第1話

選ばれし者

ドガガガガガガガガガガ!!!!
港湾エリアのとある建物の中。全身コンバットスーツで武装した大人数の男達が謎の生物に向かってマシンガンの一斉射撃を浴びせかける
化物の名は謎の生命体
【ワーム】 男達は対ワーム組織【ZECT】所属戦闘員【ゼクトルーパー】である
だが3体のワームは次々と脱皮して更なる生命体へと進化。目にもとまらぬスピードで次々とゼクトルーパーたちを打ち倒していく
ZECTが
「クロックアップ」と呼んでいるワームの超加速能力。仮面ライダー555のアクセルフォームそのまんまです
目で追うことさえ出来ない、圧倒的スピードの前に成す術なくなくやられるゼクトルーパー部隊。善戦虚しくZECTは撤退を余儀なくされる

―今から7年前。東京・渋谷に小さな隕石が落下した。今も落下地点は瓦礫の山となったままである
ZECTの推測では、謎の生命体ワームはおそらくその時隕石と一緒にやってきた地球外生命体なのだと言う
ワームの行動理念は皆目不明であるが、彼等は意図的に人間を襲ってその命を奪う人類にとっての「敵」であり、
襲った人間の姿形はおろか記憶にいたるまで完全に写し取ってしまう
という恐ろしい擬態能力を持っている。彼等は殺した人間に成り済まし、既に多数のワームが人間社会に浸透して生活しているのだ
人類を遥かに凌駕する戦闘能力に加え、殺戮を繰り返す凶悪な習性と狡猾な知能を併せ持つ無敵の地球外生命体

地球人類はこのままワームにやられるしかないのか。ZECT指揮官・田所修一は悔しさに唇を噛み締めるのだった





翌朝。田所同様悔しさをかみ締めながら帰宅するのはZECT所属の見習いボウヤ加賀美新
朝っぱらから
チンピラに財布をすられるマヌケさを露呈するへっぽこ若造。なんともダメそうな奴です
気付いて追いかけてきた加賀美に捕まりそうになったひったくり犯は逆上。ナイフを振り回して襲い掛かってきました
そんな緊迫の場面に
豆腐を持って近づいてくる若い男。ズンズン真っ直ぐに歩いてきてまるで避けようともしません
なんとか加賀美が犯人を取り押さえて事なきをえるが、一歩間違えば凶刃の餌食になっていたところである。加賀美が怒鳴る
「なにやってるお前!どうして逃げないんだ!」
「俺は誰からの指図も受けない。俺の通る道は俺が決める
それにもうひとつ・・・下手に避ければせっかくの豆腐が崩れる」

なんでしょうかこの電波男は。唖然とする加賀美隙を見て、するりと拘束を抜けたひったくり犯人が逃走した
「第一、あんなナマクラで俺の命は奪えない。そら忘れ物だ!」
男は地面に落ちていた加賀美の財布を足先でポーンと拾い上げると、なんとそのまま
ボレーシュート!
一直線にすっとんだ財布はひったくり犯人の後頭部に命中してダウン。あまりに見事な捕り物劇に、加賀美は男の名を問う
「お、お前いったい何者だ?」
「お婆ちゃんはこう言っていた。天の道を往き、総てを司る男
俺の名は 天 道 総 司 !」
「総司」という名前自体は別に漫画やドラマの主人公じゃなくても、世間一般に割と見る名前だと思いますが
「総てを司る男!」なんて名乗られてしまうと、途端に仰々しい立派な名前に見えてきます
この天上天下男は本当にいったい何者なんでしょうか





「お兄ちゃんオッハヨー!」
「おはよう」

帰宅した総司は妹・樹花のために朝食を。例の豆腐で作られた味噌汁は一口食べて飛び跳ねるほどの美味しさです
えらい広くて高級そうな家ですが、ふたりの会話を聞く限り兄妹の二人暮らしであるようです。両親はいないのでしょうか
「でもさお兄ちゃん、毎日美味しいごはん作ってくれるのはありがたいんだけど
いい加減働くなり、学校へ行くなりしたら?

ニートかよ総司。随分資産家の家のようなので、両親の残したお金で生活してるんですな
「俺は準備が忙しいからな」
「またそれ?大体なんの準備なのよ」
「それは俺にもわからない。だからこうして待ってる・・・・でも
その時は必ず来る。必ず・・・・・」
わけのわからない返事だが、遠くを見つめる総司の視線は真剣そのもの。兄を尊敬する樹花もそれ以上の事は言わなかった
「ふーん・・・よくワカらないけどま、いいじゃんない?」
今までお兄ちゃんの言ったことが間違ってた事なんてないもんね」

樹花が登校したあと、総司はひとり自宅の地下室でトレーニング。腕立て・腹筋・懸垂、更にサンドバッグ打ち・・・
なるほどひったくり犯人を捕まえた運動神経は才能だけでなく、こうした努力によって支えられていたものでもあったようです
プロ格闘家も顔負けの練習を終え一息つくと、総司はロッカーから何やら金属製のベルトのような物を取り出し、呟いた
「お前、いつまで俺を待たせるつもりだよ」




「何なんですかコレ?」
「私達がワームに対抗しえる秘密兵器・・・その第一号よ」
「じゃあついに完成したんですね!
”マスクドライダーシステム!”」

田所達のもとにZECTの最新装備
【ライダーベルト】が到着した。ん?これは総司のベルトと同じ・・・?
「田所さんお願いします!ライダーは俺にやらせてください!」
「加賀美くん、これは親の七光りで出来るような役目じゃないのよ」
「・・・・ッ
親父は関係ありません」

親は関係ねえだろ親は!おー!?
自分にやらせてほしいという嘆願を軽くあしらう岬女史。その口から出た「親の七光り」という言葉に、中坊林太郎のような反応を示す加賀美
どうやら加賀美の父親はZECT上層部の人間のようですが、本人はそれを煩わしく思っている様子。この辺の設定はいずれ明かされるでしょう
「加賀美、ベルトの資格者は本部から送られてくる。残念だが諦めろ」
田所に窘められ、渋々納得する加賀美。「資格者」は近く本部から送られてくるという






バイクに
「ライダーベルト」(に酷似したモノ)を積んで出かける総司は、街中で謎の少女日下部ひよりと出会う
「可哀想に・・・ドコが痛いの?」
総司のバイクを見るなりそう言ったひよりは、タイヤに刺さっていた釘を見つけ出し引き抜いた。ほう、と感嘆の声を漏らす総司
「どうやら人と話すのは苦手だが、マシンと話ができるようだな」
「・・・・・」
不思議っ子ヒロインかよ
人とのコミュニケーションは苦手とするひよりですが、「機械の心が解る」というトンでもな特殊な能力を秘めているようです

そのひよりは総司と別れた後、偶然にもワームと遭遇してしまう。ワーム出現の連絡を受けたZECTは現場に急行する
移動中の司令車の中、加賀美はライダーベルトから発せられる機動音を確認する。ワームとの戦いにベルトも臨戦態勢だ
そして。そのZECT指令車とすれ違った天道も、タンクバッグに納めたライダーベルトから発せられる機動音を耳にするのだった
「やっとお目覚めか」





ゼクトルーパーらが現場到着。ひよりという民間人がいるのもかまわず、マシンガンブレードを撃ちまくるゼクトルーパー達
「ひより!?なんでこんな所にアイツが!」
驚愕の悲鳴をあげる加賀美。まだZECT駆け出しの彼は飲食店でのバイトも掛け持ちしている。ひよりはそこの同僚なのだ
そんな中ワームはアラクネアワームに変態、ゼクトルーパー達を撃破し始める。このままではひよりの命は時間の問題である
「お願いします田所さん!俺にライダーベルトを使わせてください!」
「・・・・・わかった責任は俺が取ろう。
行け加賀美!」

本部からの「資格者」はまだ到着しない。このままでは犠牲者を多数出しかねない緊急事態に、田所はベルトの使用を許可する
ベルトを腰に装着し、アラクネワームの前に颯爽と立ちはだかる加賀美。マスクドライダーシステムの力を見せつけろ!
「ワームども・・・俺はお前らを絶対に許さない!
お前らは俺が一匹残らず倒してみせるッ!」

天空にかざす右腕。すぐさま空から飛来する変身ツール
【カブトゼクター】が加賀美の掌に納まり・・・
って
納まらない!直前で方向転換したカブトゼクターがその動きを止めたのは、なんと天道総司の手の中だった
「選ばれし者は・・・俺だ!」
「お、お前あの時の・・・なんでお前がベルトを持っている!?」
「今、俺はこの手に未来を掴んだ・・・・・いや!
この一瞬のために俺は今まで生きてきた!
変・身ッ!!!!」

唖然とする加賀美の目の前で、総司は
【仮面ライダーカブト・マスクドフォーム】に変身する





戦闘開始。カブトは遠近両用武器【クナイガン】ガンモードでアラクネアワームを攻撃、これを圧倒する
しかし追い込まれたアラクネアワームはクロックアップ。例の超高速攻撃でカブトに強烈な打撃を次々と叩き込む
たちまち逆転する形勢。しかし資材置き場に吹き飛ばされた総司は、そこに置いてあったガラスや石灰の袋を見てニヤリと笑う
「やっぱりお婆ちゃんの言った通りだ
俺が望みさえすれば運命は絶えず俺に味方する!」

クナイガンでガラスや石灰袋を撃ち抜くカブト。粉々になったガラスの破片と粉塵が宙に舞うと、そこにレーザーサイトを照射!
無数のガラス片に赤外線が乱反射し、目にも留まらぬアラクネアワームの動きを
浮き彫りにする!
ヴァニラ・アイスとの戦いで砂を空中に撒き散らしたポルナレフと同じ戦法です。第1話から戦闘シーン気合入ってんなカブト
「そこだッ!」
”ドスッ!!!”
「ギイイイイオオオオオオオオオ〜ッッ!!!!」
ドッガァ――――ン!!!
眼前に迫ったアラクネワームにアックスモードの一撃が突き刺さる。身の毛もよだつ断末魔とともにワームは爆裂霧散した
爆煙に吹き飛ばされた加賀美は壁に激突して気絶。ヘッポコすぎる。ひよりは物陰からじっとカブトの姿を見守るのだった
やがて、そのカブトの周囲を大人数のゼクトルーパーと、田所、岬が取り囲む
脅威のパワー【マスクドライダーシステム】!
そして謎の青年天道総司は何故ライダーベルトを所持していたのか!?

「仮面ライダーカブト」第2話へ続く!


