240話

原点

まだ日も昇らぬ明け方、白い息を吐きながら外に出る刃牙。念入りに準備運動をすると朝のジョギングへと出発です
ってオイオイ刃牙
どこまで走る気よ? そう、賢明なるバキ読者なら1ページ目で感づいたでしょうが
これはただのジョギングではなく・・・行き先は
富士の樹海・青木ヶ原!目的地は当然あそこです

「ごぶさたしてます・・・・長老」

樹海の奥深く。永い永い悠久の時を生きてきた巨木は、以前と変わらず刃牙を出迎えてくれた
刃牙の格闘技人生の原点ともいえる「長老の木」 むう、これはもしかしてマジで最終章に入ったサインなのか?

と、ここで突然刃牙がボソボソ喋りだしました。誰に向かって喋ってんの?
「タフだなァ・・・最初から最後まで俺のペースについてきた。なんの用だい?」
そう言って振り向いた刃牙。視線の先に立つ人物は・・・・おっと出たぞ

マホメド・アライJr!

どうやら刃牙のジョギングをずっと追いかけてきたようです。樹海に入った途端に見失って遭難でもしたら笑えたんですが
「ココが・・・キミにトッテの原点・・・そんなトコカナ」
「俺に用かい?」
なかなかにすっとぼけた挨拶だ刃牙。用があるからワザワザ富士の樹海くんだりまで追ってきたに決まってんだろうがよ
”どばしゅ!”
木の枝にぶら下がるボロボロのサンドバッグ。刃牙の血と汗の染み込んだ懐かしの品に、目にも留まらぬパンチを叩き込むJr
一瞬の後。サンドバッグは真っ二つに切り裂かれ、中身のスポンジやらなにやらを派手にブチ撒けた
おお凄いパンチの切れ味だ!・・・って、別にこれくらい少年時代の刃牙も簡単に出来たけどな
あの範海王でも足刀でリンゴを真っ二つにできたけどな

「キミと対決シタイ」
まぁ、そらそうでしょう。Jrの返答は格闘家として実に当然至極のもの。ましてや父親同士の親交があるとなれば尚更です
そしてそれを受けての刃牙の返事

「断る」
うげー。
なんて付き合いの悪い17歳だはるばるアメリカから来てくれたJrが可哀想だよ




「君とは・・・イヤ・・・俺は誰とも戦わない。たった一人の例外を除いてね」
「誰ナノカナ?その幸運ナ男ハ」
「俺が戦う人間はこの世に1人だけだ」と、無益な対決を回避する刃牙。引き下がれないJrはかんぐりを入れますが・・・
「人に話せるほど立派なハナシじゃない。醜い親子喧嘩さ」
”地上最強の生物”にして実父・範馬勇次郎。それが刃牙の相手。その返事に、思わず困惑の表情を見せるJr
『バキ・ハンマ・・・キミはあの男とナラバ戦うと?シカシ・・・・』

どうでもいいが、Jrの脳裏に浮かんだ勇次郎の顔がヤバイ。彼の勇次郎イメージはこの顔で定着してるのか

「殺サレルゾ」
自身もまた勇次郎と対峙した経験を持つJr。刃牙の実力は認めつつも、それでも勇次郎に勝てるワケがないと進言
「でもヤルんだよ
勝てるからやる、負けるからやらない・・・そういう闘いじゃあない
誰が強いとか弱いとか。もうそんな事には興味がなくなったんだ
・・・それじゃあ」

「そういうワケだから悪いね」といった感じで。そそくさとその場を去る刃牙。Jrもそれを無理に止めようとはしませんでした
おっとしかし?なにやらその顔には不敵な微笑!




バキ・ハンマ・・・・




君ハ僕と闘うコトニナル




シカモ君の方カラ望んで




そしてラストページ。梢江の携帯に入った非通知着信。そのTELの主はまさしく・・・・マホメドJr!

