京都 金閣寺―
謁見の間にて玉座に座る若き男。端正な顔立ちと気品に満ちた物腰・・・皇帝・足利溥儀その人である
その傍に静かに立つは、立派な顎鬚を生やした老齢の重鎮。ターリブ・ウッディーン
かつては”槍のターリブ”の異名を取り、戦場を縦横無尽に駆けた一騎当千の猛将
その彼をもってしても
今、壮麗に居並ぶ5人の男達を眼前にして身体の震えを抑えることができない
ターリブ老 「なんという・・・よくぞこれほどの者達を・・・」
溥儀 「よく戻ったシンエモン。見事なチームを完成させたようだな」
シンエモン 「御意に」
玉座を立った溥儀は、各員の肩にポンと手を乗せながらその頭を深く下げた
時の皇帝がいちグラップラーに過ぎぬ者達を相手に頭を下げる。およそ普通では考えられない事である
溥儀 「頼むぞ。この日の本の平和はお前達の双肩にかかっておる」
何よりも民草を愛し、その平和を第一に願う若き賢帝
初謁見でその大きな器に触れた男達は、心の底から彼に敬服した
ビッ!と整列した男達に、第三代皇帝・溥儀が正式な勅を発令する
溥儀 「本日付けで諸君らを対グラップラー犯罪特選部隊に登録する
諸君らにはグラップラー犯罪に対するあらゆる判断権と
そして現場での武力行使の権限を与え、
その特権はすべての法の上位に位置するものとする」
シンエモン 「部隊の名称は決まっているのですか?」
溥儀 「うむ、既に決まっておる。その名は・・・・・・」
エピローグ
疾風!溥儀禁衛隊!
京の都ー
草木も眠る丑三つ時、人々は誰もが幸せなまどろみの中にいた
だが哀しきかな、惨劇とは突然訪れる物
そんな平穏な夜を切り裂く恐怖の悲鳴があがる
男 「ぐあー!!や、夜盗団だー!!」
夜盗団1 「金目の物と女は全て奪え!男は皆殺して火を放て!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオオ・・・
放たれた炎は瞬く間に燃え広がり、京の夜空を赤く染める
逃げ惑う人々の悲鳴と崩れ落ちる家屋。まさに阿鼻叫喚の地獄絵図
許すまじ悪党供!力なき人々はただ蹂躙されるのを黙って耐えるしかないのか?
否!
この世に悪の栄えた試しなし!
悪事の限りを尽くし、好き勝手に暴れる夜盗達。まさにその時
ヤツらの頭上から正義の声が降る!
声 「待ていッッ!」
夜盗団1 「ぬっ!?」
声 「欲望のままに悪事を働き、弱者を蹂躙する悪党達・・・
外道の力に溺れる者は必ずや正義の剣に倒される!
人、それを天誅という!」
夜盗団ボス 「おのれ!なにやつ!?」
5人の男達 「命あるところ!正義の雄叫びあり!
溥儀禁衛隊!見参ッ!!」
(BGM:特捜戦隊デカレンジャー「特捜戦隊デカレンジャー」)
屋根の上に颯爽と立ち並ぶは、熱き魂の導きに集った5人の超戦士!
正式名称:対凶悪グラップラー犯罪特務戦闘部隊
Special Guardian Force スペシャルガーディアンフォース
通称 「溥儀禁衛隊」だッッ!!!
臨戦態勢の5人を目の前にして、夜盗団が身構える
夜盗団ボス 「ハッなるほど!グラップラーで構成された治安部隊か
だがたったの5人とは!ヌケ作もいいところよなァ!?
我等毒蠍旅団!首にかかった退治賞金は1万両!
人員36名は全てカテゴリーA級以上の武闘派集団よ!
テメエらなんざ返り討ちにしてくれるわあああ!」
ボスの怒声とともに36名の凶悪グラップラーが一斉に大地を蹴った
5人の戦士は互いに軽くアイコンタクトして素早く散開
そして毒蠍旅団のボスは信じられない光景を目の当たりにする
カテゴリーA級の猛者達が一斉に包囲しての攻撃
一の槍 「悪を断つ剣」
シンエモン
しかしその攻撃はカスリもせず。ことごとく空を切る
二の槍 「地獄の魔術師」
男爵ぴーの
5人の戦士がふわりと舞うように身を翻したかと思うと
三の槍 「宇宙統一忍者流」
ハッタリ半蔵
次の瞬間には断末魔の声も立てずに絶命する悪漢供
四の槍 「地獄の砲弾」
レオンハルト
まるで何かの悪夢でも見ているかのごとく
五の槍 「炎の占い師」
あぶどぅる
35名の手下達は ものの1分とかからずにその場に全滅した
夜盗団ボス 「ぜ・・・全滅?35名のA級グラップラーが1分かからずに?
しかもたった5人のグラップラーに!ば・・・バケモノ・・・!」
シンエモン 「毒蠍旅団頭目、ボボボーボ・ボーボス!
強盗殺人及び建築物損壊の罪で・・・ジャッジメント!」
旅団の頭目に向けてSGFデジタルコマンダーを突きつけるシンエモン
グラップラー犯罪者に対しては将軍家特別軍事元老院から判決が下されるのだ!
ピキーン!!『極刑を許可する』
コマンダーの液晶画面に大きく表示された赤字。この男に更正の余地はない!
夜盗団ボス 「うっ・・・うわあああああああああ!!!!」
シンエモン 「デリート許可!
一文字流奥義!飛燕烈風斬ッ!!!」
”ドパァ!!!”
ドサッ
無様に背中を見せて逃げ出した頭目
シンエモンの放った真空の刃が、その首と身体に永遠の別れを告げさせた
火災から逃げ送れた人達も既に4人が救出。戦闘終了して一般人達の被害はゼロであった
西暦198X年
時の皇帝・足利溥儀は
凶悪化の一途をたどるグラップラー犯罪に対し
これを取り締まるための特殊戦闘集団を組織
彼等の行動力、戦闘力たるや凄まじく
組織からわずかに半年のあいだで日本全土のグラップラー犯罪が1%未満にまで現象
世の人々は彼等を絶対無敵の正義のヒーローとして賞賛した
その名を
溥儀禁衛隊
あの紅華会戦争より12年前の話である
完
プロローグ
対グラップラー特殊部隊
1 地獄の魔術師 (男爵ぴーの編)
2 映し鏡の最強忍者 (ハッタリ編)
3 ゲルマンのランボー (レオンハルト編)
4 疾風!溥儀禁衛隊 (あぶどぅる編)