第十話「眠れ!墓標なき墓に」
ヒュンヒュンヒュンヒュン・・・・
ビシィッ! バッシィ――――ン!
無数の棘がついた大型の鞭。それを両手に持って自在に操る獄長
サザゑさん 「グッフフ・・・・どうだ棘殺怒流鞭!(きょくさつどるべん)
貴様にはどこから飛んでくるかさえわかるまい!」
獄長の真正面に立って一歩も動こうともしない一体さん
一発、二発と被弾し、服が裂け、血飛沫が飛ぶ!本当にヤツの鞭は見切れないのか!?
のび犬 (鞭のスピードは人間の目では見切れない!
しかもヤツは相当の達人!これにはさしもの一体さんも・・・!)
サザゑさん 「グワッハハハハどうだ恐怖の味は〜!!
とどめだ食らええいい!!」
ぶぅおおん!!
一際大きく鞭を振るう獄長、とどめの一撃が放たれる!が!
バシィ!
眼前に迫る鞭を両手で受けとめる一体さん!そして思いきり投げ返す!
”スパァ−ン!”鞭は勢いよく獄長の顔面にヒット!
一体さん 「それが貴様の恐怖か・・・・では今度は
お前に本当の恐怖を味わわせてやろう」
サザゑさん 「あんぎゃあ! ぐぐ・・・ぬっくく・・・・やるな閻王・・・!
しかしこの程度でワシの鞭を・・・・・って
ああ?いつのまに鞭を!?」
二本の鞭の先端がいつのまにか固く結ばれている!
闘いを見ていた人間、誰一人として見えなかった。のび犬やシンエモンでさえも
まさに電光石火の神業である
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
衛兵1 「すごい!なんて男だ・・・・お前見えたか?」
衛兵2 「いや・・・ぜんぜん」
衛兵3 「賭けよう!俺達もこの男に!」
一体さんの人知を超えた強さを目の当たりにした衛兵達
一人、また一人と獄長の後ろを離れ一体さんの後ろに付き従う
しかし必殺の鞭を破られた獄長は余裕の表情。まだ奥の手があるというのか
サザゑさん 「つくづく愚かな者供よの〜。ワシに逆らう事の恐怖を忘れたか
・・・・獄舎の囚人供を引き出せい!!」
獄長の命令により獄舎の囚人達が引き出された
そして必死にもがく男達を、衛兵が次々と断頭台にかけていく
ガシャッ ガシャッ ガシャッ
囚人1 「うわあ〜嫌だあ助けてくれえ!俺達は関係ない!」
囚人2 「ヒィィ〜!どうして俺達がこんな目にぃ〜!!」
サザゑさん 「グフフ・・・ただ闘うのでは退屈だ
こいつらの命もお前に賭けさせてやろう」
シンエモン 「なんでござると!?人の命を何だと思っているでござる!」
ダラちゃん 「やめろ!この男に賭けたのは俺達だ!」
イグラちゃん「ハーイチャーンバブー!(俺達がかわろう!)」
サザゑさん 「あ〜〜〜〜聞こえんなあ〜〜〜〜〜!!!
嫌がるヤツの命を賭けるから面白いんだフハハハハハ!
アレを見るがいい!!」
獄長の指した先には数え切れないほどの墓標が無造作に並んでいた
相当の数・・・200・・・いや300は下らないだろう
サザゑさん 「あの墓には今まで無謀にも救世主きどりでワシに挑んだ馬鹿供と
その時の賭けで処刑された囚人達が眠っておる!
ククク・・・思えば哀れな者供であった
この墓が増える事がワシの伝説を生み、カサンドラの伝説を生むのだ!
閻王!既に貴様の墓も用意してある!
安心して討ち取られい!ファッハハハハハハ!!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!
瞬間、カサンドラが少し揺れた。 地震?いや違う
一体さんの闘気で震えたのだ
シンエモンが目を覆って首を左右に振る
シンエモン (終わったでござるなあの男・・・
今、一体さんの怒りはMAXに達したでござるよ)
一体さん 「その墓は大きめに作ってあるのか?」
サザゑさん 「あ?いや・・・なぜだあ?」
一体さん 「そうか・・・では出来るだけ小さくたたんでやろう」
サザゑさん 「あ〜?何を言っとるんじゃ貴様」
一体さん 「まだわからんのか?
その墓に入るのはお前だ」
サザゑさん 「なァにィ〜〜ッ!?
へらず口をたたきおってぇ〜〜ッッ!!
怒流鞭を破ったくらいで勝った気になるなよ!
ワシの本当の力を見せてやろう!