「将を射んとすればすればまず馬を射よ」とはちょっと意味合いの違うケースではあるが。こうきたかよ
つーか梢江に手ぇ出すのか?なんて女の趣味悪・・・もとい。目的の為には手段を選ばない性格だったか
なかなか興味をそそられる新章のスタートです。さぁどうなる次号


241話

一番

「お待たせしました」
「ウェルカム」

とあるファミレス。当然のTELに呼び出された梢江が小走りに奥の席へと向かう
テーブルで彼女を待っていた人物は・・・出ましたMr潰れっ鼻・マホメドJr!一体梢江に何の用かと申しますと・・・
「君の彼ト・・・闘ウ」
「ど・・・どうしてそれを私に・・・?」
「チクショウまた闘いかよ!いい加減にしろよこのバトルバカどもが!」といった感じにプルプル震えながらコーヒーを口に運ぶ梢江
ぶっちゃけ内心はキレかかってるでしょうがなかなか自制が効く女です。動揺しつつも、何故それを自分に告げるのかと問いただす
「ヒトツは・・・バキさんが君ニトッテカケガエノナイ大切な人ダカラ・・・
ソシテもうヒトツ。
僕にトッテ君が大切な人ダカラ
ミス・コズエ・・・・

僕と結婚シテ欲シイ」

「ハァ―――――!?」
あまりに突拍子のない告白に、思わずマヌケな大声を出して驚く梢江。それにしてもJr突き抜けてます。いきなり求婚かよ
ブサイクな顔を更にブサイクにしながら懸命に返答する梢江がなかなか愛嬌あって笑えます
「あの・・・あの・・・わたしと?なんで?」
「僕の知ル一番美シイ女性が君ダカラ」

「いやいやいやいやいや。ノーノーノー
絶対に一番じゃありません!」

なんて面白い顔と反応しやがる梢江!完全に「漫画のヒロインの顔」とは対極の位置にある表情だ
しかしそんなブサイク百面相を目の当たりにしても尚、Jrの求愛は止まりません
「一番カ・・・・一番ジャナイカ・・・・ソレを決メルのは君デハナイヨ
僕デス。僕と共二生きてクダサイ」
「・・・・・ありがとう。でも困ります」
「彼がイルカラ?ソレは神が決メタコトデハナイ・・・・
ミス・コズエ・・・君の本業ハ?」

何を言い出すのかマホメドJr。いきなり「本業は?」と問われた梢江は困惑しながらも答えます

「・・・・学生?」
「ノー」

「学生ジャナイ。君の仕事は”女性”デス。ソシテその目的とスルトコロハ・・・・
ナンバーワンの男と出会ウコトデス」

これがアライ流プロポーズだ!
殺し文句もビシッと決めて男前がぐぐーんと上がるJr。トレードマークの潰れっ鼻も格好よく見えます
「僕はナンバーワンの女性と出逢ッタ。君はドウナノカナ?」
「あなたは・・・・ナンバーワンなのですか?」
「ソレは僕が決メルコトデハナイ。
証明スルダケデス・・・・君に」

ちゅ

「いやっ!」
そう言って梢江の頬に不意打ちのキスをかますJr。さも汚いモノでも押し付けられたかのように嫌がる梢江
「マタ遭イマショウ」
まずは挨拶代わりさ、とでもいうように満足気な表情でファミレスを立ち去るJr。呆然としたままでテーブルに座り続ける梢江でした





そしてその夜

人気のない公園で対峙する二人の人影。1人はマホメド・アライJrですが・・・・もう1人の男は誰だ?
「バキ・ハンマが・・・アナタを尊敬シテイルト聞キマシタ
私と闘ッテクダサイ」
「いやぁ いいものですな・・・若いということは・・・」

なんと渋川先生だァ―――ッ!!
「始めましょか」
寒いメロドラマを無理矢理見せられたフォローをきっちり入れる、注目のカード突然の幕開け!コイツは燃えるぜ
アライ流拳法VS渋川流柔術!次号激突!


242話

柔術と拳闘

夜の公園にて渋川流柔術・渋川剛気に果たし合いを申し出たモハメドJr。ザッザッと軽いステップを踏んで仕掛けるタイミングを計ります
渋川先生はというと特に身構えるでもなく、自然体の直立のまま。ニコニコと余裕の笑みを浮かべつつ、Jrに語りかけます
「いかがされたお若い人・・・・もう始まってまっせ」
『凄イナ・・・日本の格闘技
マーシャルアーツハ。少年のヨウニ小サナこの老人ガ・・・
マルデ・・・・・・・・!!!』

今にも飛び掛ってきそうな獰猛な獣のように。眼前の老人から放たれるとてつもないプレッシャー
その威圧感に射すくめられたのか、なかなか前に出ることができないJr。ならばと先手を打ったのは渋川先生だ
ひゅん!と飛んできたのは不意打ちの
下駄。「こんなん当たるかよ!」と避けたJrの顔面に何かがコツン!
時間差で投げた
メガネです。オイオイJrたいした事ねえな・・・もしこれがナイフだったら死んでるじゃん
「何が当たったんだ?」などと、認識する間もなく右腕を掴まれてしまいます
そしてスパーン!

