271話

引き金

「ち・・・こいつァいつ以来のダウンだ・・・?」

顔面をアスファルトに強打しそうになったすんでのところで意識が戻り、咄嗟に出した足で無様なダウンは免れた勇次郎
しかし鼻先を地面につけたそれを、本人はダウンと認めたようです
ていうか以前に勇次郎からダウン奪った奴誰だよと。郭爺様戦でも倒れてなかったハズですが・・・あれ?独歩戦では倒れたっけか?
間合いを詰めた両者。刃牙の閃光の一撃が勇次郎の顎にクリーンヒットし、ブッ倒れたという一連の両者の動き
傍から見れば先に仕掛けたのは刃牙のほうですが、実際は否
これは刃牙が勇次郎の「起こり」を狙い打ったカウンター
肉体ではなく、脳が攻撃の命令を下した瞬間を読み切った一撃
これが「0.5秒の無防備」が成り立つ理屈である
と、例によってオリバさん戦で既に解説された術理を独歩ちゃんが解説すること6ページ。まったくもって読者の予想していた事態です
>バキを読んで、黒田鉄山先生の術理を思い出しました
オーガの言うとおり、明治以前の武術の道場師範というのは反射神経を超えた抜刀や、
その場で受身を何回もするという有り得ない動きが出来て当然だったと聞きます
私も黒田先生が実際にその抜刀や受身を行っているのを見て、今までの自分の武道観の一切を改めました
(私は合気道を学んでいますが、この術理を知ってから、より稽古に対して真摯な気持ちで取り組むことができるようになりました)
ただ、この速さを生み出す条件として、絶対に筋肉を使わないというのがあるのですが・・・・・まあ範馬ですし
>今週の刃牙面白かったんだけど…もともと持ってた0.5秒がそんなに優秀ならGダッシュとはいったいなんだったのか
>オリバさんとの闘いの時にもやった0.5秒の話でまるまる一話使われても…今に始まったことじゃないけど
>以前解説されたことを繰り返しあっという間に終了、武蔵もお怒りというか・・・泣きたいのはこっちだ!
>今更だけど、バキって毎週3ページで十分ですよね
>板垣先生、ネタが溢れて書き足りないのと、ネタを水増しして引き伸ばすのとは、天地の差があるんですよ

「認めていた・・・我が息子刃牙こそが最良の玩具と。それでもなおだ
キサマがこの引き出しを持っていたとはなッ!」
大衆の眼前で屈辱といえるダウンを喫しながらもそこに怒りや狼狽といっや感情は見られず、むしろ満足気な笑顔を浮かべる勇次郎
すっと右手を虚空に差し出すと、
穏やかな顔で信じがたい言葉を吐き出すのだった
「よくやった。撫でてやる、きなさい」
「・・・・・・・・・・・・・・・何言ってんだか。バカバカしい。喧嘩だぜッ!」
「息子の手柄を褒めるのは当然だろう」
一瞬呆けた顔を見せたあと、すぐに怒りの返答でこれを拒絶する刃牙。「なんの心理戦か知らねーがその手には乗らないぜ親父!」
心の中ではそう思ったハズである。そう思ったハズなのに
刃牙の双眸から、止め処なく涙が溢れてきた

これっていったい何なんだ!?
>今回は刃牙の涙はちょっと胸が締め付けられた。自分でも何が起こってるのかわからないくらい嬉しいんだろうな・・・
>だらだらな親子喧嘩を冷めた目で見てた僕も今週の最後で感情移入してきました(´;ω;`)
>はんぺら、もういい、よくやった(刃牙レビューを)、撫でてやる、来なさい
>引き伸ばし展開に加えてちょくちょく茶番じみた小休止挟むのにはウンザリ・・・ニコ動で無茶苦茶重い動画見てる気分

父の愛に飢えて育った少年、生まれて初めての「父からのご褒美」に涙腺決壊
刃牙ん家での初めての団欒の食卓あたりでも号泣してよかった気もしますが。やはり実際に口に出されると破壊力も違うんでしょうか
思いもよらなかった父の言葉に、刃牙激しく動揺す。勇次郎の行動に注目の次号へ続!く


272話

撫でる

少年の鎖骨中央から下約15cm。その奥に突如現れた痛みにも似たもの
痛みながらも手放したくないもの
手放し難き痛み
父親から褒められるという当たり前
抜け落ちたまま過ぎ去った18年だった

子が親に褒められた際の 感激・・・成就・・・果報・・・
この子には一切が無さ過ぎた。
あまりに不慣れすぎていた

「見るに耐えねェ・・・」
「哀れじゃ・・・」

止め処なく溢れてくる涙を拭うこともなく、必死に戦意を保とうと父を睨みつける刃牙
独歩に光ちゃん。刃牙のこれまでの生い立ちを知る2人は、
その健気な姿に思わずもらい泣き
『罠でもいい。騙されてもいい
今すぐあの大きな手に撫でてもらえるなら・・・ッ』

己の人生を賭けた戦いの最中であるにもかかわらず、そう思わせるのに十分なほどの「褒美」。刃牙お父ちゃん好きすぎです
だがしかし。少年は
ライスピの風見四郎の如くその誘惑を振り切り、再びファイティングポーズを取り直す
「ダメだよやっぱこんなのは・・・これは・・・かけがえのない時だから
どっちが勝つかの喧嘩だからッどっちが強いかの比べ合いだからッ!」

『よく言ったッ!』
光ちゃんも号泣。彼にとっては己の孫のように思っているであろう刃牙。ここは素直に感情移入できる場面でいいなぁ
いったい刃牙のこの決断にどれほどの葛藤があっただろうか。だがしかし、そんな息子の答を聞いた父は事もなげにこう紡ぐのだった

「いい機会だ。”強さの本質”を実感させるいい機会だ」
「強さ・・・?本質・・・?ウボァー!?」

(ビクともしない・・・ッまるで万力・・・ッ)