来いケラ―――――――スッ!!!」
ヒュンッ
言ったが早いか、ベルトのホルダーからなにやらカードを1枚取り出す獄長
それを腕に装着されたバイザーに差し込む!
『アドベント』
シンエモン 「! アドベントカードでござると!?
ヤツめ、ライダーでござるか!!!」
ダラちゃん 「ああ。これこそが無敗を誇る獄長の強さの秘密!
・・・来るぞ!契約モンスターメダルケラスだ!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドド!
猛スピードで走ってくるサイ型モンスター!
こいつがサザゑさんの契約モンスター・メダルケラスだッ!
一体さん 「フン・・・まさか貴様がライダーだったとはな
そのカッコ悪いのがお前のモンスターか
主人共々ブサイクで似た者コンビだな?」
サザゑさん 「グハハハハぬかせ!貴様ももう終わりよ!」
おもむろにカードを引き抜く獄長!
ああっ!このカードはッ!まさかいきなり!?
カードのインサートと共に、メダルケラスのけたたましい咆哮!
『ファイナルベント』
獄長がケラスの肩に飛び乗る!
ケラス、そのまま前傾姿勢で一体さんに向かって猛スピードで突撃!
右肩に全筋力を集め、肉弾と化す獄長!そのまま一体さんに体当たりだ!
これがッ!
カサンドラ獄長・サザゑさんファイナルベント
ヘビープレッシャー蒙古覇極道(AP5000)!!
ドッカァアアアアアアアアアアアン
避ける事は難しいと判断し、十字ブロックで防御した一体さん
しかしこの猛スピード&超重量攻撃の前には防御なぞまるで通用しない!
数十メートルほど吹っ飛ばされて壁に激突!まるで子供に指で弾かれたテントウムシだ
シンエモン 「バ・・・バカな!一体さんが!」
サザゑさん 「グッハハハハ!ヘビープレシャー蒙古覇極道は
全身を1弾と化し、すべてのパワーを敵に叩きつける
一撃必倒のファイナルベント!!
これを食らって起き上がった者はおらん!」
恐るべしヘビープレッシャー蒙古覇極道!まさに圧倒的破壊力!
実際一体さんはピクリとも動かない。まさか本当に殺られてしまったのか?
勝ち誇って囚人達に向かって話しかける獄長
サザゑさん 「グフフフ・・・死ぬ覚悟はできたか?
しかしお前達も哀れよのう〜?
無謀な挑戦者のために犠牲にならねばならん」
囚人 「た 助けてください!私は何も関係ないぃ!!」
サザゑさん 「あ〜聞こえんなぁ〜!
・・・・・・殺れ!」
獄長の合図で死刑執行人が斧を振り上げる!
今まさにギロチンのロープに振り下ろされようとした瞬間!
ドバァッ!!
血のつまった風船のように爆発四散する死刑執行人
そしてその後ろに立つ一体さんの姿!
サザゑさん 「た・・・たしかにワシのファイナルベントを受けたはず!」
一体さん 「言ったはずだ 墓に入るのはお前だと!
お前が築き上げたすべての物・・・カサンドラ伝説は今より消えうせる!
見せてやるぜ北斗神拳の奥義を!」
サザエさん 「何ィ〜?ぬかしおってぇ!もう一度食らえ!
ヘビープレッシャー蒙古覇極道ー!!」
『ファイナルベント』
グオオオオッ!
再び迫り来るヘビープレッシャー蒙古覇極道!
バックステップ素早く壁際まで下がる一体さん!
サザエさん 「この俺から逃げられるとでも思ったかァー!!」
ズゴオオオオオオオオオオオン!!!
激突!
しかし一体さんは健在!紙一重で攻撃をかわしたのだ!
鋼鉄製の門に超高速で体当たりを食らわした獄長
メダルケラスと二人分の体重を加味しても、相当な衝撃が肩に加わったハズ
つまり自爆!おそらく獄長の右肩はグシャグシャに砕けて・・・・・ああッ!?
鋼鉄製の門のほうがひしゃげ曲がっているッ!!獄長の肩はまるで無事!
サザエさん 「グワッハハハ!この鋼鉄の肉体に
そんな小細工は通用せんわ! そしてェッ!
こんな仕掛けはどうだぁ〜〜〜!?」
ズズズズズ・・・・・ガコォンッ!
一体さんの逃げ道を塞ぐように地面から巨大な針のついた壁がせり上がる!
なんと周到な罠か!これで一体さんは完璧に袋のネズミ状態だ
サザエさん 「ふあっはははははははははは!!
どうだもうどこへも逃げ場はないぞう〜〜!!