一呼吸で地面に叩きつけられるJr。すかさず逆手を返されると、今度は痛みに耐えかねてピーン!と跳ね起きる
そのままキレイに四方投げェ!(途中で手を放す投げっぱなし式)
合気道初体験のJrは何が起こったのかもワカりません。受身も取れずに背中から地面に叩きつけれてしまいました




『ナントイウ不可思議な技ダ・・・サブミッション系のレスリングとも違ウ・・・
関節ノ構造トイウヨリモ・・・・
人体の持ツ反射にツケコムヨウナ・・・・』
まったくもって合気道の投げというのは精妙の技巧。初めてその技を見た人間には魔法にしか見えないシロモンです

養心館合気道、故・塩田剛三先生(渋川剛気のモデル)も、初めて師匠・植芝盛平と出会い「合気道」なる武術を見せられたときは
「はッ!なんだこりゃ。インチキじゃないか」 と、せせら笑ったといいます
※ (「インチキ武術の化けの皮を剥いでやる」と勝負を挑んだ塩田先生はコテンパンにのされ、その場で植芝盛平に弟子入りする)

『シカシ・・・・』
そんな神秘の格闘技の洗礼を浴びたJr。普通ならビビって萎縮してしまいそうなものですが、この男は違いました
『ソレデモナオ コノ勝負、敗ケル気ガシナイ!』
なんかカッケーぞ!渋川先生の危険察知に近いモノでも持ってるんでしょうか。根拠の無い勝利を確信するJr
「ダメージなんか負っていないぜ!」と言わんばかりに再び軽快なフットワークを見せると、渋川先生も関心したように呟く
「ほう・・・」
ス・・・ッと正中線に沿って両腕を構える渋川先生。生意気な外人の小僧にはこちらも本気モードで対応です

で。ここから2ページの画像をノーカットで公開。みんなよく見てみよう!ちょっとおかしい所があるぞ

「拳闘の歴史・・・・たかだか百年」

「短ェ短ェ」

さあ。みんな気付いただろうか6コマ目のダウト





渋川先生!メガネ!メガネ!どっから出してんのよもう!
次のコマには無くなってるし。
分身ジェロニモとか指6本のリョーマレベルのミスだ板垣先生
それにしてもこういう類のミスってアシスタントや担当編集は気付かないモンなのかねぇ?不思議に思うよ

で、Jrが左のリードジャブで襲い掛かったところで次号に続く。Jrの勝利の予感は真実となるか?震えて待て!


243話

ハンドスピード

「1966年ロンドン・・・あなたは英雄ブライアン・ロンドンのパンチを全てミスさせ、コーナーへ追い込んだ
惨劇はわずか2秒で幕を閉じた。2秒間に叩き込まれたブローはその数
実に17発。ミスブローなし
とりわけ注目すべきはパンチのスピードです」

アメリカ モハメド・アライ邸。本人を前にし、例のスポーツ記者が興奮気味に語るのは在りし日のモハメド・アライの「強さの理由」

蝶のように舞い、蜂のように刺す
フロート    ライク    ア    バタフライ                                スティング    ライク    ア    ビー

卓越したフットワーク、コンビネーションブローの天才的センスは勿論ではありますが。もっと確実な要素、それこそが「パンチスピード」だと言う
「当時の映像のコマ数から計測され、はじき出されたそのスピードは
モーションを起こしてからヒットまで実に 0.11秒

これは脳から筋肉へ下される伝達スピードを超えるもの・・・・・すなわち
”必ず当たる”ということです」
な、なんだってキバヤシー!そいつはぶっちゃけマジすげえ武器じゃないかよ。だって「回避不能」パンチですよ!?
でも回想では
勇次郎に一発もヒットしなかったけどな。まぁアレは反射速度も人間じゃないだろうから除外か
あぁでも回避不能の打撃って言えば
独歩ちゃんもそうじゃないか。なんだ、あんまり凄くない気がしてきたぞ

「1981年、あなたが引退して以来。あなたを上回るボクサーはおろかスポーツマンも登場していない
はたして我々は出会えるのでしょうか。
あなたを超えるボクサーに」

あなたこそが史上最強、そしてきっとこれから先も最強のボクサーだろう、と絶賛する記者。しかしマホメドの口から出た言葉は・・・
「光の下にはいない・・・だが。リングに上がらぬボクサーなら」
「ボクサーなのに・・・リングに上がらない?」

「あの子は・・・・














わ た し よ り 迅 い

「この渋川に情けをかけるかァッッ!!」

ここでカメラ戻って渋川先生VSマホメドJr。なんと先週のあの引きから一瞬で「勝負あり」です
Jrの左のリードジャブは完全に渋川先生の顎先を捉え、
しかも寸止め!