刃牙がその言葉の真意を量り損ねた瞬間。ドラゴンボールのような瞬間移動で刃牙を背後から捕える勇次郎
右腕一本で刃牙の両腕を締め付けるように封じ、まさしく
暴れる子供を片手で抱く父親のような態勢に
「さて。”強さとは何か”だが・・・
撫でる事を望む俺。撫でられる事を拒否するお前・・・実にワカりやすい
撫ででやる」

否も応もない。刃牙が拒絶しようと力ずくで撫でる
人が強くなりたいと思うのは何故か?その理由
少年漫画の主人公であれば「みんなを守るための力」
とかキレイなことを言うのでしょうが。現実的な理由は極めて単純明快
強けりゃ何でもできるからである
そういえば板垣先生が前にTV番組で、「強さとは何ですか」と聞かれて「我儘を通すこと」と答えてましたっけ
この一点に関しては板垣先生の一切中でブレることのない持論なのでしょう

「やめろォォォオオオッ!」
「フン・・・はしゃいでやがる。甘えた面しおって・・・」

強さとは
望みを実現させる力


抗えない悔しさと。そして。同じくらいの嬉しさと
父の大きな手で撫でられながら、刃牙は「強さの本質」をその心に刻むのだった。次号へ続く!
>今週のバキ、話は進まないけど悪くなかった
>普通に面白かった刃牙。しかし胡散臭い戦闘パートよりこっちの方が面白いって・・・
>バキの中身のなさは、はんぺらさんのPC状況を配慮しているとしか思えない


273話

超えられまい

自らの意志を望む通りに実現させる力
それが強さの最小単位
『耐えることもまた強さのひとつ』
『自己に克つ力 これもまた強さ』
見失うな!
それら戯言一切耳を貸す必要なし!

【強さとは我侭を通すこと】
前回のレビューでもちょっと触れた、板垣先生がインタビューでも答えているこの言葉。実ははんぺらはコレあまり好きになれなかったんですね
我慢をできない人間って、弱い人間の事だと思うんですよ
本当に強い人間ってのは、我慢できる人なんじゃないかなと

おそらくはんぺらのように感じた人は他にも沢山いると思いますが、今回はその考えを論破するかのような勇次郎の高説がメインです

それらの解説は全て意志を通せぬ者達の必要事項!
いわばそれは弱者の選択!
強さそれ自体は悪でもない 善でもない!
強き者は耐えぬ。そもそも耐える必要がない
自己に克つ必要すらない
それらの言い訳は
強さの純度を曇らせる不純物!

「我慢できることも強さのひとつ」は言い訳に過ぎないと
確かに真理だし正論です。「強さ」の定義は物理的なものから精神的なものまで曖昧ですが、
純度を突き詰めていけば最終的には
「思ったことを実現するための力」になる点は異議なし
更に哲学的な捉え方を始めてしまえば、「我慢する」という意志すらも「思ったことを実現する力」に含まれてしまうワケで・・・
>今週のバキはニーチェ的でしたね。刀牙も面白そうです
最近昔の作品とかの実写化多いですが、こういう作品の影響を受けたインスパイア物、パロディ物なら楽しめるのでは、と思います

確かに伝わる父の意志
子は痛みによるメッセージを教育として実感す

勇次郎にしこたまボコられた刃牙が「これが親父の教えか」とブッ倒れたところで次号へ続く。これで今週のレビュー全文おわリーです・・・


274話

可愛がり

「何故・・・母親を辞めたのか・・・?ホッホッホ。そりゃあそうでしょうよ
大きのだから器が・・・私なんかより遙かに」

冒頭。山深い寺院の本堂、弥勒菩薩のポーズで椅子に座す年老いた尼
特別読切の「範馬勇次郎誕生秘話」を読んでない人には謎のババアですが、読んだ人はこの人物が何者なのか知っているハズ
生後間もない息子に授乳を強要され、
そのショックから仏門に入った勇次郎の母親です
流石に鬼を産み落とした女だけあって、なにやら神気とも妖気ともつかぬオーラを纏っています
「誰も勝てませんよあの子には。人も動物も。歴史上の誰でも・・・はい?
ホッホッホ、あなたも意地の悪いことを仰る。私は仏門に生きる身・・・その質問には答えられません
我が子とお釈迦様を戦わせるワケないでしょ
そうねぇ・・・もし勝てる人がいるとしたら・・・血・・・
範馬勇次郎の血。これがまず不可欠。それもとびっきり濃いやつがね」
尼僧をして「お釈迦様でもはたして勝てるかどうか」とまで言わしめる我が子。その母親が挙げた、彼に勝てる可能性のある人物
それは息子の血を色濃く受け継いだ、孫

範馬刃牙第一話のフリオ少年の言葉に対してうまく帰結する、
「勇次郎を倒せる可能性のある唯一の存在」としての「範馬刃牙」

最終決戦で持ってくるにはなかなかいい感じの演出です。もっとも
刃牙がだんだん勇次郎を圧倒し始めてから使う演出なら、ですが





「せりあがる横隔膜・・・浅い呼吸・・・褒めたと思ったらこのザマ・・・
多少は楽しめた。突いて終わるか・・・踏んで終わるか・・・」
”お前はダメなヤツ”
親の口から出た聞き捨てならないニュアンス

それでも立てぬ生身の現実・・・

実際の刃牙はこのザマ。前回の勇次郎の猛攻を受けて大の字に寝そべり、指一本動かすことができません
しかし今まさに勇次郎が息子へトドメの一撃を見舞おうとした瞬間。その一撃をビタリと止める存在が、はるか頭上から舞い降りた

「ハルルルル・・・・」

「オオッ!あれアイツじゃんッ!!」
「生きた化石!ピクルッ!」

倒された友人を心配したのか。はたまた勇次郎の強さに惹かれたのか
なんと高層ビルの屋上から二人の戦いを見守っていたピクルが、ここまで降りてきてしまいました。どうなっちゃうのこれ
「ふふ・・・なんという夜だ。貴様を幾度も思った」
勇次郎の興味は期待はずれだった息子から俄然ピクルへ。このまま地上最強VS史上最強という幻のカード実現へ・・・・って
ですよねー
>勇次郎VSピクル実現か!?と思ったらやっぱりそんな事なかったぜ!でもわくわくさせられるシーンでした
>何にもしてないのに殴られるピクルカワイソス
>過去あれだけのキャラを噛ませにしてきたピクルが今回は酷い扱いですね


「邪魔すんじゃねえ!」と有無を言わさずピクルを殴りつける刃牙
両手を腰に当てた勇次郎の後ろ姿がなんとなくマヌケで、
その上空を飛ぶ刃牙と、まだ何もしてないのにいきなりブン殴られるピクル

3人の妙なバランスで成り立つこの異様なシュールさ
変な笑いがこみ上げてきます

「フフ・・・このやきもち焼きめが」
指一本動かなかったはずの身体を突き動かす激情。それは「俺達の戦いの邪魔をするな!」という怒りではなく
「俺の父ちゃん取るなよう!」という子供の嫉妬心か
18年待ち焦がれた思い、誰にも邪魔はさせない!刃牙再起動で次号へ続く!