うはうはひゃひゃひゃひゃ!!」
一体さん 「・・・・・・いいだろう
ではお遊びはここまでだ」
シュウウウウウウウウウウウウ・・・・・・
ビタァッ!!
一体さん 「6本だ!この指6本で
その蒙古覇極道受けてやろう!!」
サザゑさん 「ろ 6本指でだとぉ!?ぬぐぐぐぐぐ〜〜〜!
ここまでワシを侮辱した事は許せん!受けてみよ!
ヘビープレッシャー蒙古覇極道――ッ!」
激昂した獄長、三度目のファイナルベントを放つ
それを避けようとはせず、指6本で真正面から受け止めようする一体さん!無茶だ!
ドッカァアアアアアアアアアアン
激突!響き渡る凄まじい衝撃音!哀れ一体さんは潰され&串刺しに・・・・?
否ッ!
ギャラリー達も我が目を疑う
目の前に見えるはビタリと静止した獄長&メダルケラスの姿!
サザゑさん 「何ィ!? ・・・・ぐっぐぐぐぐ見事だ閻王!
この重量、このスピードをよくぞ受けとめた!
だが甘いッ! 押せ――いケラス!!
このまま押し込んで串刺しにするのだ!」
ズズズズズ・・・・ッ!
獄長の合図で再びメダルケラスが前進を始める
少しずつ一体さんの体が後退していく!・・・が!
一体さん 「言ったはずだ もう遊びは終わりだと!
・・・・・・・・フンハッ!!!」
ボォン!!!!
何ィ――――――ッ!?何だコレはッッ!!??
メダルケラスの身体が爆発四散した!獄長の身体はまるで無事だというのに!
何が起きたのか理解できず尻もちをついてうろたえるサザゑさん!
サザゑさん 「ケ・・・ケラースッ!?一体何が起こって・・・・!?」
のび犬 「浸透徑の一種だ!
零距離から撃ち出された掌打は波紋となって獄長の身体を伝わり
モンスターを直接破壊したのだ!」
一体さん 「これで終わりだヒゲ野郎・・・・
せめて最後はライダーらしく死なせてやるぜ」
そう言いながら懐から何か取り出す一体さん!
ああ!? こ・・・・・これはまさか・・・・!!!
メガドラ 「アドベントカードだと!? まさか一体さんも!?」
シンエモン 「そう、ライダーでござる! さあ出るでござるよ
一体さんのファイナルベントがッ!!!」
『ファイナルベント』
ギャオオオオオオオオオオオオオオン
雷雲の中から飛来する一匹の龍!
深く身を沈めた一体さんにとぐろを巻くようにうねったあと、真っ直ぐに上昇!
それを追って一体さんも天高くジャンプ!
そのままサザゑさんに急降下だ!
一体さんファイナルベント
ドラゴンライダー烈火太陽脚
AP:5億8千万
サザゑさん 「バ・・・バカな!そんなそんな・・・・
そんなバカなぁ――ッッ!!」
ボガ――――――――ン!!!
爆発音にかき消される獄長の断末魔!
一体さんが着地した地点から半径1kmほどに渡り地面に亀裂が走る!
まさに圧倒的と言うべき破壊力である
ゴクリと唾を飲み込んでのび犬が口を開く
のび犬 「すごい・・・まるでケタ違いだ・・・これが一体さんの本当の実力・・・」
メガドラ 「”閻王”の二つ名は伊達じゃないって事か・・・まさに閻魔の力・・・」
シンエモン 「? 二人とも何を言ってるでござる?
まだ一体さんは力をセーブしていたでござるよ?」
のび犬 「なッ・・・今ので本気じゃないって・・・!?
・・・・70%くらいですか!?」
シンエモン 「ハハハ!まさか! せいぜい0、1%ぐらいでござるよ
一体さんが本気で最終奥義を使ったら
地球が消し飛んでしまうでござる」
あまりのスケールの違いにただ口をパクパクさせるだけののび犬&メガドラ
砂塵の中からゆっくりと立ち上がった一体さんが煙草に火をつける
一体さん 「ヒゲ・・・てめえの敗因はたった一つだぜ
たった一つのシンプルな答えだ・・・・・
テメーは俺を怒らせた」
TO BE CONTINUED・・・
次回予告
獄長を打ち倒しカサンドラの伝説を破った一体さん
つに捕らわれの潘と数年ぶりの再会を果たす
しかし既にカサンドラには紅華会の次なる刺客が・・・
怒れるメガドラの背中に「侠客立ち」の刺青が浮かび上がる!
次回!一体さん第十一話!
「北斗神拳とミスターX」
今、冒険が進化する!