第2話

カブト・キャストオフ

「やるじゃないか加賀美。初めての戦闘でたいしたものだ・・・・むっ?
お前・・・加賀美じゃないな。いったい何者だ!」
アラクネアワームを倒したカブトマスクドフォームだが、加賀美の変身体でないことがわかると田所らは緊張する
ゼクトルーパー達もマシンガンを突きつけ身構えるが、カブトは素早くその場をトンズラ。どこかへと姿を消してしまう

その翌朝。妹の樹花に朝食を作ってやりつつ新聞を確認する総司だったが、昨日の事件は一行も出ていない
「なるほど。あれくらいのもみ消しは朝飯前か。随分と力のある組織らしい」
総司はZECTに興味を抱き、これを独自に調査することを決める


「じゃあ貴方は変身した人間を知っているのね?」
「知ってるっていうか一度遭ったことがあるだけなんですが。とにかく変な奴なんです」
ZECT以外の人間にライダーになる資格はない。田所は加賀美と岬にカブトに変身した男を探し出すよう指示を出す
見つけ出してZECTに引き入れるのか?加賀美の問いに、岬は「使える奴ならその可能性も有る」とだけ応える
「問題はZECT入りを拒否した場合ね。抹殺しなければならなくなるかも」
「そ、そんな事が許されるんですか?この現代に・・・法治国家のこの日本で?」
加賀美はZECTの強大な力を改めて実感し、その恐ろしさにネクタイをぎゅっと締めなおすのだった





「ここか・・・」
ひより(と加賀美)のアルバイト先である小さなレストラン、【ビストロ・サル】へとやってきた総司
ちょうど店の中では、マナーの悪い外人客の3人組がひよりの態度に食ってかかっている所でした
総司は持ち前の腕っぷしで3人組を店から放り出すと、なんと
フランス語で決め台詞を
「恥を知れ。消えうせろ」(フランス語で)
意外にも喧嘩だけが取り得でなかった文武両道マン。
お前は剣桃太郎か
無愛想にメニューを差し出したひよりに、総司はメニューも見ずにとんでもないオーダーを入れる
「サバ味噌」
「そんなのメニューにない。ここはレストランだよ」
「俺の鼻は誤魔化せない。おそらくまかないで作ったヤツだ」

お前は海原雄山か味皇か。厨房から僅かに匂った香りに反応したようです

店主の弓子がクックックと笑いながらにひよりにサバ味噌を出させる。一口食べると、ひよりの料理の腕を絶賛する総司
「ほう・・・赤味噌、白味噌に加え信州味噌もブレンドしてるな
人の作った料理を食べてこの言葉を口にするのはお婆ちゃん以来2人目だ。
美味い」

「・・・・変なヤツだなお前」
「ひよりと言ったか。客に向かってお前呼ばわりはよくないな」
「・・・・じゃあなんて呼べばいいんだ?」

「フッ お婆ちゃんはこう言っていた。天の道を往き・・・」
「おはよーございまーす!・・・あっお前は!」

総司が例の自己紹介をやろうとした瞬間、店のドアが開いて元気よく加賀美が入ってきた
ひよりのサバ味噌を食べたかったらしいが、総司に食われたと聞いてガックリと落ち込んでいます
「よォ、お前を待ってたんだ。ZECTという組織について教えてくれ」





総司を外へ連れ出した加賀美は、自分たちは平和のためにワームと戦っていると懸命にアピールする
が。総司は加賀美がまだペーペーで組織のことを詳しく知らないことを看破し、「信用できないな」と一蹴する
ZECT入りを拒めば総司は抹殺されかねない。ZECTに入ってほしいと頭を下げる加賀美に、総司は背中を向けて言う
「いいぜ。お前等が俺の下につくならな。俺が一番強いんだから当然だろう?」
「なっ・・・俺はお前の為を思って言ってやってるんだぞ!」
「ああそうだな。おかげでZECTって組織の事が少しだけわかったよ
逆らえば俺は殺される。ZECTはそういう組織だ」

加賀美の態度から、ZECTが自分を付けねらっていることを感じ取った総司。頭が良いキャラは説明が少なくて楽でいいな
悠然と去っていく総司の後姿を見つめる加賀美。その後を見知らぬ男がついていくのが僅かに視界に入った

一方その頃。ZECT本部から送られてくるハズだったライダーシステムの「資格者」がワームに殺害された
いかな選ばれたエリートとて、変身前の生身を狙われてはひととまりもない。そしてワームはそれだけ知能が高いという事である
そして。現場に到着して資格者の遺体を見た加賀美は、その男がさっき総司の後をつけていた男であることに気づいた
『じゃあアレは・・・・・ッ 天道が危ない!』
加賀美は資格者に渡されるハズだったライダー専用マシン
【カブトエクステンダー】に飛び乗りエンジンを回す
岬が止めるのも聞かず、天道に危機を知らせるためにへ急行するのだった





案の定、総司は地下に入った瞬間ワームに襲われていた。しかし総司は微塵たりとも動じない
「お前等の考えてることは解ってる。この閉鎖空間では俺は変身できない
だからここなら勝てると踏んだんだろう?だがな・・・

お前等は俺の力を侮っている

俺が『来い』と心の中で思いさえすれば、ヤツは来る!」

加賀美が建物に到着したとき、既に屋外には多数の下級ワームの姿が。今度こそ!とベルトを装着して腕を天に伸ばす加賀見
「今度こそ変身してやる!俺のもとへ来いカブトゼクター!」
しかし天空から現れたカブトゼクターは今回も加賀美をすり抜け、地面へと激突。ドリルのように地中を突き進む!
”バシィッ!!”
「なぜなら俺は・・・選ばれし者だからだ!変身ッ!」
最高のタイミングで総司の手へ納まるカブトゼクター。
変身!カブト・マスクドフォーム!




変身した総司は下級ワームに襲われていた加賀見を救出するが、クロックアップしたアラクネアワームに攻撃を浴びてしまう
「天道!ライダーシステムにはクロックアップに対抗するシステムがあるはずだ!それを探せ!」
「知ってるよ」
「え?」
「悪いがベルトとは長い付き合いでね。この姿のままどこまで闘えるか試していただけさ
・・・・・・・キャスト・オフ」

「クロックアップシステムを探せ」という加賀見に対し、なんと総て把握していると返答する総司。ベルトのレバーに手がかかる
『キャスト・オフ』
カブトの全身が光り輝き。その外部装甲が吹き飛ばされる。マスクドフォームはパワーと防御力に重点を置いた形態なのだ
カブトホーンがゆっくりと持ち上がり、額の部分にガチリとはまる。2段変身!
カブト・ライダーフォーム!
「クロックアップ」
『クロックアップ』

”シュゴォオッ”
ドッゴォ――――ン!!!
加賀見の目には捉えることの出来ないスピードで、たちまちアラクネアワームを一匹撃破するカブト
クロックアップしたカブトはワーム同様、人間を遥かに凌駕する超高速で活動することが可能となるのだ!
最後の一匹が逃走するも、これをカブトエクステンダーで追走すると特撮モノお約束の
必殺技を披露する
「ライダー・・・・・キック!」
『ライダーキック』

「ハァッッ!!!!」
ぶおん!シュカァン!!!!
ドッゴォォオ――――ン!!!
背後から襲い掛かったアラクネワーム。振り向きざまに放ったカブトの廻し蹴りは一撃でこれを斬り裂いた
そう、35周年ライダーカブトのライダーキックは、歴代ライダーと同じ飛び蹴りではなく
廻し蹴りです
まさに
「蹴り飛ばした」ではなく「斬り裂いた」と表現するのが相応しいキレ味である
アラクネワームが爆発し、炎の中ゆっくりと天空を指差すカブト。まさに今まで類を見ない天上天下ライダーです





カブトの活躍でワームが撃退された頃。薄暗い部屋で2人の男が不気味な相談をしていた
「そうかカブトがな・・・・いよいよ動き出したか」
「しかし我々ZECTに属さない者がライダーになることは許されません」
「ふむ・・・
キミは梟は好きかね?アレは獲物が暗闇の中に隠れていても
どんなに息を殺して身を潜めていようとも、その鋭い爪で一撃で仕留める
・・・・・大したものだとは思わんかね?」
「はっ・・・・必ずや見つけ出してごらんにいれます」

若い男の返答に、満足そうに頷く壮年の男。2人の男達の思惑と?ZECTに真の正義はあるのか?

『仮面ライダーカブト』第3話へ続く!


第3話

世界の中心

ライダー専用マシンであるカブトエクステンダーを持ち出しながら、それをカブトに奪われてしまった加賀美
失態に激怒した岬は加賀美に強烈なビンタを見舞うと、吐き捨てるように冷たく言い放つのだった
「ふざけないで。あなたにZECTのメンバーはつとまらないわ」

一方その頃、新たなワーム、ランピリスワームが出現。警官に襲い掛かり命を奪うと、その警官に擬態した
その現場を運悪く目撃してしまった女性・ユキ。「特捜戦隊デカレンジャー」ウメコ役
菊池美香です
ランピリスワームはユキ擬態し彼女を殺そうとしますが、そこにパトカーのサイレンとともに警官隊が到着
見詰め合う2人のユキ。片方のユキがもう一人を捕まえようとするが、髪留めを取られ髪をほどかれたまま逃走
「ちょっ・・・これは違うの!私じゃないの!犯人はもう1人の私なの!」
髪をアップにしたほうのユキが現場に取り残され、警官隊に逮捕されるのだった




岬の辛辣な言葉にショックを受けた加賀美は、悶々としながらもバイト先のビストロ・サルで仕事に励む
どんよりオーラを背負った彼の目の前に、気を利かせたひよりが例のまかないのサバ味噌を出してくれた
「ひより!このサバ味噌は・・・・?」
「・・・・食べないならさげるけど?」
「食う食う!食うよ!
いやー、やっとひよりのサバ味噌が食える
ひより、今度お礼に
最高級のサバをプレゼントするからな」

「だったら松輪鯖だな。別名『黄金の鯖』とも呼ばれる一級品だ
ついでに俺にも買ってもらおうか」

「天道!なんで俺がお前に鯖買ってやらなきゃいけないんだよ」
大喜びの加賀美の前に、突然総司が現れた。「もとはと言えばこいつのせいで・・・」天敵の出現に加賀美はイライラ
「ひより、サバ味噌もうひとつ追加だ」
「あーっ!なに俺のサバ味噌勝手に食ってんだよ!」
「あさましい声で叫ぶな。すぐにもうひとつ出来るだろうが」

加賀見の隙をついて総司はサバ味噌をパクパク。「代わりがすぐくる」と激昂する加賀見をたしなめる総司だったが・・・
「ゴメン。いま冷蔵庫見たらサバ切らしてた」
「ええ――――っ!?そんなぁ!」
空っぽになった皿にすがりつき、半泣きで頭を抱える加賀美であった


「喜べ。とりあえずお前等の仲間になってやる」
「ほ、本当か?」

ワームの情報を得る為、総司は
とりあえずの協力を受け入れた
だが、あくまで総司にとってZECTと自分を繋ぐ窓口は加賀見個人であり、他の構成員に会うつもりはないらしい
逆らえば殺されるかもしれないという過激な秘密組織ZECT。この総司の判断は正しいと言えます
7年前の隕石落下を契機にワームが現れるようになった事、ワームが人間に擬態し、日常生活を営んでいる事・・・
加賀美からワームの情報を聞き出した総司はほほう、と頷き、冗談まじりにこう言いました
「じゃあ今こうして話しているお前も本物じゃないかもしれないな」
「よしてくれ!俺はアイツらを・・・ワームを絶対に許さない!
アイツらは俺が一匹残らず倒してやる!!」