275話

「カンケイねえんだよテメエは・・・すっこんでろいッッ!」
好敵手から放たれたこの言葉。ピクルに知る由もない。ただし理解ったこともある
叱られた
自然界の不文律。割込みは御法度。絶対的な法則だった
ピクル生誕1億4550万年・・・社会を学ぶ


刃牙はひどいヤツ!(プンプン)
絶体絶命のピンチに助けに来てくれたピクルを一方的に殴りつけた挙句、この逆切れ。お前ピクルが来なかったら負けてたがな!
その剣幕に負け、自慢の牙をヘシ折られたにも関わらず
ションボリ体育座りするピクルがすごい可哀想
刃牙の歯折れろよ。お前が弱いのが悪いんだよ
「お見苦しいところを・・・」
「終わりかけた宴・・・再び始められる喜びはあれど。息子よ
ダチが現れなきゃ終わっていたぞッ!」

ピクルを怒鳴りつけた後、勇次郎に向かったて一言詫びる刃牙。ホント見苦しいわ。主に読者が
勇次郎も読者の気持ちを感じ取ったのか、正論でもって息子にツッコミつつ戒めの攻撃を繰り出します
刃牙、例の0.5秒トリガーでこの攻撃を撃たせる前に迎撃・・・
「そうくることは知って―」

「そうくることは知っていた」

ところがどうしたことか。グルンと頭を落として地面に倒れ伏したのは刃牙のほう。幸村に負けた不破先輩のようです
刃牙のこの技を絶賛した勇次郎でしたが、しかしだからと言ってどうということはない。それは勇次郎にとってとうに通過した道だったのである

始めようか息子よ。近代初のトリガー勝負ッッ!
13歳の時のあの戦い
苦心の末編み出した回転カウンターを回転カウンターで返されたように

現在自分が使える最大の切り札を、自分より更に上回る精度で使う父
どこまで行ってもまったくいいところが見えないどころか、どんどん状況が悪くなる一方の刃牙。反撃の糸口は見出せるのか?次号へ続く!


276話

上へ上へ

「AがBを攻撃する。その決断の0.5秒前にBが知覚し迎え撃つ
その迎撃をAはただちに感じ取り0.5秒前にBの迎撃を迎撃

そのAの迎撃を更にBは。更にAは。更にBは
やれやれ・・・どこまで続く。迎撃の輪廻」

肉体の初動ではなく、脳の初動である「攻撃の意志」を討ち取る0.5秒カウンター
それはさながら永遠に終わらない先読みジャンケン
余談だがこの勇次郎の「Aが迎撃〜Bが迎撃〜」という解説が、なんか微妙にダチョウ倶楽部の鉄板ネタとイメージだぶって笑ってしまう
A「俺が迎撃を!」B「いやここは俺が迎撃を!」「「どうぞどうぞ」」

前述の通り、達人同士のトリガーの読み合いは互いに決め手を出せない膠着を生み出してしまう。将棋でいえば千日手のようなgdgd状態
「こんな勝負の何が面白いんだコノヤロー」とばかりに、ブッ倒れた息子に容赦のないストンピングを見舞う父
すんでのところで回避した刃牙は、舞い上がったアスファルトの粉塵の中から父を睨みつけて言葉を返す
「勘弁してよ。よーいドンで勝てるなら初めからそうしてるさ
それができない以上、こうするしかない
探すしかない。探るしかない。
弱者として生を受けた以上、誤魔化すしかない」

驚きにむっと目を見開く勇次郎。アスファルトの粉塵の中から現れた息子は、その両手をズボンのポケットに突っ込んでいた
ノーモーションから放たれる最速の打撃。龍書文の居合拳です
賭博覇王伝零のパット勝負の中で、零も同じニュアンスの言葉を使いました。実力で劣る者がまっとうに戦って地力に勝る相手に勝てるハズがない
「なら逆に聞きたい。素人がいったいどうやって勝てというのか」
弱者は奇策を使うしかない。頼るしかない
例え相手にセコいと言われようが、卑怯と言われようが、つまらないと負われようが。実力で劣る者が勝機を見出すにはそうするしかないのだ

「正々堂々戦ったから負けても悔いはない!」などと、糞の役にも立たぬ綺麗事は言わず恥も外聞も捨てて勝機を探る息子
その気構えが気に入ったのか。勇次郎はニタリと口の両端を釣り上げると、自らも息子を習い両手をズボンのポケットに突っ込んだ
「いいぞ。0。5秒前・・・意識のトリガーの奪い合い、付き合おう
決断発動を掴みたい刃牙、掴ませまいとする俺・・・父親として受けて立つ。察知してみよ。全速力の抜拳」

古の剣豪同士がそうしたように
かつてのガンマン同士がそうしたように

抜きな!どっちが速いか試してみようぜ!というヤツだぜ!by空条承太郎

>競うなッ!持ち味をイカせッ!
>はんぺらさん、内容が薄いと思いながらも龍書文の技が出てきたのちょっとうれしいんじゃないですか?
>ここでいきなり龍書文の居合拳か…まさか龍書文登場フラグ?!…なわけないか

なんでしょうかこれは。刃牙が血の目潰しでもかます流れでしょうか。勝ったッ死ねいッ!
というワケで、互いに居合拳の態勢のまま必殺間合いで対峙する親子。しかし勘違いせぬよう。これは抜拳の速さを競う勝負ではありません
あくまでも互いの脳の初動を捉える、ニュータイプ的能力勝負。読みの勝負です
「俺がこのアホ勝負を終わらせる」
「やってみろよ!」
あとどうでもいいけどこのシーン、刃牙の手が真ん中に寄り過ぎててチンコ握ってるみたいに見えて卑猥
「抜く」も「ヌく」に見えてくる不具合
はたして放送禁止確実の公開早コキ親子対決(違)の行方は!?次号へ続く!


