諏訪神社の巫女さん | ||
からくり商店街から少し離れた諏訪神社 クソ長い石段を昇らなきゃならん高台にあるわけだが 広い境内は昔から近所の子供達の遊び場として使われている 景は「お景さん」と呼ばれ慕われている皆のお姉さん からくり町の子供達で景を知らない人はいないほど 「俺が大きくなったらお景さんお嫁さんにすっからな!」 「ふふふ。ヨシ坊がすごくカッコ良くなったらね」 |
||
「あ!きたな貴史!お景さんは俺のモンだぞ! お景さんを賭けて俺と勝負しろー!」 「相変わらずだなヨシ坊。大人を呼び捨てにすんな んで?勝負はまた相撲でいいのか?」 ”ぽいっ”と貴史勝利 負け惜しみを吐きつつ走っていくヨシ坊 ちょっと席を外していた景が眉をひそめて戻ってきた 「なにやってんのよもう。子供相手に大人げないなぁ 相撲くらい負けてあげればいいじゃない」 「ふん。男同士の真剣勝負だからな」 『景を賭けた勝負だから絶対負けられなかった』 とは口が裂けても言わない貴史だったとさ |
||
ほどなくしてヨシ坊が弾丸みたいなスピードで戻ってきた 「お景さん!貴史!すぐ来て!」 橋の欄干下にダンボール箱に入った子猫がいると言う 急いで駆けつけてみるとダンボール箱は今にも沈みそうだった さあどうする!? 「よし!いってこい貴史!」 ”げしっ” 景の巫女さんキック炸裂! 宙に踊る貴史の身体 「すっ・・・諏訪ぁああああああ!」 ザパーン!!! |
||
ズブ濡れになった貴史は無事子猫を救出 ところが・・・・・ 「フギーッ!!」 「うわっすごい警戒するなコイツ。全然なつかないや」 「あら?でもさっき貴史の頭に乗ってたときは随分・・・」 ひょいっ 「ごろごろにゃー」 「すげ!貴史さては猫使いか?」 「助けてくれた人だってわかるのかしら。可愛いわね」 「マジかよ・・・頭にしがみついて離れないぞ」 |
||
結局子猫を家に連れて帰った貴史 兄妹だからか、子猫も結宇には比較的警戒心を持たない様子 「くすくす・・・男の子ね。名前考えてあげなきゃ」 |
||
翌日。貴史は昨日のダイブがたたって風邪でダウン 景のメールに返信したあと、死んだように眠りに落ちてしまう |
||
よく眠った貴史。いい匂いで目を覚ますと・・・・あらら 来ちゃいましたよこの人 なんてお約束な展開だ |
||
いつも通りの夫婦漫才 風邪で具合が悪くてもキチンと突っ込む貴史がエライ ※ちなみに景は中学の頃から榊原家には頻繁に来ている 勝手知ったる他人の家、というヤツである |
||
一口食べて思わず動きが止まる貴史 ちょっとビックリするくらい美味かったらしい |
||
ほぼ新婚 |
||
お約束 キター! |
||
自分より先に景が居た事とか 貴史に飯を食わせる景の幸せそうな表情とか そんな景を見る貴史の優しそうな目とか そのツーショットがあまりにもお似合いだった事とか 景の料理が自分では到底作れないほど 美味しそうだった事とか 浮かれて買い物してきた自分が なんだかものすごく恥ずかしくなったりとか いろんなのが一気にきたらホロリと いやーこの娘は本当に貴史が好きなんですねー 17年生きてて最高の純愛なんですねー (ムツゴロウ風) |
||
「ああっホラホラもう。泣かないの摩弥ちゃん 貴史ったらさっきから ”摩弥ちゃんが見舞いに来てくれないかなー” って言ってたんだから」 「うえっ・・・うぇっ・・・そんなのウソです」 「ウソじゃないわよ。ね、貴史? 摩弥ちゃんの手料理食べたいって言ってたもんね」 「(げうッ)あ、ああ本当のことだよ 摩弥ちゃんが見舞いにきてくれて嬉しいな」 「うっうっ・・・ほ・・・ホントですか?」 一応「男1人を取り合う女2人」という図式の3人だが 見ての通りどっちかっつーと 「妹&兄さん姉さん」といった感じが強かったり ちなみに摩弥は学校では成績よし運動よしで大変モテる こんな風に弱さを見せるのは貴史達の前だけだ そのギャップがまた彼女の魅力 |
||
「じゃ、熱も下がったみたいだし。私はそろそろ帰るね 摩弥ちゃんはもう少し居て貴史看てあげてて」 「あっ・・でもお景さん・・・!」 「いーのいーの。ここは摩弥ちゃんに任せた」 帰り道。月夜を見上げながら呟く 「うーん。まさか泣かれるとは思わなかったな 可愛いなぁ摩弥ちゃん・・何て言うかすごく女のコよね 私が男だったらぜったい放っておかないよホント ったくあのメガネは・・・・ 自分がどんなに幸せ者かわかってのかなー・・・ てえいっ!」 空き缶を思い切り蹴り上げる景であった |
||
翌日 思いっきり貴史の風邪をうつされて寝込んでしまう景 でもその傍らには・・・・・・ |
||
「ほらリンゴむいたぞ。食えるか?」 「ん〜食べさせて〜。あーん」 「っち・・・しょうがないヤツ」 「ねえ貴史・・・」 「あん?」 「これ新婚さんみたいだね」 「あーそうだな」 「えへへへ・・・」 心底幸せそうなお景さんだったとさ おしまい |
おまけ 高校時代の貴&景 放課後の教室での初キスシーン 見ての通り、完全な景の不意打ち |