第七話「激闘の幕開け!」







〜 成田空港 〜

皇家専用リムジンから颯爽と降りたつ5人の男達
エジプトに旅立つ4人と、それを見送りにきた
溥儀である
言葉少なに男達と最後の別れを告げる溥儀

溥儀    「ふ・・・皆よい顔をしている・・・
       いよいよ出発じゃな・・・・のび犬殿、メガドラ殿、
       シンエモンと閻王をよろしく頼んだぞ」

のび犬  「陛下、シンエモン殿の助っ人まことに感謝します
       必ずお二人は無事に帰還させますゆえ、どうかご安心を
       
・・・青幇は約束は絶対に守ります」

溥儀    「うむ・・・そろそろ時間か
       では朕は皇務がつかえているゆえ、ここで失礼するぞ」


そう言い残し、時間になるのを待たずにその場を去る溥儀
これから死線に向かう男達に対して少し薄情ではないか?
―――それは否ッ!
去りゆく溥儀の目に一筋の涙が!

シンエモン 「ク・・クゥ・・・気丈にふるまっているが、あの後ろ姿・・・
        今の態度でわかった・・・ 何も語らないが
        上様はこの戦いが熾烈を極めると気付いている
        逆に我等び自分の不安を隠そうとしていた!
        
我等に心配をかけまいとしていた!
        ・・・上様はそういうお方だ・・・・」

一体さん  「・・・・・・」
シンエモン 「必ず・・・・生きて帰る!
        安心してくだされ上様、心配することは何もないでござる
        必ず帰ってくる・・・安心していていいでござるよ」


メガドラ   「シンエモン殿のご主君、溥儀陛下という方は
        人の心をなごませる人だな 傍にいるとホッとする気持ちになる
        こんな事を言うのもなんだが、主君を持つとしたらあんな人がいいと思う
        守ってやりたいと思う・・・元気なあたたかな笑顔が見たいと思う」

のび犬   「うむ・・・いよいよ出発のようだな」

行くぞ!




















”バシィッ”
場面変わってエジプト
薄暗い部屋の中、ポラロイドカメラを叩き割るミスターX
しだいしだいに写真に画像が浮かび上がってくる
ゾゾゾゾゾゾゾゾ・・・・・
ミスターXの超能力!
遠く離れたビジョンを写真に写すことが出来る
「念写」

ミスターX 「ふむ・・・、ようやく日本を発ったか ありがとよ閻王、理想的な展開だ
       さあ早くやって来い、エジプトへ! この私に倒されるためにな!!
       
ハハハハハハハハハハハハ!」




〜東中国海上空〜
突然の妙な気配に眠りを妨げられた一体さん
訝しげに目を覚まし、キョロキョロとあたりを見回します

シンエモン 「一体さんも感じたでござるか?今の感覚は一体・・・?」
一体さん  「ああ、見られたな・・・どういう理屈かわからんが・・・
        気をつけろ、早くも新手の刺客がこの機に乗っているかもしれん」

その時だった―
ブーン 
突然機内に響く虫の羽音。その音にメガドラとのび犬も目を覚ます!
しかし一瞬姿を見せた影は素早く座席の影に隠れてしまう

シンエモン 「カブト・・・・いや、でござる!」
一体さん  「機内に虫だと?普通じゃないな・・・刺客か!」

メガドラ   「ありうる・・・虫の姿をしたグラップラー・・・・
        はッ!一体さん!君の頭の横にいるぞ!」


のび犬   「気を付けろ・・・・刺客だとしたら
        ”好んで人の舌を食いちぎる虫のグラップラー”
        の噂を聞いたことがある」

一体さん  「気持ちわりいな・・・だがここは俺に任せろ・・・
        
あたあッ!!

一体さんが蜂めがけて必殺のマッハパンチを繰り出す!

プン!
なにィ!?かわしたッ!
北斗神拳伝承者の拳をかわす虫?ありえない!
やはりコイツは紅華会のグラップラー!
すかさず怒涛の連撃を叩き込む一体さん

一体さん  「あ―――――たたたたたたたたたたたたたた
       たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた
       たたたたたたたたたたたたたたたたた!!!

しかし一体さんの拳はことごとく空を切る!
片手ではない、両手でのラッシュもかわされた・・・なんという早さ!!

バッチ   「ククク・・・・のろいな・・・噂の閻王の拳はこんなものか?
       俺の名は紅華会A級グラップラー、
みなしごバッチ!
       例え1cmの距離より10丁の銃から弾丸を撃ち込んだとして・・・・
       
弾丸は俺の身体に触れることはできん!