277話

抜拳

”今”を意識する0.5秒前
本人すら自覚できぬ神なる領域 それを掴む
今にも訪れる”今”

今やその今は今の直後にまでッ!

極限まで張り詰めた緊張感の中で抜拳のタイミングを伺う刃牙を、大ゴマと仰々しいナレーションで描写する冒頭。実に7ページ
コップに満ちた水がいよいよ溢れそうになるのと同じように、まさに刃牙の緊張は最高点に達しようとしていた。抜くか?抜くか?”今”抜くか?
だがその時。張り詰めた空気を一気に弛緩させるような、なんともとぼけた声色で勇次郎が口を開いた
「あ・・・そうだ。血の繋がった親子が胆の探り合い・・・どうも違う
もういい。0.5秒の決断など待たんでいい。
俺が教える」
「は?教え・・・?」
ポケットから手を抜き、刃牙によく見えるように手の平を広げる勇次郎。呆気に取られてマヌケな返答を返す息子に構わず話を続けます
「決断発動0.5秒前などという慌ただしいものではない
5秒。攻撃を繰り出す5秒前から俺自らがカウントダウンしよう
指を折り曲げ、この掌が拳に形を変えた時放たれる」

なんと居合拳でのニュータイプ勝負を突然取り下げ、新たな勝負方法を提示する勇次郎
『トリガーの探り合いのハズが・・・まったく別のゲームになっちまった』

>1話丸々かけて作った先週の前ふりを堂々と無かったことにする勇次郎および板垣先生はんぱねえ(駄目な意味で
>トリガー勝負に持ち込んどいて自ら放棄とか、フリーダムすぎやしませんか?勇次郎じゃなくて板垣先生が
>このアホなゲームを俺が終わらせるとか言っていた人がもっとアホなゲームを始めてしまいましたよorz
>先週の勇次郎「俺がこの闘いを終わらせる」ドヤァ →今週の勇次郎「めんどいから別のにするわ」
>先週「早抜き対決だー」今週「早抜きなんてぇ、やーめーた」・・・あまりの支離滅裂さに呆れた

この独歩の台詞と、なんとも言いがたい微妙な表情がまさに今回の全てでしょう。おそらく今週号を読んだ読者全員の反応が同じだったかと
先週1話分の流れを、まるまる無かった事にしてしまいました
これは手法として斬新すぎる。前回の引きをまったく無視していいワケですから、話の流れに縛られることのない自由自在の話作りが(ry
流石板垣先生!
普通の漫画家じゃ思いもつかないことを平然とやってのける!
そこにシビれない!憧れないィッ!

「肉体なる準備。内面なる準備。存分に備えろ」
「ちょ、ちょっと待てよ!まだ返事してねえじゃんッ!」
「5ォ、4」

息子の受諾も確認せず、いきなりカウントを始めてしまう勇次郎。さながら急展開に突っ込んでる読者を置き去りにしていく板垣先生の様
あまりの展開に
首相もいつの間にか菅から野田に変わってます

>あれ、総理がどじょうの人に変わってる?
で、いいんだよね?コレどう見てもそうだよね?神崎の顔がそんな風に見えるってレベルじゃないよね?
ゆで御大は試合中に技の名前が変わる程度ですが、板垣先生はついに
戦闘中に人物が入れ替わりました
板垣先生がゆで御大を超えた瞬間です。不名誉な意味










『どんなゲームだ!?』
むしろどんな漫画だ!

父の真意も汲み取れぬままカウントに全神経を集中させる刃牙。いよいよ全ての指が折りたたまれ、その鉄拳が姿を現した
刃牙、父に対して見事”先”を取れるか?勇次郎の思惑は?次号へ続く!
>来週のバキは 勇次郎「やっぱり抜拳勝負で決着つけようぜ」 バキ「え〜!?」 で暫くエンドレス


278話

秘技・秘術

最速の抜拳。零コンマより速く!
結果少年の肉体が選んだ最速は、手をポケットから引っこ抜かず
手拳の位置はそのままに、身を沈めることにより抜拳した
それはあたかも柄を床に接地したまま、”腰を切る”ことで抜刀する
居合い抜きの理合に似ることとなる

勇次郎の掌が拳になった瞬間。刃牙の身体は目にも留まらぬスピードで沈み込み、その拳がポケットという鞘が抜き放たれた
それは柄の持ち手をグッと引いて抜刀するのではなく、腰を開くことで「鞘を刀身から抜く」居合の術理の完全な再現であった
虎眼流星流れと同じ。鞘の中で既にMAX加速している一振りを、「蓋を外す」ことで撃ち出すのが居合の理屈
範馬刃牙最速の拳!父勇次郎のそれを上回ることができるか!?
と、読者が刹那の交錯を予想してページを開くと・・・・ええええええええええええええ?