ワームに対して異常なまでの怒りを見せる加賀見。、どうやら彼の過去にはワームを原因とする何かがあるようです






ユキの一件がZECTに報告された。田所の命令で岬は留置所のユキを、加賀美は逃げたユキを調査することに
留置場ユキから事情を聞く岬。「私はセレブになりたいのー!」と泣き叫ぶ彼女はどうやら本物のようだが・・・?
一方、加賀美は街中で髪を下ろしたユキを発見。しかし尾行を気づかれてしまい、あわてて後を追おうとした加賀美
と、その時。予想していなかった人間とすれ違い、その動きが止まってしまった
「いまのは・・・・・亮!?」
その人物に気をとられている間にユキを見失ってしまう加賀美。そんな彼の前にグッドタイミングで総司が現れた
「松輪鯖はまだか?」
「天道!そんなことよりこっちを手伝ってくれ」
事情を聞いた総司は逃げたユキを探そうとはせず、加賀見とともにユキが留置されている警察署へ向かった
『2人の目撃者を泳がせておけば、どちらかが片方を殺そうとするはず・・・
殺そうとする方がワームだ』
確かに総司の言う通りなのだが、だからと言って留置場から容疑者を勝手に出すというのはZECTでの力でも難しい・・
って
堂々と真正面から警察署に入っていきました。スゲー

「ばっ、おい天道やばいって!いくらなんでも無茶だ!」
加賀美の制止もなんのその。看守を跳ね飛ばし、留置場までやってきた総司は岬の目の前でユキを連れて出て行く
「あなた・・・何者なの?」
「フッ・・・総てを司る男!」
出た。問答無用の自己紹介。圧倒的な自信と存在感に岬は何も言い返せません





取り押さえようとする警官達を、ユキの手を引きながら香港映画のようなアクションで翻弄する総司
殿役の加賀美を犠牲にして強引に警察署を出た天道は、その場でユキを解放
「あとの事は何も気にしなくていい。アンタは早くここから逃げろ」
やがてほうほうの体で逃げてきた加賀美と合流し、逃がしたユキを尾行する

大事なデートの相手が待つ遊園地へ向かうユキ。ちなみに恋人役は「仮面ライダー555」草加雅人役村上幸平
まぁ菊池美香と同じで一回こっきりのゲスト出演ですが。今後も特撮系のゲストは出るんでしょうか。楽しみです
そこにやってくるもう一人のユキ。さあ果たしてワームが化けているのはどちらのユキなのか?
「なるほどな・・・やはりお前のほうがワームだったか!」
2人のやりとりを見、街中で見かけたほうのユキをワームと判断した加賀見が銃を構える。しかし・・・
「どけ。変身!」
ランピリスワームへと変貌したのは留置所から逃がしたほうのユキ。加賀見を突き飛ばし、総司はカブトへと変身する
『クロックアップ』
クロックアップしたランピリスワームに対抗し、カブトもすぐにキャストオフ。ライダーフォームになってこれを迎え撃つ
遊園地の乗り物を
バカスカ破壊しながら超高速戦闘を繰り広げるカブトとランピリスワーム
これだけ暴れながらも常に周囲には細心の注意を払い、怪我人を1人も出していないところが総司の凄さです
『ライダーキック』
ぶおん!シュガァッ!
ばごぉお―――――ん!!!

最後はライダーキック一閃。ランピリスワームは戦闘シーンで特に魅せ場もなく粉々に打ち砕かれるのだった





「あのワームはお前が倒したことにしておけ」
「なんだよそれ・・・俺に同情してんのか?」
「お前は大事な情報源だ。失態続きでZECTをクビになると俺が困る」

総司にも人並みの気遣いが出来るのか、と思いきや、加賀美がZECTを解雇されると自分に都合が悪いからとの返事
「はん、そういうことか。まったくお前ってヤツは自分中心だな」
「それはちょっと違うな。俺が世界の中心なのさ
お婆ちゃんはこう言っていた・・・”世界は自分を中心に回っている”
そう思えば人生は楽しいって」
有無を言わせぬ総司の言葉。あきれる加賀美だったが、その時彼の視界に再び一人の青年の姿が飛び込んできた
「亮ぉッ!!」
大声で叫び、青年の後を追いかける加賀見。一人残された総司はやれやれ、といった面持ちで溜息をつく
「人気者はツライな・・・飯を食う暇もない」
いつの間に接近を許したのか。総司の背後に新たなワームが出現していた。変身!カブトマクスドフォーム!
襲いかかってきたワームをクナイガンで真っ二つに切り裂くカブト。しかし”斬った”と思ったのは実は脱皮!
中から現れた飛行形態のワームが空中から襲ってきたところで
次週へ続く!


第4話

兄弟

ある朝、ビストロ・サルに覚えのない大量の冷凍便が送られてきた。宛て先はたしかに「加賀美新」とある
事態を飲み込め、加賀実とひよりがず目を白黒させているところに、総司の妹・樹花が店に入ってきた
「こんにちはー!ビストロ・サルってここですよね?
お兄ちゃんに言われて松輪鯖取りにきました」
「て、天道・・・・あのヤロ・・・」

冷凍便の正体は例の
松輪鯖。総司が勝手に頼んだものらしい。しかも払いは加賀実で
結局、樹花に言われるまま天道家に鯖を運んできた加賀美。早速総司がサバ味噌を振舞ってくれるという
「へぇ、お前自分で料理なんかするのか?」
「お兄ちゃんの料理の腕前はプロ並みなんだから!」
「フッ、それは違うぞ樹花。
プロ以上だ」

「”お兄ちゃん”か・・・懐かしい響きだな」
「ほう。お前にも妹がいるのか?」
「いや・・・・・弟さ」

仲のいい天道兄妹に、思わず自分の弟に思いをはせる加賀実。その顔がふと曇ったところを総司は見逃さなかった

「うめ!なんだこれ!?こんな美味いサバ味噌初めて食った!」
「むう・・・だがまだひよりのサバ味噌と比べると何かが足りん・・・」

総司の絶品サバ味噌に歓喜する加賀美だったが、「ひより」の言葉に今日がバイト日だったことを思い出す
大慌てで帰ろうとする加賀美を引き止めた樹花は、「お兄ちゃんの初めてのお友達だから。また来てね」と指切りするのだった





「ひより、加賀美には弟がいるそうだが・・・何か知らないか?」
「・・・・ある日突然消えたそうだよ。2年前に」
加賀美のことが気になった総司はサルへ鯖を届けついでに、ひよりから事情を聞く。聞けば2年前に突然失踪したとの事

2年前。加賀美の弟・亮は投手として甲子園を目指していたが、肩を壊してしまい野球をあきらめようとしていた
絶望してボールとグローブを燃やそうとした亮を加賀美は叱咤激励し、燃えかけた焦げボールを手渡し約束させたのだった
「ピッチャーじゃなくても野球はできる!諦めるな亮!」
「ううっ、わかったよ兄ちゃん・・・俺、野球続けてみるよ」

涙とともに固く取り合った両手。しかし亮はある日突如として姿を消した。現場にズタズタに引き裂かれた帽子を残して・・・・

「やぁ。久しぶりだね兄ちゃん」
「亮お前・・・本当に亮なのか・・・」
その亮が。この日
加賀美の前に現れた。懐かしげに話す亮に加賀美は思い切って言葉をかける
「今までどうしてたんだ。俺はてっきりワームにやられたのかと
「ワーム?なんだいそれ?」
そんな兄の言葉を笑い飛ばした亮は、幼い頃2人でキャッチボールをした思い出や、加賀美が甲子園に出場した事まで語り始める
甲子園出場ピッチャーだったのかよ加賀美。人は見かけによらないな
「ほら、このボールだって今も俺の宝物さ」
そう言って上着のポケットから出したのは、あの時の焦げた野球ボールだった
「亮だ!本当の弟に間違いない!」確信した加賀美。今は互いに時間がないので、明日思い出の球場でもう一度会う約束をする





「おお天道!ひより!明日はパーティーだパーティー!
聞いてくれ!弟が帰ってきたんだよ!」
浮かれトンチキになってサルへ戻ってきた加賀美。しかし2年間音信不通だった弟が突然現れるなんてどうも腑に落ちません
一抹の不安を感じた総司はその夜岬に近づいて助言を送る。ってなんで居場所知ってんだろう総司。この辺はご都合だなぁ
「あなた・・・・あの時の!」
「失踪していた加賀美の弟が現れた。ワームの擬態かもしれん。ZECTの力で調べてやれ」
「どうしてそんな事を・・・いったい何者なの?ちょっ!待ちなさい!」

総司の言葉通り、調査の結果岬らは亮がワームの擬態である可能性が高いことを掴む
その事実を突きつけられた挙句、調査からも身内だからと外される加賀美。食い下がるが聞き入れてもらえない
「お前は弟の顔をしたワームをその銃で撃てるのか?」

「天道!なんで勝手な事を言った!あの亮は間違いなく本物だ!」
「もしワームだったらどうする?」
「そのときはッ!・・・・俺が・・・自分でケリをつける」

総司に怒りをぶつけた加賀美は、もしも亮がワームだったら自分が仕留めると宣言するのだった





「兄ちゃん・・これはいったいどういうことなんだい?」
昨日の約束通り思い出の球場で亮と再会した加賀美だったが、そこに現れたゼクトルーパー達が亮を包囲する
今にも発砲しようとするゼクトルーパーを制して亮を庇う加賀美。しかし真実はあまりにも残酷であった
その背後で「亮だったモノ」が正体を現す
擬態解除・ベルクリケタスワーム
先週のラストで総司に襲い掛かった飛行型のワームです
どこからともなく下級ワームを呼び寄せ、ゼクトルーパー達を撃退するベルクリケタスワーム
裏切られた淡い希望。押し寄せる絶望
弟・亮はやはり2年前にワームに殺されていたのだ。加賀美は怒りに震える手で銃口を向ける

「チクショウ!お前が・・・・ッお前が亮を殺したのか!!
なんでだ!なんでお前が俺達の思い出を知っていた!」

「人間に擬態するとね・・・その記憶も完全に写し取れるんだ
だからさ、俺は亮そのものなんだよ兄ちゃん
その引き金・・・まさか引いたりしないよね?俺が死んだら・・・
俺の中の二人の思い出も一緒に消えてしまうよ」
亮の記憶を持つ自分は亮そのものだというベルクリケタス。「亮」の言葉で巧みに兄を言いくるめようとする
ワーム素で怖いな。平成ライダーの怪人達は軒並み知能の低いバケモノばかりでしたが
このワームという連中は、人間の感情を理解する高い知能を持ち、それを武器として使う狡猾さを備えてます
「ホラ兄ちゃん・・・俺の仲間が兄ちゃんに擬態したいって言ってる
でも何も怖がることはないよ。兄ちゃんが死んでもその記憶はワームの中で生き続ける
俺と同じになるだけさ。昔みたいに一緒に野球やろうよ」

催眠術のように甘い口調で話しかける”亮の姿”。加賀美が思わず銃を下ろしかけたまさにその時、あの口上が聞こえた





「お婆ちゃんが言っていた・・・人は人を愛すると弱くなる
だが恥ずかしがることはない。それは本当の弱さじゃないから
弱さを知ってる人間だけが
本当に強くなれるんだ!

