第一話 「屏風の虎」







パカランパカランパカランッ・・・・ヒヒィ〜〜〜ン!!

愛馬「松風」にまたがり、颯爽と木々の間を駆け抜ける筋骨隆々の男・・・
その名はシンエモン!

シンエモン 「一体さ〜ん!大変でござる〜!!!」

寺の境内から1人の小坊主が現れ、彼を迎え入れる

一体さん  「おうシンエモン!久しぶりだな。
        またあのアホの無茶が始まったのか?」
シンエモン 「その通りでござる・・・ なんでも今度こそ体さんを
        ギャフンと言わせる問題を思いついたとか・・・」
一体さん  「フン・・・・馬鹿は死ななきゃ治らないようだな。
        仕方ねえ、出向いてやるとするか」
シンエモン 「いつもいつも申し訳ないでござる、一体さん」

一体さん  「なあに、気にするな。
        俺達は朋友(ポンヨウ)だろ?」
シンエモン 「一体さん・・・かたじけのうござる!」





〜場所は変わって金閣寺〜

 溥儀   「おう閻王!よう来てくれた〜! 
       まずは菓子でもどうだ? んん?」
一体さん  「ポッキーかよ、ウォン・ユンファかテメエは。 
      森永ポテロング
なら食ってもよかったがな。
        さっさと用件を済ませろ。
俺は貴様に付き合うほど暇じゃないんだ」
 溥儀   「くっ、相変わらずよのう。 
       よかろう・・・オイ!あれを持って参れ!」

溥儀の合図とともに、一枚の金屏風が一体さんの前に用意された
一匹の立派な虎が描かれている

 溥儀   「実はな、この虎が毎夜のように屏風から抜け出して大暴れするのだ
        
最近は家中の者も、怯えてロクに眠れん始末・・・
        そこでだ!是非とも閻王に
この虎を退治してもらいたいというワケじゃ」
一体さん  「屏風の虎退治ってワケか・・・・
        フッ、おもしろい!このヤマ受けてやるぜ!」
 溥儀   「ほう!ぬかしおったな。 
       わかっておるとは思うが
もし出来なかったときは・・・・」
一体さん  「テメエの禁衛隊に加われってんだろ?
        もうその台詞は聞き飽きたんだよ」
シンエモン (なッ・・・!?そんなムチャな! 
        いくら一体さんでも
屏風の虎退治なんて出来っこないでござるよ!)



シンエモンの心配をよそに、一体さんは殺る気マンマン
そして準備は整った

 溥儀   「さあ閻王、見事虎を退治してみせよ!」
一体さん  「ああ。じゃあまず、虎を屏風から追い出してくれ。
        
そこを俺が仕留めるって寸法だ」
シンエモン (なるほど! さすがは一体さん、そうきたか!
        これなら上様も何も言い返せないでござろう)

否! シンエモンの考えは甘かった!溥儀の口元に笑みが走る

 溥儀   「甘いぞ閻王!そう言うと思っておったわ!
       
じゅげむじゅげむ・・・・む〜〜〜〜ん!

          猛虎 招・来!!!

ズ・ズ・ズ・・・ ピカァァアッ!!
まばゆい閃光! そして響く獣の咆哮!

  虎    「がおーーーーーっ!!!
シンエモン 「って・・・んなぁーーーっ!?
        ほ、本物の虎が出てきたでござるぅ〜っ!?」
 溥儀   「ふははは!驚いたか!
        この屏風には召還魔法が施してあるのじゃ!
        しかもこの虎は中国で1000人以上を食い殺したという
        
伝説の人食い虎ッ!! 
        いかにお前とて敵うまい!降参せよ閻王!」


一体さん  「ほあたあっっ!!!!!

ドゴォオン!!!

 溥儀   「・・・・はいいぃっ!!?

一撃ッ! 
たった一撃で虎は数メートル吹き飛ばされ壁に叩きつけられた!

一体さん  「・・・終わったぜ。これでイイんだろ?」

振り返って溥儀に歩みよる一体さん
溥儀はというと、今の一撃にビビって腰を抜かしている始末である

シンエモン 「凄い・・・! 一体さんにかかれば
        人食い虎も相手では・・・・・ん!? 
        一体さん!危な〜〜〜い!!

虎はまだ生きていた! 
素早く起きあがると、一体さんに背後から襲いかかる!
しかし一体さんは、まるでそれに気付いていないかのように
取り出したタバコをくわえると火をつけた



              ニ   イ   チン   ス   ラ

一体さん  「称己径死了
        (お前はもう死んでいる)
  虎    「がっ!?ぐがぉおお!

ドパァアアアッ!!!

一体さんの呟きと同時に
虎は内部から爆弾で吹き飛ばされたかのように四散した

あまりにも凄絶!これが北斗神拳!


一体さん  「さて用事は済んだな。俺はこれで帰らせてもらうぜ」 
 溥儀   「ふ・・ふふふ・・・見事だ!ますます気に入った!
       閻王!朕は諦めんぞ!必ずお前を我が禁衛隊に加えてみせる!」
一体さん  「フン、テメエも大概しつこいな。 
        ま、そういう奴は嫌いじゃないぜ。またいつでも挑戦を受けてやる」
シンエモン 「一体さ〜ん、待ってくれでござるよ〜!」

そう言って金閣寺を立ち去る一体さんシンエモンが慌てて見送りについていく
去っていく二人をじっとみつめる溥儀

 溥儀   「ふ・・・北斗の男よ・・・朕も呼んでみたかった・・・
       お前を朋友(ポンヨウ)と!」

もはやその表情は愚帝のそれではなく1人ののものであった




次回予告!

またもや溥儀に呼び出され金閣寺に赴く一体さん。
ところが立て札にはなにやら注意書きが・・・!
更に一体さんを狙う謎の刺客も現れ、さあ大変!
さてさてどうなることやら?


次回! 一体さん第二話!
「このはし渡るべからず」

キミは刻の涙を見る


第二話へ

戻る