156話

危機の源

カランコロンカランコロン。幻影の海を真っ二つに切り裂いて渡る渋川先生。シュールな絵です
それにしても解せません。行く手を阻む護身の幻。最初は巨大な門、次は大海原、そして・・・・・
立て続けに現れる障害物の幻影―柳がいかに危険な相手とはいえ
いかなる仕掛けを労して待っているとはいえ―――
これほどまでに危険な相手か!?

今度は底も見えない断崖絶壁。なんとしてでも目的地には辿り着くなと?
武器持った本部先生も暴れてますが、それにしたってここまでの危機意識というのは・・・




その頃。当の柳VS本部
電光石火の一撃で毒手を斬り落とした本部先生。すぐさま柳の足に刺さっていた刀をズシュッと引き抜く!
もんどり打って座り込んだ柳の眼前に切っ先を突きつける。勝負あり。さあ降伏宣告です
「認めるよな柳さん・・・勝負ありだ」
暫しの沈黙―だがしかし一瞬表情がこわばった柳がヒクヒクしながら口を開く












「本部さん・・・後ろ・・・」

ドッギャァ――――ン!!!(荒木風擬音)
最強オヤジきたー!!!!!
振り向いた本部先生に電撃!髪の毛がワサワサ逆立ちます
「勇次郎ォォオオオッッ!!!」
ビッ!と剣先を向けますが、これをニヤニヤしながら素手で掴み取る勇次郎
「アホウが」
ぎゅうううう・・・
ビキッ!からんからん
親指にぐぐっと力を込めただけで刃先をヘシ折ってしまいました。驚く二人を尻目に更に力を込める勇次郎
ぐぐぐぐぐ・・・
ビキッ!からんからん
なんなんでしょうかこの人は。まるでシャープペンの芯折るみたいにベキベキ刀折っちゃいました
刀から手を離した本部先生の隣をすっと通り過ぎると、柳の前に前かがみに
右手からは血ぃドクドク流し、口は半開きのまま勇次郎をオドオド見上げる柳。まるで蛇に睨まれた蛙です

そしてドスの効いた声でオーガの一言




「柳よ・・・・おめェの負けだ」

ヒュウウウウウウウウウウ・・・・・
木枯らし吹きずさむ夜の公園。突如現れた鬼は空師・柳龍光の敗北を宣言した
次号へ続く


157話

勝負とは

「柳ィ・・・・おめェの負けだ」
右足大腿部を刀で貫かれ、右手首から下を斬り落とされた柳
どっからどう見ても負け確定なんですが、突如として出現した勇次郎がそれを強く勧告します
「お逢いするのは初めてだが君の噂は何度も耳にしている・・・
日本刀をヘシ折るその握力・・・数々の逸話も信じられようというもの。流石は地上最強の生物―」

「どうだっていいんだよそんなこたァ・・・
俺が言ってるのはこの勝負おめェの負けで
それを認めるのか認めないのかってこと」




柳にとって屈辱的な負け宣告。鬼に凄まれれば首を立てに振るしかないと思われましたが、なかなかどうして肝っ玉が据わってます
暫し下を向いての沈黙のあと、ゆっくり口から出てきた言葉は・・・
「範馬さん。自他共に認める最強の称号を持つアンタだが・・・」
『言うな!殺されるぞ・・・・!』
「この勝負の勝ち負けを決めるのはアンタではない」

言っちゃったよこの人!
本部先生の心配もなんのその。「俺はまだ負けてない」とキッパリ意思表示しやがりました。マジ死ぬぞお前
しかしこれを聞いた勇次郎は意外な反応を見せます。クックックと笑いながら・・・
「聞いたか本部?俺に決める権利はねェ・・・・と


大正解だぜ」

あっと怒ってませんオーガ。むしろ柳を賞賛するような物言い。本部先生のほうが焦ってます

「勝負とはいえルールはねえ・・・ならば決着はどうつける?
双方が勝手に決めりゃいい。倒したほう倒されたほう、各々が決めりゃいい
脚を貫かれ、手をブッた斬られても本人が負けを認めなければ決着じゃない
たとえそこに立っていても・・・本人が勝ちを認めなければ決着じゃない
そんなところだろうよ。なァ本部」