当て身の腕を掌握しようとした両腕を、いともたやすくすり抜けてのポイント到達という神業
これが人間の反応では避けられないという神のパンチ。その奇跡の前には渋川剛気でさえも例外ではないのだ。スゲエぜアライの血!

「イタズラニ傷ツケル愚を避ケタカッタノデス。タダ・・・・
アナタは偉大な武術家。情をカケル無礼ハ許サレナイ」
”ブンッ!”
寸止め状態の零距離から打ち出したJrの左拳は、渋川先生の細い首をぐらりと揺らした
大きく振れる頭。シェイクされる脳。教科書通りの「脳震盪を起こすパンチ」である。同時に老人の視界がふっと暗転する

なるほどねェ・・・・

いい歳ぶっこいて 



何の危機感も持たず立ち合ってしまうワケだ・・・・



なんたってこの小僧・・・・・







こんなに優しく
やっつけてくれるんだもの

ガクリと膝から倒れ込んだ老人の身体を優しく抱き止めるJr。誰の文句もつけようがない完全勝利
渋川剛気一撃KO!
うむむ・・・なるほど。渋川先生の危険察知が発動しなかったのは、Jrを「危険な相手」と認識しなかった故か
それにしても
強すぎるなコイツ。まぁ刃牙も春成を2秒殺した時の強さは目を見張ったけどよ
そしてラストシーンは、梢江が刃牙に
「私プロポーズされちゃった」などと話したところで次号へ続く
バカップルパートはどうでもいいから早く次のバトル見せてください板垣センセ。お願いしますよ


244話

結婚

とりあえず冒頭バカップルパートなので軽く流します。「私プロポーズされちゃった」と、刃牙の反応を試そうとする梢江の告白
「どうよ?ハンマバキ。わたしの結婚・・・」
何故か刃牙をカタカナ読みする梢江が笑えます。なんやねんこの女。コイツときどき日本語がカタコトになるよな
「もしそれがホントの話なら・・・スゴク動揺するよ」
「動揺したあとはどうするの?」
「梢江・・・どうするのかはお前が決めることだろ。俺の決めることじゃない」

ちょっとカッコつけてんのか、それとも本心なのか知りませんが。随分とドライな答えです刃牙
『ソレはワタシの決メルコトデハナイ』
その返答を聞いて思い出したのは、あの時Jrが言った台詞。二人の男の共通点に思わずクスリと笑みを浮かべる梢江
「似てるかも・・・・」
ハイハイこれにてバカップルパートしゅーりょー。とっととカメラ移動しまっせー(すげえテキトー)





「信じられねェ・・・まさに生き写しだ」
夜。人気のない団地裏で対峙ずる二人の男。1人は黒いジャンプスーツに身を包んだ長身の黒人青年
言わずもがな。先日あの渋川剛気をワンパンKOという離れ業をやってのけた男、
”神の子”マホメド・アライJrであります
相対するは帽子を目深にかぶり、メガネをかけた中年の男。Jrのフットワークを見るや、往年の名ボクサーの姿を彷彿したようです
「マホメド・アライのファイトを観る度思ったものさ。一度でいいから・・・・・」

「こいつと喧嘩してみてェ ・・・ってな」

独歩ちゃんキタ―――ッ!!
伝説の虎殺し!神心会空手の象徴!”人喰い愚地”こと愚地独歩見・参!であります
うーむJr美味しいな・・・渋川先生の次は独歩ちゃん喰いかよ。こうなると次は花山さんかジャック兄ちゃんかってトコだな
空手界の”ゴッドハンド”に喧嘩売るたぁいい度胸だガイジンの兄ちゃん。売られた喧嘩は当然買うのが愚地独歩の流儀

「いいぜ兄ちゃん。ゴングは必要ねえだろ」

シュババッ!!
言うが早いか飛んでくる牽制のジャブ。なんとか回避した独歩ちゃん、Jrのパンチを目にして更に驚いてますよ
「マジかよ。スタイルまで生き写しじゃねェか。ええ?」
「マホメド・アライはワタシの父親

父ノスタイルヲワタシが受ケ継ギ・・・
”完全ナモノ”に進化サセタ」

「へ・・・こうまで似てればなんでもいいや。マジでイカせてもらうぜ」

『神の子』 VS 『武神』
龍虎相討つ!
真に「神の拳」を持つのははたしてどちらだ!?ひゃっほーコイツは燃える対決だぜー!!