『変身』
変身・カブトマスクドフォーム!束になってかかってくる下級ワームをものの数秒で全滅させる圧倒的な強さ
しかし何故かベルクリケタスワームに対しては無抵抗にやられるがまま。そう、総司は加賀美の覚悟を待っていた
「決めるのはお前だ」と

「兄ちゃん・・・まさか俺を殺したりしないよねぇ?」
「もう・・・・ッやめてくれ・・・!」
弟の声で話しかけるベルクリケタス。加賀美は涙を流しながらブンブンと頭を振る
いくらバケモノだとはわかっていても。その顔も、声も、口調も、そして語る二人の思い出も。紛れもなく弟のもの
ベルクリケタスがカブトに向かって疾走したその時。加賀美は天を仰いで悲痛に叫んだ
「カブトォ―――ッッ!頼む!!」
「・・・・キャストオフ」
ライダーフォーム・キャストオフ!加賀美の涙を受け取り、総司はその身を超高速の戦士と化す
『クロックアップ』
降り出した雨粒が空中で静止する。その水玉をパシャパシャとはじきながら戦うカブトの姿はなにやら幻想的です
って
映画「HERO」そのまんまの演出だ!
この映像が撮りたくて雨のシーンにしたんだろうなぁ
銀色の雫をはじき飛ばしながら戦う2体。空中からの体当たりで勝負を決めようとしたベルクリケタスにカブトが狙いを定める
「ライダーキック」
ぶおん!しゅがぁっ!





『クロックオーバー』

通常に流れ出す時間。勢いをましてきた雨が、ヨロヨロと起き上がったベルクリケタスワームに降りそそぐ
その震える右手を加賀美に向けて伸ばし、ベルクリケタスは最後にこう言った
「兄・・・・ちゃ・・・・」
ボガ―――――――ン!!!
そして大爆発。変身を解いた総司はマウンドに膝をついて泣き崩れる加賀美に目をやった
弟を殺したワームを自分の手で倒せなかった口惜しさ。最後に聞いた弟の言葉。溢れる涙は止まらない
「うっうっ・・・天道ぉ・・・・俺は・・・・俺はァ!
俺はいつかお前を越えてやる!」

嗚咽しながらそう言い放つ加賀美に。総司は言葉の代わりに焼け焦げたボールを拾いあげ、投げ返すのだった
次週へ続く!


第5話

カブト捕獲作戦

単独行動で総司を尾行する岬。するとそれを阻止するかのように1人の男が彼女の前に現れた
「既に本部がカブト捕獲作戦を展開しています。貴女は邪魔をしないでいただきたい」
出ました
小川敦史さん。からくり屋敷住人には今更説明の必要もありませんが
あの超光戦士シャンゼリオンの
黒岩省吾東京都知事を演じた俳優さん。言わば特撮のカリスマです
アギトの津上翔一(本物)役や、555の悪役・南なども演じているので平成ライダーシリーズは3度目の出演となります
本部主導のカブト捕獲作戦に協力して欲しいと言う男・
東省吾。岬は言われるがまま、その軍門に下るのだった
おいおい名前ガウザーそのまんまかよ

ドガガガガガガガガガガガガ!!
「よしいけるぞ!クロックアップする前に仕留めろ!」
新たなワーム・エピラクナワームが現れた。現場へ駆けつけたゼクトルーパー部隊はこれをあと一歩のところまで追い詰める
しかしその時、田所達とは別のZECT指令車が戦闘現場に割って入り、ゼクトルーパーの攻撃をさえぎってしまう。東の指令車だ
「こちらは本部の指示で動いています。ワームへの攻撃を中止してください」
「その声・・・岬か?これはどういうことだ?何故お前はそっちにいる」
「お答えできません。すみませんが今は別行動をとらせていただきます」

指令車の応答は岬の声。本部がどういうつもりかは知らないが、ワームへの攻撃を中止せよと言う
問いただす田所に岬は、今回はカブト捕獲のため別行動をとると冷たく言い放つのだった。
この女殴りてえ





「相変わらず下手な字だな」
「オヤジ・・・・」

弟を失い、すっかり元気をなくした加賀美。サルでアルバイト中の彼の前に、父親である陸がやってきた
ZECT上層部の立場にいる陸であるが、どうやら息子がそのZECTに所属していることは知らない模様
いい歳していつまでもフリーターを続ける息子を説教しに来たようです
「亮がいなくなった今、お前がしっかりしないとダメだろう」
「俺はしっかりやってるよ。オヤジこそ・・・亮がいなくなった時何もしなかったクセに」
「・・・・しなかったんじゃない。
出来なかったんだ」

父に敵意剥き出しの視線を向ける加賀美。弟の亮が失踪したとき、陸が何もしなかった事がこの父子の確執らしい
「あぁ、そうだろうさ。息子が家出したなんて知れたらアンタのご立派な経歴に傷がつくもんな
・・・・用がないならさっさと帰ってくれ!」

吐き捨てるようにそう言うと、それっきり目を合わせようともしない加賀美。どうやら両者の溝はかなり深いようです


一方、総司の家を訪ねたひよりはひょんなことから天道家で料理を作ることに。メニューは樹花の好きなポトフだ
ひよりがキッチンに立っている間、偶然彼女の描いた渋谷隕石の絵を見つけた樹花はそれを聞いてみる
「これって・・・・渋谷隕石だよね。ひよりさんもあの時現場にいたの?」
樹花の質問に答えるように、7年前の思い出を話し始めるひより
突然の衝撃。崩れ落ちるビル。瓦礫の中に閉じ込められた自分。力を振り絞って必死に叫んだ助けの言葉
『お父さんお母さん!ひよりはここだよ!』
「バカだよね・・・その時・・・お父さんもお母さんも既にこの世にはいなかったのに」
そう、ひよりは渋谷隕石で両親を失ったのだ。彼女の悲しい過去を知った総司は、何気ない言葉で元気づけるのだった
「そんなことはない。ひよりの言葉はきっとお父さんとお母さんに届いたはずだ」





「あの人を見殺しにするっていうの?」
「すべてはカブト捕獲のためです。仕方ありません」

切羽詰った表情で東に食って掛かる岬。それを何とも思っていないような冷めきった目で聞き流す東
東のカブト捕獲作戦は
あえてワームに人間を襲わせカブトをおびき出すという短絡的な物だった
さすがの岬も目の前で人間が殺される現実にモニターから目を逸らす。つまるところZECTは
こういう組織なのだ
一方、ワーム出現にも動こうとしない田所に激怒する加賀美。肩を揺さぶって詰め寄るものの、田所は動かない
「・・・・本部の命令は絶対だ」
この人は岬と違い、人間の血が通った男だと思ってましたが
所詮は社蓄。やはり上には逆らえないようです

「聞いてくれ天道!最近報道されてる連続怪死事件だが・・・」
「あぁ、ワームだな。しかもZECTは意図的にこの情報を操作していない
何を考えているかは知らんが今は手を出さないほうがいいだろう」

直属の上司が頼りにならないので総司に協力を仰ぎにきた加賀美。しかしその総司もまたストイックな反応を示す
ZECTの狙いはおそらくカブトの捕獲だ。ならばホイホイと連中の前に姿を現すのは得策ではない。しかし・・・
「手を出さないほうがいい、だと・・・?見損なったぞ天道!
お前なんかを頼りにした俺がバカだったよ!」

どこまでも熱血バカな加賀美は当然納得できるハズもなく。「1人でもやってやらー!」と叫んで飛び出してしまう

サルへやってきた総司。ひよりがチューリップが好きなことを知り、開催中の「世界の花の展覧会」へ行こうと誘う
「ボクは無理だよ・・・人ごみが苦手だから」
「大丈夫だ、俺が傍にいる。待ち合わせは4時に東京タワーの下でいいな?」

人ごみが嫌いだからと一旦は断るひより。しかし総司は
ホストっぽい笑顔でなんとも優しげな言葉を
水嶋ヒロのようなイケメンにそう言われてときめかない女はいません。ひよりは悩んだ末、約束を承諾するのでした





再び街中に出現するエピラクナワーム。今まさにその毒牙にかかろうという罪もない女性
しかしカブト捕獲作戦を自分の使命と考えている東は静観を決め込む。この男に人間の血は流れていないのか
が、その時エピラクナワームに単独で立ち向かう男の姿!我等のヘッポコ熱血漢・加賀美新だ
「加賀美くん!」
「何ですか彼は・・・余計な真似をしてくれますね」

女性を逃がし、拳銃で立ち向かう加賀美だったが所詮はかなう相手ではない。あっという間に追い詰められる
加賀美の命を奪わんと伸びる触手。しかしそれは寸前でカブトゼクターによって断ち切られていた
猛スピードでつっ込んできたカブトエクステンダーはそのままエピラクナに
轢き逃げアタック!
降り立った総司はカブトマスクドフォームに変身、東らがいる前でエピラクナワームとの戦いを展開する

「カブトを補足しろ。決して見失うな!」
細身ながら、地球上の生物とは一線を画した怪力で自動車を持ち上げるエピラクナ。そのままカブトへぶん投げる!
眼前に迫る自動車を見据え、カブトは右に左に避けようとはせず、目にも留まらぬ速度でクナイガンを抜き放つ
ズパァアアアアアン!
縦一文字に放った斬撃は
自動車を羊羹のように一刀両断。クナイガン切れ味スゲー
高層駐車場から落下していく鉄塊とともに、カブトとエピラクナも地上に向けて飛び降りる
『クロックアップ』
キャストオフしたカブトは落下する自動車に飛び乗って地上へ着地。そのまま圧倒的な強さでエピラクナを追い詰める
バコッ!『3』ベキッ!『2』ガスッ!『1』
「ライダー・・・・キック!」
ばおんッッ!!!





『クロックオーバー』
ズガァン!ドゴォン!ばごーん!!
流れ出す時間。落下した自動車の爆発と同時にエピラクナも肉体も砕け散る!
あの
西武警察を彷彿とさせるなかなか派手な爆発演出です
変身を解除した総司は東京タワーの下、一人心細げに待つひよりのもとへとバイクを走らせる
しかし、そんな総司の行く手を阻むにZECT指令車。押し寄せたゼクトルーパー達にあっというまに包囲されてしまう
ここは抵抗しても無駄だと悟った総司はあえてヘルメットをとり、東と岬の前でその素顔を晒すのだった

「・・・・・傍に居てくれるんじゃなかったのかよ・・・天道・・・」
そして。約束の時間になっても現れない総司をひたすら待つ健気なひよりであったが
長時間の苦手な人ごみはさすがに耐え切れず、意識を失って倒れてしまうのだった
身柄を捕獲された総司どうなるのか?ひよりの安否は?次週へ続く!


