第二話「このはし渡るべからず」






パカランパカランパカランッ・・・ヒヒィ〜〜〜ン!

相も変わらず愛馬「松風」を駆る筋骨隆々の男・・・・・
そう、こいつの名はシンエモン!


シンエモン 「一体さ〜ん!大変でござる〜!」
一体さん  「あ〜、わかった。みなまで言うな。
        んじゃ行くか。あのバカのところに」
シンエモン 「いつもいつも申し訳ないでござる・・・・」
一体さん  「言ってるだろ、気にするなって。 俺とお前は
        朋友(ポンヨウ)なんだからよ」




〜場面は変わって金閣寺〜

一体さん  「ああん?なんだコリャ?」

一体さんとシンエモンが見つめる立て札。それにはこう書かれてあった
「このはし渡るべからず」

シンエモン 「? このはし渡るなって・・・
        このはし渡らなきゃ
金閣寺には入れないでござるよ?」

困惑するシンエモン
そこに響くいつもの声。溥儀である

 溥儀   「よう来たのう閻王!それが今日の問題じゃ!
       このはしを渡らずにこちらへ来てみせよ!」 
シンエモン 「そっ、そんな上様!いくらなんでも
        それは無理に決まってるでござるよ!」

非難の声をあげるシンエモンだが溥儀はとりあおうとしない

 溥儀   (ふふふ・・・さあ、どうする閻王? ちなみに 
       ”端”を渡らず”真ん中”を渡ったなんてのは不可だぞ。 
        何故なら真ん中の板は、ほんの少しの過重でも

        抜け落ちるようにしてあるからのう!くっくっく)
 
        「・・・って、あれぇえ〜〜〜ッ?!  
        え、閻王が消えおった?!

まさに突然!
溥儀の視界から一瞬にして一体さんの姿が消えた!
慌てて辺りを見回す溥儀。 しかし一体さんの姿は見当たらない
本当に一体さんは消えてしまったのか?   

否ッ!

 溥儀    「・・・・・上かッ!」 

そうッ! 一体さんは跳躍していたッ!!
しかも天内悠ばりの
ノーモーションジャンプ!

 溥儀    「閻王!打つ手がなくて暴挙に出たかッ!
         いくらお前とて、この距離をジャンプで 
         飛び越えられるとでも思って・・・・・・!」

 溥儀    「お、思って・・・・・・・・・!!」

 溥儀    「お・・・お・・・・?!!」

 溥儀    おおおおおおッ!? お前は  
        バッタの改造人間かぁああ!!!



バキィッ!

 溥儀    「うわらばッ!!!

そのまま一体さんの飛び蹴りが溥儀の顔面に炸裂!
情けない悲鳴をあげて吹っ飛ぶ溥儀。 華麗に着地を決める一体さん

一体さん  「人間は普通、その潜在能力の30%しか使うことができん
        だが俺は残り70%を自在に引き出すことができる! 
        それが北斗神拳奥義天龍呼吸法ッ!!
 溥儀    「ぐふっ・・・ み、見事だ閻王・・・・!
        今回も朕の負けのようだな・・・」

溥儀がそう言って、鼻血をぬぐいながら歩み寄る
しかしそのとき!


ズダァーーーン!!!
耳をつんざく轟音! 銃声だッ! 
どさり、と一体さんの体がその場に崩れ落ちる!

シンエモン 「い、一体さ〜〜んッ!
        上様!これはどういうコトでござるか!?」
 溥儀    「ち、朕にもワカらぬ! 
        だが近くに
スナイパーがおるのは間違いない!
        すぐに探し出すのじゃッ!それと閻王の手当てを急げッ!」






〜現場から数百メートル離れた狙撃ポイント〜


 刺客    「任務完了・・・フ・・・簡単なものだ・・・」

一人の男がタバコをくわえて一息ついている
たった今一体さんを狙撃したばかりの殺し屋である

  ?    「あ〜、大したもんだ。 でもなアンタ、
        よく見てみな。標的はまだ死んでねえぜ?」

突然うしろから声をかけられビクッ!とした殺し屋
イキナリ狙撃失敗と言われ動揺しながらスコープを覗き込む

 刺客    「なにをバカな・・・頭を撃ち抜かれて
        死なない人間がいるハズが・・・う!?」 

変わり身の術ッ!!!
慌てて後を振り向く刺客! 
そこに立っているのは紛れもなく一体さん本人!

一体さん  「忍空にそんなもの通用しねえ!

ゴッ!!!


まるでコマのように空中で激しく回転する刺客
ズシャアアッ!
派手な音をたてて、ボロ雑巾の如く地面に転がり落ちる



 刺客    「ぐふ・・・忍空だと・・・では貴様は・・・!」
一体さん  「元・忍空組13番隊隊長・・・・・
        猫忍の一体ッ!!!」        
 刺客    「13番隊!? あ、あの伝説の・・・・
         い、一体さん・・・おそるべし・・・
」 

絞り出すようにそれだけ言うと、殺し屋は意識を失った
そこへシンエモンと溥儀が走ってくる

 溥儀   「閻王〜〜〜!無事か〜!!」
シンエモン 「一体さん・・・こやつはもしや・・・・」
一体さん  「ああ間違いない・・・こいつは紅華会の刺客だ
        奴等、俺の居場所を嗅ぎ付けたようだな。
        ちっ・・・コイツは面倒な事になりそうだぜ・・・」

そう言って空を見上げる一体さん
空にはいつの間にか暗雲がたちこめていた・・・・


次回予告

次々に襲ってくる紅華会の刺客達
一体さんの鉄拳が唸り、シンエモンの剛剣が吼える!
だが・・・
無敵の二人の前に突如現れた謎の二人組
果たしてヤツ等の正体は!?


次回! 一体さん第三話
「標的は一体さん」

目覚めろ!その魂!


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