210話

液化現象

これはこれは・・・お久しぶりです師匠
申し訳もなく―俺の能力は未だあなたの足元にも届かなく・・・ッ

冒頭。相も変わらず自宅地下室でイメージトレーニングに明け暮れる刃牙に、謎の「師匠」が現れます
チート主人公刃牙をして「足元にも及ばない」と言わしめるこの師匠は何者なのでしょうか
何時の頃からか・・・あなたを見習い始めたのは
謎に満ちたあなたの運動能力。魅惑に満ちた運動力学の宝庫
スピードを旨とする地球上の生物で唯一無二、最高速度でスタートダッシュできる稀有な存在
加速の必要がない。いきなり最高速度!その速度は―
彼等の体長が人間並みだとしたら
時速270km!
もはや筋繊維では届かぬ次元。辿り抜けぬ高み・・・・ではない!
いつか眼にしたあなたの亡骸

大きなヒントだった
はいはいゴキブリ師匠ゴキブリ師匠
静止状態からアクセルひと踏みで時速270kmに達するモンスターマシン。刃牙の尊敬するその正体はゴキブリだった
ゴキブリの腹グチャ死骸をこんなリアルに描くとか嫌がらせすぎる
そもそも初速で270kmに到達するゴキブリのスペックをさも仰々しく言ってますが、
ジャックのパンチを回避したピクルの反復ジャンプなんか
あれ絶対時速500kmぐらい出てるハズだし

超能力の跋扈するこの漫画で今更「時速270km!」とか言われても微塵もスゴそうに思えないところが寒い
この一連の流れのいったいどこに驚けばいいのか・・・読者はただただ困惑するばかりです

筋肉じゃない・・・繊維じゃない・・・中身は乳白色の液体!
270kmの初速を支えていたのは丈夫な筋繊維ではなく―
液体!
ゴキブリの速さの秘密は液化された体組織だ!という結論に達した刃牙。実にたいした生物学者ぶりですがまったく残念
ゴキブリにもちゃんと筋肉ありますから!足の付け根とかすごい筋肉発達してるそうですよ
これは板垣先生お得意の嘘生物学なので鵜呑みにしないように

といったところで全身の筋肉を液体にイメージして放った刃牙のパンチが炸裂
その速度はまさに瞬間移動じみた速さで、質量のある残像の如く全身に流れる汗を人の形状に残すのだった
「足元には届いたか」
刃牙根拠のない嘘生物学とお得意のイメージ力でゴキブリの持つ加速能力を会得!
>読者「この漫画のレベルも墜ちたものだ・・・」
>読者「わたしのこと嘗めてンじゃん」
>もう刃牙は毒のある生物真似て自分の体内に毒物生成出来るレベルだな
>ゴキブリから得たもの>ピクルから得たもの
もうこの調子であらゆる生物の長所を会得していけば勇次郎も余裕で倒せるんじゃないかな。そんな感じで次号へ続く


211話

鬼火

「こちらの映像を御覧下さい。場所は花火大会でごったがえす端唐端
道行く人々を見下ろすブロンズ像に落雷です。橋の上には7000人余りの見物客がいました
その頭上に10億ボルトの雷が直撃したのです。なのに人々は無事でした。何故でしょう?
ここにもう一つの映像があります。たいへんショッキングな映像です
ブロンズ像へ落ちた雷がなんと
一人の通行人を介して逃げ去ったと云うのです」

>「板垣先生・・・病院だようッ!」
>今に始まったことじゃないけど刃牙は格闘漫画として大事なものをどこかに置き捨ててきた気がする
>ここまで堂々と、感電で骨が見えるとか描かれるとむしろ清々しいですね
次はそろそろ屁で空飛びますよ板垣ワールド
>「大変ショッキングな映像です」wwwwww前回のゴキブリが消し飛ぶインパクトwwwwww

いきなりの完璧な出オチ
花火見物の雑踏を襲った落雷は、偶然居合わせた勇次郎を避雷針にして霧散したというそういうお話でした
雷に打たれて骨が見えるという古典的ビジュアル演出を本当にやる板垣先生マジぱねぇ。ピカチュー
コメントにもありますが
屁で空を飛んだり、宇宙を泳いだりとか普通に出来るだろうなぁ勇次郎
この荒唐無稽さもここまで徹底されるともう「とことんやってくれ」と言う他ないというか。止めても無駄というか

「雷の持つ特殊な性質・・・雷は尖ったところから出て行く
人と車でごったがえす橋に飛び込んだ悪戯好きの雷様は、気の毒にも探しまわったハズじゃ
尖ったものッ!もっと尖ったものッ!一番尖ったものはッ!?
そしてとうとう見つけた最も鋭く、イチバン尖った存在・・・・フフフ流石じゃ
これほど確かな選択があろうか。自然界を取り巻く森羅万象。すなわち神が決めた現実!
外界で最も鋭く尖ったもの。それは物理を超えた生身だった
尖んがり過ぎだっつーの
勇次郎ォォォォ!!!」

>放電して頭爆発してる勇次郎みて腹よじれました ありがとうございました
>10億ボルト喰らっても大丈夫とかどこかの超電磁砲さん涙目
>勇次郎が雷に打たれても平気なことよりも、一人で普通に花火を見て、
普通に人ごみと一緒に歩いて帰っていたことに驚いた。何やってんだこのオッサン
>バキの内容の少なさは仕事の忙しいはんぺらさんを気遣ってのものだと僕は信じたい
>いやあ今週のバキも薄いからはんぺらさんが助かってよかった・・・ハハ・・・ハハハ・・・

頭が爆発し、全身から煙を吹きながら何事もなかったかのように歩いていく勇次郎で終わり
なにこれヤバイ。バキあまりにも酷すぎて
逆に面白くなってきた

もう一周したっつーかなんつーか。すごいレベル高いギャグ漫画だと思って読むとかなりイケる
次回はどんな面白話を見せてくれるのか楽しみです。板垣先生の
病気全開を見せてもらいたいところ


212話

虚飾

「ベガスに着いてから一言も喋らんな。このスペシャルスウィートが気に入らんのかな?」
「考えていた。贅を凝らしたこの街・・・・一体何が気にくわないのか
この街にはホンモノがない。何一つ実物というものがないのだ」