第6話

世界で1つだけの花

「キミは彼の友人だそうだね。さあ、ベルトを渡してもらおうか?」
ゼクトルーパー部隊に拘束されてしまった総司。駆けつけた加賀美は助けようとするが、東はその加賀美に銃を突きつける
閣下ナイス悪。こんなんハマリ役です
「俺は友人じゃないから無駄だ」と言う加賀美だったが、総司はおとなしくベルトを差し出しZECTに連行されてしまう
総司が危惧していた「ZECTの企み」とはこのことだったのか。己の先走りを後悔する加賀美に、総司は伝言を残すのだった
「加賀美、俺の代わりに東京タワーに行ってくれ」

タワーへ向かった加賀美は警備員から声をかけられる。ひよりは人混みの中倒れてしまい、警備員室で休んでいたらしい
「・・・・加賀美か。アイツはやっぱり来なかったんだな」
「スマンひより。天道の奴はどうしても外せない用事があって・・・」
「嘘はつかなくていいよ。ボクと出かけるのが嫌になったんだろ」

「あいつは嘘をつくようなヤツじゃない」と必死に総司を擁護する加賀美だが、怒り心頭のひよりはまるで聞く気なし
元はと言えば自分の軽率な行動のせいなのに・・・・加賀美は自らを激しく責め、小さく呟くのだった
「違うんだひより・・・嘘をついているのは天道じゃなくて俺なんだ」




「答えなさい。カブトの正体はあなたなのね?」
「愚問だな。太陽に向かって「あなたは太陽ですか」と聞くか?」
「・・・どうしてあなたはベルトを持っていたの?」
「それも愚問だ。太陽に向かって「なぜ輝くのですか」と聞くか?」
岬による総司の尋問が始まった。しかし
例によって炸裂する天道語録の数々
「尋問と言えばやはりカツ丼だろう。とびきり美味いのを頼む」
まったくもって岬の質問に答えないばかりか、カツ丼まで頼んでそれをペロリと平らげる傍若無人ぶり
更には「妹が心配しているから電話をかけさせろ」と岬に携帯を取らせる。コイツ
捕虜じゃねえ

その頃。怒りの納まらないひよりは文句のひとつも言ってやろうとを天道家をl訪ねるが、家にはひとり樹花がいるだけだった
「アイツ・・・昨日から帰ってきてないのか?」
と、そこへグッドタイミングでかかってくる総司からの電話。丁度よかった、と樹花はひよりに電話を代わる
ゼクトルーパー達に銃を突きつけられながら電話をする総司は、本当の事を喋れない。ここは適当な嘘をつきます
「すまなかったひより。友人の悩み相談の乗っていたら帰らせてもらえなくえな・・・
ところで
樹花にホットケーキを作ってやってくれないか?」

すげえ。この兄バカ
不可抗力とはいえ約束をすっぽかした相手に、自分に代わって妹の為のホットケーキを作ってやってくれという
「ふざけるな。なんでボクがそんな・・・どこまで図々しいんだお前」
「ひより。俺はそばにいる。そして世界で一つだけのチューリップをお前にプレゼントする」
「・・・・・もういい」

どこのホストだお前は。くさい台詞も総司なら本当にやりそうです
ひよりは半ばキレ気味で電話を切るが、兄を庇う樹花を見ていると無碍にも出来ず、仕方なくホットケーキを焼いてやることに





「生ぬるい尋問は終わりにしましょう。痛みを伴う尋問に変えます」
満足のいく答えが得られない総司に業を煮やした東。拷問でもって吐かせようとしますが、まさにその時建物に迫る人影
田所から強引に東らの居場所を聞き出した加賀美だ。ゼクトルーパーからヘルメットを奪い、変装して建物の中へ侵入します
なんと単身での総司奪還作戦です。弱いくせに本当に
主人公思考つーか。無駄にアツイ男だなこいつは
しかし丁度時同じくしてエピラウナワームの率いるワーム数体がビルを急襲、建物内はゼクトルーパーとの戦闘で騒然となる
「さて・・・そろそろ行くか」
”バキャアッ!”
総司を移動させる為、一緒にエレベーターに乗り込むゼクトルーパー。たった2人で総司を監視できるハズありません
後ろ手に手錠をかけられたままで回し蹴り一閃。あっという間に2人をのしてしまう総司。マジ
無敵主人公
最終話まで通してもコイツがピンチになる場面って想像できねえ
混乱に乗じて総司を救出しようとビルを駆け上る加賀美。途中で見つかったゼクトルーパーに所属を聞かれますが・・・
「答えろ!貴様の所属はどこだ?鯖と鰹どっちが好きだ?」
「ええ?お前は・・・」

とっさに偽名を名乗ってごまかそうとする加賀美に対し、なにやらトンチンカンな質問を浴びせるゼクトルーパー
「俺だよ」
ヘルメットの下から現れたのは拘束を逃れてきた総司だった。何でも1人で解決か。加賀美まったく必要ねええええ!

総司と加賀美が一階へと降りた時、駐車場は惨状と化していた。交戦していたゼクトルーパー部隊は既に全滅していたのだ
生き残った東が岬を指令車に乗せ、どこかへと走り去っていくのを最後に目撃する総司ら。それを見て総司が呟く
「ワームの目的はおそらくZECT本部だな・・・・」
「でも本部の場所は完全に秘密裏でワームには見つけられっこないぞ」
「いや手はある。
ZECTの幹部に擬態すればいい」

総司の言葉にゾッとする加賀美。周囲に倒れている人間達を見渡した加賀美は、そこに”彼”の遺体を発見した
ZECT幹部
東省吾その人である。スゲエあっさり死にました閣下
ということは、さっき岬を車に乗せた東は・・・





『岬さんいいですか?悟られないように落ち着いて聞いてください・・・
今、その車に一緒に乗っている二人はワームです』

本部へと向かう指令車の中、岬の携帯が鳴る。一緒にいる東らがワームであることを告げる加賀美の助けだった
ゴクリと唾を飲み込み、ライダーベルトを持って車から降りようとする岬であったが、ここでワームが本性を現す
「ククク・・・我々の聴覚は人間よりも遥かに優れていてねェ」
岬絶体絶命。しかしそこへ駆けつけた総司がマシンガンで車を攻撃、車体が揺らいだ隙に間に岬は脱出に成功する
道路に転がり落ちた岬の眼前にはバイクにまたがった総司の姿。彼はまっすぐな眼差しで彼女を見据えて言った
「借りは返す。カツ丼分の借りはな」
「・・・・・このベルト・・・・・あなたに託すわ」
割とあっさりベルト返しました。まぁ、総司しかこの状況を打破できないので当然と言えば当然ですが

というワケで今週の戦闘。埠頭に停車していた東の指令車に総司が迫り、その擬態を解くエピラウナワーム
「やはりキミがカブトだったんですね」
「太陽の輝きを知るがいい。変身!」

完璧に決まった今日のキメ台詞。太陽の輝きの前にはワームなど敵ではありません
風を切り裂いて唸るクナイガン。瞬く間に下級ワームを全滅させると、間髪入れずライダーフォームにキャストオフ
『クロックアップ』
「ライダー・・・キック!」
ばおん!シュガァッ!ばご―――ん!
戦闘シーン短えー!
ものの10秒ほどでライダーキック炸裂
まったくイイとこ見せずに大爆発するエピラウナワーム。所詮バケモノごときが太陽に敵うハズがないのだ

「岬さん・・・やっぱり本部には報告するんですか?」
「勿論よ。本部にはこう伝えるわ
”私達が追っていた人物はカブトではありませんでした”ってね」
鮮やかな戦いを目の当たりにした岬は、本部には報告しないと約束。岬の理解に満面の笑みで喜ぶ加賀美





一方、ひとり寂しく家に帰ってきたひよりは自転車のカゴに入っていた総司の伝言を見つける
次の瞬間、
東京タワーに浮かび上がるチューリップと妖精のイラスト
「世界で・・・ひとつだけのチューリップ・・・」
なんだこの総司のロマンチストぶり
東京タワーにこういった電飾を頼むのは結構現実的な値段で出来るハズですが。それにしても安くはあるまい
総司の電話での言葉の意味を理解したひより。珍しくその顔に笑みを浮かべるのだった


「申し訳ありません。カブトを見失いました」
前々回と同じ薄暗い部屋。ZECT幹部と思われる二人が会話をしている。報告を受けている偉い方は加賀美父
「ふうむ・・・・象・・・だな。象はもっとも優しい動物だ
そんな象でも群れを守るために
時として仲間を切り捨てることもある
だが・・・それも群れを守るためのひとつの愛情だよ」

この人の
動物の例え話は毎回あるんでしょうか。だったら次は何を出してくるか楽しみだな
加賀美父に厳しいハッパをかけられた若い方の男が真剣な面持ちで返答を・・・・・おっとこの人は!
弓削智久さんだ。仮面ライダー龍騎で吾郎ちゃんを演じた俳優さんです
「ご安心を。既に次の手は講じてあります」
弓削さんの台詞と同時にカメラチェンジ。ビルの屋上から東京の夜景を見下ろす謎のシルエット
早くも登場。”第2のマスクドライダー”
仮面ライダーザビー
新たなるライダーの出現は物語をどう導くのか。次週へ続く!


第7話

完全調和

ドガガガガガガガガガガ!!
今日も今日とてワームと戦うZECTの働き蟻・ゼクトルーパー部隊。例によって何もできずに全滅する弱さを披露
生身のままたったひとり追い詰められた加賀美は、果敢にもマシンガンブレードを手に一人ワームに立ち向かう
と、そこに颯爽と駆けつけた黄色のシルエット。”第2の仮面ライダー”
ザビー
そしてザビーに率いられるよう現れた新手のゼクトルーパー部隊。彼等は本部直轄の精鋭部隊
「シャドウ」
登場すればやられるだけの通常部隊とは違い、統制された陣形戦術で見事にワームを追い込むシャドウ部隊。カッケー
「キャストオフ」
シャドウ部隊の援護射撃&閃光弾のサポートから一気にワームを全滅させるザビー。まったく無駄のない戦いぶりです

「お久しぶりです田所さん」
「矢車、やはりお前だったか。お前なら必ず適合者になると思っていたよ」
矢車想。ザビーの適合者は元・田所の部下。精鋭部隊シャドウの中でもエース中のエースだったという人材
「そこのキミ。たった一人でワームに立ち向かった勇気は評価するが・・・覚えておくといい
戦いに最も必要なもの、
それはパーフェクトハーモニー。完全調和
完璧なるチームプレイこそが最も重要。個人のスタンドプレイはもってのほかだ」
初対面でいきなり叱られたものの、ザビーの鮮やかな仕事ぶりに感動した加賀美にとってはムッとするどころか大感激
「矢車さん、ワームをもっと倒すにはどうしたらいいんでしょうか?」
「・・・ワームの行動パターンが読めるようになれば・・・
それを利用しての一網打尽も可能になるだろうな」

そんな加賀美の問いに真剣に答える矢車。この手のキャラはお高くとまった嫌なヤツが多いんですが、この人は立派だな
そう。ワームが襲う人間は不特定ではなく、何かの法則があるハズなのです。それさえ読めるようになれば・・・・





湯豆腐が食べたいという樹花のために豆腐を買いに行った総司。必然か偶然か、そこで出くわした人物はまさしく矢車想
そして運が悪いことに、二人が買い求めた絹ごし豆腐は
残り一丁。ここはお互いに譲れません
「俺の可愛い部下達に料理を振舞ってやりたいんだがね」
「俺の可愛い妹がこの豆腐を楽しみに待っているんだ」
「わかった。そういうことならこの豆腐を半分にしようじゃないか」
「お婆ちゃんはこう言っていたよ・・・
”二兎を追う者は二兎とも取れ”と」

