ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
− 上海 −
蒼天の下、その轟音響かせる勇ましき機影
天駆ける青幇の翼、飛空挺『北斗』である
青幇A 「エンジン始動しました!油圧正常!システムオールグリーン!
潘親分!高速飛空挺『北斗』いつでも発進可能です!」
潘 「グラップラーは全員ブリッジに!皆揃ってるな?」
ダラちゃん 「総員78名揃っております!親分、お願いします!」
イグラちゃん「ハーイチャーンバブー!」
潘 「聞け朋友達!いよいよ我等と紅華会、雌雄を決する時がきた!
命の危険も顧みず斥候で侵入した一体達はその任を見事成し
目的地までは一直線!およそ3時間後にはカイロ空域に入る
正直!カイロ戦力だけでも奴等のほうが我々より上だ・・・だが!
我々は勝たねばならん!上海に!イヤ世界に平和を取り戻すために!
皆の命を俺に預けてくれ!」
ウオオオオオオオオオオオオオオ!!
男達の拳が天を衝く。この戦いには負けられない!命なんざハナから捨てているぜ!
ブリッジに駆け上がった潘の命令が飛ぶ!
潘 「北斗発進!目的地、紅華会本部カイロ!」
青幇A 「進路クリアー!飛空艇北斗、発進します!」
ゴウンゴウンゴウンゴウンゴウンゴウン・・・・・
荒ぶる男達を乗せ、義勇の翼が飛び立つ
正義の剣で悪を討ち倒すために
第14話「集結」
カイロを除けば最大規模であるルクソール基地攻略を成した一体さん一行
破壊工作はすんなり遂行できた。脱出時に少々の戦闘をこなした程度である
タシロに騙され、いきなり基地中枢部に潜り込めたのが結果としては良かったワケだ
そして今・・・・・・・・
ドドドドドドドドドドドドド
ズゴオオオオオオオオオオオオン!
第爆音とともに崩れ落ちる巨大な建造物。紅華会カイロ本部基地である
爆風の中を駆け抜ける4人+1匹。 そう、遂に一体さん達はカイロ基地を陥落させたのだ
だがしかし
第6話でも説明しているように紅華会の心臓はカイロ基地ではない
基地はあくまでも武装庫であり、軍事施設
巨大陸戦艇ジョニー・ザ・ダイナマイト
そしてその内部に控える500人以上のグラップラー達と、首領ミスターXこそが最後の難敵
カイロ基地壊滅は最後の敵に挑むための足がかりにすぎないのだ
一体さん 「今上海から本隊が飛び立ったようだ。カイロ到着は3時間後
俺達はジョニー・ザ・ダイナマイトを視界に納める場所で本隊を待つ
急ごう、時間があまりない。時計を合わせるぞ」
シンエモン 「了解でござる
・・・いよいよこの時が来たでござるな各々方」
のび犬 「上海を立ってから3週間・・・長いようで短かったな」
メガドラ 「最後の闘いか・・・・生きて帰る!必ずな」
だま 「にゃにゃにゃーにゃあ!
(もちろんッス!そんで皆で大宴会ッスよー!)」
一体さん 「フッ・・・行くぞみんな!
上海に帰ったら派手に騒ごうや!」
駆け出す一行。笑って語り合えるのはこれが最後の時間かもしれない
熱砂の大地を舞台に世界の命運を駆けた戦いの火蓋が切って落とされようとしていた
2時間後―
カイロ近郊から数km離れた砂漠地帯
眼下に敵艦を見据える小高い丘の上に一体さん達はいた
まもなく本隊到着の予定時刻である
メガドラ 「あれがジョニー・ザ・ダイナマイトか・・・・
デカイな。全長1200mは伊達じゃないか」
シンエモン 「一体さん、あの艦に対空兵器は搭載されてないでこざるか?