エンターテイメントの聖地、アメリカラスベガス
高級ホテルのロイヤルスウィートから眼下の夜景を眺める烈先生は、眉間にシワを寄せていかにも面白くなさそうです
久々の進展となった烈の門ボクシング編に読者も一安心
範馬親子メインの回が
一話丸々使ったギャグ回ばかりなので最早こっちが本編になった感が
「草木も生えぬ不毛の砂漠にこれだけの人工物。都市一つ造り上げた情熱と努力。驚嘆を禁じ得ない
しかしどうだ、この街は全て偽物。育つはずもない観葉植物、大都市風の建造物
偽の女神、偽のエッフェル塔、偽の凱旋門、偽のスフィンクス、偽のピラミッド・・・」
「ただし。偽物の全てが一流だ
カイオー・レツ、本物であれば実物であれば全て事足りるのかね?
世の中にはホンモノというだけの三流品がいくらでもあるのだよ
いやむしろそっちのほうが多いかもしれんな。伝統があるというだけの粗悪品・・・
”見たこともない”とは言えまい?」
模造品ばかりで造られた街が気に入らないとぶすくれる烈先生に、カイザー氏はそんなことはあるまいと反論
モノなんてものは本来その機能さえ果たしていればそれでいいハズ
本物か偽物かという違いはあくまでステイタスでしかなく、一流の偽物と三流の本物だったらどっちがいい?ってハナシです
少し例えがズレますが有名美術品の本物とまったく遜色ない贋作があるとするじゃないですか。2つの値段には雲泥の差がつきますよね
本物を欲しがる人間はそれ自体の素晴らしさじゃなく
「本物」というステイタスに金出してるワケですよ
本物と比べてまったく遜色がないのなら、本来美術的な価値は同じはずなのにね。「こっちが本物」というブランドに固執してるだけっつー
「なるほどカイザー氏の言う通りかもしれない。我が中国武術にも夥しい紛い物がある
いたずらに伝統を継承しただけの粗悪品が」
「偽物の街・・・ウェルカムラスべガ〜ス」

站?からやり直すレベルの人が海王になっちゃう中国武術の現状
なるほど言われてみれば自分の周囲でも至極当然に蔓延っている現実ではないか、と烈先生はあっさりと論破されて納得
カイザー氏が高そうな酒を持ってくると特に遠慮もすることなく差し出されたワイングラスを受け取り、一息に飲み干すのだった
「これを飲むならリングには上がらんぞ」
「そんときゃ酔拳でも見せてくれればいい」





「スッゲェ・・・元チャンピオンだから知ってはいたけど
実物見ると予想を遥かに超えたシロモノだぜこりゃ」

「彼のサイズは?」
「身長237cm体重151kg」

そんなこんなで早速エンターテイメントの本場ラスベガスのボクシング興行を見に行く3人
豪快なKO勝ちを決めてリング上で高々と腕を上げているゴリラは
元・ヘヴィ級チャンプとの事
>今週のボクサーがガーレンっぽくてちょっと強そう
>バキ世界において毛深いキャラは大抵かませ犬として描かれてるけど彼は大丈夫なんだろうか?

身長237cmに体重151kgはヘヴィ級でもハチャメチャな規格外
普通これくらいの体格になるとスピードが死ぬ為、柔道やプロレスといったパワー系の格闘技の道を選ぶものですが
元ヘヴィ級チャンプという実績が彼の非凡な身体能力を如実に物語っています。要するに相当な実力者ってことです
烈先生がゴリラに興味を示したのが嬉しかったのか、その思いに応えるべくカイザー氏が早速仕事にかかります

スターン!とやたら華麗な身のこなしでトップロープを飛び越えリングへ上がるカイザー氏
なにこの無駄なカッコ良さ
観客達のざわめきの中、司会者からマイクを奪うと大声で口上に入る。敏腕プロモーターの腕の見せ所です
「レディースエン・・・ジェルメン!みなさん!
クイーンズベリールールが制定され時が経つこと実に150年!
近大ボクシングに最大の危機!最強の敵が現れたのです!

中国武術4001年!遂にドラゴンが名乗りを上げたッ!

カイオオオオオオオオオオオオオッッ!レツ!!」
遊びなし、回りくどい演出もなし。単刀直入に「ボクシングへの刺客」として烈先生を紹介したカイザー氏
いつの間にか烈先生もリングインしてポーズ。本人もノリノリです

「熱き友情に感謝する」
なんかもう息ピッタリのいい相方に。二人はプリキュア!
突如として現れた義足の中国人は、ラスベガスの客達に受け入れられるのか?烈先生とカイザー氏、二人三脚の戦いが始まる!
やばい烈の門面白い。渡米一回目にしていきなりここまで持ってくる展開の早さもいい感じで文句なし
相対的に範馬親子パートが本当にギャグ回にしか見えなくなってきます。もう完璧にこっちが本編だよ

>バキのキャラのほとんどがギャグ化しつつある中、カイザー氏の存在は心強く感じますね。ちゃんと「仕事」してる
カイザー氏のキャラ最高ですね。この無駄に華麗な身のこなしとか

パースの効いた指差しポーズのハイテンションさとかいちいち面白い

この人と烈先生、そして驚き役の深町コーチと揃って見事なトリオが機能してます。これは毎回見所に欠かないぞ
そういうワケで面白くなってきた烈の門。更なるカイザー氏のオーバーリアクションに期待しつつ次号へ続く!