言うが早いか一般客に向かって飛んでいくバッチ
何をする気だ?まさかッッ!

”ボゴボゴボゴボゴォォォッ!!!”  

―――――凄惨な光景が展開された
凶行におよんだバッチ
次々と舌を引きぬかれ、何が起こったのかもわからず絶命する客達 



バッチ   「ビンゴォ!舌を引きちぎった!そして俺の目的は・・・・!」

ベチャッ! ズシャ――――ッ!

37564(皆殺し)どっかのゾクかお前は 


 

メガドラ   「や、やりやがった・・・・」
シンエモン 「おのれ外道ッ!許せぬ!刀のサビにしてくれる!」

激昂して斬岩剣の柄に手をかけるシンエモン
しかしこれを制する男が1人― 
のび犬である

のび犬   「待て!待つんだシンエモン!
        他の乗客が気付いてパニックを起す前にヤツを仕留めねばならん
        貴方の大剣はこの狭い機内で振るうには不利だし
        メガドラ、お前のパワーは機体に大穴でもあけたら大惨事だ!

        ここは我が静なる絶技”紐切り”こそヤツを始末するのにふさわしい」
         

”紐切りのび犬” その静かなる闘志を滾らせ、立つ!
唸る野比流斬撃空手!出るか必殺紐切り!


のび犬   「来い外道・・・見せてやるぜ斬撃拳・・・・ッ!
バッチ    「紐切りのび犬・・・聞いているぜ青幇随一の使い手・・・
        だが貴様のスピードでは俺を捕らえることはできん!」

のび犬    「そうかな?
        
・・・ちぇえりゃああああああああッッ!

ズバババババババババババッ!
嵐のような連撃を見舞うのび犬!しかしバッチの超スピードはそれをはるかに凌駕している!
すべての攻撃をかわし、間隙をぬって攻撃を打ちこむ!

”ドバァッ”
口から溢れ出る鮮血!
しかしまだ舌は抜かれていない!ギリギリ避けて致命傷は免れるのび犬

シンエモン 「うう!ヤツの言う通りスピードが段違いでござる!
        このままではのび犬殿が危ない!拙者助太刀いたす!」
メガドラ   「いや・・・・要らぬ心配だシンエモン殿
        ヤツはもう終わりだ・・・
のび犬を本気で怒らせたんだからな

シンエモン 「!? それはどういう意味でござる?」
メガドラ   「見ていればわかる・・・・決着は一瞬だ」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

バッチ   「ふん・・・何をする気が知らんが・・・・・
       攻撃が当らない限り貴様に勝ち目はない!死ねい!」

猛スピードで突撃するバッチ!これで勝負を決めるつもりだ
のび犬は再び連撃でコレを打ち落とそうとするが・・・・

バッチ   「まだわからんかハハハハハ―――ッ!
       
俺に舌を引きちぎられると狂い悶えるンだぞッ!
       
苦しみでなァ!
シンエモン 「ああイカン!また攻撃をかわされているッ!」

今回も攻撃はむなしく空を切るだけ
のび犬絶体絶命か!

のび犬   「何? ひきちぎられると狂い悶える?
        ・・・・・どっちかっつーと俺の場合・・・」


ズアッ!

ドスドスドスドスッ
BGM 仮面ライダーアギト 「DEEP BREATH」



バッチ    「ゲブゥッ!!!(吐血)
        
なにィッ!?な、なんだコレは!




背面触手 
”のび犬スティンガー”!
そしてのび犬の手、肘、膝からジャキンジャキンと刃が生える!
これがッ
100%戦闘形態ッ
エクシードのび犬だッ!

ギャ―――――――ン(荒木風擬音)



のび犬   「
ひきちぎるとッ!狂い悶えるのだ!
      
悦びでなッッ!!!

ブヂブヂブヂブヂィ!
のび犬スティンガーによって八つ裂きにされるバッチ
まるでデビルトムボーイを食らったウルフマンのよう

のび犬   「すでにシートの中や下にのび犬スティンガーが伸びていたのだ
        最初の攻撃でそのエリアに追い込んでいたことに気づかないのか」
バッチ    ギニャアアアアアアア!!!
のび犬   「ふん、下品な悲鳴だ・・・
        
散り際に微笑まぬ者は生まれ変われぬぞ


のび犬、鮮やかなる快勝!

TO BE CONTINUED・・・


次回予告


飛行機の不時着で香港に降り立った一体さん一行
中華飯店で出会った謎の男は果たして敵か味方か!?
サムライの誇りをかけてシンエモンが立ち上がる!

次回!一体さん第八話
「白銀の戦士!」


夢はでっかく世界チャンピオンだ!


第八話へ

戻る