”カッ!”
と、先に仕掛けたのは独歩ちゃんだ。地面に落とした帽子を蹴り上げ、胸ポケットのメガネを投げつけます
モノを投げつけての奇襲攻撃は、期せずして先の渋川先生との戦いで体験済みのJr
あの時はメガネを避けたばっかりに、その隙を突かれてしまいましたが・・・
今回は!

帽子!
こんなモン避けない!

メガネ!
これも当然避けない!





独歩ちゃん!

カウンター!!!!
ぐわー。なんてキレの良い3段オチ!見事に前回の戦いの教訓を活かしたJr。ファーストアタック成功です
「へッ・・・勉強してやがンなァ」
初弾をキレイにもらって鼻血ブーの独歩ちゃん、しかしニヤリと笑ってやる気満々。この程度で恐れをなす武神じゃありません
次号!武神の正拳が唸る!はたして神の子を捉えられるか!?


245話

空手と拳闘

「マホメド・アライVS愚地独歩・・・・犯罪だぜこいつァ・・・
日本全国どこの会場で打っても満員札止めだ。それをこんな夜の公園で人知れず
たった一人の観客もなく・・・・
勿体ねェなァ・・・・」
セコい奇襲で先制攻撃を取ろうとした独歩ちゃんでしたが、Jrのキレイなカウンターをもらって逆に鼻血ブー
「こっから仕切り直しだ」とばかりに、腰を落として両腕を前に構えます。さあ世界を獲ったパンチを打ってこい!
空手の受け技を見せてやるぜ!って”バキーッ!”
スナップの効いた左フックがキレイに入りました。更に盛大に噴出す鼻血。ど、独歩ちゃーん!!

『まいったなこりゃ・・・受け技使おうにも反応が間に合わねェ・・・』
武神の制空圏をも飛び越えてくるJrのパンチ。そのオフェンス能力は独歩ちゃんを相手にしても十二分だ
なら防御のほうはどうだ!とキレ味鋭い左上段回し蹴りを放つ独歩ちゃん。Jrはこれを鼻先1cmで余裕の回避!
フッそいつはかわすだろうよ・・・・
こっちが本命ッ!一回転しての右足刀!
華麗なる空手の連携が神の子を捉え・・・・・捉えねェ―――ッッ!!!

素晴らしいカウンターを食らって吹っ飛ぶ眼帯ハゲオヤジ。ものすごいスクリューってます

仰向けにぶっ倒れた武神。しばし宙を眺めたのち、倒立起きで立ち上がりました。無駄に元気いいぞ
「やめやめ。やっぱりスポーツじゃあ勝てねェやな」
「勝テヌナラ・・・・ドウスルト言うンダイ?」
「スポーツでは」と前置きをつけて、己の劣勢を認める独歩ちゃん。Jrの問いに対してとった行動は・・・・・・・おおお?
なんと龍書文よろしく両手をズボンのポケットに突っ込んだではないか。
武神のハンドポケット!




「続けなよ。打ち込んでみりゃいい」
「言ワレルマデモナク」
中国でハンドポケット闘法を目にしてきたばかりのJr。当然油断はしません。どんな技か知らんが全力で叩き潰すのみ!
神速の右フック!あれェ!?

まるで霞のようにJrの拳をすりぬける独歩ちゃんの姿。否ッ!

「オヤ。当たらねェなァ」
突き出した拳のまさに一寸先。独歩ちゃんは悠然とそこに立っていた。スウェーして避けた?イヤしかし・・・
状況が飲み込めずに額に汗を浮かべるJr。どんな手品なのかはワカらんが・・・・今度こそおネンネしろぉ!!!
シュバッッ!

「惜しい」
だがやはり結果はさっきと同じ。Jrの拳はほんの僅か届かない
唇を突き出しただけで拳にキスできる距離である。一体何が起こっている?Jrの全身にドッと冷たい汗が噴出す
「どうでェ・・・・少しは見直してくれたかい?」
ニヤリと笑う独歩ちゃん。正体不明の防御テクニックにビビリ顔のJr。数分前とはまるで立場が逆転してしまいました
迷いを吹っ切るように三度パンチを打ち込むJr!しかし動揺で生まれた隙・・・・武神の目は逃がさない!

ドン!!!

