第六話「ミスターX登場」
ピカッ!
ゴロゴロピシャーン!
ここはエジプト首都カイロ
耳を劈く雷鳴、そして稲妻に照らし出される巨大な建造物
巨悪組織・紅華会の本拠地にして最終機動兵器
超ド級陸戦艇ジョニー・ザ・ダイナマイト
全長およそ1200mのこの艦に戦闘員、技師、医師など1000人以上が乗員している、言わば”動く街”だ
ちなみにここでいう「戦闘員」とは三話に登場したモヒカンハゲのような雑魚供ではなく
五話に登場したバケツマスク級のグラップラー達の事である
紅華会の所有する戦力がどれほどのものか判っていただけるだろう
謎の男 「失礼するよミスターX」
謎の男 「Dr国枝か・・・・・入りたまえ」
【首領の部屋】
部屋の入口にはそう書かれてあった
Drと呼ばれた白衣を着た男が中に入っていく
Dr国枝― 紅華会大幹部
外科内科あらゆる医術を極めた神域のスーパードクターにして生粋のマッドサイエンティスト
紅華会のグラップラー達の超人的な戦闘力はすべてこの男による肉体改造手術によるものだ
”戦闘集団”紅華会を作り上げたのはこの男と言っても過言ではない
そして部屋の中央にて指一本逆立ちをしている巨躯の男―
筋肉隆々のまるで巨大な岩のような身体。褐色の肌
顔は頭からスッポリと被った布で覆い、その表情は見て取れない
この男こそ紅華会首領・ミスターXその人である
Dr国枝 「トレーニング中だったか。邪魔をしたかな」
ミスターX 「いやなにかまわんよ、それより何の用かね」
Dr国枝 「ニュースを2つばかり持ってきた。
大雑把に言って一つは良いニュース、もう一つは悪いニュース
まず良いニュース・・・閻王を発見したよ。
やはり日本に戻っていたようだ。極東支部から連絡があった。
で、悪いニュースというのが・・・」
ミスターX 「”閻王がココへ向かって来ている”だろう?
ふふふ、国枝・・・それのどこがバッドニュースなんだい?
最高のグッドニュースじゃないか!
これで奴にあの時の借りを返せる・・・5年前のあの闘いのな」
Dr国枝 「ふむ・・・実に君らしい考えだ。
では私は余計な事をしてしまったかな?
すでに数名の手錬れを刺客として放ったのだが・・・」
ミスターX 「それぐらいの事は結構。むしろ歓迎だ。
戦闘員に倒されるようなら私と闘う資格はないという事だからな」
Dr国枝 「承知した。フフ、怒られると思って肝を冷やしたよ。
トレーニングは終わったのかい?ティータイムにしないか。
いい芋羊羹が手に入ったんだよ」
そう言ってポットと湯呑を用意し始めるDr国枝
しかしその時廊下から突然けたたましい喧騒が聞こえてきた
近衛兵1 「コ、コイツッ!止まらんか! うおぉッ!?」
近衛兵2 「ぬう!なんという体術!コヤツただ者ではない!」
ガシャ――――ン!!!
首領の部屋の窓ガラスをブチ破り、一人の男が飛び込んできた!
長身、薄緑色の長髪、切れ長の目・・・・風貌だけでこの男の強さを見て取れる
長髪の男 「紅華会首領・ミスターX・・・だな?」
ミスターX 「元気の良いことだ・・・何者かね君は?」
近衛兵1・2 「おのれ!首領様に何をするつもりかーーーッ!!」
男を追ってきた近衛兵が二人掛かりで背後から襲いかかる!
しかし次の瞬間男の身体は華麗に宙を舞っていた!
長髪の男 「はやあッ!!!」
シュパァアアアアアアン
男の手刀が一瞬翻る!
直後、なんと近衛兵二人の身体がキレイな輪切りにッ!
ストン・・・と音もなく着地を決める謎の男
ミスターX 「ほう美しい・・・・ブラボー。
その拳・・・確か南斗水鳥拳と言ったか
青幇の生き残りか・・・・・」
ルェイ 「いかにも!南斗水鳥拳のルェイ!
潘親分の仇、討たせてもらうぞッ!!」
ミスターX 「ふぅむ、ティータイムの前に軽く汗を流すとするかな
国枝、少しさがっていたまえ」
大した感情も表さずに一歩前に踏み出すミスターX
今、超次元のバトルが始まるッ!