決着の定義をわかりやすく説明するオーガ。本部先生は額に汗かいてますね可哀想に
そこへタイミングよく渋川先生がご到着。いくつの幻影を超えてきたやら。ふーふー息を切らしてます
「遅かったなジジイ」
「難儀するワケじゃ・・・こんな化物がおったとはな」




そんな感じでとりあえず一段落っぽく場が治まりました
大きく背伸びして目をこする勇次郎、大きなあくびを一発かまして帰ろうとします

「ねみぃ・・・喋りすぎたな・・・帰るぜ」
ってこのまま帰るかよコノヤロウ!
”バカッ”

うわああああああ柳ぃいいい!?
なんといきなり振り向いて柳をブン殴る!やはり負けを認めないその態度に腹を立てていたようです
不意打ちのオーガ裏拳をまともに食らった柳。哀れ顔面はメチャクチャ

なんかもう「手術とかしてもちゃんと治るのか?」というくらいに吹っ飛ぶ顎。鬼に逆らった罰であります
一瞬の出来事に本部センセも渋川センセも口半開きで呆然とするしかありません

「屈服しねえ以上は俺の前に立ったってこと・・・
勝手に決着つけさせてもらったぜ」


流石です親父様。問答無用の俺理論に基づき柳を瞬殺
まったくもって柳はマヌケ以外の何者でもありませんな。我を通すにも相手を見ろって話です
というわけで
柳龍光・脱落
死刑囚全滅となりました。さて次号からどんな新展開を見せてくれるか楽しみなり


158話

再会

『なにも・・・見えない』
白波打ち寄せる深夜の海岸。岸壁にぽっかりと開いた横穴の中に横たわるのは我等がアイドル死刑囚ドイル
船上で柳に襲われて海に落ちたあと、どうにか自力でここに泳ぎ着いていた模様。良かった良かった
しかしながら柳の毒はちっとやそっとの代物でなかったらしく、右目の視力は完全になくなったままの状態です
そこへジャリ・・・と足音を立てて現れた人物。ピクッと反応するドイルでしたが・・・

「Mrドイル グッドイブニング」

オリバさんだー!!!
最後の出番から実に50話ぶりくらいの登場になります。今までどこほっつき歩いてたんでしょうかこの人は
「あれからどれくらい経つのかな・・・君らを狩るためいきまいて日本にきたはいいが
どうもその後がよくねェ・・・・1人も捕まらん」

「フッ・・・で、私を逮捕しにきたワケだ・・・捕まえてみろよ。やれるものならな」
立ち上がってファイティングポーズをとるドイル。その姿を見てオリバさんがこう呟く
「・・・初めてお目にかかる。自ら捕まえられようとする逃亡者
視力がないようだな まったく」

瞬時にドイルの状態を見抜いていたオリバさん。ちぃ!といった感じで闇雲に先制パンチを打ち込むドイル!
ベシィ!パンチは顔面を捉え、葉巻を吹き飛ばしました。しかし直後でっかい手がドイルの顔面をがっしりと鷲掴み
瞼をぐっと開いて瞳を調べてみます。ふんふん・・・なるほどな。と葉巻を吐き捨てるオリバさん
「毒によるものだな」

グギュッ!!!
言うが早いか強烈にドイルを抱きしめる。無論ホモじゃありませんよ。ベアハッグですね
オリバさんの筋力でハグなんぞされたらたまったもんじゃありません。巨大な万力で締め上げられるようなものです
一発で意識を失って崩れ落ちるドイル、それを抱え上げるオリバさん。勝負ありです
『しかも猛毒・・・・』




そんな一夜が明けて・・・・朝、刃牙の家。台所で奮闘するは恐怖の女帝梢江様
愛しのダーリン刃牙のために料理をこさえているようです。新婚気取りかよこのバカップルが
「バキくんお待ちどう」
窓際の刃牙にスープ皿を持っていく梢江。それに気付いた刃牙がゆっくりとこちらを振り向く・・・
あああッ!?