「―!?」
「ヤァアアアアアアアアア〜ッ!」
なんと見開きでマヌケな掛け声とニヤケ顔とともに勇次郎が放ったのは、超スローモーションパンチ!
それこそまさに蝿が止まりそうな程の遅さに、思わず刃牙の拳も止まってしまう
その驚き故か、ゆ〜っくり迫ってきたパンチのあまりの遅さ故か。半ば放心状態の刃牙がこのパンチを頬で受けた、その瞬間
ドキュン!と零距離から爆発的に撃ち抜かれ、
凄まじい速度で吹き飛ぶ刃牙の頭!
「速度の勝負だったハズなのに、結局は刃牙の心を惑わした勇次郎の駆け引き勝ちかよ!」
またしても先週の流れが全然意味のないものに・・・と辟易しながらページをめくった読者は、
そこでおよそ信じられないモノを目撃する
刃牙の身体は吹き飛ばない。勇次郎の打撃を吸収したようにその場に留まり、
ふわりと舞い上がった下半身は両脚を大きく広げ、驚く勇次郎の頭を上下から強烈に挟み込んだ
さながら獲物を噛み砕く猛獣の顎の如く

嗚呼なんということでしょう。刃牙シリーズにおいて初めて登場する技だというのに
我々はこの技の名前を知っているッ!
知りすぎているッッ!!!
息子刃牙からの今宵最大のプレゼント
上顎と・・・
下顎・・・

噛み砕く虎の顎になぞらえた秘技
その名も・・・・












>あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! 「おれはバキを読んでいたと思ったらいつのまにか餓狼伝を読んでいた」
な…何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…
いや、まぁバキも21巻あたりで似た様な技使ってたけど、堂々と技名出るとは
>ここでまさか虎王!話投げっぱなしの餓狼伝は再開するんだろうか?
>ばばば、バキで虎王キター!
>まさかの虎王!うおおおおおお
>見事なり刃牙ッッ見事なり虎王ッッ
>誰が予想できた!!?この場、この時、このタイミングで「虎王」だと!??
>虎王とは…「とっておき」って言葉がこんなに似合う使い方もなかなかないっす。それくらい意表をつかれた
>なんでいきなり虎王。せめて抜拳成功→勇次郎には効かない&反撃→さらにそれにバキが反撃で虎王ならまだしも
>今週の刃牙はいつもの引き伸ばしかと思いきや、虎王登場で燃えました
でも、「これが勇次郎にとって最大のサプライズ」みたいなナレーションが付いていたという事は、
ここから先の戦いには虎王以上に凄い技は出てこない…ということなんでしょうか?

顎を砕かれ、関節を極められて無様に地面に組み伏せられる勇次郎刃牙世界でまさかの爆現!
『餓狼伝』より、竹宮流の虎王!

朋友コメにもあるように、技自体はかなり似てるものを劇中で使ったことがありましたが。まさか虎王という技名を出してくるとは
うーん参った。さしずめバクマンでいえば、+Naturalにクロウが登場したようなコラボレーション
勇次郎のスローパンチを見た瞬間は、本当に「また先週の流れひっくり返すのか!」とチャンピオンを投げ捨てそうになりましたが
そんな支離滅裂な展開をまったく気にさせなくなるほどのサプライズ、そしてインパクト。これには素直に驚かざるを得ません
トリガーも最速の抜拳も、まったく展開に関係ありませんでしたが
刃牙、勇次郎の奇策をまさかの虎王で迎撃!!
全国刃牙読者数多しといえど、今週の内容を予想できた人間は1人もいないであろう驚きの展開で次号へ続く!


279話

父の上

「へッ、あんなクラシックの合戦の技術に不覚を取るなんて・・・ヤキが回ったかオーガ
に・・・してもだ・・・刃牙め・・・強すぎだぜ少年・・・」

>ヤムチャ目線のオリバさんなんてイヤだ〜〜(><)
>ピクル、オリバさんと第3部を遡ってるなら、ついについにマイケルクルー(゚∀゚)-?
>独歩、ピクル、オリバさんと続々過去キャラが集まってますね
次に来るのは誰でしょう?タクタロフ?陳海王?はたまたアイアン・マイケルか?

刃牙、勇次郎のパンチを虎王にきって取る!読者もあっと驚いた刹那の攻防を、高層ビルの上階から見下ろしていた筋肉ダルマ
やっと登場となった3人目の生観戦者は、我等のオリバさん
「勇次郎が甘い」と友人の油断を責めつつも、それでも地上最強の生物を組み伏せた18歳の少年に賞賛の言葉を惜しみません
そしてコアな刃牙読者のアイアンマイケル人気にビビる

膝の下にある父の・・・太い頸動脈の確かな感触
自由を奪った腕の・・・確かな感触
親父は今確かに俺の下にある
身の丈の超える達成感と 等身大の動揺
二つ我にあり!
一方、親父を組み伏せた刃牙はその感触に射精寸前。きっとやみくもに絶叫したい気持ちでしょうが、それを抑えて静かに口を開く
「親父ィ・・・聞こえているかい?『何をしてくるかと思えばいかにもキサマらしい小細工よ』
そんな台詞もこの態勢からでは言いにくいよな」

いつも遙か上から自分を見下ろした父の言い草が返ってこない
しかしどうしたことか刃牙にはそれが嬉しいことではなく、逆に不快に感じられた
数秒待てども腕下の父からは何の返答もない。その不快さに耐え切れなくなった刃牙は思わず大声で絶叫する
「フザケんなよ親父ィッ!このまま終わる気じゃねェだろなッッ!
認めねェぞそんなこたァッ!逆転してみろッ!
それが範馬勇次郎ってもんだろがァッッ!!」

俺のお父ちゃんはもっと強いハズやろ!という息子の叫び
「倒すべき敵」ではなく、超えるべき目標であるからこそ生じるジレンマの叫び。刃牙の啖呵にギャラリーは感嘆の声を上げるが・・・
「え・・・?」
父の反応を待っていた刃牙が気付いたのは、父の手の形

>勇次郎パパはデコピンで反撃なのか、それとも星の王子様ピースなのか
>勇次郎のあの手・・・もしやハンペンry

むう・・・なんでしょうこれは。勇次郎お得意のデコピン?それとも「ナイス息子!いい攻撃だったぜ」というOKサイン?
ボーボボ読者にしか通用しないハンペン承なのか。それとも
俺はオナニーの時は五本指じゃなく
人差し指と親指だけでしごく派だ!

