ヒムラー   「し 知らぬ事とはいえ・・・貴殿が陳一門の高弟であり
        筋からいえば私の兄弟子にあたる方だったとは・・・
        シンエモン師兄。私は偉大なる陳老師の剣を
        悪しき紅華会の力として今まで振るって参りました
        この不始末・・・どう申し開きのしようもありませぬ
        どうかその剣で私をお討ちくださいますようお願い致す」
シンエモン 「いい加減に面を上げい。お主は今紅華会を『悪』と言った・・・
        奴等に手を貸しているのは何か理由あってのことでござろう?」

ヒムラー   「! そこまでお見通しとは・・・た、たしかに・・・
        私が紅華会に手を貸すのは戦災孤児達を養うためでありますが
        しかし、だからと言ってそのために師の剣を・・・・!」
シンエモン 「ヒムラーよ。過去の過ちは正せばよい。そうであろう
        これ以上、そんな哀しい思いをする子供達を出さぬために
        我等は幾多の苦難を乗り越えここまでやってきたのだ
        
心配するでない。
紅華会は我等が倒す」
ヒムラー   「なんという・・・シンエモン師兄!私が間違っておりました!
        この世にあのミスターXと戦える者などおらぬと思っておりましたが
        ・・・首領はこの先の大広間におります。師兄、そして閻王殿!
        貴方達ならばあの怪物を相手に勝機を見出せるやもしれませぬ」

ざっ・・・・・!
この先にミスターX・・・元・北斗神拳伝承者候補オリパがいる
日本を経ってから2ヶ月半。長き旅の果て、ついに一体さん一行はここまでたどり着いたのだ

一体さん  「行くぞみんな!泣いても笑ってもこれが最後の戦いだ!」
メガドラ   『怒羅美、ゼワジくん・・・見てるか?今すべてに決着をつける!』
のび犬   『国枝・・・お前もそこに居るのか。約束通りやってきたぜ!』
北城トオル 「たしかにミスターXの戦闘力はケタ外れです。しかし・・・・
        筆頭や一体さんが居る限り!我等に敗北はあり得ません!」
だま     「にゃにゃにゃーにゃにゃーにゃにゃ!
        (その通りッス!そしてみんな無事に帰って帰って宴会っすよ!)
シンエモン 「さあ参ろう一体さん!地獄の蓋を開けに!」
???   「おおっとぉ!ソイツはどうかなァ!?」

突然。その場に7人目の男の声が響き渡った
通路の奥から現れたその男。一体さん達を一瞥すると高らかに宣戦布告を始めた
長身だがシェイプされた肉体。だが細身というのではなく、まさに全身が鋼の筋肉
威圧感漂うその甲冑には幾つもの武器をぶら下げ、放つ小宇宙は今までの敵とはまるで次元が違う
そのプレッシャーに北城やだまは足がすくんで動くことができない!この男は何者なのか!

純一    「ロートルの四天王を倒して調子にのっているようだな・・・
       
ハッ!笑わせてくれる!まったくおめでたい奴等よ!
       俺の名は
純一!Dr国枝様のバイオニクル研究の集大成!
       
B54号の放電能力!
       
伊藤の超能力!
       
とりにてぃの筋力!
       
トモゾウのタフネス!
       
ヒムラーのテクニック!
       その全て兼ね備えた紅華会最強のグラップラー!
       俺の前に敵はない!だから人は俺をこう呼ぶのだ!
       
ゼロと!そう俺は最強戦士ブラックソード・ゼr

ぼぐしゃー!!!!!!

一体さん 「失せろ!!!」

話の途中で一体さんの鉄拳を顔面に食らったブラックソード・ゼロ。その神速と突き、避ける間もなし
まるで子供に指で弾かれたテントウムシの如く直線の通路を猛スピードで吹っ飛ばされた
ゴオオオオ大オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
バゴォン!!!ずしゃー
そのまま大扉に激突。それでも勢いは止まらず部屋の中にゴロゴロと転がり込む
ようやく止まって何か言いかけたようだったが、口を開くと同時にゴボリと赤黒い血を吐いて絶命した

薄暗い部屋の奥で後ろを向いていた男がゆっくりと振り返る

ミスター] 「きたか・・・久しぶりだな。一体よ」
一体さん  「オリパ・・・てめえに逢うため地獄から戻ってきたぜ
        俺達の間に言葉は要らねえ・・・・あとは・・・・!