病人のように痩せ細った刃牙!!
戦闘中まるでピンピンしていた刃牙でしたが、やはり毒は効いていたのです。なんてこったい
毒で衰えたワケでなく、ヤリすぎでやつれただけだったとかいうオチがついたら笑えるんですが
はたしてこの毒に対処方はあるのか?刃牙とドイルの容態が気になる
次回へ続く


159話

異様

「科学的ではありませんが・・・人体へのマイナスという点では十分すぎる物です」
警視庁総合文化病院。ドクターの隣にいるのは我等のオリバさん。ドイルの右目を侵した毒の成分を分析中
「成分表を見せてみな」
「ハァ・・・見るのはかまいませんが・・・」

見たってアンタにわかるの?という表情で成分表を差し出すドクター。ジジイめ、オリバさんの学識を知らないようですな
葉巻をくわえながら目を通すオリバさん。一目で毒の概要を読みきったようです

「ペプチド アコチニン アチシン スコポラミン・・・・なるほど
神経毒・・・塩基性有機化合物だな。触れただけで視力障害を起こすワケだ
こんなモノがもし血中に混入したら大問題だゼ」
見た目からは想像できないオリバさんのジーニアスぶり。流石です。あんぐり口を開いたままのドクターが笑えます
そして柳の毒は想像以上に強力みたい。血中に混入したらヤバイって・・・・じゃあ刃牙は!?



その頃。刃牙と梢江
先週のラスト、その尋常ならざる痩身ぶりで読者を驚かせた刃牙。愛する梢江の飯も満足に喉を通ない始末
心配する梢江は病院へ行こうと薦めますが、当の本人はヘラヘラ笑って取り合いません
「食って寝てりゃ平気だって」
「でも・・・食ってないじゃん・・・・食ってないじゃん!
うっうっ・・・・食ってないじゃん・・・・」

刃牙の身を心配して泣き崩れる梢江。刃牙も流石に神妙な顔をして目を伏せます
「うん・・・食ってないな」

梢江に言われて服を脱いでみる。あの逞しかった肉体はどこへいってしまったのか
骨と皮、というほどではありませんがアバラが浮いたその身体にチャンピオンの風貌はありません

「病院だよゥッッ!!」
勇次郎のような吹き出しで叫ぶ梢江。つーか髪も勇次郎みたいに逆立ってます
かくして病院にブチ込まれる刃牙。”刃牙入院す”の報は瞬く間に主要人物達に連絡されました
神心会、烈先生、渋川先生、そして花山さん。皆突然の話に驚きを隠せません
この連絡を入れたのは誰あろうスーパードクター鎬紅葉。どうも容態は相当思わしくない模様

そして梢江は紅葉に呼び出され、いきなり衝撃告知されます
「・・・受け止めなければいけない事なんだ」
「・・・た・・・助からないんですか・・・?」
「・・・・・率直に言おう・・・・・
今生きていることが奇跡のようなことなんだ」
ピシャ――――ン!!
展開唐突すぎ。なんかもう死ぬ寸前らしいです刃牙

愛する人が死んでしまう― その事実を受け止められずわんわん泣きながら病院を飛び出す梢江
そんな時でした。ベンチで座り込んで泣きじゃくっている梢江に声をかける謎の黒人が現れます
「スミマセン・・・お尋ねしたいのですが・・・」

この謎の男は何者?そして重体の刃牙を救う術はあるのか?オリバさんはどう動く!?
風雲急を告げる次号へ続く!


160話

危機

打ちひしがれる梢江の前に現れたのは道に迷った黒人の男。爽やか笑顔が好印象のナイスガイ
少女の涙のあとを見てハッとする黒人。ここは病院の前の公園ですし、すぐさま彼女の状況を理解します
「失礼しました・・・大変なときに声をかけてしまいました
あなたにとって大切な人が・・・・・あの中にいるのですね」

男の言葉を受けてまたじわりと涙が溢れてくる梢江。手で必死にぬぐいながら彼に謝ります
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
気丈です。本当は声を上げて泣き叫びたいでしょうに。そんな彼女に男は優しく語りかけるのでした

「あなたのその願い・・・きっと・・・きっと大切な人に届きます
これは・・・・・私が信じる神様」

「大切な人を守ってくれます。元気出してください」
そう言って人形を梢江の手に握らせる男。心優しい男ですねぇ・・・・イヤつーかさ











なにコレ?
ツッコミどころ満載の神様なんですけど
絵描き歌の「かわいいコックさん」をそのままボブ=サップにしたような妙チクリンな人形です
梢江も明らかに「なんだよコレ笑わしてくれるぜ」って顔してます。まぁ無理もありません