「なら半分に分けよう」と分別ある提案を持ちかけた矢車に対し、総司はこれを
真っ向から拒否。なんて奴だ
しかし矢車も。「部下達に振舞う」って言ってんのに
半丁じゃ足りねえだろ。という所にはツッコミたい
「何なんだキミは?」
「天の道を往き、全てを司る男」

「・・・で、料理勝負になったの?しかもウチの厨房って・・・」
数分後、ビストロ・サルの厨房で火花を散らす2人。どうやらより美味い豆腐料理を作ったほうが豆腐をゲットするみたい
料理に使う豆腐はサルの冷蔵庫にあったものを使用・・・って
お前らそれを分けろよ。互いに意地スゲエ
というワケでレッツ料理対決。弓子も思わず感心の溜息を漏らす両者の腕前。プロ顔負けの手並みです
「出来たぞ。中華風冷奴だ」
「俺は麻婆豆腐を作った」
いよいよ運命の試食。ジャッジマンひよりが下した判定はなんと
矢車の麻婆豆腐。コイツ料理もつええ!
「覚えておくんだな。料理にもっとも重要なものは完全調和だ」
「・・・なるほど完全調和か、たしかにな。だがそのせいでせっかくの素材も活かしきっていないな」
矢車の麻婆豆腐を味見し、負け惜しみぽい台詞を吐く総司。実際のところ両者の料理はほぼ互角だったのですが、
単純に
ひよりが温かい料理のほうが好きだったということで優劣が出たようです
「フッ・・・負け惜しみか?まぁいい、この豆腐は半分にして・・・」
「二兎を追う者は二兎とも取れと言ったのは俺だ。妥協はしない」

「やれやれ強情なことだ。ならこの豆腐は俺が貰っていくとしよう」
矢車マジいい人。あれだけ失礼な総司に対しても尚豆腐を分けてあげようとしました
さぞかし部下達に慕われてるだろうなぁこの人。それに比べて総司の大人げなさと言ったら目も当てられないな

と、丁度そこへやってきた加賀美。居合わせた総司に対し、第2の仮面ライダー・ザビーが現れたことを告げる
正式なZECTライダーが誕生した今、民間人のお前は手を引けという加賀美。しかしそんな忠告を素直に聞く総司じゃありません
「ほう、第2のベルトな。適合者はどんな奴なんだ?」
「ZECTの機密事項だ。民間人に教えられるワケないだろう」
「完全調和とやらが好きな男じゃないのか?」
初対面の矢車にザビーの正体の目星をつけた総司。そんな総司を「いい加減にしろ民間人!」と怒鳴りつける加賀美だった





その頃、田所達は結婚式最中の新郎新婦が連続でワームに襲われたというデータを掴んでいた
これは矢車の言う「ワームの行動原理」を利用できるチャンス。加賀美と岬を新郎新婦に化けさせ、囮作戦開始です
が。結婚式場に潜入していた総司はそんな2人を見て、半ば嘲笑気味に疑問を投げかける
「新郎新婦・・・ね。本当にワームがそんなピンポイントで人間を狙うか?」
総司の言葉どおり、ワームが狙っていたのは新郎新婦ではなかった。矢車らがようやくそれに気付いたとき、
既に総司はひと足早くワームを誘い出していた
「やはりな・・・狙っていたのは白い服か。単純なことだ」
そう、ワームが率先して狙っていたのは新郎新婦などではなく、単純に白い服を着た人間だったのだ
って
グロンギかお前らは。なんなんでしょうこのワームのヘンテコなルール
おそらくその個体個体で狙う条件は変わってくるんでしょうが。まったくもってクウガみたいな設定です

姿を現したベルバーワームと戦うカブトはライダーフォームにキャストオフ。クロックアップしての戦いに突入
時同じくして、シャドウ部隊が交戦するもう一匹のベルバーワームのほうにはザビーが到着します
「B小隊はC小隊を援護!A小隊は接近戦に備えてブレード用意!」
的確なザビーの戦闘指揮によって下級ワーム達と渡り合うシャドウ部隊燃え。まったく通常部隊とは月とスッポンだ
やがてカブトとベルバーワームが、ザビー達の戦場に合流。カブトの姿を視界に捉えたザビーが開口一番叫びます
「カブト!クロックアップでワームを掃討する!」
「・・・・いいだろう」

『クロックアップ』
ぎゅおん!ぼがぼがぼがーん!!
ザビー提案の同時にクロックアップはワームを一掃。ベルバーワームの片方を逃してしまうものの、もう一匹は逃がしません
「ライダー・・・・スティング!」
『ライダースティング』
飛び掛ってきたベルバーワームにタイミングを合わせ、そのどてっ腹にブチ込まれるザビーの必殺攻撃!
左手の甲からジャキンと突き出た太い針をグサリと突き刺す、いわば
パイルバンカーパンチです
”ドスゥッッ!”
ぼが――――――ん!!!





ベルバーワーム爆散。戦いを終えたザビーが右手を差し出し、カブトとの握手を迫る
「我々は人類の平和の為に戦っている。キミにも行動を共にしてほしい」
「それがお前の言う完全調和か?だが言ったはずだ、俺は天の道を往くと」
「フ・・・・やはり君がカブトだったんだな」

互いの正体を見抜いた2体のライダー。しかし総司は自らの道を往くと押し通り、ZECTへの加入を拒否する
相容れないことを認めたザビーはカブトに対して敵意を露にすると、その周囲をシャドウ部隊によって包囲させた
「・・・・これはどういうつもりだ」
「キミが組織に逆らうというのなら・・・我々のすべきことはひとつだ
カブトを倒す。それが俺の使命だ!」
”ガキィンッ!”
喋りながら無拍子で放たれたザビーの裏拳。それを左腕でブロックしたカブトで次週へ続く!コイツはデンジャラスだぜ


第8話

砕けた豆腐

攻撃を仕掛けるザビーに対し、カブトは「戦う理由がない」とただ回避行動に専念。しかしそれでもザビーは攻撃の手を緩めない
やむなくカブトはサブマシンガンで襲い掛かるシャドウトルーパーの1人を打ち倒します。あちょー
ガスッ!
「影山!大丈夫かしっかりしろ!」
「うぐ・・・・ッすみません矢車さん」

シャドウ隊員影山くん右腕を負傷。部下を気遣う心優しい矢車は彼の病院への搬送を優先し、カブトとの勝負をひとまず預けることに
遅れて現場にやってきた加賀美は経緯も確かめず、状況だけ見て総司から攻撃を仕掛けたと認識。これを激しく糾弾するのでした
「天道!ザビーが居てくれればお前はもう必要ないと言ったはずだぞ!
今度もし俺の仲間達を傷つけたら・・・
俺はお前を許さない!」




『ワームを倒すために強くなりたいんです』加賀美はその一心で田所に頭を下げ、矢車の下シャドウ部隊に配属されたいと申し出る
滞りなく配属を許可された加賀美。新人隊員として、挨拶がてら矢車と一緒に怪我をした影山の見舞いにやってきた
「チームとしての完全な統制、仲間同士の助け合い・・・それによって1+1を3にも4にも
いや、時として10以上にまで高めることができる
それが矢車さんの言う『完全調和』・・・
パーフェクトハーモニーだ」
「なるほどすごい・・・本当にすごいです!」

彼からパーフェクトハーモニーの意味を聞き、それがチームとして戦うことであると理解すると、矢車への傾倒心を更に強くする
チームの強さとは個々の数値の単純な和ではない。コンビネーションによってその数字をいくらでも引き上げることが出来るのだ
よくわかりましたカメハメ師匠!

逃がしたベルバーワームが再び人を襲い始めた。総司は先週に時点で既に「一匹逃してるぞ」と矢車に忠告していたのですが、
矢車はその忠告を戦闘を回避するための総司の言い逃れだと思い込み、ベルバーワーム追跡処置を取っていなかったのである
「どうやらカブトの言っていたことは本当だったようだぞ。お前らしくない失態だな」
弓削さんから失態を指摘され、総司への敗北感からくる怒りを抑えきれない矢車。あ、ちなみに弓削さんの役名は「三島」だって
何でも出来る人間というのは総じてプライドが高いもの。部下への気遣いとかは別にして、この辺は矢車とて例外ではありません
影山のために麻婆豆腐を作ってやろうと例の豆腐に行ってみれば、なんと天道に全て買い占められてしまっていたという追い討ちが
「フ・・・仕返しとはまた随分と器の小さいことだな」
「いやいや!なんでも豆腐パーティーするとか言ってたな!
楽しそうに買ってったよ!
アッハハハハハハハハ!」
「仕返しとは見下げた奴」と、総司を卑下することで己が自尊心を取り繕おうとした矢車。しかし聞けばそんな理由ではないらしい
何がそんなにおかしいのか
豆腐屋の親父のバカ笑いが更に矢車のイライラ感を募らせます

その総司はと言うと、ひよりに豆腐パーティーへの出席依頼を。そもそもこれはひよりに礼がしたい樹花の頼みだったのだ
「・・・本当にボクなんかが行ってもいいのか?」
「ああ、お前が主賓だからな。樹花も楽しみにしてる」
「天道!なんで豆腐を買い占めたりしたんだ!」
いつもの如く消極的なひよりを説得していると、そこに大声とともに乱入してきたのは
半ギレ状態の加賀美だ
「なんで買い占めた」って、そんなの
喰うからに決まってんで別に批難されるような事じゃないんですが
「あのいけ好かないヤツの分か・・・あまり分けてやりたくないな」
「矢車さんをバカにするな!お前がケガをさせた部下の為に料理を作ろうとしてんだぞ!」

すっかり矢車思想に染まってしまった今の加賀美には何を言っても無駄というもの。ちょっとしたジョークにもマジ切れです
と、そこへワーム出現の連絡が加賀美に入った





生き残ったベルパーワームが再び結婚式場に現れた。式場に張りこみ、次の挙式を警護するZECTシャドウ部隊
加賀美と岬らも例のZECT製サーモカメラで式場内の人間をチェックし、擬態したワームがいないかを確認する
チェック終了するも該当人物なし。ベルバーワームはもうここからは姿を消したのか?安堵を覚える矢車達だったが・・・その時
今まさに式が行われているチャペルの中から聞こえる神父の声。聞き覚えのあるその声に、加賀美と矢車は顔を見合わせる
「神は言いました。汝、天の青空になりて地を照らす光となるべし
おばあちゃんはこうも言いました
汝、天の道を往き、全てを司るべし」

「天道!どうやって式場に・・・・!」
ドアを開けて雪崩れ込む矢車と加賀美。ゆっくりと振り向いたその若い神父は・・・・
まさしく天道総司
「何が完璧な警備だ。招かざる客がもう1人入り込んでいるぞ
ここの聖歌隊・・・お前の言うハーモニーが崩れていると思わんか?」

聖歌隊の一人をゆっくりと指差し、お前がワームだと指摘する総司燃え。驚く矢車と加賀美の目の前でベルバーワームが擬態を解く
ステンドグラスをブチ割って逃走するベルパーワームを追走する総司。次のシーンにはもう変身してクロックアップ戦闘に入ってます
緑色の毒液を幾度も吐きかけるベルバーワームだが、その攻撃は悉く当たらない。必要最小限度の動きで全弾回避するカブト燃え
「ライダー・・・・キック!」
ぶおん!シュガァッ!!
ぼが――――――ん!!!