第20話 「ただ 打ち貫くのみ」





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

ミスターX  「・・・かつて世界制覇目前だった我が紅華会・・・・
        それをお前に壊滅寸前まで追い込まれたのが5年前か
        フッ。もっともあの敗北を糧に戦闘員の人体改造に着手し・・・
        あの頃とは比べ物にならん戦闘力を有することができたわけだ」
Dr国枝   「そう・・・学会のクズどもが認めなかった私の研究成果
        巨額の資金を投資してくれた貴方のおかげで日の目を見ましたよ
        しかし惜しい。現在研究中の
”究極のグラップラー”理論
        これがが完成していれば閻王を相手にデータが取れたのですが」

のび犬   「よう国枝・・・!約束通りここまで来てやったぜ」

Dr国枝   「クックク・・・大したものだB54号。復讐という執念の力だな
        だがお前ごときミスクリエイション
(出来損ない)に私はやられん
        失敗作のお前はここで朽ち果てるがよい」
   

ミスター]の後ろにゆらりと現れたDr国枝
このマッドサイエンティストこそがまさしく最強最悪戦闘集団・紅華会を産んだ元凶であった
のび犬が怒りをあらわにして飛び掛ろうとするも、前に立ちはだかるミスター]の威に押されて動けない!
それこそ蛇に睨まれた蛙である。元・北斗神拳伝承者候補のその力、計り知れない

北城トオル 「なんて小宇宙・・・!気をぬけばそれだけで心臓を圧迫されそうだ」
ミスターX  「ん〜、紅華会の頭脳に手を出してもらっては困るのでね
        少しそこで黙っていたまえモルモットくん」

のび犬   『くっ・・・う、動けない・・・!』

一体さん  「墜ちたなオリパ・・・そいつの怪しげな投薬で肉体改造したか
        今のテメエはもう供に修行した兄弟子でも何でもねえ
        北斗神拳伝承者として・・・ミスターX!この場にテメエを葬ろう」

ざんっ!
一体さんの発する小宇宙が目に見えるほど強い。いよいよ「閻王」の力全解放の時である
にゃぁあああああ〜〜〜
二人の間に交錯する圧縮した闘気が空間をも歪めていく!これが最強グラップラー同士の激突!

ミスターX  「馬鹿が・・・キサマあの時、実力で勝ったとでも思っているのか?
        あの戦いをよーく思い出してみろ!!
        俺が足を滑らせなければ、死んでいたのはお前のほうだった!」
一体さん  「まだ気付かないのか?あれは偶然足を滑らせたのではない
        
すでに秘孔を突き足の自由を奪っておいたのだ」

ミスターX  
「なにィ!?」
一体さん  「だが今はお前を生かしておいた自分の甘さを後悔している・・・
        
その悔いを今この場で断つ!」

ミスターX  「たわけた事を・・・いや仮にそれが真実だとして!
        今のこの俺がキサマに負けるハズがない!
        いくぞ一体!
グラップラーファイトォォォ!」
一体さん  「五年前と違うのが自分だけだと思うなよ!
        砕け散れオリパ!
レディィィッ!ゴォォウ!」

ゴッ!!ズガァ!!!
ついに最強グラップラー同士の最終決戦がその幕を開けた
ぶつかり合う一体さんとミスターXの拳が凄まじい衝撃波を生み、ジョニーザダイナマイトを奮わせる
グラップラーでなければその場にいるだけで”氣”により心臓を圧迫されてしまうだろう
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

Dr国枝   「なんと素晴らしい・・・単体の1生命が
        これほどのエネルギーを生み出せるものなのか!」
一体さん  「はああああああああああああッ!!」
ミスターX  
「おおおおおおおおおおおおおッ!!」

ドォオン!!!

ガドラ   「ぬうおおおおおおおおおッッ!?」
だま     「にゃ、にゃわ――――ッッ!??」
のび犬   「何が起きた!?閃光で視界が・・・!」

北城トオル 「消えた?ふ、二人はどこです!?」

シンエモン 「う、上でござるぅ―――ッッ!!」







二人は天井をブチ抜いてはるか上空へ!
下から見上げるとまるで豆粒のような小ささだ!人間とは思えぬジャンプ力!

一体さん  「来い!ドラググリーン!」
ミスターX  「我が足となって戦え!マッスルウイング!」

『アドベント』 

「ガオオオオオオオオオオオオオン!!」
「キィイイイイイイイイイイイイイイイ!!」

契約モンスター召喚!各々の背に乗り更にカードを抜く二人!
ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!