本隊がまっすぐこの空域に入ったらマズイのでは・・・」
一体さん 「心配ない・・・そのために俺達がここにいる
もし対空ミサイルが発射されたら俺が気功砲で打ち落とす
もっとも高射砲の弾幕は打ち落とせないが
降下ポイントは高射砲の射程外・・・どっちにせよ
奴等に空域に入った北斗を撃ち落とす術はない」
だま 「にゃにゃにゃにゃーにゃにゃーにゃあ!
(北斗から朋友達が降下し次第一斉攻撃っすね!
うー、ドキドキしてきたっすよー!)
のび犬 「しかし妙だ・・・奴等も上海の動きは把握しているはず
なぜ何の迎撃準備もしない?これは何か・・・む!」
ゴウンゴウンゴウンゴウンゴウン・・・・
遥か彼方に豆粒のような機影が見えた
北斗!
艇内は臨戦体制のグラップラー達が最終準備を終えたところであった
ダラちゃん 「目標を肉眼で確認!距離27!」
潘 「各員パラシュート装備後ハッチへ!
降下まであと2分!準備はいいなッ!」
青幇A 「待ってください親分!敵艦に変化が!
こ・・・これは・・・・・・バカな・・・・」
ゴンゴンゴンゴンゴンゴン
ジョニー・ザ・ダイナマイトの甲板が開いていく。対空兵器を出すのであろうか
一体さんが両手にオーラを集中させて狙いを定める
が
出現した”それ”を目にして一体さん達の動きが止まる
シンエモン 「な・・・なんだと・・・・アレはまさか・・・・」
一体さん 「やられた・・・・オリパめ!こんな物を隠し持ってやがったか!
はァ―――――――――ッッ!!」
ッゴォオオオオオオオン!
放たれた一体さんの気功砲。しかし”それ”は難なく回避。甲板に穴を開けただけであった
横一列に整列する”それ”は全部で10機。一体さん達に戦慄走る
ドドドドドドドドドドドドド!!!!!!
精神感応式コントロール「フラッシュシステム」により操作される無人兵器
人型決戦機動兵器 『せんこーしゃ』
別名ビットモビルスーツと呼ばれ、前大戦で最も戦功を上げた兵器である
この機体の制御ができる人間は極少数であり、彼等はニュータイプと呼ばれ軍から珍重された
停戦条約と同時にすべての機体は破棄されたハズであったが・・・・
一体さん 「フライトユニットと強化スラスター装備の空戦タイプ!
ちぃ!これが紅華会のジョーカーってわけかよ
しかも今の動き・・・あれを制御してるのはオリパ自身だ」
シンエモン 「10機のビットモビルスーツを同時にコントロール!?
そんな物凄いニュータイプ能力があるでござるか」
一体さん 「腐っても北斗神拳伝承者候補だった男だ
ヤツならこれくらいの芸当は造作もない」
メガドラ 「ちぃっ!マズイぞ一体さん!北斗が危ない!」
10機のせんこーしゃが飛び立つ。北斗へ向かって一直線!
この位置からの攻撃では回避されると判断した一体さん、丹田に小宇宙を集中させる
ふわ・・・・
なんと一体さんの体が宙に浮き上がった!
武空術
小宇宙のコントロールにより自在に空を駆ける秘法。現在この術を使える人間は数えるほどしかいない
一体さん 「俺が接近戦で叩く!お前等はここにいろ!」
のび犬 「すまん一体さん!北斗を頼む!」
紅華会ザコ 「おっとぉ〜!そうはイカの金玉よぉ!
くくく閻王!アンタの足止めをさせてもらうぜえ!」
どこから沸いたのか紅華会グラップラーザコ集団
ぐるりと周りを囲まれてしまった一行。ザコ供と言えどこれだけ数が揃うと厄介だ
ましてや今は一刻を争う状況。僅か1秒が惜しい
だま 「にゃにゃにゃああああー!!
(こんな時に!なんてタイミングっすかッ!)