213話

起動

「熱き友情に感謝する。一か八か君を紹介してみたが正直冷や汗ものだったよ
君が気を利かせて上がってくれなければ、今頃私は袋叩きにされていた・・・
心から感謝する」

そう言って烈先生の手をガッシと握りしめたカイザー氏。その手は小刻みに震えていた
世界的プロモーターとて何をやっても許されるというものではない。ましてやモデルがドン・キングならば悪評も相当高いでしょう
この乱入パフォーマンスはカイザー氏自身高いリスクを背負った一か八かの賭けであったこと。そしてなによりも
カイザー氏がそれほどまでに自分を買ってくれていること
烈先生はその震える握手から全てを理解し、この男が本当に信用足る人物であることを認識します。いいなこの二人の関係
「ヘイッ!どういうつもりだMrカイザー!ここはアンタのリングじゃない!俺のリングだぜ!」
この乱入劇に怒ったのは、たった今KO勝利をおさめたばかりの元世界ヘヴィ級チャンプ・アンドレイ・ワーレフと
彼をスーパースターとして掲げるここラスベガスボクシングのファン達。会場は瞬く間にブーイングの嵐に包まれます

あと先週の更新の後に詳しい朋友達から何件も拍手で教えてもらったんですが、ワーレフのモデルは
ニコライ・ワルーエフというロシア人の元WBAヘヴィ級チャンプ(画像左)マジゴリラ人間

相手が可哀想になるこの体格差。
プロ戦績53戦50勝2敗がその規格外の強さを物語っています

BOOOOO〜!BOOOO〜!
「聞いての通りだ。つまみ出されないうちにリングから降りるんだ」
しかしゴリラな見た目に反し、実に温厚で理知的な性格のワーレフさん
即つまみ出されても文句言えないカイザー氏に対し、「悪いこと言わないから早くリングから降りて」と優しく忠告します。いい人だ!
しかしハイそうですかゴメンなさいと言って引き下がるワケもなく。更に挑発的な言葉で烈先生を紹介するカイザー氏
ここから相手を乗せて、本人承諾の下マッチメイクの流れに持って行くのが彼の仕事です
「不思議なことを言う。元世界チャンプであり、今も尚スーパースターである君―
アンドレイ・ワーレフ31度目のKO勝利を飾ったこのリング。ここにいる誰もが君を祝福している・・・
ただ一人この男を除いてッ!この男は君を侮辱しに来たッ!否!
君一人にとどまらずボクシングそのものを踏みにじりにきたのだッ!」

「Mrカイザー。この小男がこの身体で―この俺にどう侮辱を?」
「日本にはこんな諺がある。『大男総身に知恵が回りかね』
君等アメリカ人には理解できまい。人体を肉の塊としか捉えられぬ君等の理解力では
4000年という悠久に育まれた武というものを」

「Mrレツ、ここはプロレスのリングではない。見えすいた挑発でトラブルは起こらんよ」
しかしどうにもこうにも自制の効くワーレフさん。烈先生の悪口も意に介しません
このままでは事態が好転しないので、カイザー氏は典型的な小ネタで会場を味方につけようとします





「レツ、君に見せ場を用意しておいた。君にとってはバカバカしい造作もないパフォーマンスだが
アメリカ人にはワカりやすいだろう。見せてやったらいい、悠久の一端を」
カイザー氏が用意していたのはコンクリートブロック2枚。そりゃ造作もありません。こんなの烈先生なら10枚は余裕ですが・・・
「Mrカイザー、君は優秀なプロモーターではなかったのか?こんなものを壊して誰が喜ぶというのだ
あるじゃないか。ここに
もっと大きくてもっと頑丈でもっと壊し甲斐のあるものがッ!」

ブロックなんぞ壊したってデモンストレーションにはなりはしない。壊すならこの木偶の坊だ!
ここまで言われたところでようやく温厚なワーレフさんも怒り爆発。烈先生の為に用意されたブロックをパンチ一発で叩き割ります

「私の人を殴るキャリアはカラテから始まった。Mrレツ、君が望むなら素手でも構わんが?」
「いいぞぉワーレフ!真っ二つにしてやれぇ!」
めっさ湧き上がる観客達
さながらミスターサタンの試し割りで喜ぶ客です。流石に地下闘技場と比べて客層のレベルは低いと言わざるを得ない
では見せてやろう・・・本物の中国拳法の真髄というものを!

粉になりまんた。ですよねー
「割る」のではなく。「粉砕」
まさにファンタスティックな東洋の「武」観客達は騒然となり、ワーレフさんはギョッと目を見開いて冷や汗かいてます。カツオワタ
この流れと場の空気を逃さず、すかさずカイザー氏が二人の間に割って入り高らかに宣言する
「ウォ〜(戦争だ) ドラゴンVSゴリアテ
史上最大最強最豪華。空前のエキシビジョンマッチだ」

烈の門、まず初戦の相手は北の巨人!孤高の龍は世界の頂点まで駆け上れるか?次号へ続く!


214話

記者会見

「Mrレツ、あなたの経歴とファイターとしてのキャリアを」
「どう説明したものか。4歳で白林寺に入山した。後は修行鍛錬の日々を
公式なものはありません。
全ての試合は非公式でした」
「ではその非公式試合の戦績は?」
「数えたことがありません。勝った数も負けた数も」

「どういったルールで?ボクシングルールではありませんよね?」
「比武―強さを比べたということですが。ルールを定めた試合経験はありません」
「失礼ですがその脚は・・・?」
「友人との試合で失いました。そういうこともある。試合とはそういうものです」
バシャバシャとカメラのフラッシュ焚かれる中、スポーツ記者達の質問攻めに淡々と答えるガングロおさげの中国人
前回ラストでワーレフさんとのエキシビジョンマッチが契約成立し、今は両選手とカイザー氏を交えての記者会見の日ですが・・・
いずれの質問に対しても胡散臭い烈先生の返答
我々読者はその強さを知っていますが、記者達からしてみれば稀代のペテン氏か何かにしか見えないことでしょう
なにせ元・世界ヘヴィ級チャンプになんの公式経歴も持たないアジア人が挑もうというのです。まさに修羅の門状態

地下闘技場のことを世間一般に公開できないのは仕方ないですが、雷台祭も中国武術関係者だけの秘密行事なのね
>擂台は公の大会じゃなかったんです!?
>ロシアのサンボのチャンピオンを倒しました、とか、公式じゃなくても世間に通じるものさしは色々あるのに
「Mrカイザーに伺います。この試合のルールをどのように?」
「二人の男が二つの拳で強さを競う。それがルールだ
そのルールを何と呼ぶかは君達が決めたらいい。単なるエキシビジョンなのだから」

そして当然ながら試合形式は総合格闘技ではなく、拳のみで戦う完全なボクシングルール
それを敢えて「二つの拳で強さを競う」などという表現で表し、ボクシングルールという明確な言葉を使わなかったのは
「元世界チャンプがボクシングルールで敗れた」という屈辱と不名誉をワーレフに与えない為のカイザー氏の配慮でしょうか
「エキシビジョンと言いますが・・・片や元世界王者ですよ?」
「私は試合をプロモートするだけさ。よろしければどうぞ、とね
”怪物同士が戦いますよ””観たければどうぞ”・・・とね」