爽やかの笑顔を残しその場を去ろうとする男。梢江に呼び止められますが「大丈夫、私は今困ってない」と一言
「いえあの・・・聞きたいことって?」
「! OH〜・・・」

カッコよく別れようとしたまでは良かったのですが。最後にズッコケました。案外抜けてますこの男
男はばつが悪そうに梢江に目的地の場所を聞き出して去っていきました




こちらはその目的地、タケビル内にあるジム。1人の大男がトレーニングに汗を流しています
「遅いな・・・約束の時刻からもう1時間も過ぎてる・・・デイブ、今日はもう終わりにしたらどうだい」
「バカなことを言うな。ミスターに相手をしてもらえるなんて一生に何度あると思ってる
これは試合より大事なことなんだ」

大男の名はデイブ。なんか総合格闘技のチャンピオンらしいです。もちろん表の世界のチャンピオンでしょうけど
デイブの発言に驚くトレーナー。『今日来る男の名はまるで聞いたことがないが・・・それほど凄い男なのか?』
と、そこへタイミングよく「ミスター」のご到着です。梢江に道を聞いたあの男ですね
途端にビッ!と足を揃えて気をつけの体制になるデイブ。すごい。まるで北朝鮮の兵士みたいです


「ようこそミスター。貴方に会える日を夢見ていました」
「活躍してるようじゃないかデイブ」
「あなたがリングへ上がらないからです」

『あのデイブが自ら跪き・・・完全に脱帽している』
驚くトレーナー陣。それにしても現役の格闘技チャンピオンがこれほどの尊敬の意を示すとは。この黒人何者なんでしょう
早速着替えてリングに上がるミスター。手にはめたのはなんと18オンスのグローブ。座布団で殴るみたいなもんです
しかしデイブ曰く、
「それでも俺の素手の100倍は危険だがね」なんとまぁ
一体どんなパンチを打つってんでしょうかこの人。興味津々のスパーリング、是非見せてもらいましょう
「始めようか」
「失礼のないよう・・・殺すつもりでいかせてもらいます」




と、続きが楽しみでしたがここで病院へ場面転換。主要キャラ達全員集合で刃牙の容態を聞かされます
「・・・致死量を遥かに上回る毒素が打撃を通して何度も打ち込まれている
彼が体験した格闘人生の中でおそらくは最強の敵・・・
今は祈るのみです

『死ぬの!?バキくんが死ぬの!?
バキくんが 死ぬの!!?』

ギリギリと思いっきり締め上げられる神様。頑張れー。つか右下コマの梢江の顔コワイよ

最大最悪の試練が今、刃牙に襲いかかる!次号へ続く!


161話

圧倒

『デイブほどの男が”自分とは格が違う”と認めるこの男・・・!
興味深いッ この優男が一体どうやって怪物デイブと戦うのかッ!』

一部のデイブ関係者とスパーリングパートナーが見つめる緊迫感の中、ついにミスターの実力がベールを脱ぐ
総合格闘技のデイブは前傾で低く構えながら間合いを詰める。それに対し、ミスターはアップライトに構えて軽いステップを踏む
デイブ仕掛けた!牽制の左ストレートから右フックのワンツー。これをバックステップでかわすミスター
甘い!これが本命だッ!とばかりに鋭い右ハイキックを放つデイブ!
どかーん!
何ィ!?ロープまで吹っ飛ばされたのはデイブのほう!
当たるかと思われたハイキックよりも先に、ミスターの右がカウンターでヒットしたのです

『バックステップの体勢から攻撃に合わせて右ッ!
あのタフなデイブが一発ですっ飛んだ!』
トレーナー驚愕。我に返ったように起き上がったデイブ、物凄い形相でミスターを睨みつける。どうやらブチ切れたようです
踏み込んで強烈なローを放つ!・・・と見せかけ途中ストップ!そのままタックルにいく!

タイミング絶妙!その場にいた誰もが「決まる!」と思った次の瞬間!













ぼぐっ

すくい上げるようなジェットアッパー!
この一撃だけで既に意識が飛んでるっぽいデイブですが、更に右フックがトドメに入る!
ぼごぉっ!!
前のめりにぶっ倒れてジ・エンド。スパー開始から実に一分も経たないうちにKOであります

目の前ですげーモンを見せられて言葉が出ない関係者達。とりあえず聞いてみることにします
「ボクシン・・・グ?」
「ノー。これはボクシングではない」

これはボクシングじゃない、と笑って答えるミスター。じゃあ何なのさ?
次号へ続く



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