Jrの脇腹を穿つ無拍子の正拳!
独歩ちゃん反撃開始!Jrを幻惑する謎の防御テクニックの正体は?次号の種明かしに期待しよう


246話

ルール

反撃の狼煙を上げた独歩ちゃんの正拳はJrの脇腹にクリーンヒット。苦悶の表情を浮かべて跳び退くJr。ここは一旦大きく離れます
とりあえず受けたダメージは大したことありません。むしろJrにとって深刻なのは、未だ正体の掴めない独歩ちゃんの魔法のような技
『ナゼ当タラナイ・・・!?ターゲットは確実に私のリーチ内ニアッタ
更にハッキリシテイルコトハ・・・
彼は一歩も動イテイナイ!』
独歩ちゃんは一歩も動いていないそうです。ならばパンチが当たらない理由は物理的に考えてひとつ・・・・
おめェさんが外した。外したのは俺じゃない・・・坊や自らだ
ルール変えさせてもらったぜ・・・さっきまでのは剣道。今やってるのは
真剣だ」




ワケのわからぬ説明にキョトンとするJr。いったい独歩ちゃんは何を言ってるんでしょうか。読者にもわかるように解説してください
「ワカらねェかい?さっきまで俺らが使っていたのが竹刀で・・・今は真剣を抜いてるってこった
竹刀と真剣でおのずと生じる間合いの変化――
それをおめェさんが見誤った」

えっと・・・・・スンマセン板垣先生。独歩ちゃんの言ってることのおおよその意味合いは理解できるんですけど
もう少し物理的に納得のいく解説をお願いします

「ナルホド。ナラバコレハ・・・・」
「オウよ。殺し合いだ」
あっとJrは普通に納得したようです。すごい柔軟だなお前
要するに「スポーツ」から「真剣」勝負になったことで、さっきまでは踏み込めていた一歩が踏み込めなくなった って感じでしょうかね
ちょっと違うかもしれませんが、まぁ、大体というかおおよその意味合いは合ってると思われ。朋友の皆はどのように解釈しだろうか

『確カニ変ワッタ・・・頭一つ分ホド小サク見エタコノ男ガ・・・・・今は
ナント巨大ナ!』

『虎殺し』愚地独歩 その全身から放たれる圧倒的な威は、まさに現世に降り立った武の神か
先の渋川先生戦のように手を抜いたパンチなど撃とうものなら、頭から一飲みにされてしまいそうだ。Jrは覚悟を決める

私ノ手ガ――――
初メテ人ヲ殺ソウトシテイル

すなわち「相手を殺めてしまうかもしれない」という覚悟。しかし本気のパンチを打ち込まねば目の前の男は倒せそうもない
Jrの右足が大地を蹴る。一直線に突っ走り、その神から授かった拳を振りかざした

イイダロウ!
モウ―――距離は見誤ラナイ!!

渾身の力を込めて撃ち出した右ストレート。狙いは顔面!当たれば命の保障はねえぜ独歩ちゃん!
”ガッ!!”

全ての矛をはねのける最強の盾の如く
武神の描いた方円はJrのパンチを叩き落した。独歩ちゃんの18番・廻し受けだ

掌自ら球を成し
防御完成とす!

「シッ!」
そのまま瞬時に攻撃に転ず!見さらせボクシング!これが空手の技だ!
唸る武神の双掌!Jrは回避できない!

顔面と金的にクリーンヒット!!
決着打にはならずともこれは相当効いたハズ。はたしてダメージのほどは?ここからJrの反撃はあるのか?次号へ続く!


247話

ベストショット

『掌をもって球と成し防御完成す!』 炎もかき消す鉄壁の防御、廻し受けでJrの右ストレートを迎撃した独歩ちゃん
返す刀で放った必殺の双掌打は、Jrの顔面と金的を強烈に打ち抜いた・・・・・かに思えたが―

この野郎―――
この距離―――
このタイミングで―――

かわしやがった!

げに恐るべきは神の子の動体視力。そして反射神経!武神渾身の一撃はまさにギリギリのところで回避されていた
これを避けられただけでも十分すぎる驚きであったが。更に次の瞬間、独歩ちゃんは眼前で展開する光景に己が目を疑う

しかもよォ―――
この距離―――

このタイミングで―――

カウンターまで・・・・・・!




