプライドだ!」と言い切ったジョンスはカッコよかったな

始めた記憶がないほど遠い過去から積み上げた技術
苦痛に耐え 磨き 育み 挑み 闘った

無意識な拳の握り さりげない足の配置
自然に任せた呼吸 見る事も無く見渡す目付け
古から受け継がれる闘争の技術
俺の中に生き支えている
憎悪で育まれ
悲しみで継続がれている

刃牙の中に脈々と息づく武術の歴史。それを感じると同時に、刃牙はこれまで自分の歴史も感じていた
母に認められるため、父のように強くなりたかった
その最愛の母を殺した父を倒す為に、もっと強くなりたかった

思いは力となり、少年は逞しく成長する。先人達の磨いてきた技術はその心と溶け合い範馬刃牙を形成する
武術が誕生して以来、何千年も昔から永遠と繰り返される「強さ」への連鎖
ここに来てなんか悟りを開いちゃった刃牙
悟っちゃってるので自分だけじゃなく、ピクルの背景まで鮮明に見えちゃいます
それは夥しい数の牙、爪、角

現在のピクルを支える、討ち果たしてきたライバル達
刃牙が絶対に負けられないもの背負っているように、ピクルもまた彼等の為に負けるワケにはいかないのだ





「そうだよな・・・アンタだって・・・」
脳筋の原始人であろうとも背負っているものはあるのだ。いや、むしろ純真でシンプルなだけにその思いはより強いかもしれない
そう言いかけた瞬間、刃牙は己が目に映ったモノを見て驚愕する
爪を押しのけるように烈が
牙の手前に克巳が
角を踏みつけジャックが

確かにピクルを支えていた
>意味不明進化を遂げる刃牙と違ってピクルはまっとうに闘ってきたライバルたちの力で強化って・・・どっちが主役w
>強敵(とも)に支えられて戦うって何かピクルが主人公みたいだ
>今週のバキが北斗の拳みたいだ
>ピクル・・・悲しみを知って夢想転生を纏ったか

ピクルの すごい 夢想転生
ついに北斗神拳の究極奥義まで纏ってしまった原始人
急に浮かび上がったティラノの噛み傷はケンシロウの胸の傷リスペクトだったのかもしれん

ピクルは負けられないのだ。この世界で戦った3人の友達の為にも
「厄介・・・・と言うより・・・・
こんな強敵見たことねェッ!」

この土壇場に来てピクルの強さを再認識した刃牙。彼の本当の強さもまた、筋力や体躯ではなかったのだ
男を強くするモノの根幹とは。思い!心!
>一瞬で終わったと言いながら二週経っても終わらないのはどうかと…
>全く決着がつく気配なし。これが中国四千年のフェイントか

「決着は直後」と言ってから2週経ったがまったく話が動かないまま次号へ続く


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