一体さん 「なんてこった・・・・コイツは流石に・・・・」
ミスターX 「打つ手なし、だな一体よ」
コントロール室でほくそ笑むミスターX。このまま撃墜されるのを黙って待つしかないのだろうか!?
ズキューン!!ズキューン!!ズキュゥーン!!
ドゴォ!ガァン!ゴバァン!
北斗に襲いかかる10機のせんこーしゃ。収束式指向性ビーム砲、通称「中華ランチャー」が火を噴く
迎撃武装を持たない北斗はやられるがまま。全速後退するも機動力は敵のほうが上で振り払う事も不可能である
ダラちゃん 「右翼動力部に被弾!出力40%低下!
推進力を維持できません!このままだと落ちます!」
潘 「くッ!敵本丸を目の前にしてここまでやられるとは・・・
やむをえん!緊急降下開始だ!ハッチ開け!」
イグラちゃん「ハーイチャーンバブー!?」
(なッ・・・!この砲火の中をですか!?
今飛び降りたらパラシュート開いた瞬間に狙い撃ちです!)
潘 「だがこのままでは全員死ぬを待つだけだ
降りたからと言って必ず全員が死ぬわけじゃない、
運の良い者何人かは着地成功もできるだろう!
今は少しでも生き残る可能性が高い選択肢を選ぶしかない!」
ダラちゃん 「りょ・・・了解しました!ハッチ開きます
聞こえたなグラップラー各員!緊急降下準備!」
地上で戦う一体さん達も北斗の動きを確認して驚く。ゆっくり展開していくハッチ!
― 強行降下をかける気か?自殺行為だ! ―
次々襲いかかるザコ供は一向にその数を減らさない。口惜しい。自分達の見通しが甘かった
無謀な死のダイブを歯軋りしながら見守るしかないのか?
まさに絶望的ピンチに立たされた青幇 だが
その時だった!
ゴバァッ!!!!
轟音と供にせんこーしゃ3機が一瞬で光の中に消え去った
超大口径のビーム砲撃である
一体さん 「!? 何が起きた!
北斗とは逆の方向から火線が走った!」
メガドラ 「あ・・・・あれを見ろみんな!」
だま 「にゃーにゃにゃにゃにゃあー!?
(ななな・・・なッな――ッ!?
でかあ――――――ッ!!)」
ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴン
砲撃の方向に見たもの。それは
とてつもなく巨大な空中戦艦!
北斗の10倍近くはあろうかという巨大さ。艦全体には無数の砲台を搭載
特に艦首の巨大な主砲が目を引く。先の閃光はこの砲であろう
潘 「味方なのか?照合急げ!」
ダラちゃん 「やってます!ですが・・・照合パターン無し!?
まったくの正体不明艦です!」
潘 「せんこーしゃを砲撃した以上紅華会の艦ではないだろうが・・・」
巨大戦艦は北斗の照会パターンのどれにも当てはまらない
果たして敵なのか味方なのか?・・・と
パウッ パウッ
不明艦から2色の煙が上がった。最初に赤。次に紫
照合用の信号弾だ
一体さん 「信号弾!軍籍のお前ならわかるかシンエモン?
・・・・・シンエモン?おいどうした?」
シンエモン 「お・・・・お味方ッッ!!
一体さん!あの艦は味方でござる!
赤は日本軍!紫は将軍家!そして!
そしてあのしゃれこうべに蓮の花の馬印は!
上様にござる―――ッ!!!」
溥儀 「なんとか間に合ったか・・・
久しぶりだなシンエモン、閻王よ」
TO BE CONTINUED・・・
次回予告!
予期しなかった頼もしき援軍の到着!
意気上がる一体さん一行はジョニーザダイナマイトへの突入を敢行する
行く手を阻む500人の紅華会グラップラー!
倒せ一体さん!熱き超戦士達の絶技が天を焦がす!
次回!一体さん第15話!
「超戦士決死線」
戦雲が一体さんを呼ぶ!