というカミングアウトでしょうか。流石は勇次郎、こだわりを感じます
来週は例によって1話分を薄めた2話掲載&とじ込み疵面の刃牙3倍祭り。勇次郎の性癖が明らかになる次号へ続く


280話

虎王返し

お・・・OKって・・・右手を・・・持ち上げて・・・一体何の意味が・・・
完全に極まったこの状態から
その右手で何ができるというんだ?
地面に突っ伏したその表情はわかりませんが、前回ラストの指の形はやはり「ナイス攻撃だ息子!」というOKサインだった模様
虎王によって無様に息子の下に組み伏せられた勇次郎。そのまま右手をすーっと上に振り上げるも、いくら彼でも肘が逆にでも曲がらない限りは
この態勢から刃牙に対する有効な攻撃を放つことは不可能なハズ
いったいどのようにしてこの状況を脱するのか?読者も興味津々でページをめくると、勇次郎、まずはその右手を思いっきり地面に叩きつける!
おお、なんだこれは。地面を殴った反動でポーンと跳ね上がるとか?克己がイスタス戦で見せた、二人分の体重の片手倒立の進化系でしょうか?
と思ったがそんなことはなかったぜ!
二人の身体は宙に浮き上がることなく依然勇次郎は刃牙に組み伏せられたまま。しかしさっきまでと違うのはその右手。右手が地面に刺さってます

そりゃなにせ勇次郎の渾身の拳ですから、その一撃は易々とアスファルトの舗装を砕き、手首まで地面に深く突き刺さって・・・って次の瞬間!
”ドリュッ!”

えええええええええええええええええ
えええええええええええええええええ

おわかりだろうか。勇次郎が気合を込めて右腕を振り抜くと、
アスファルトを突き破って地面から飛び出した鉄拳が刃牙を直撃!
まるでそこに何も障害物が無いかのように、
地面の中を振り抜いてパンチを食らわしました

「すげえッ!アスファルトブチ抜いて地下からパンチをッ!」
「そんなんアリかァ〜ッ」
「人間じゃねェッ!もう強すぎッ!!」

『フフ・・・アスファルトをブチ抜くという発想・・・たしかにな・・・オーガにとっちゃ地面やアスファルトの認識が違う
ゼリーや寒天の上で戦ったなら、寝技は寝技にならねェ』
すげえ。最近の勇次郎の強さはもはや超能力じみてて、過剰に演出されればされるほど読者は冷めた目で見てしまう傾向にありましたが
久し振りに単純な力技で、かつ「勇次郎すげえ」と思わせる途方もない攻撃
勇次郎の強さの演出などもう嫌というほど見飽きた読者でも、思わずギャラリー達のように興奮せざるを得ません
>アスファルトぶち抜いてぶん殴る勇次郎が、非常に「勇次郎らしかった」です
これまで高層ビル飛び降りや雷直撃などの規格外の描写は散々ありましたが、
戦闘においてはほとんどなかったように思われます(勇次郎の戦闘自体が無かったのもありますが)
改めて勇次郎の人外っぷりをわからせてくれたような気がします

「親父ゴメン・・・いかにも俺らしい小細工だった・・・でもさ・・・
この勝負・・・ションベンちびったって勝ちたいんだ」
それは痛み故か、強すぎる父に対する感動故か。起き上がった刃牙の目からは止め処なく涙が溢れ
その膀胱からは大量の小便が溢れ出すのだった
兄ジャック戦と同じく、「闘いの聖水」再び。いよいよ刃牙も色々と極まってきたところで一話目終了です


281話

闘いの聖水

「いいんスか大将・・・もう始まってけっこう経ちますが・・・」
「何がだ」
「いえその・・・ニュースとかでけっこうやってますし・・・・」
「そんなに見てェのか・・・他人さまン家の親子喧嘩が」

一方その頃。親子喧嘩の現場からさほど離れていないだろうと思われるバーで酒を酌み交わすのは、花山さんと千春
「勝負がついちゃう前に早く観に行きましょうよ」と促す千春に対し、花山さんは「野暮なことを言うモンじゃねぇ」と窘めますが・・・
「み・・・・見たいです!」

「俺も」
なんてことはない、実は自分も早く見に行きたかった花山さん
自分を尊敬する千春の手前ニヒルに構えていましたが、内心は彼が早くこう言ってくれるのを待っていたのでしょう。萌え
そんなワケでこの二人が生観戦者の4人目と5人目。移動した描写はありませんでしたが、次号かその次くらいには現場に居ると思われます

「うわあ・・・失禁してら・・・」
「きったね・・・」
どうだいみんな・・・俺の親父・・・スゲエだろ
俺が・・・範馬刃牙がションベンもらすほどつええんだ

カメラ戻って、失禁という醜態を晒した少年に眉をひそめるギャラリー達。しかし刃牙はそれを恥ずかしがらず、隠そうともしない
ただただこの大観衆の中、父の強さを誇らしく感じていた
それはまるで小さな幼児のような。流れる涙と小便をいっさい拭うことなく、心の中で呟かれるこの台詞は演出的に胸にくるものがあります
「虎王までだ・・・簡単に泣き、簡単に漏らす」
「ああそうさ。その通りだよ。泣くし。漏らすし。誤魔化すし。騙すんだ。今更かよ
手段を選ばず勝ちを拾う。泣こうが漏らそうが誤魔化そうが騙そうが」
小便を漏らして泣き出した息子に落胆の色を見せる父だったが、刃牙は「勝つ為に必要なら泣きも漏らしもするさ」となりふり構わない
再び猛烈なラッシュを父に仕掛けますが、そのラストに放った高速胴廻し回転蹴りを、それを上回る胴廻し回転蹴りで返されてしまう
5年前とまったく同じ、回転キックに対するカウンター
そのキレは5年前より更に研ぎ澄まされていたが、刃牙もまた今回はその一撃を両腕でブロック。互いに5年前の二人ではありません
と、ここで刃牙は父の表情に変化が起きていることに気付く。まるで喧嘩の最中には似つかわしくない、穏やかで優しい・・・・

空手家愚地独歩は、後にこのときの様子をこう語っている
この期に及んでまだ「目撃者は語る」演出キター
ホントこの期に及んで・・・板垣先生はもうコレなしには話を構成できないんじゃないかと心配にすらなる。謝男の冒頭もこれだったしなぁ・・・
「まっ、俺も一人息子を持つ父親の身だ。オーガのあの姿を見た時にはピンときた
ある種神懸かりっていうのかな・・・息子刃牙も当然気付いたハズさ」

嗚呼・・・成人式が始まるんだ・・・と

憧れ、恐れ、憎み、その背中を追い続けた父から息子に贈る通過儀礼!
刃牙、巣立ちの時来たる!
二人の実力差は依然縮まらず、刃牙が勇次郎に勝てるビジョンは一切見えないままなのに、
クライマックスに向けて親子の距離間だけは猛烈な勢いで縮まってます
勇次郎が息子の為に用意した「成人式」とは?刃牙は父の思いに応えることができるのか?といったところで次号へ続く!