ここの烈先生の表情がなんか寄り目の困り顔に見えて吹く
かくして謎のチャイニーズカンフー・レツの紹介を兼ねた記者会見は終了。物議をかもしながらも試合当日を待つことに





「フフフ・・・前チャンプワーレフとボクシングマッチ・・・流石じゃないか烈よ・・・
デビュー戦がワーレフ・・・嘗めてる」

その夜。ラスベガスの夜景を見下ろす烈先生に缶ビールをあおりながら粘着してきた深町コーチ
「元」とは言え相手はボクシング界の頂点にいた人物。本来ボクシング素人のデビュー戦に戦ってもらえる相手ではありません
「嘗めてはいない」
「嘗めてるよボクシングを。キャリアはたった2回のスパーリングだ
世界チャンプにでもなったつもりかよ
ちょうどいい・・・見えたらよけなッ!!!」

パァン!
言うが早いか閃光の左ジャブで烈先生の顔面を打ちぬく深町コーチ。46歳のおっさんのクセになかなかのキレです
不意を突かれて反応できなかったのか、無様に鼻血を噴出す烈先生を見て鬼の首を取ったように言葉を畳み掛けます
「どうしたいブルース・リー。引退して10年の元ボクサーのパンチも見えねェかい?
ボクサーのジャブはそれほど速え!ワーレフだったらブッ殺されてるぜッ!」
>麻仁チャンプにカウンター合わせてるの見てるのになにいってんだろうな
>烈先生に今更ジャブの速さがどうとかよく言えるな。お前は今まで何を見てきたんだと
>ボクサーのジャブの速さは刃牙や餓狼伝で何度か出てきましたが
グラップラー時代からそれよりも勇次郎のかかと落としの方が速いと言っているので今さら持ち上げられても

今更何を言ってるんでしょうかこの人は
太平東洋チャンプの麻仁カウンターパンチ1発でKOされたのも
ヘヴィ級の新鋭ギャリーが
腕を折られたのも目の前で見ている筈なのに、この意味不明な自信
そりゃヘヴィ級チャンプともなれば前述の2人とは格が違いますが、それでもあのスパー内容を見ている人間ならば
「この男ならもしかして万が一にでも・・・」という可能性を感じるのが普通では
よほどボクシングを崇拝しているのか、烈先生を認めたくないのか。否、長年ボクシングを身を置く者ならばきっと両方でしょう

「試合は断りな。それが前チャンプに対する礼儀ってもんだ。ラスベガスにもう用はねえ
カイザーが何を言おうが構わねえ。たかがプロモーターだろうが・・・・
?・・・?」

偉そうに説教くれた後、再び飲みかけの缶ビールに手を伸ばした深町コーチだったが、ここで戦慄走る
「なんか上手く缶を掴めないな、そんなに酔っ払ったかな?」と首をかしげて自分の左手をよく見れば

こんなんなってました

「すまぬ。反射的に関節を外してしまったようだ」
「み・・・見えてたのか?」
当然ながら。いかに元ボクサーだろうと46歳の酔っ払いパンチがこの人に見えないワケなく
打たれた瞬間にその手首を外して180度ひん曲げていた烈先生。「ついうっかり」と詫びて関節を入れてあげます
「避けるつもりはなかった。長年ボクシングに身を置く原田さん
あなたの怒りは妥当すぎる。このパンチはあなたを傷つけた私への罰です
ただ私の武への思いもどうかご理解を」
原田さんの怒りを配慮し、その発散になればと自らの顔面を的として差し出したのだった―って
誰だよ原田さん


>ありのまま今起こった事を話すぜ!
「俺はコーチの名前が深町元一(46)だと思ってたら原田さんになっていた」
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが(略
>深町「嘗めてるよ。だって俺、原田じゃねーし」
>「烈海王人の苗字を覚えかね」
>シスター「さて確か・・・はらだ そう原田元一て言ってたっけ」
>原田さんではなく深町さん。―そう考えていた時期が俺にもありました
>烈先生、コーチの名前が違うよ!
>原田さんって誰だ!?
>原田コーチ…?あれ深町コーチは…
>烈先生!!「原田さん」ってコーチ「深町」じゃなかったのかよ?!

なんの前触れもなく改名してしまった深町コーチ。このシーンで名前出していたことを忘れていたのでしょうか
コアな漫画読みの間では
「物理のゆで、生物の板垣」という言葉がすっかり浸透してますが
もうあらゆる意味で板垣先生もゆで御大と同格と言っていいでしょう

「ま・・・まぁエキシビジョンだしなァ・・・もう少しいてみっかァ・・・」
「謝々ッ!」

烈先生の誠意が届いたのか、手首外されてビビっただけなのか解りませんが態度を改める原田コーチ
烈先生のセコンドとして、この前代未聞のエキシビジョンマッチに臨む覚悟を決めてくれました。めでたしめでたし
>ボクシングを愛しているからこその深町コーチのジャブと、その思いを正面から受け止めた烈の関係がいいですね
深町コーチも烈の可能性を見たくなってきてるみたいですし
>反射的に関節をはずしたとはいえ、ボクシングを侮辱した落とし前に甘んじてコーチの拳を受ける烈先生
やや下落気味だった烈株に上昇の予感が
>本当は空気の読める烈海王
でも、中国武術の強さを見せつけずにはいられないから、結果的に空気の読めない人になる
>今週も烈株あがったな、コーチもいいジャブ持ってるし

力強き(?)トレーナーと共に。いよいよ烈の門本編が幕を開ける!
次号へ続く!