と、ここでカメラ移ってマホメド・アライ邸。相も変わらず例のスポーツ記者が質問を続けています。お前何日滞在してんだよ
「Mrアライ。これはほんの好奇心なのですが・・・教えてください
例えばジョージ・フォアマンやジョー・フレイジャーなど・・・歴史に残るような本物のヘヴィウェイト達
彼らのベストショットをクリーンヒットされたら、一体どうなるのですか?」
一流へヴィ級のボクサー達のパンチ力。そのベストショットをクリーンヒットされた場合、人間は一体どのようなダメージを被るのか?
するとスポーツ記者の問いに対し、マホメドは部屋の隅から一本の鉄パイプを持ち出して彼に手渡しました
「この鉄棒で床を思いっきり叩くんだ」
「え?これで・・・床をですか?」
「力いっぱい叩きたまえ。さもなければ私のパンチをお見舞いするよ」

突飛すぎるマホメドの要求。高そうな絨毯に傷をつけるのは気がひけますが、パンチを見舞うと言われては手も抜けません
言われるがまま、渾身の力で鉄パイプ床を叩きつける記者。
ガイィィィィィィン!!!!
ビリビリっときて、じぃーんときて。両手に走る痺れに思わず眉をしかめる記者
「どうかね?」
「ど・・・どうもこうも。シビれちゃって・・・・アハハ」
「それに似ている。本物のへヴィウェイトパンチをお見舞いされると・・・
その感覚が全身に広がるんだ」

「こ・・・これが・・・・全身にですか」
うへーすげえ。ちょっと想像してみただけでも「そんなのぜったい食らいたくねえ」と思える表現。へヴィ級パンチの恐ろしさがよくワカります
「そうだな・・・例えて言うなら・・・百万匹の蟻が足元から這い上がるような―」




はいここでカメラ戻る!どうなった独歩ちゃんVSアライJr!?ってうわーモロ!
これ以上はないというタイミングで繰り出されたJrの左は、独歩ちゃんの顎を強烈に打ち抜いていた

嗚呼・・・キレイに当てやがるな

あれとヤッたときも・・・・あれとヤッたときも・・・・

脳にダメージもらったときはいつもそうだ・・・・

こいつらが―――
這い上がってきて―――

範馬裕次郎。渋川剛気。独歩ちゃんの長い戦いの人生に「おいても、数少ない黒星をつけた男二人
彼らの前に敗北を喫したあのときも、独歩ちゃんはこの感覚を味わっていた―そう、すなわち―

足元から這い上がってくる100万匹の蟻

地面が消える

独歩ちゃん轟沈!
”神の子”アライJr、武神を完全粉砕!次号へ続く!


248話

やわらかな春の木漏れ日の下、土手に腰かけてのんびりと日向ぼっこをする若い男女二人げえー出ました
「バキくん・・・なんか・・・・私のこと見なくなったね」
刃牙&梢江様です。冒頭から恐怖のバカップルパートで幕開け。今週のバキ

249話
アプローチ

「よく見てるさ。イヤ・・・・見てるというより・・・梢江を感じてる。それじゃダメ?」
「ダメ・・・見なきゃダメ」

なんだコイツら。殺すぞ

冒頭ここまでで4ページも使ってますよ板垣先生。ぶっちゃけ正視するに耐えません。勘弁してください

「アノ・・・・チョットイイデスカ」
と、ここでバカップルに声をかける人影が。このカタコト日本語。言わずもがな渦中の男、マホメド・アライJr
今日はいつものジャンプスーツではなく、フォーマルな感じにビシッと決めてきました。普段より1.5倍ほど男前に見えます
「刃牙サン。ワタシ梢江サント結婚シマス」

いきなり刃牙本人に宣戦布告。キョトンとした表情の刃牙、次いで梢江が狂ったように笑い出す
「アハハハハハ。言うかなぁこんなトコで。アハハハハハハハ!」
ちょっと脳のほうを心配してしまいそうな笑い方ですが。流石に刃牙はムッときたようです
「アンタ・・・まさか別の目的で言ってんじゃないよな?例えば俺を怒らせるため―」
「ソノクダラナイ質問―答エネバナリマセンカ?
改メ言イマス。
梢江サンニアプローチシマス」

「バカなことを聞くな」と言わんばかりに再度繰り返すJr。1人の女に2人の男!一触即発の修羅場となるか?