282話

佳き夜

『なんだ?顔が優しい・・・こんな顔もできるんだァ・・・』
よーしパパ成人式しちゃうぞー。と、およそ親子喧嘩中とは思えぬ穏やかな表情を見せる勇次郎
地上最強の父が息子に贈る「成人式」。それは一体何を意味するのか
ちなみに今週の話の半分以上はまたしても生まれた時に産婆さんをビビらせた話や「サメよりも強い。ライオンより強い」などといった
今まで何回もやってきたことをしつこく繰り返すだけのページ稼ぎだったので、ここらはバッサリとカットしてます
「生半可なことでは目覚めんらしいお前の内に眠る遺伝子を
叩き起こす覚悟をした」
ここまで息子を圧倒しながらも、勇次郎には解っていた。まだ息子は本当のMAXを出していない
それは生来の優しさ故か、本能的な父に対する敬意故か。いずれにせよ待っていてはその蓋は開かないと判断したのでしょう
眠れる範馬の血を無理やり覚醒させる。これこそが勇次郎が息子に為に成す成人式だった
勇次郎が雄大に両腕を頭上に掲げ、都市伝説で「それ」を知っていたギャラリー達は目にした実物に感嘆とどよめきの声をあげる
「出た・・・ッ!オーガだ・・・ッ!」
「すげえ。本当に鬼の顔じゃん」
息子刃牙
退屈で埋め尽くされた俺の生涯に
初なるときめきを与えたるが

よもや我が子だけだったとは
佳き夜をアリガトウ・・・・

「泣き顔・・・・!?」
「やる気かあれをッ!」
「哭かせやがった・・・ッ!」
「クレイジー」

ギャラリー達にはわからない。勇次郎の背中の鬼が泣き顔になることが何を意味するのか
光ちゃんとオリバさん、そして実際にそれをその身で受けた独歩だけが勇次郎の覚悟を理解していた

範馬勇次郎最大の一撃。すなわち地上最強の一撃
独歩もあの場に紅葉が居合わせるという幸運がなければ、蘇生することなく死亡していた必殺の一撃である
それを血を分けた実の息子に放とうという父親
その異名通り、彼は血も涙もない鬼なのか?否!

「生きろ・・・」

消え入りそうな声で。祈るように
息子に最後の言葉を伝える勇次郎は泣いていた。その目から涙は流さずとも。その背中に背負った鬼のように泣いていた
父として最大の期待と悲しみ、そして愛を込めた一撃。今!
放たれたァ!
眼前に迫る「死」の脅威。おそらく勇次郎はこの死に間際の恐怖を乗り越えた時こそ、息子が覚醒する時だと思っているでしょう
しかしこの時、死の恐怖よりも先に刃牙の脳裏をよぎったのは
あの時の母の言葉だった
「お父さんを喜ばせなさいッ!」

憎しみはない。恐怖心もない。あるのはただ
愛する母への思い。尊敬する父への思い
戦い続けてきた範馬刃牙18年の人生が、この刹那の交錯に帰結する。今こそ母の言葉に従い父を喜ばせられるか?次号へ続く!


283話

血の覚醒

お父さんを喜ばせなさいッ!
人は死の間際、これまでの人生が走馬灯の様に巡ると言うが
地上最強の一撃を眼前にした刃牙の脳裏をよぎったのは母・江珠の言葉だった
それは避けられなかったのか、それとも避けることはできたのに母の言葉に従って敢えて受けたのか
腕で父の一撃をブロックした刃牙の身体はさながらバットで打たれたソフトボールの如く吹き飛び、東京の夜空に美しい放物線を描いた
数十mも空中遊泳を堪能した肉体はワゴン車の屋根へ落下。その衝撃は凄まじいものだったが、腕でブロックした為刃牙のダメージはそれほどでも・・・


ゲェー!?まさかの追撃!
「一発で終わりだなんて誰が言った?」と言わんばかりの二発目が、今度はブロックのないボディに深々と突き刺さった
口から胃の内容物を全て吐き出し、虚ろな目をしたたままピクリとも動かない刃牙。「死んだ?死んだか?」と観客達は声すら出ず静まり返る・・・って
>ついに炸裂!勇次郎渾身の一撃!!・・・といいたいところですが絵的なパワー表現はピクルの方が上ですし、
余計な追撃のせいで『二ノ太刀要ラズ』みたいな美学が無くなっちゃったし、
人体なら貫通するかバラバラに吹っ飛ぶであろう威力も刃牙お得意の主役補正ガードでシャットアウトされてるし・・・
個人的にはなんかいろいろと残念

朋友コメにもありますが、
なんか勇次郎のパンチあんま凄く見えませんね
「八極拳に二の撃は要らない。八極拳士は相手を一撃で倒す」みんな大好きジョンスの名言
正直ブロックした腕をポッキーみたいにへし折って拳がボディを貫通する
くらいのことをやってくれないと違和感があるのが今の勇次郎。独歩と戦った時の感覚と比べてしまうと、読者としてはどうにもズレを感じます
二発目にしても、
ワゴン車が派手に爆発するとか思わず鼻水出るような無茶やってくれないと拍子抜けというか・・・

一方同時刻。エジプトはカイロ、ギザのピラミッド
エジプト考古学の第一人者・クリス教授とその探索チームは、偶然発見された新たな空間で壁に刻まれた巨大な壁画を見上げていた。吉村教授出せよ
「クリス教授、これは・・・」
「うむ・・・一見して不吉なもの・・・魔物を描いたものだろうが・・・・
何故背中なのだろうね」