215話

不可解

不可解・・・不可解・・・不可解・・・
興行不可解也!
範馬親子パートの話の進まなさとは対照的にサクサク話が進む烈の門。先週の引きから今週は早くも決戦当日リング上です
烈の門最高や!範馬親子なんて最初からいらんかったんや!
黒服のSP達を従えて烈先生が花道に現われると、その表情がオーロラビジョンにでかでかと映し出され会場は大興奮
派手な衣装に身を包んだダンサー達が華麗に舞い踊り、ゲストとして招かれた有名歌手が国家を斉唱する
地下闘技場や雷台祭といった大規模大会の出場経験はある烈先生ですが、いずれも実を旨とし演出には金をかけない趣向
このような
過剰演出前面押しの興行は初体験だそうで、会場と自分の温度差に困惑しています
>不可解って・・・擂台でも似たようなことやってたじゃん
>擂台でも龍の演舞とか、ああいうのやってたよ烈さん?

この男は・・・何故怒ったふりをするのだ・・・?

盛り上げるためとはいえ怒りまでを演じて・・・
こうまでする必要が何故・・・
ガウンを拘束服のように帯で縛り、さながら本物のゴリラのように暴れるワーレフさん。勿論こういう演出なんですが
エンターテイメントという概念を理解できない烈先生はこの通りの
どえらい真顔
「イッツショータイム!大国中華人民共和国が今ッ世界に牙を剥いている!
経済だけでは飽きたらず、スポーツのジャンルにまでその領域を広げようとしている!」
「やれるものならやってみろ!」
これも演出・・・当たらぬことを承知で蹴っている・・・
茶番だ・・・どれも闘争には不必要なものばかり・・・

タキシードに身を包んだカイザー氏が高らかに煽りを謳い上げ、エキサイトしたワーレフさんが放ったキックを烈先生がすいっとかわす
観客はその一挙動におおいに湧き、この世紀のエキシビジョンを盛り上げるも肝心の烈先生だけがテンションだだ下がりです。が・・・・

「Mrレツ、俺個人のショータイムは終わりだ。フフ・・・
ここからは競技だ。演出は一切ない」

「烈・・・オメェ死ぬなよ」
直前まで般若のような形相で怒りの演技をしていたワーレフさんが、穏やかな表情でスイッチを宣言
そのプレッシャーに深町コーチ改め原田コーチと烈先生の表情が一変する。
いいですねこれ
怒ってる演技をしてる時よりも、笑った時のほうがよほど怖いという
>試合前に道化を演じるも試合では真剣勝負のワーレフにプロ意識を見た感じです
>ブルってんのかと思ったら超冷静なワーレフさんかっけー

一流のエンターティナーとしての顔、そして一流のボクサーとしての顔をキチッと使い分けているということです。ワーレフさんカッコイイ
ゴリラみたいな風貌してるくせにやたら理知的で紳士だし、仮に烈先生に瞬殺されてもこの人を「噛ませw」とか卑下したくはないな
カァン!
いよいよ世紀のエキシビジョンのゴングが打ち鳴らされ、両雄がコーナーからリング中央に歩み出る
2m30を超える巨体がキャンバスを滑るような足さばきで迫ってくるのを見た烈先生は、それだけでワーレフの実力に感嘆します
『ぬうッ!この巨躯でこのフットワーク・・・!
やはり巨体だけの甘い戦力ではない!
ならば・・・・!』

「ああっ!?バカァッッ!」
試合開始速攻で烈先生に「バカ!」と叫ぶ原田コーチ。一体烈先生は何をやらかしたのか
ワーレフさんのフットワークに対向する為に烈先生が取ったアクションとは?カンフーボクシングワールド開演、次号へ続く!
>なんかリングに寝そうな不安がガガ・・・
>烈先生は猪狩&アライ状態になって「さぁ…」と言ってくれるはず…。
>烈先生が苦戦するとも思えないけど、ワーレフが瞬殺されないことを願いつつ
それでも早く親子対決が始まることを祈るのみ


216話

最危険地帯

「ああッ!バ・・・バカッ!」
ざわ・・・ざわ・・・・
流れるようなフットワークで間合いを詰めてきたワーレフさんに対し、思わず原田コーチが「バカ」と叫んだ烈先生のムーブ。それは
「コーナーに腰をおろしたぞッ!試合放棄かッ!?」
コーナーポストを背に、下段ロープを掴める程しゃがみ込むというものだった
下がれず、大きく左右にも避けられない袋小路。およそどんな格闘技素人でも理解できるであろう、コーナーに身を置くことの不利
ましてや深くしゃがみ込めば更にその動きは制限されることとなり、自らリング上で最も危険な場所に陣取ったも同然です

「この私を前にしてコーナーに詰まる・・・ボクシングにおける最危険地帯に自ら足を踏み入れる
おそらくは君は君なりにその意味のするところ―理解しているのだろうね」
「ヘイッ!どういうつもりだッ!スタンドアンドファイッ!立ってファイトしろッ!」
見方によっては試合放棄とも受け止められかねない烈先生の行動。レフェリーがすぐ立ち上がるよう烈先生に勧告しますが・・・
「君こそ立てとはどういうつもりだ?
私は座っているのではない。腰を深く下ろし、間違いなく立っている」
お得意の屁理屈キタコレ
本当にああ言えばこう言う。ジムの練習メニューを一切やらず黙々と站?していたウザイ烈先生が帰ってきました

「しかもファイトしろというのも解せない。私は彼とファイトするつもりはない
殴ったり殴られたりするつもりはない」
「・・・ホワイ?試合を放棄するつもりか?ジャブのひとつも打たずに」
「制するのだ。ジャブのひとつも打たせずに」

私がこれからやろうとしていることは「ファイト」には成り得ない
元ボクシング世界チャンプにジャブの1つすら打たせずに完勝することを宣言する烈先生。ワーレフも笑顔でこの喧嘩を買います
「フフフ・・・そこをどいてくれないかMrミルス。彼を制することができないぜ」
ワーレフは歓喜していた。想像すらしていなかったミステリアスでファンタスティックなスタイルとの出逢い
そしておそらくは―
否。間違いなくそれを突破するであろう自分
勝利の確信は負けフラグですよワーレフさん!「相手が勝ち誇った時、そいつは既に敗北している」とどっかのジジイが(ry
かくして意気揚々と烈先生の間合いに踏み込んだワーレフだったが、突如としてその視界が真っ暗に暗転する
当然会場の照明が落ちたワケでも、視神経の紐切りを食らったワケでもない
烈先生の手が、
目にも留まらぬ速さでワーレフさんの目を覆い隠したのだ
元世界チャンプの動体視力ですらまったく追いつかぬ手の動き
ましてや相手は袋小路でしゃがみ込んでいたのに、である。後の先ってレベルじゃねーぞ。もはやこの時点で勝負あった感
反射的に烈先生の右手を払いのけるも、すぐさま左手で再び目隠し。ワーレフさんには可哀想ですが
この実力差は確かにファイトと呼べる代物じゃありません
無我夢中で左手を払いのけるワーレフさん。やっと視界に光が戻ってきましたが、眼前にあの中国人の姿は見えない
志村ー!真横ー!!