ピピピ・・・・・ピッ
Dr国枝 「ほう・・・・戦闘力6200・・・素晴らしい
紅華会S級グラップラーでもこれほどの拳士はそうはいない
青幇の残党にまだこれだけの使い手がいたとはな」
国枝の右目に装着されているのは戦闘力測定装置スカウター
紅華会グラップラーはその戦闘力によりランク付けされており、戦闘力5000以上の者はS級と呼ばれる
ちなみに第5話に登場したバケツマスクは戦闘力780(C級)である
ルェイ 「忘れもしない1年前・・・貴様によって皆殺しにされた朋友達・・・
俺は1年間準備してきたのだ!今日この日キサマを討つために
後悔先に立たず・・・・1年前に俺を殺しておくんだったな!」
ミスターX「ふっ・・・・とんだ誤解だよルェイくん
1年前に樽に詰めたワイン
まるで今から栓をぬいてグラスにそそぐような・・・
嬉しいやら楽しいやら」
ぐにゃぁあ〜〜〜〜〜〜〜
二人の間の空間が歪む!(バキでよくやる効果)
ミスターXが瞬きをしたその瞬間!ルェイが一気に仕掛けた!
息をもつかせぬ連続攻撃!まさに怒涛の連撃だ
不意をつかれたミスターX、いいように打たれまくり!人間サンドバック状態です
ルェイ 「っっはぁあああああああああッッ!!!」
ガキィッ!
渾身の力を込めた穿弓腿がミスターXの顎に決まった!
タイミング、角度、インパクトすべて完璧
その威力に巨体が一瞬宙に浮く!イキナリ勝負ありか!?
・・・・・・否ッ!
ミスターX「ン〜〜〜〜」
スタッ、と着地すると
「ん?今何したの?」といわんばかりの表情でルェイを見つめるミスターX
―――――バカなッ!?
ルェイの全身からぶわっと冷たい汗が噴出す!
ルェイ (どういう肉体だ?これ以上はないというインパクトで蹴り込んだハズ
常人なら即死・・・悪くても昏倒は免れぬタイミングだった・・・・
アレか! あのブッ太い首がショックを吸収してしまう」
ミスターX「戦力分析は終わったかね
ならば逆立ちしても勝てぬことはワカっただろう
察しの通りだ 私は君のはるか上にいる」
ルェイ 「勝った気になるのは早いぜ・・・・
打撃が効果なくとも斬撃ならばどうだ!
岩盤をも紙の如く切り裂く我が拳、受けてみよ!
ひょオ――――ウ・・・・しゃおうッッ!!!」
そう先刻近衛兵二人を輪切りにせしめた南斗水鳥拳
その切れ味は巨大な岩盤をもいとも簡単に切り裂く必殺の拳がミスターXを襲う!
狙いはガラ空きの腹部!内蔵ブチまけやがれ――――ッ!!
”ズドドドドドドドドドドドッ”
何ィ―――――ッ!?
なんとミスターX、これを避けようとせずに真正面から受けてみせた!
シュウウウウウウウウウ・・・・・
ルェイ 「切れ・・・・ない!? ・・・ゴク・・・」
ミスターX「粗塩を肌にスリ込んである
古のベアナックルファイターはそうやって切れにくい肌を完成させたものさ」
・・・・・・攻守交代」
そう言って丸太ン棒のような腕を振り上げるミスターX、
そのまま無造作になぎ払う!
ドォン!!!
パリン!
なんというパワー!
腕一本で身体ごと吹っ飛ばされるルェイ!その様はまるでゴム鞠!
窓ガラスをブチ破り、艦の外に落下!あえなくジ・エンド
ミスターX「もう上がってはこれぬだろう」
Dr国枝 「お見事だったよミスターX
君の闘いは相変わらず見ていて気持ちが良い
一体何を食ったらそんな身体になるんだい?」
ミスターX「ふっ、愚問だな国枝・・・・
愛以外に人を強くするものなどあるか
さぁ ティータイムにするとしよう」
紅華会首領・ミスターX!その強さ、まさに規格外!
彼と一体さんとの3年前の因縁とは!?
謎が謎を呼び、次回へ続く!
次回予告!
ついに日本を旅立つ一体さん一行!
目指すは敵の本拠地、エジプト・カイロ!
火を噴け北斗神拳!紅華会の野望を打ち砕け!
今、壮大なる冒険が始まる!
次回!一体さん第七話
「激闘の幕開け!」
闘わなければ生き残れない!