『ストライクベント』
『シュートベント』

一体さん  「北斗剛掌昇竜突破!!」
ミスターX  「千条闇矢天翔奔烈!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
ズガァッ!!!
繰り出した攻撃は互いをかすめて地上に降り注ぐ
その破壊力は砂の大地を真っ二つに割り、ピラミッドを跡形もなく吹き飛ばした
ジョニーザダイナマイトの外で戦っていた紅華会・青幇グラップラー達が戦いを忘れてただ呆然と見入っている

潘      「ぬう!ついに始まったか・・・・!
        頼むぞ一体!この世界の命運はお前にかかっている!」
シンエモン 『これが北斗の戦い・・・!はたして拙者でも勝てるかどうか!』

これが北斗神拳同士、そして”ライダー”同士の戦闘!
頂上決戦!ここエジプトは地上最大の決戦の場と化した!

その場に集うすべてのグラップラー達は固唾を呑んで二人の戦いを見守る
二人の戦闘力は桁違いである。最強戦士を失ったほうの陣営は相手を倒すすべがない。その時点で世界の命運が決まるのだ

モンスターの背から飛び降り、戦いの場を地上に移すダブルライダー
ドラググリーンとマッスルウイングはモンスター同士空中大激突だ。こちらの戦いも一進一退の五分!
『トリックベント』
ミスターXが分身のカードを抜いた。その姿が8人に増え、素早い動きで一体さんを取り囲む

ミスターX  「行くぞ!これが受けられるか一体!
        
斬・飛翔分身抜刀牙ァ――ッ!!!」
一体さん  「なめるなよオリパ・・・小技で仕留めらる俺と思うか!」

八方向から同時に襲い掛かったミスターX。このタイミングではいかなるグラップラーとて回避不可能・・・・
否!
一体さんが1枚のカードを抜いた!
『アクセルベント』
きゅいいいいいいいいいいいいいいいいいいい・・・・・・・・
ヴォンッッ!!!
加速のカード!発現後10秒間、全ての動きが通常時の1/1000秒のスピードで行えるのだ!
初弾回避!すれ違いざまに二人のオリパに虎砲!(ブルース・リーの言うところのワンインチ・パンチ)
ジャンプしていた3人のオリパが氣弾の直撃を食らって空中で爆発!
背後から胸を貫かれて即死する6人目!
更に返す刀で放った旋風脚が7人目の首を叩き折る!
7人のダミーを瞬時に片付ける一体さん。この間わずか0.004秒の出来事である!
最後の1人に向かって突貫し渾身の一撃を打ち込む!だが8人目はその正拳をガッシとブロック!
8人目のミスターXがオリジナルだったのだ。分身したダミー体はオリジナルの1/100程度の能力しかなくなるのである

ミスターX  「クハハハハ流石だ一体!この俺と互角に戦うとはな!
        だが・・・・互角なら俺の勝ちだ!」

ミスターXが不敵に笑いながら一枚のカードを抜いた。青地に白い翼が描かれたカードッ!
『サバイブ』
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
突然吹き荒れた突風とともにミスターXの姿が光に包まれていく!
変身!ミスターXサバイブ!!


シンエモン 「な・・・・なんでござるこの小宇宙は!!拙者が・・・
        竜の騎士が射竦められて動けないでござると!?」
メガドラ   「あ、あり得ん!こんな馬鹿な・・・・!」
北城トオル 「更に数倍に膨れ上がった・・・・!」

Dr国枝   「計測完了・・・・・
戦闘力72億2000万。クククク・・・
        完璧ですよミスターX!あなたこそ地上最強のグラップラーです」

ミスターX  「終わりだ、一体」

まばゆい光が消え去ったあと、その場に立ち尽くす蒼き甲冑に身を包んだミスターX!
発する小宇宙は圧倒的。紅華会勢は沸きあがり、青幇勢は生気を抜かれたような顔でそれを見つめるしかなかった
ジリ・・・と歩を進め間合いを詰めるミスターXサバイブ。絶望的な状況に肩を落とす一体さん一行
だが!一体さんはうろたえずにス・・・と1枚のカードを抜いた
赤地に白い翼の描かれたカードだッッ!!!

       「行け一体!」
ミスターX  「なッッ!一体!キサマもそれを!!?」
一体さん  「言ったはずだぜオリパ・・・・
        
5年前と違うのはテメエだけじゃないってな!」

『サバイブ』


TO BE CONTINUED・・・


次回予告!
サバイブ化したミスターXに対抗するためついにサバイブカードを抜いた一体さん
二人の戦いは前人未踏の領域へと到達!その絶大なる力は神か悪魔か
熱砂の大地に究極の超戦士が降臨する!

次回!一体さん第21話
「悪断つ光の拳」

男の伝説は拳で語れ!


21話へ

戻る