「無寸勁・・・」
ブンッ!
それはパンチではない。頬にピタリと拳を当てた状態から打ちぬく零距離打撃
そう、16オンスのボクシンググローブを貫通したあの技である
ワーレフさんが最後に見た景色。それは対戦相手烈海王の姿ではなく、観客席のスポーツカメラマンのフラッシュだった
そして・・・・・・・







デデーン!

>わ、ワーレフー(泣)と叫ぶ暇すらなかった!
>ワーレフさん…いい感じにキャラ立ってたと思ってたのに…
>ドラゴンVSゴリアテは結構長引くと期待してたが、別にそんな事は無かったぜ!
>まあこうなるわなやっぱ。相手は人背負って水上走行したり発勁でバイク破壊する人外なんだから
>あれ普通の寸剄なんですけど、なんかあの状況で使われると虎砲にしか見えない不思議

ワ、ワーレフさんー!(号泣)
ページをめくるといきなり翌日のスポーツ新聞一面記事という壮絶なオチ
見出しは「消えたワーレフの頭」
スポーツ写真用のカメラですらまったく撮れていない程の超高速打撃により、ワーレフさんは脳を揺らされマットに沈んだのだった
>チョコマカ動く相手に対して自らコーナーに立って正面からの攻撃しか選択肢を選ばせないパターンの奴や〜!
>烈先生に「コーナーポストに立って相手のフットワークと攻撃の選択肢を封じる」
という戦術を使わせたという点で結果で見るほどワーレフは弱くないと思います
むしろ最トーの頃の克己ぐらいには評価してるのかも

烈先生がコーナーに陣取ったのはワーレフのフットワークを殺すという戦術的な意味合いも勿論あったでしょうが、それ以上に
わざわざ最危険地帯に身を置き、尚そこから勝利を得ることで
二人の会話にもあった「相手を制した」という事実に、何人にも文句を言わせない完璧さを持たせる意味合いかと。ワーレフさん涙目すぎる
烈海王、宣言通り元世界チャンプにジャブすら打たせぬ完全制覇
この衝撃を事実を受け、アメリカボクシング界はどう動く?果たしてアリオス・キルレインのようなスーパーチャンプは存在するのか?
稲妻の如く世界に知れ渡った「レツ・カイオー」の名!
「烈の門」いよいよここからが本番といったところで次号へ続く!

>もう「範馬刃牙」の題名を「烈海王」とか「RETSU」にすれば良いんじゃないかな
>烈の門の展開サクサクですね。もっと「ボクシングをなめていた…ッッ!」的な展開を予想していたんですが
やはり烈の門ラスボスは敗北を経て強くなったアライjrですかね?
というか他の新キャラ出して勝っても「だから何?」てな感じしか・・・


217話

ミリオンダラー

「ウェルカム。カイオー・レツ
昨夜の君のファイト。あのスーパーテクニックに対する報酬だ」

札束が積み上げられた机にぞんざいに足を投げ出しふんぞり返り、烈先生の労をねぎらうカイザー氏
台詞とポーズで変態仮面を彷彿した朋友は俺と同世代

「君は一夜にして全米で最も注目される中国人になった。無理もない・・・
全米が目にしたのだ。
静止したグラブが顔面を打ち抜く様」
ここで場面はワーレフさんKO直後の勝者インタビューにジャンプします

「今の気持ちを!」
「既にワカっていたこと。中国武術の優位を証明したまでです」
「あのフィニッシュブローは?あなたはこうして触れた状態から打ち抜きました」
「無寸勁。ノーインチパンチとでも云うべきか」
ざわ・・・ざわ・・・・・おおおおおおおおおお
「凄いものを見せていただきました!」とばかりに興奮気味で喋るインタビュアーと、対照的にクールに答える烈先生
ノーインチパンチというファンタスティックでミステリアスな技名が飛び出すと、会場はどよめきに包まれますが・・・

「いずれにしろ君達の拳法は―ボクシングはまだ幼い
成熟した拳の戦いを見せたい。次なる強敵を今すぐにでも」

「中国拳法つえー」と言ってるうちは会場もこの中国人に好意的でしたが、「ボクシングよえー」と口にした瞬間その空気も一変
アメリカに喧嘩を売りに来た生意気なイエローモンキーとして認識され、敵意の眼差しを向けらることに。流石のKYです烈先生





「あの一言で君は世界を敵に回した。言った通りだろう?
ミリオンダラーがダースで舞い込む。逃げ出したくなるような怪物達もね
さぁ・・・持って帰りたまえ。ドルにして200万。重さにして20kgというところだ
アタッシュケースを用意した。ちょうど入るハズだ」
「なるほど。どのような仕組みがこの大金を生むのかは知らぬが
受け取れというなら受け取るとして・・・・
それはなんだ?」

「え?」
金の為に戦うことはないにしろ、結果として得られる報酬はしっかり貰っとく主義の烈先生
しかしここで何故か厳しい顔の烈先生。なにやら気分を害した口調でカイザー氏に詰め寄ってきました
「私の金の横にある汚いブーツだ」
何を言われているのか理解できずに固まるカイザー氏に、有無を言わせず後ろ廻し蹴り一閃

カイザー氏のトレードマークであるサングラスを吹き飛ばし、壁にブチ当てて粉砕してしまいました
「”持って帰れ”ではない
君があのケースに入れて手渡すのだ

さもなければその悪い脚をヘシ折る」

>烈先生急に金にがめつくなった気が。それとも、取るに足らない対戦相手を出したカイザー氏への怒りなのか
>初登場時の食わせ物が、マイクパフォーマンス後に震えて意外と人間臭いと思ったら、
試合終わると一気に小物になりました。カイザー氏の明日はどっちだ?
烈先生がカイザー氏を見下したワケではないのだろう。彼のことはプロモーターとして大きな信頼を寄せている
だが二人は一蓮托生で与した仲。互いの立場は対等のハズ
カイザー氏が「上」であってはならないのだ

