麻雀物語・正月特別編

=新春・初笑い= お笑いコンビ・おこのみ〜ず 


舞台左袖より、ヒザ下あたりで拍手をしながら、ねじりハチマキの中年男性登場。
舞台右袖より、同じく拍手をしながら、エプロンの似合う女の子が登場。



「お正月といえばー!」
「お正月といえばー?」
「お年玉ーっ!!」
「を、賭けた麻雀!!」
「.................父ちゃん」
「父ちゃん、今年こそ、槙絵のお年玉で、年末ちょっぴり失敗した有馬記念の穴を埋める!」
「言ってることも、やろうとしてることも、父親として恥ずかしくないのかなぁ........」
「天井30万までの大勝負だ!槙絵ラッキーだな!勝ったら大金持ちだぞ!
 でも負けたらお年玉ゼロな!残念!槙絵!父ちゃんたくさんお年玉あげたかったのに!」
「私が大勝ちしたらお年玉が30万ね?本当に?本気だしていいの?手抜かないよ?」
「ごめん、槙絵。........父ちゃん、ちょっぴり自信なくなった。」
「まぁ、どうせ父ちゃんがそんな大金持ってるわけないしね。で、オトシダ..」
「.......本命のくる競馬なんぞ、儲かるかーっ!おのれペリエっっ!!」
「そんなこと、ここで叫ばれてもなー。
 で、可愛い娘から巻き上げる予定らしいお年玉を、まだもらってないんだけど.......」
「だから、父ちゃん有馬記念失敗したと言っただろう?」
「つまり、要約すると、娘にあげる予定のお年玉を、
 当たりもしない競馬につぎ込んで、大事な年末年始スカンピンになったから、
 それをごまかすために、なんとか麻雀で勝って、可愛い可愛い娘のお年玉すらチャラにする気だったと?」
「.........碧.....天国で見てるかい?槙絵が賢く育ったよ。」
「父ちゃん.......母ちゃんのお仏壇に、報告することが、もう一つあるはずだよね.......」
「........えーと、あけましておめでとぉ?」
「いや、それはできればオープニングでやろうよ。」
「今年もよろしくおねがいします?」
「ふぅ.......ここに先月の家計簿があるんだけどね。」
「.........碧.....天国で見てるかい?槙絵がオマエに似てやけに鋭くなったよ。」
「先月の売上金が、明らかに足りないんだよね。」
「槙絵!!父ちゃん持ち出してない!ホントウだぞ!倍にして返すつもりだったんだっ!!」
「言い訳の前後が、食い違ってるのに気づいてるかな?」
「うぅ......ごめんな、槙絵......父ちゃん、来年こそしっかり者になるから......」
「今日は元旦でしょ!今年からしっかりしろーっ!!」

スパコーン!っとコテが中年男性の後頭部に直撃。



「コテでツッコミって、コテコテってやつじゃないか?槙絵。」
「もぉ、恥ずかしいから早く行こうよぉー。」




真っ赤になって、舞台下手に下がるエプロン少女槙絵と、観客にヘコへコしながら娘を追うハチマキゲン。
からくり商店街、新年会出し物の一幕でした。テテンテンっ♪


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