超短え戦闘シーンでベルバーワーム撃破。先々週も短かったが今回もアレに相当する短さです
その頃。式場の客を無事に避難させた矢車は、ワームを見抜けなかった自分とそれを見抜いた総司に唇を噛み締めるのだった






「それじゃひより。7時頃に家にきてくれ」
ビストロ・サルの冷蔵庫で預かってもらっていた大量の豆腐を受け取り、豆腐パーティーの準備をしようとする総司
しかしその時、厨房から出てきた総司を待ち受けていたのは屈辱に震える矢車想その人であった
「お前か・・・丁度良かった。ホラ、一丁取っておいてやったぞ
これで部下にうまい料理を作ってやれ」

バシィッッ!!ガランガラーン
影山の見舞いの豆腐をちゃんと一丁取っておいた総司。にこやかにボウルを差し出しますが、矢車はこれを乱暴にはね除けた
無惨にも砕け散った豆腐が床に散らばる・・・・否。砕け散ったのは豆腐ではなく、矢車想のプライドであったか

「どうしてもやるんだな」
「カブトを倒す・・・それが俺の使命だ」
店を出た総司と矢車は人気のない公園で対峙。その気迫の前に、今回ばかりはやり過ごせないことを悟る総司
「星がいくら輝こうが太陽には勝てんぞ」
「太陽は俺だ」

夕焼けの空から飛来するカブトゼクターとザビーゼクター。ムシキングのように空中で激しく激突します
昆虫対決は互いに譲らず互角。主の手元へと降りた2匹は、その決着を主同士の闘いに委ねる
「変身」         「変身」
『キャストオフ』        『キャストオフ』
変身した二人はすぐさまキャストオフし、ライダーフォームでの激しい攻防を展開する。繰り出す攻撃は互いに高速
ひよりから事情を聞いて慌てて駆けつけた加賀美も、そんな二人の鬼気迫るの戦いを前にして何をすることも出来ない
やがて一瞬の隙をついてザビーの回し蹴りが炸裂。吹き飛ばされて地面に転がったカブトに、最強技での追撃を仕掛けるザビー
「ライダースティング!」
一撃必殺。ザビーの左腕に装填されるスズメバチの毒針!ライダースティングを叩き込もうと走り出したところで次週へ続く!


第9話

資格者

「2人が戦う必要なんてない!もうやめてくれ!」
必殺技を繰り出したザビーを懸命に止めようとする加賀美。その瞬間建物が崩れ、加賀美の頭上に破片が降りかかってきた!
思わず頭を抱える加賀美。だが、その頭に直撃するハズだったコンクリート片はなぜか空中で粉砕。加賀美は事なきを得る
”ズドォッッ!!”
次の瞬間。加賀美はザビーのライダースティングをまともに浴びてしまったカブトの姿を目撃
変身が解け倒れこむ総司。必死で庇う加賀美を押しのけ、ザビーは意識のない総司の腹部へ強烈なパンチを叩き込む
「ベルトの命も貰うぞ。悪く思うな」
ライダーベルトを破壊され、糸の切れた人形のように崩れる総司の身体。それを見て安心したかのようにザビーは去っていった

「敵から身を守るために仮死状態になる昆虫はいるが・・・・・
やれやれ
死んだフリってのもラクじゃないな」
ザビーが去った後、何事もなかったかのように起き上がる総司。死んだフリでやり過ごすという郭海皇作戦が功を奏したようです
ホッと胸を撫で下ろした加賀美は、ここで自分がコンクリート塊に襲われた地点にカブトのクナイガンが刺さっている事に気付く
総司は加賀美を助けるためにクナイガンを放り投げ、その一瞬の隙が生まれたせいでライダースティングを喰ってしまったのである
「天道!お前俺を助け・・・・!?」
しかし加賀美が振り返ると総司は再び意識を失って倒れていた。やはりライダーの必殺技を受けて無事で済むハズがなかったのだ

加賀美からの連絡を受け、血相を変えて病院へやってきたひよりと樹花。しかし当の総司は何処吹く風、既に体調は回復し
あまつさえ女医を触診し、「胃腸が悪いな」などと診断を。お前は神か
「大げさだ」と言う総司であったが可愛い妹には逆らえず、加賀美の顔を立てる意味でもとりあえずこの日は入院することに





翌日。ワームを相手に相変わらず鮮やかな戦いを披露するザビーとシャドウ部隊
矢車は田所と岬にも「カブトを倒した」事を報告。あの無敵男がやられた?戸惑う岬に加賀美も複雑な思いを隠せません
「ライダーは俺一人だ」などと木野さんのような台詞も吐いて、意気揚々の矢車
しかし影山の見舞いに訪れた病院でその気分は一瞬にして瓦解。違う病室から聞こえてくる声は、間違いなくあの男の・・・
居ました天道総司。
入院患者相手に自慢の料理を炊き出ししてます。呑気な
「お婆ちゃんは言っていた・・・『病は飯から』 人が良くなると書いて食べると読む」
む、これはちょっとイイな。確かにその通りだ
『馬鹿な・・・何故ヤツが!?』
怒りを露にする矢車。しかしベルトを破壊した以上二度とカブトにはなれないハズ、と自分に言い聞かせ何とかクールダウン

一方、総司の安否が気になってナースに変装して病院に潜入していた岬は(この人もしかして総司LOVEか?)
「カブトは自分を助けた為にザビーに敗れたのかしれない」、という加賀美からの闘いの詳細を聞く
矢車に対して不信感が芽生え始めた加賀美に、岬は「私達にはまだカブトの力が必要なのかもしれないわね」と呟くのだった





その頃。ひよりが偶然、総司の病室のバッグにあったライダーベルトを見つけてしまう。ベルトを見るなり目を見開くひより
同時に渋谷隕石が落下した直後の記憶が脳裏にフラッシュバック。そう、7年前のあの時ひよりは瓦礫の中で確かに見た
このベルトを腰に巻いた少年を
「やめてお願い!殺さないで!」
「何か」を殺そうとする少年。それを止めさせようと懸命に叫んだ自分・・・・・そこでひよりの記憶ははたと途切れる
総司とひよりは7年前に渋谷で出会っていたのか?
ひよりが見た『何か』はいったい何だったのか?

第9話にして物語の中核に触れる重要な回想シーンでが出てきました。今後カブトを観る上での重要なキーになりそうです

破壊されたベルトを修理できないものかと持ち出した加賀美。しかしそれを見た総司はほう、と言いながらもこう付け加える
「修理はいいが。どこを直すんだ?」
なんとザビーのパンチで破壊されたはずのベルトは傷一つないピカピカの状態。これはいったいどういう事なのか?
「自己修復機能でもついているのか?」
「いや・・・ベルトとは長い付き合いだがそんな機能はない」

これはますます謎。総司自身預かり知らぬベルトの復活。自己修復でないのならば何だというのか
そもそもZECT最新装備のベルトを、今から7年前も前に装備していたのは・・・考えれば考えるほど謎を呼ぶベルトと総司の関係
その全てが解き明かされるのは番組も終盤の時期でしょうが、もう今から楽しみでなりません





ワームと戦うザビー率いるシャドウ部隊。しかし今回は手際よく脱皮前に駆逐できず、3匹のワームの変態を許してしまう
進化したコレプテラワームを相手をするザビーだが、流石に3体では押され気味。するとそこへ総司が姿を現した
『何故ヤツがここに・・・もうカブトには変身できな・・・・何!?』
しかしそんな矢車の予想は大ハズレ。ベルトは元通りなので当然変身可能です。というワケで仮面ライダーカブト変身!
『変身・・・・だとォ!』
自分が倒したはずのカブトが復活したことが許せない矢車。その時、彼の中の決定的な何かが音をたてて切れた
ワームらの猛攻に次々と圧倒されていく部下達に目もくれず、ただカブト1人を標的に襲い掛かるザビー。完全に壊れました
「どうしたんだカブト!お前は死んだんだぞ!ダメじゃないか死んだヤツが出てきちゃあ!
死んでなきゃあああああああああああ!!!」

まるっきりクロスボーンガンダムのザビーネ状態。その狂乱ぶりにはカブトの言葉も届きません
「お前。部下達を見殺しにする気か?」
「今の俺に考えられるのはお前を倒すことだけだ・・・そうしないと・・・ッ
俺が俺でなくなってしまうッ!!!」

エリート故の悲しさか。己の「任務失敗」の生きた証拠であるカブト。先の闘いで加賀美を守ってライダースティングを喰ったカブト
そのカブトを生かしておくことは彼のアンデンテティーを根底から覆すことになってしまうのだ

「ライダーになったことを後悔させてやるぞ」
なんかもう悪役みたいな台詞吐いちゃってる矢車。空中から必殺のライダースティングを見舞おうとしますが・・・
なんとカブトは背中を向けたままこれを避けようともせず、哀れみを込めた様子で矢車に告げる
「後悔するのはお前だ。お前は自分の往くべき道を踏み外した」
その途端。ザビーの左腕に装着されていたザビーゼクターが突然分離。変身が解除されてしまいます

【―変身資格者―】
第1話を見てもわかるように、ライダーには誰でもなれるわけではない。ゼクターが資格者を選ぶのだ
総司がカブトになれるのは総司がカブトゼクターに選ばれた者だからであり、仮に矢車がカブトゼクターを装着しても変身は出来ない
「パーフェクトハーモニー(完全調和)」を唱えた矢車をザビーゼクターは主として選んだ。しかし
彼が自らその道を踏み外した時、ザビーゼクターは彼を見限る
初対面のとき、あれだけ火花を散らしても尚「公平に分けよう」と言った矢車想。あの彼こそまさに「完全調和」ザビーの資格者であり
その心を失い傷つく仲間を見殺しにしてまでカブトを倒そうとした時、
彼はザビーでなくなったのである

「ば・・・馬鹿なッ!戻ってこいザビーゼクター!戻れぇえええええ!」
矢車の絶叫は虚しく空に消え、更にはコレプテラワームの一撃を喰らって大ダメージを受けてしまう。自業自得





「うおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!」
一方、遅れてやってきた加賀美はまだ病み上がりで追い詰められた影山を懸命に庇いつつ、ワームに立ち向かっていく
接近戦用のブレード装備で
下級ワームを一匹仕留める加賀美燃え
コレプテラにぶっ飛ばされた矢車を見るも、その現実に絶望することなく仲間達を守り、マシンガンのトリガーを引く
「戦える者は負傷者を守れ!絶対に諦めるなァッッ!!」
指揮官負傷という状況の中、自らも傷だらけになりながらシャドウ部隊に指示を出して攻撃を続ける加賀美。カッコよすぎる!
『状況は人を成長させますね』(byミート)

と、ここで建物の窓ガラスをブチ破って救世主がすっ飛んできます。さっき矢車を見限ったばかりのザビーゼクターです
しばし空中を旋回したザビーゼクターは、伸ばされた加賀美の左手の上でその羽根を休めた
自分を捨ててでも仲間を守ろうとする『完全調和』の精神
それを加賀美が心得た瞬間、ザビーゼクターは彼を新たなる資格者として選んだのだ
「俺は・・・・必ずみんなを守ってみせる・・・・!
変・身ッ!」
加賀美は意を決してザビーゼクターを装着。まばゆい金色の光に包まれ、ついに二代目ザビーがその姿を現すのだった





同じ頃、カブトはコレプテラワームのうち一匹をライダーキックで撃破。逃げた2匹をカブトエクステンダーで追走する
しかし街中を高速で疾走する2匹のワームをバイクで捕らえられるものなのか?って、
「キャストオフ」
バイクごとキャストオフキター!!!
外部装甲を吹き飛ばし、超高速形態へと変形するエクステンダー。変形完了!エクスモード!
公式のデータを見ると最高時速900キロとのこと。「カブトローより遅いな」などと野暮な突っ込みはせずに素直に感心しときましょう
エクスモード初走行!加賀美ザビーの初陣は?非常に良い引きで次週に続く!