今後も長く付き合っていくことになる間柄なら尚更である。この最初のやり取りはそれを教える肝心なイベントだったのだ
「謝々」
その証拠に顔面蒼白になったカイザー氏が背筋をシャキーン!と立てて、金を詰めたアタッシュケースを差し出すと
烈先生は「当然だ」などとは言わず
「ありがとう」と言ってそれを受け取った
二人はプロモーターと選手。試合後はのやり取りはこれが当たり前である。烈先生はそれを伝えたかったのだろう

「ブランデーでもやりますか?Mrレツ」
「いや・・・ウーロンティーを」
「あいにく・・・・紅茶のフォションなら」
ラスト。カイザー氏の用意してくれた超高級リムジンで送迎される烈先生
運転手から飲み物を薦められるも、烏龍茶は用意していないと言われガッカリして目を伏せます
「不便なものだ」
烈海王、200万ドルを手にしながら一杯の烏龍茶を飲めず溜息
なかなか皮肉の効いたいい感じのオチで次号休載。例によって3倍バキの再来週号に続く!


例によって「一挙2話掲載」と謳っておきながら内容的にはいつもの1話程度しかなかった今週のバキ
でも
袋とじの疵面外伝はかなり面白かったです。これは必見なので是非どうぞ

218話

家族会議

『うっわ・・・このタイミングで・・・?これじゃまずいか。カップをもう一つ・・・と
しっかし・・・来るかね急に。今まで一度だって来たことないのに
近いよ近いよ。けっこう近いよこれッ!20m・・・10m・・・イヤもっと近いなッ!

まさか玄関前・・・そこまでは来てないかってウボァー』
ある日の昼下がり、のんびりとコーヒーなど淹れていた刃牙を突如として襲った異変
鬼太郎の妖怪レーダーの如く逆立った髪の毛が察知しているのは、言うまでもなく父・勇次郎の妖気です
焦ってコーヒーを淹れ終え、居間を振り返ってみればそこには既に音もなく侵入していたオヤジ様

お行儀よくチョコンとおすまし座りです
「いや〜ハハハ・・・ブルマンです。なんか予感がしたんで2つ用意たんだ。流石親子」
『うッわ〜ッッ!飲んでるよコーヒーッ!』
必要最低限の貧乏暮らしのクセに、インスタントコーヒーはブルーマウンテンとなかなかこだわり派の刃牙。コーヒー好きなんだろうか
>カップを温めてからコーヒーを注ぐバキにこだわりを見た。バキと一緒にコーヒー飲みてぇ
>ドリップラー刃牙(←同ネタおそらく5件くらい)

出されたコーヒーを大人しく飲み干した勇次郎は、早速息子に本題を切り出します
「これか。キサマが望む親子関係とはこういうことか」
「まぁ・・・・だいたい・・・そうかな・・・」
『出るか・・・ちゃぶ台返しッ!』
なんと答えていいのか解らず、とりあえず愛想笑いを浮かべながら曖昧な返事を返す刃牙
内心ではちゃぶ台返しに備えて身構えてます
なんていうか爆裂お父さんだよな勇次郎。「よーしみんな箸を置けー!」とは言わないけどさ

「怖気付いたか。父に」
「オヤジに―範馬勇次郎にビビってなかった瞬間なんて多分一秒だってないよ
恐れ、慄き、慕い、憧れ、尊敬し、そして憎悪した」
「ならば何故ぶつけない。憎悪とやらを」
刃牙の望みをストライダムから聞かされた勇次郎は、息子の心中が理解できず気になって足を運んだ様子
「どうして憎悪エレクチオンしないのよォーッ!?」と問いただします
「言ってることがオカシイよ。親子だぜ?仮に俺とオヤジが戦うとしたらそれは試合じゃない
親子ともに生きる日常の中、ある日些細な・・・ほんの些細なきっかけで始まる小さないさかい
やがてそれは口論に発展し、そして遂には抑えていた憎悪が―」
親子同士が仇を討つかのように戦うのはおかしい、親子が戦うとしたらそれは日常の親子喧嘩の延長だと主張する刃牙
これを受けて勇次郎は「屁理屈を」などとは起こらず、ニヤリと笑って頷きます
「なるほどな・・・キサマの言うとおりかもしれん。ところで倅よ
この俺に不味いコーヒーを飲ませるとは
どういうことだ?」





219話

ちゃぶ台返し

>海原雄山「この海原雄山に不味いコーヒーを飲ませるとはどういうことだッ!?」
>勇次郎「女将を呼べぃ!!」

理不尽なナンクセをつけて息子に粘着する勇次郎。すごく・・・海原雄山です
それにしてもちゃぶ台を前に座り込んだ勇次郎の姿が、マジで垣ママにしか見えなくて吹く
来た・・・ッいきなりッッ とってつけたような些細なきっかけッ!
刃牙の言葉に乗ったカタチで戦いのきっかけを振ってきた勇次郎。ねぇどんな気持ち?どんな気持ち?と言いたそうなどや顔です
なにせ自分から言い出した条件なので、刃牙がこのパスをスルーするのは難しそうに思えますが・・・・

「オヤジィ・・・ダメだよ嘘は。例え小さく些細でも、本物のトラブルじゃなくちゃ
たった二口で飲み終えてるじゃん。
美味かったんだよこのコーヒーは
オヤジ・・・・コーヒー淹れてよ。ねぇ、いいじゃんたまには。飲んでみたいなオヤジのコーヒー」

勇次郎の振ってきたきっかけが嘘だからダメだ、とキッパリ拒否。あまつさえ調子こいて勇次郎のコーヒーを所望します
息子の小さな願いを聞いた勇次郎はむっくりと立ち上がると、ニコリと笑ってちゃぶ台に手を伸ばした
「範馬勇次郎のコーヒー・・・・飲めるぞ。飲む方法がひとつだけある
それは―”淹れさせる”