しかしそれを受けて刃牙の返事は、実に意外なものでした
「いちいち俺に言うことじゃない。梢江は誰のものでもないんだ」
「え・・・?私は刃牙くんの彼女・・・」
「俺もそう思ってる。でもそれは二人の間にだけ交わされた約束で、他の異性には関係ない
誰だって梢江を好きになる。梢江は誰がイチバンかを決めたらいい
俺がダメだと思うなら・・・
梢江・・・他へ行きゃいい・・・」

ひでえ刃牙
もう少し女心ってもん考えろよ・・・・そんなこと言ってるとおまえマジで捨てられっぞ

「いいの・・・?それで・・・」
「男も女も。そういう競争の中にいる・・・・俺はそう考える」
カッコイイこと言ってるつもりなのかねコイツ存外にバカだな。最愛の女ならどんな理由つけたって他の男に渡すなよアホ
「OK。トテモフェアデス。梢江サンマタ逢イマショウ」
ニッと笑ってその場を去るJr。渋川先生と独歩ちゃんをやった事を言わないあたり、どうやら今回はまだ刃牙とやるつもりはないようです




ラスト。とあるレストラン、美味そうに焼けたステーキを豪快にむさぼる大男。あぁ・・・ここでこの人がきちゃったかー
「Mrジャック。アナタニ逢イタカッタ」

「喰い終わるまで待ってろ」
マホメドJr辻斬り旅!3人目の標的は刃牙の実兄
ジャック・ハンマーだ!
「鬼の子VS神の子」血統対決!次号へ続く!くわーお兄ちゃんも負けちゃうかー


249話

もう1人のハンマ

大皿の上の極厚ステーキにぶっすりとフォークを突き刺すジャック。右手のナイフはピクリとも動きません
そのまま直接口に運びますよ。無理やりフォークで押し込み、パクンと口を閉じる

豪快ですお兄ちゃん。ステーキひとくち喰いとはデンジャラスな特技
これを見てこのシーン↓を思い出した人は
きっと俺と同世代



「急ガセテシマッタカナ・・・?」
「いや・・・俺が勝手に急いだ。食事よりも素晴らしいことがありそうなんでな」
水を一気に飲み干し、ナプキンで口元を拭くお兄ちゃん。せっかくのステーキを急いで食ったのはこの男が待っていたからです
「ンン〜・・・・ソレはドウカナ・・・・僕にトッテハ素晴ラシイコトデハアルガネ
君にトッテ素晴ラシイカと問ワレルト・・・・・」
マホメドJr。怪獣人間のような食いっぷりを目の当たりにしても特に臆するでもなく、これからもたらされる自分の勝利を信じて疑っていません
余裕かまして椅子にふんぞり返っていると、飯を食い終えたお兄ちゃんがヌオ〜っと真正面に立ちました。うわ、こうして見るとマジでけえ!
中華料理屋で烈先生も言ってましたが、
身長2m10cm以上あるそうです。それにしてもジャックいつも飯屋に居るよな
「出ようか」




「モット広イ場所にシタカッタノダガ・・・昼は人目にツキヤスイノデ」
「十分だ」
地下駐車場か何かでしょうか。対決場所に選んだのは薄暗いコンクリートの広場。ジャックがジャンプしたら天井に頭をぶつけちゃいそう
つかジャック爪楊枝くわえてシーハーいってんですけど。あんな高級レストランに爪楊枝は置いてないよな。ラーメン屋じゃねえんだからさ
ってことは
マイ爪楊枝を携帯してんのかこの男。いったいどこのオッサンだよ。すげえぜ兄ちゃん
「君は・・・ステロイドユーザーと聞イテイルガ」
「それがどうかしたのかい?」

「イヤ・・・ステロイドを使用シタカラ手に入ル・・・・・ソンナ生易シイモノデハナイ
”最大トーナメント準優勝”の称号
時間はアル。使用スルノナラ気のスムマデ・・・・」
「聞いているぜ。ボクシングを格闘技としてアレンジしたらしいな。楽しみだ」
「ステロイドを使いたいならどうぞ」と。Jrの挑発じみた発言にブチ切れるでもなく。心底楽しそうな笑みを浮かべて走り出すジャック
くわえていた爪楊枝をプッと吐き出すと大きく右足を踏み込んだ!
食らえ渾身の左ストレート!

予想はしていたが当たんねェー!!

”ゴッ!!”

テンプルに強烈なカウンター!瞬間、瞳孔が開いて脚がくの字に折れ曲がる!
ファーストアタックでいきなり片膝をつく巨体!やはり格闘家としての技量の差は歴然だ

「ビューティフル・・・・」
しかしながらジャックの武器はこの並外れた身体能力&タフネス!このテンプルへの一撃も、普通の格闘家なら一発で昏倒です
Jrのベストショットがジャックの意識を断ち切るのが先か。それまでにジャックの攻撃がまぐれでヒットするのが先か
「神の子VS鬼の子」戦闘開始!次号へ続く!


戻る