クリス教授は知らない
その壁画が魔物ではなく、実在した男の背中を描いたものであることを

>範馬一族はエジプト原産の柱の男!!・・・白亜紀に原人が存在する板垣ワールドでつっこむのはナンセンスですね
引き伸ばしにしてもこういうのは伝奇ファンタジーみたいで面白い。壁画フェチとしてはかなりの俺得展開w

>勇次郎は突然変異的な存在では無く、太古から隔世遺伝などを重ねて度々歴史上に存在していたということでしょうか
英霊になるようなクラスの武人はみなそうだったとか
>今までネタで範馬類とか言われてましたがどうやらマジでネウロの新しい血族的な新人類っぽいですね
まぁ140歳やら原人やら出てる世界観だから範馬親子が宇宙人でも違和感ないですが
それにしても鬼の貌の設定ってコロコロ変わるなぁ

紀元前の建造物に残る「範馬の血」の確かな記録!
彼等は何時からその姿を歴史に現し始めたのか?

なんかもうオーパーツミステリーみたいになってきました。おいおい祖先は宇宙人だったとか言い出すなよ
しかし流石にこれはちょっと演出的に板垣先生やりすぎというか暴走しすぎというか。正直あまりにもアレすぎて失笑してしまったのは俺だけだろうか
果たして範馬一族の謎は劇中で詳しく語られるのか?
そして刃牙の血の覚醒や如何に!次号へ続く!


284話

父、そして・・・

「教授・・・これは宗教画の一種では・・・?」
「こちらにも同じものが。しかし背景が異なっています」


「これは・・・武器だ。大小様々な先端・・・彼一人に向けられた無数の武器だ
否・・・種類・規模から察するに兵器・・・武力を表現しているようだ。凄いな・・・凄まじい戦力だ」

先週ラストの壁画の隣にあったのは、やはり同一男を描いたと思われる背景違いの壁画。その背景は決して「強いられているんだッ!」の集中線ではなく、
男に向けられた武力の表現ではないかとクリス教授は考察する
「たしかに・・・大変な武器の量です」
「フフ・・・そういう意味じゃない。これほどの兵力を準備せざるを得なかった
この悪魔の戦力の事を言っているのだよ」

「・・・・・た・・・・たしかに・・・・」

たった1人に対し、とてつもない規模の兵力を以ってようやく拘束せしめる悪魔
それはきっと宗教画ではなく、太古のエジプトに実在したであろう一人の男の記録。そしておそらくその男の血は絶えることなく現代に受け継がれ・・・

「オオオ〜ッ!車がグシャグシャだ!死んじまうぜ息子ッ!」
場面再び戻って東京。勇次郎のパンチは先週の追撃だけに終わらず、刃牙の身体をワゴン車に貼付けにしての猛連打
常人ならば一発くらうだけでも人間の原型を留めないであろう凶弾を、絶え間なく何十発と叩き込まれる刃牙の姿に観客達も悲鳴を上げる
しかし連打によってますますショボく見える勇次郎の打撃。観客はともかく読者拍子抜けです
>なんだか、描けば描くほどオーガが人間に堕ちていくような
昔の勇次郎なら(麻酔はともかく)、ゴルゴでも殺せないオーラを持っていましたが、今のオーガなら戦場でうっかり射殺されそう
「1国の軍事力に匹敵する」とまで評される強さが全く感じられなくなってしまった…
>鬼哭拳の連撃が異常にしょぼい・・先週より退化してますね。毎度毎度好き勝手やりすぎて全く纏めれてない
>「大型ワゴン車を破壊するパンチ」を「地震を止めるパンチ」と同レベルに言われても…って感じ
二の撃どころか最後蹴っちゃってるしw

「御老公ッ!死んでしまいますッ!」
「誰・・・?お前。カンザキは?」

>親子喧嘩中にもう一回くらい「交代を」がありそうで怖い
>首相交代の小ネタとかはさまなくていいのに不覚にもちょっと笑っちまったぜ
>ビンタまで食らったのに交代した事すら気づかれていなかった神崎首相涙目
>総理チェンジギャグにしちゃダメでしょ板垣センセw

もう金輪際シリアスな漫画としては扱ってもらえなく・・・もう随分前からなってるか
大観衆の目前で公開撲殺ショーなど行うワケにはいかない。野田首相も思わず光ちゃんに向かって叫ぶ。ってやっぱ野田だった!
これまでの「いつのまにか交替している総理」はギャグとして意図的にやってたのね。それにしても戦闘中にモーフィング変化でもしたんだろうかこの人は

今自分が闘っているのは 国家も畏れる超暴力
俺の全てを出し切ったって勝てるワケはない

>今週のバキは尿が止まるのがあたかも燃料切れのごとく見える斬新な戦闘不能描写に痺れました
なんか血を吐いたりするより終わった感が…

朦朧とする意識の中、刃牙の心がついに折れる
「俺がこんなチート親父に勝てるワケなかったんや!」と敗北を認め、前のめりに倒れこむ刃牙。世紀の親子喧嘩は父の勝利で決着・・・

と思われたその時。刃牙の前に現れた謎のシルエット
筋骨隆々の肉体に、後ろで束ねた長髪。この後姿に該当する容姿の人物はグラップラー刃牙からシリーズ通しても思い浮かびません
そして地面が透けて見えるところから、彼はこの場に実在する人物ではない
幽霊や幻影の類と思われます
>ラストに出てきた幽霊?はあの壁画に描かれた人物で範馬家の始祖でしょうね
というかジャックの時みたいに回想シーンが単行本一冊分くらい入るんじゃないかと戦々恐々っす
>後姿の幻影、古代エジプトのハンマ1世(仮称)が喝を入れに来たってとこでしょうか?
遺伝子に眠る記憶で祖霊と交信というと荒唐無稽に思えますが、烈先生の『己の理想像』や
最大トーナメントでアイアンマイケルが見た『サリバン』みたいなものと思えばまだ納得でき・・・ますよね?

刃牙の「血の覚醒」の視覚演出として現世に現れた一族の祖という線が濃厚でしょうか
刃牙、死の間際からの覚醒なるか?幻影の正体に注目の次号へ続く!


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