嫌がる範馬勇次郎の首根っこひっつかまえ無理矢理淹れさせる
拒否するなら引っぱたき、張り倒し、服従するまでブン殴り続け淹れさせる
嫌も応もない。生木を割くがごとく無理矢理だ」

ちゃぶ台くぱぁ
木製のちゃぶ台を粘土細工のように手の力だけでちぎっていく勇次郎。二つ折りにして更に半分こ。四等分です
俺のコーヒーが飲みたければ俺を屈服させて淹れさせればいいじゃない!とあくまでも甘い顔は見せない勇次郎
「そうすりゃ刃牙よ。飯だって炊かせられる」
刃牙の望む唯一の夢。父との団欒の食卓は、結局父を倒したその先にあるもなのだ
なんだかんだで
コーヒー一杯だけ飲んで帰ってしまう勇次郎。お前何しにきた
キレイに四等分されたちゃぶ台を呆然と見つめ、刃牙はその言葉を何度も頭の中で繰り返すのだった
「なァんだ・・・いいんだ。それで」

地上最強の親子喧嘩、いよいよカウントダウン開始?
とか言っても烈の門は同時進行中だし、光ちゃんは何かやろうとしてるしであと5年は終わりそうもない罠
御堂筋を寄せ付けない新開さんカッコいいよね。次号へ続く!
>「親子」としての話自体は悪くないんだが・・・1話でやれと
>範馬親子じゃなく烈の門を二倍にしてくれれば…


220話

選択

拒絶の余地一切なく無理矢理だ
そうすりゃこの範馬勇次郎に飯だって炊かせられる
お前の望む「父子の団欒」は俺を倒した先にしかない
仲良し家族やりたきゃ早くかかってこいと言い残し、玄関の戸を壊れんばかりの勢いで閉めて帰っていく勇次郎
「あ、それでいいんだ。スゲエ簡単じゃん」と単純に喜ぶ刃牙だったが、
親父の背中が遠くなるのと同時に安堵し、力なくヘタり込んでしまう自分に愕然とする

『俺は・・・安堵しているのか?
乗り越えるべき相手が眼前から去ったというのにッ』

先週「親父にビビってないことなんて1秒もない」とは言っているものの、打倒すべき相手の帰宅に明らかに胸をなで下ろしている自分
自分は一体いつになったら親父に勝負を挑めるというのか
なんというヘタレ。なんというへっぽこ。それに気づいた瞬間、刃牙はこれはイカン!と反射的に玄関から飛び出して父を呼び止めた
「親父ィッッ!」

二人の戦いはあくまで親子喧嘩。発端は日常の些細なキッカケでいい。今ここで自分から仕掛ければそれで成立である
しかし勇次郎にニタ〜ッと笑われて振り向かれるとその威勢もどこへやら。情けない愛想笑いを浮かべて言葉を濁してしまう始末

「どうした?コーヒーか?」
「玄関・・・・そっと閉めなきゃ」
誰だよ範馬刃牙もうすぐ終わるって言ったの!ぶっ殺してy(ry
思わずどこぞのダッドリー使いのように叫ばざるを得ない刃牙のしょうもなさ。コイツ一体いつになったら覚悟完了するんだろう
ピクルとの戦いも、栗谷川さんに涙ながらに語った両親への想いも、まったく何も活かされてません
「その通りだな」
そんな息子の心の折れっぷりを瞬時に読み取った勇次郎。怒るでもなく、侮蔑と取れる笑いだけを残して帰っていくのでした
そんな
まるでゴミを見るような態度を取られたというのに、当の刃牙はといえばこの反応である
『”戻ってやり直せ!”は言い過ぎだ
父親にそこまで言うのはやり過ぎだ。このくらいが丁度いい

・・・ったく しょうがねえ親父だ』
お前がしょうもねえよ!
足は恐怖でガクガク震えておきながら、「ボクお父さんに対してあんま強い言葉使いたくないし」自分に言い訳
「刃牙・・・アンタの”明日”っていつ?」お前今すぐジョジョ4巻を読んでこいと言いたい
「刃牙はこっからあと5年は終わらないだろうな」とはずっと言われてきましたが。この調子じゃ10年は終わらないだろうな・・・





「分かれ目です。治癒を歩まれるか
むざむざ抵抗することもなく病のなすがままになるか

選択の機会はこれが最後でしょう。選ぶのは徳川さん、あなたです」

一方その頃徳川邸。病魔に蝕まれた光ちゃんと正対し、真面目な顔で最後の選択を迫るのはスーパーDr鎬紅葉
すなわち闘病生活に入るか。残された僅かな時間を好きに生きるか
読者はもう知っていることですが、今更選ぶまでもなく光ちゃんの答は既に出ています
「知れたこと。選択肢などない
悔いなき道を歩む
他に歩む道―あろうハズもなく。それをおぬしとて同様。のォドクター」
「私には従わぬということですね」
「従うとも従わんとも言っとらんよ。
”悔いなき道を”
当たり前のことじゃ。誰にとってものォ」
はぁ。わかったからとっとと結婚相談所再開してくださいよ光ちゃん
言葉ばかり立派で一向に行動を起こしてくれないご老体。こうしてる今も刻一刻とその寿命はなくなっているのになぁ
もういくらも生きられないんだから
もう少し生き急げよと。ボチボチ次号あたり動くか?

ラスト、カメラは再びアメリカへ。スター選手の華麗なKO劇に湧く会場と、リング上を見つめる烈先生とカイザー氏です
「ニックネームはスモーキン。煙のように追いすがる。煙のようにまとわりつく
過去試合中一度も後退したことがない。タイトルに一番近い男だ
君の次の対戦相手だ」

また弱そうなのキター!
そりゃまだ乗り込んでから2戦目ですから、いきなりチャンピオンとは対戦できませんが。ランキング何位なんだろうか
「常に相手にまとわりつくように戦う、不退のボクサー」ということらしいですが
多分負ける時は烈先生のプレッシャーに負けて
「スモーキンが・・・初めて退いたッ!」
みたいな感じで自分のレーゾンテートルを失った挙句、無様にKOされる展開に一万ペリカ
コイツもせいぜい三週くらいの巻きで倒してほしいもんです。早くアリオス・キルレインみたいなチャンプ出してくれよ!次号へ続く!


戻る