第10話

得る物、失う物

「クロックアップ」
ズギャアッ!
エクスモードに変形したカブトエクステンダー。クロックアップするや、なんとジャンプしてビルの側面を駆け抜ける!
窓ガラスガシャガシャ砕きまくって危ないったらねえー!下歩いてる人とか死ぬから
逃げるコレオプテラワームの前方に先回りすると、ライダーキックで2体同時に撃破。いつもながら見事な手並みね

一方、ザビーに変身した加賀美は歓喜の雄叫びとともに襲い掛かるワームを弾き飛ばす。いけ!キャストオフだ
「俺は・・・ッ俺は・・・ッ変身したんだ!キャストオフ!」
クロックアップした加賀美は瞬く間に下級ワームを殲滅。初戦闘にしてはなかなか上出来と呼べる闘いっぷりです
引き返してきた総司はちょうど変身を解除し加賀美に戻ったところを見届けると、小さく呟いてその場を去るのだった
「・・・天は気まぐれだな」




「完敗だな・・・だが俺はお前に負けたわけじゃない。俺自身に負けたんだ」
翌日、ザビーの資格を失った矢車が天道家を訪ねてきた。悔しさをにじませながらも、どこか納得しつつ話す矢車
話しながら作った麻婆豆腐を総司に差し出す。これを口に運んだ総司が素直な感想を口にする
「美味い・・・だが以前と比べて随分味が変わったな」
「お前の言う素材の個性を引き出してみた。フッ・・・これも悪くない」

総司が言った素材の個性を大切して作ったという矢車。総司はそんな矢車に冷蔵庫から出した豆腐一丁を渡す
「餞別だ持っていけ。お前はお前の麻婆豆腐を作れ」

その頃、ザビーに変身した加賀美は大出世。見習いから正式メンバーを飛び越え、いきなりシャドウの隊長に
「これからシャドウの戦い方を一から叩き込んでやるよ。よろしくな加賀美隊長」
ケガの癒えた影山からも熱い激励の言葉をもらい、気をよくする加賀美。お前ら矢車のことは割とドライなのな・・・
と!ここで突然胸に痛みを感じて蹲る加賀美。見ればその胸板には蜂の形の幾何学模様が浮かび上がっていた
「ザビーの・・・紋章?」
なんじゃそら。資格者にはそんな設定があったのか。するってーと総司の胸にはカブトの紋章があるのかな




そんなあくる日、ビストロ・サルへとやってきた総司は加賀美の父・陸と偶然出会う。偉い人なのに何してるんだ
どうやら息子の仕事の様子を見に来たようですがあいにく加賀美は不在。初対面の総司にペコリと頭を下げます
「息子は良い友達を持ったようだ。アレをよろしく頼みます」
「・・・・・・あぁ」

目上の人間が頭を下げているのに不遜な態度をとり続ける総司。子供が視聴する番組の主人公としてどうなんだ
お婆ちゃんは年上の人間を敬えとは教えてくれなかったのか
接触はそれだけだったが、2人は互いに説明しがたい因縁を感じる。やはり直感的に「敵」であることを感じ取ったのか

「おう天道か、俺だ。今日はサバ味噌パーティーやるぞ!サバ味噌パーティー」
ほどなくしてその息子から総司の携帯に
浮かれた電話が。どうやら自分のザビー就任を祝いたいみたい
ひよりも誘う総司だったが、いつも以上にひよりは「ボクは出ないよ」と頑なにこれを拒否。一体どうしたというのか?
そういえば例のスケッチブックにいつもとは様子が違う
陰鬱な感じの絵があった。何か関係がありそうだ
ひよりのスケッチブックを突きつけ、この絵はどうしたんだと問い詰める総司。ひよりは静かに、しかし強い口調で答える
「あのベルト何なんだ?本当に加賀美の物なのか?」
「・・・ベルトを見たのか。それが本当だとしたらどうなんだ?」
「そうだとしたら・・・ボクは加賀美を許さない。絶対に」
ベルトに対する異常なまでの憎悪。やはり7年前の記憶が彼女をそうさせるのか。これには流石の総司も神妙な表情

「ひより・・・7年前のあの時、俺達は暗く冷たい絶望の中で一輪の花を見たハズだ」
「花なんて見てないよ」
「”希望”と言う名の花だ。
そうでなければ今俺達は生きていない。違うか?
お前の絵にもそういう力がある。凍てついた心を少しだけ暖かくする・・・さあ食え」

殻に閉じ篭るひよりの心を、
特製湯豆腐をごちそうしながら解きほぐしていく総司。飯ばっかだなこの番組
互いにあの地獄から生還した者だから通じる説得。その言葉に動かされたのか、ひよりは湯豆腐を口に運ぶのだった




「これからは天道と力を合わせてワームを倒す!」
決意も固く意気揚々と道を歩く加賀美だったが、そこへ弓削さんこと三島幹部からの指令が入る
「新たなザビーに命令を伝える・・・カブトを倒せ。以上だ」
普通に考えれば予想できた命令ではありますが。浮かれていた加賀美には不意だったのか、ショック受けまくりです
『自分はザビーとしてどうすればいいんだ?』ひとり苦悩する加賀美の前に、全てお見通しの総司が現れた
「どうした。カブトを倒せとでも命令されたか?」

「そうか知っていたのか。俺が新たなザビーになったことを
天道、正直コレだけは口が裂けても言いたくなかったが・・・・
俺は・・・お前のことを友達だと思っている
もしお前も俺の事をそう思ってくれているのなら・・・二度と俺の前に現れないでくれ」

『友達だから。闘いたくない』
小っ恥ずかしいカミングアウト。それ故に総司との決別を覚悟した加賀美。全国の801腐女子はハァハァです
しかしそんな加賀美の告白をどう受け取ったのか、総司はいつも通りのどうという事ない態度で答える
「サバ味噌パーティーはどうするんだ?」
「な・・・!そんな事してる場合じゃないだろ!」
「つまらんヤツだ。やればいいじゃないか。それはそれ、これはこれだ
カブトとだって戦えばいい。ただし俺は負けないけどな
それだけのことだろう?」

にべもない総司の返答。これは「俺は別にお前と戦えるぞ」ということなのか
所詮友達だと思っていたのは自分だけだったのか・・・?加賀美は絶句し、押し黙ったままその場を去る
「友達 か・・・・俺のもっとも嫌いな言葉を使いやがって」
走り去る加賀美のバイクを見送りながら、ポツリと呟く総司だった





再び現れたコレオプテラワーム。変身した加賀美はシャドウを制し、自分が先陣を切ってワームを殲滅させようとする
しかし脱皮したワームと初手合いの加賀美はこれに苦戦。シャドウも新手のワームに襲われ、チームは分断されてしまう
「いかん・・・このままでは全滅する!」
己等の置かれた絶対的ピンチを認識する影山。しかしその時、クロックアップによる超速攻撃が下級ワームを全滅させる
「加賀美隊長か!」
否。シャドウ部隊を危機から救った閃光の色は黄色ではなく赤。言わずもがなカブトである
更には追い詰められていたザビーをも救うかのように、コレオプテラワームまでキッチリ倒してクロックアップ解除
「ぬ!カブト!」
呆然とする加賀美ザビーをよそに、マシンガンブレードの狙いをカブトに定める影山らシャドウ部隊
その狙いを外すかのように再びクロックアップしたカブトを追い、ザビーもクロックアップ。2人だけの闘いに身を投じる

「まだ迷っているのか・・・やるのか、やらないのか?」
「お、俺は友達とは戦いたくない!」

防戦一方でやられるままの加賀美。そんな優しいザビーの心に火をつけるように、カブトは冷たく言い放つ
「お前は友達なんかじゃない。おばあちゃんはこう言っていた・・・・
友情とは”友の心が青臭い”と書く」

「なッ・・・・なんだ・・・・と!?」
「青臭いなら青臭いなりに!本気でぶつけてみろ!」

「うッ・・・うおおおおおおおおおおおお!
ライダースティング!!」

ギュバン!!!がしぃっ!
怒った加賀美は激情に流されるままついにカブトにライダースティングを放つ。それを右手で受け止めるカブト!
それと同時にクロックアップと変身が解かれ、生身の姿になった総司がフッとザビーに微笑んだ
「やっぱりお前は面白いヤツだな。サバ味噌パーティーには出席しろ
青魚は調理次第で最高に美味くなる」
「友情は青臭い」という前言から「青魚は美味い」と切り返した総司。加賀美は言いようのない彼の友情を感じ取る

ズダダダダダダダダダダダダダダ!!
悠然とその場を去ろうとする総司を背後から撃ったシャドウ部隊。それを守ったのは自らの身体を盾としたザビーだった
あまりの事に混乱するシャドウ部隊。加賀美はザビーゼクターを外すと変身を解除し、自らその資格を放棄した
「な・・・ッ何をやってる加賀美!ザビーの資格を失うぞ!」
「俺は・・・俺はもっと大事なものをつかんだ!」
影山らに失望されながらも、揺るがぬ瞳で毅然と言い放つ加賀美。そこには確かに一回り成長した男の姿があった




「報告します。ザビーが再び資格を失いました」
そして締めは例の薄暗い部屋での三島と陸の会話。さて今日はどんな例え話を聞かせてくれるのでしょうか
ヨハネ典・・・第12章24節だったね
一粒の麦、地に落ちて死なずばただひとつにてあらん
もし死なば多くの実を結ぶべし」
聖書きた。動物の例えはもうネタが尽きたのだろうか
「・・・つまりザビーの資格が失われても結ぶべき大きな実があると?ご子息には」
「どうやら新しい風が・・・吹き始めているようだねェ」
なんでしょうこれは。この会話だけ見る限りだと、息子の事を想ってる良い父親に見えなくもありません
実際のところこの人は「悪人」じゃないような気がする。そう、まるで自ら冷徹の仮面を被っているかのような・・・

そしてラストカットは第3の仮面ライダー・ドレイクが登場して引き。良い感じで次週へ続く!


戻る