※この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません。


はんぺら&エルガイムMk2ショートストーリー
『MkUのレビュー』


ここミラーワールドではたびたび不思議なことが起こる。
不思議なキノコを食べた者が小さくなったり、訪問者がその閑散ぶりに驚いたりといろいろある。
まぁ、今回は全く関係ないのだが。

事の始まりは、ある少女、はんぺらの何気ない一言から始まった。
彼女はいつもの体操服姿でパソコンに向かい合っていたが、何を考えたのかこんな発言をした。
「MkUよ。たまにはお主がレビューをせぬか?」
MkUと呼ばれた少女は自慢のサイドポニーとともに首を傾げつつ返答した。
「何を言ってるっスか?御主人の頼みとはいえそれは無理ってものっス。」
「これほどたのんでも?」
「しつこいッス!バカ」
「それじゃああんたの負けだ、お若いレディー」
この瞬間MkUの表情が凍りつき、対照的にはんぺらは晴れやかな笑みを浮かべていた。

数分後、作業机にははんぺらではなく、青毛の少女が座っていた。
「まさか、あんな一言でこんなことになってしまうなんてっス…ハァ」
一方、本来彼女らの寝床であるはずのベッドには、ニヤニヤしているはんぺらの姿があった。
「仮にも主である儂に『バカ』と言い放ったのだからな。それなりのオシオキは必要なのじゃよ」
「何オカシなこと言ってるんスか?もう知らないっス」

その数分後…
MkUはレビューという羞恥プレイ…もとい、自らの感想を朋友達に面白おかしく伝える神聖かつ過酷な作業に勤しんでいた。
今日のレビューの題材は『トリコ』であった。
要約すれば、トリコと小松が時間と格闘する話(※5/25参照)である。

(特筆すべき画像のスキャンはやっておいた。このメモにあるところを基本にして打ち込むだけじゃよ!)
机におかれたメモを見てMkUはいらだちを覚えていた。
(追伸、このメモの最重要事項を外した場合は向こう1ヶ月はオヤツ抜きじゃぞ♪)
「酷いっス!横暴っス!職権乱用っス!!」
MkUの怒号にはんぺらの返事はなかった。振り返ってみると、そこにはスヤスヤと気持ちよさそうに寝息を立てるはんぺらの姿があった。
「……考えてみれば、御主人は最近忙しくって今日も徹夜明けだったっスね。自分が代わりにやるのも恩返しになるかもしれないっス。」
そうつぶやいて机に向かい直し、再びメモに目を通した。
「とりあえず、最重要事項を確認しないといけないっスね……ってなんじゃこりゃ〜〜〜〜!?」

最重要事項
・その1「拍手コメをある程度とりあげること」
・その2「再生の種―!(大山のぶ代の声で)」
・その3「下の毛まで剃ってなんとかかんとか着床成功」
・その4「トリコの乳首がビンビンに勃ったand乳首ビンビン丸」

「…もういやっス(涙)御主人がニヤニヤしながらこういう事打ち込んでるのはわかってても、自分がやるのはイヤっス(泣)」
(下ネタ入れねばオヤツ抜きじゃぞ♪)と、メモに書いてあるように見えたというのは、後のMkUの言葉である。

恥辱と欲望による葛藤の十数分を終え、MkUはようやく作業に本格的にかかり始めた。
「ふむ、冒頭のネタ紹介は終えてるみたいっスね。丸投げじゃなくてよかったっス」
レビューという中心部を書かされる時点で丸投げだということに気付いていないMkUであった。

「ムニャムニャ…お腹いっぱいじゃよぅ…」
やけにクリアな寝言を発しつつ爆睡するはんぺらをよそに、MkUは無言で作業を続けていたが第一の難関に出くわした。
「…下の毛ってアソコの事っスよね。はぁ、なんでこんなことを書かねばならないっスか?でも、書かないとオヤツが…」
「くっ!パ…パイ……パン…。…ハァ…ハァ…ハァ…フルマラソン…したあと…みたいに息が…乱れてる…ッス。つ、次にいかないと…ハァ」
現に、彼女の心臓は限界突破しそうなくらいで拍動しており、顔はゆでダコ以上に紅潮していた。
しかし、人生とは無情なもので、これ以上に恥ずかしい関門が目の前に迫っているのであった。

「うう…改めて御主人の変態っぷりを目の当たりにしたっス。しかも、まだこんなのが残ってるんスか?」
そう。そこにははんぺらが残した最後にして最低な課題があった。
実際、主であるはんぺらによってMkUも相当染まってはいるのだが、彼女は持ち前の毒舌に反しての純真な一面を残していた。
先程の動揺に見た通り、はんぺら程下ネタには抵抗がないのである。
はんぺら並みに下ネタを使えと、今の彼女に強いるのは酷であるようにも思える。
事実、彼女はうつむいたまま身を震わせており、その瞳には涙らしきものも見える。
「ごしゅじん…自分には無理ッス…」

「このたわけがっ!!!」
静寂が広がっていた空間に、突如罵声が発せられた。
「っ!?起きてたんスか!?」
エルガイムは怒号に驚き、自らの主の方を振り向く。そこには…

「……もう食べられんのじゃぁ…ムニャムニャ」
やはり爆睡しているはんぺらの姿があった。その寝床にヨダレがたれ流しになっていた。
どうやら、夢の中で気にさわることがあったのだろう。
彼女は部屋に響きわたるほどの寝言を言っていた。それが先程の罵声である。

MkUはそんな主の姿を見て複雑な気持ちを抱いていた。
「御主人が今の自分を見たら同じことを言いそうっスね…」
「自分の苦手な分野から逃げてばかりじゃ成長しないぞ!まずは向い合う事から始めろって…」
「相変わらずの上から目線で説教たれそうっス。今たれてるのはヨダレっスけど。」
「自分も向い合ってみるっス。だから見ててくれっス、御主人。」
そうつぶやくとモニターに向かい直した。

それから、彼女は最重要事項をこなし、レビューを完成させたのであった。
ただ、なぜか完成直後の顔は赤みをおびていたというが、それはまた別の話である。

数時間後、眠りから覚めたはんぺらはレビューの確認を行っていた。
「ふむ、これならば及第点じゃろう。…しかしなぜ文調が儂と同じなのだ?訳を話せば朋友達も納得するだろうに。」
「戯言は御主人の戯言だからイイんスよ。戯言を葉っぱに例えるなら自分は幹になりたいっス。その役割があるから今の屋敷があるっス。」
「そういうもんなのかのぅ?」
「そういうもんなんス!お昼ごはんができてるから食べるっスよ!…ありがとうっス、御主人…」
「んっ?何か言ったか?」
「何も言ってないっス!!」

こうして彼女らの日常は過ぎてゆく。
そして、今回のことは他のどれとも変わらない戯言と認知され、一般には知られることがないのであった。


『MkUのレビュー』終わり


オマケ
はんぺら「なんじゃこの昼飯は〜〜!?」
MkU「自分の作ったご飯に何か文句でもあるっスか?」
はんぺら「何って、儂の嫌いな物ばっかりではないか!椎茸ご飯・椎茸の卵巻き・挙句の果てには…」
MkU「なめこは美味しいっス!好き嫌いはいけないっスよ、御主人?」
はんぺら「い、いやじゃ〜〜〜〜〜〜〜!ヌメヌメはイヤなのじゃ〜〜〜〜!!」
MkU(これで、借りは返したっスよ!フフフ…)